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都知事選
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医療制度の改善が先 前編で紹介したアリソンの事例は、医療・社会福祉制度が破綻し、恥ずかしいほど長い治療の待機者リストと、他国と比べて低いがんの生存率という背景がありながらも、安楽死導入へとまっしぐらに向かおうとする英国などの国に疑問を投げかける。 アリソンは、こうした改革に向かう人々に何を伝えたいだろうか? 「まず、医療システムを改善してから安楽死導入を検討せよと言いたいです。さもなければ、それはとても危険な一歩となります。私たちには、死を選ぶ前に適切でタイムリーなケアを受ける資格があるのですから」 世界に先駆けて安楽死を導入したベルギーやオランダを取材すると、すでに医療差別や社会的疎外を受けている弱者集団への影響が大きいとわかる。 たとえば、2023年のある研究では、学習障害や自閉症を抱えて生きるのが苦しいというだけの理由で、8人のオランダ人が安楽死したことが明らかになった。ほかにも、そ
『ワーク・シフト』『LIFE SHIFT──100年時代の人生戦略』の著者リンダ・グラットンが、変化の激しい現代のワーク・ライフ・バランスを論じる連載。 これからの時代、どうやって人材管理をするのがベストなのか──そう悩む管理職に、グラットンは「基本に立ち戻れ」とアドバイスする。 もしいまあなたが経営者や管理職の立場にあるなら、まさに荒波を航海するような心地だろう。 経済は衰退しているにもかかわらず、労働市場は逼迫している。パンデミック以後、50代以上の労働者の多くがそのままリタイアしてしまい、その穴を埋める人材が見つからないことも一因だ。 物価の高騰は生活水準に関するさまざまな不安を呼び起こし、賃上げの要求も高まっている。他方、在宅とオフィスのハイブリッド労働は、スケジュール調整の地獄を生み出した。 もしあなたが若手のリーダーや管理職であれば、この組み合わせはあなたのキャリア史上最大の困
中年期は大きな転換が必要だ。人生の後半に栄光と輝きを夢見る人はほとんどいないが、ベストセラー作家でホスピタリティー起業家のチップ・コンリー(63)の考え方は違う。 著書『ミッドライフを楽しむには:年を重ねるごとに人生が良くなる12の理由』(未邦訳)のなかで、コンリーはこう問いかけている。 「中年期の自然な移行を、危機としてではなく、“さなぎ”の時期と考えてはどうか。脱皮して、羽を広げ、知恵を世界に授粉しながら、私たちのなかにある深遠なものが目覚める時期だ」 米国の人口が急速に高齢化するなか、中年期を前向きな変化が起きる有望な時期として捉え直すことが新たな課題となっている。それを実現する方法についてコンリーに聞いた。 ──中年期の変化のロールモデルは誰でしたか? 父親です。彼は会社員として無難な道を歩んでいたのですが、40代後半で起業を決意しました。スタンフォード大学に子供2人を通わせ、もう
11月の米大統領選に向け27日開かれたテレビ討論会で民主党の現職バイデン大統領が苦戦したことを受け、米国の同盟国の一角では、共和党のトランプ前大統領の返り咲きに備える動きが強まっている Photo: Kenzo Tribouillard / Reuters 11月の米大統領選に向けて27日に開かれたテレビ討論会で民主党の現職バイデン大統領が苦戦したことを受け、米国の同盟国の一角では、共和党のトランプ前大統領の返り咲きに備える動きが強まっている。 討論会では、バイデン大統領は序盤から時折声がかすれ、言葉に詰まる場面もあった。バイデン氏が討論会で「高齢懸念」を払拭するという期待も高まっていたが、同氏の精彩を欠く姿を受けて民主党内でも動揺が広がり、一部の民主党員からは、候補者の交代という異例の措置が必要かもしれないとの見方も出ている。 海外の新聞各紙の紙面も、バイデン氏に対する非難が目立った。仏
銅価格の高騰が止まらない。銅不足のリスクをはじめ、今後の銅市場を理解するための4つの質問に、世界で2番目の銅取引量を誇る大手資源商社「トラフィギュラ」のエコノミスト、グレアム・トレインが答える──。
多くの外国人観光客が押し寄せるなか、日本各地の観光地のみならず、以前はそうでなかった場所までもが彼らの振る舞いに悩まされている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が、住民たちの複雑な心境を聞いた。 最近では2回、マツモト・ショウジの理髪店に、散髪を希望する外国人観光客が入ってきた。正面のドアは半分以上開けると大きな音で軋む、そんな店だ。 1人目はイタリア人、2人目は英国人だった。75歳で、どちらの言語も話さないマツモトは、どうコミュニケーションをとればいいのかわからなかった。彼はハサミを手にとり、散髪を始めた。長年の経験だけを頼りに、この気まずいめぐり合わせを切り抜けることができますように、と願いながら。 2022年に新型コロナウイルス関連の入国制限が撤廃されて以降、円安の後押しを受け、旅行者が日本に押し寄せている。岸田文雄首相をはじめとする政府関係者のなかには、オーバーツーリズムを懸念する声
占星術や血液型など、自分の性格や人との相性を診断する方法は、無数にある。そんななかでも筆者が信頼を置くのが、半世紀以上前に米国で提唱され、現在も使われているマイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標(MBTI)だ。 この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 性格診断に夢中になったワケ 3度目のデートの後、クレアに診断を受けてほしいと言った。 私たちの関係は順調だった──手と手が触れ合い、膝と膝がかすめ、頭と頭が近くにあった。家に帰ってひとりでベッドに倒れ込む頃には、これはいけるんじゃないかと思って顔が火照った。かなり酔ってもいたけれど。 クレアは16性格診断に興味をもったみたいだったから、彼女にそのリンクを送った。それからメモアプリを開いて、診断結果を予測して「クレア、INFP」
子供を持つことで、女性のキャリアに支障が出るということはよく言われてきた。だが、長期的に見たとしても、女性たちが失われたキャリアを回復することはできないのだろうか? 私は前週までの育児休暇から復帰して、書く気満々だ。「子持ちになった途端、築いてきたキャリアが損なわれる恐れがある」とする研究も枚挙にいとまがないではないか。次は我が身、という恐れは早急に振り払うに越したことはない。しかし、ここで思い出す──自分は父親だった。それで、ほっとしてコーヒーを飲みに行く。 子供を持つことで被るキャリアの打撃、経済学者がいう「チャイルド・ペナルティ」で割りを食うと考えられているのは、母親だけだ(マザーフッド・ペナルティと呼ばれる)。 実は、子供の出産後に職場復帰する母親も、ひと息入れることはできるかもしれない。母となった自分の当面の手取りは減りそうで、父となった男の収入は変わりがないと知れば腹も立つだろ
日本でも揺らぐ「報道の自由」 近年、世界中でメディアへの脅威が高まっている。 パレスチナ自治区ガザやロシア、中国などでは記者が不当に拘束され、暴力を受ける事例が相次ぐ。権力の不正を暴こうとする記者をインターネット上で組織的に中傷する問題も起きている。 東京新聞と中日新聞の海外特派員らによって書かれた『報道弾圧 言論の自由に命を賭けた記者たち』(ちくま新書)は、政治思想・派閥による分断や、ポピュリスト政治家の台頭、SNSやデジタルプラットフォームの普及といったメディアを巡る諸問題を切り口に、各国の報道機関が直面する危機と、それに果敢に立ち向かおうとするジャーナリストたちの姿に迫っている。 ではなぜ、いまメディアに逆風が吹いているのか。本書において、豪メルボルン大学でジャーナリズムを研究するデニス・ムラー上級研究員(取材当時)は、メディアを統制しようとする動きが世界中で加速する背景には、200
生き残るためには「取材」をすべき ──生成AIが急速に普及するなか、メディア業界でもこの技術をどのように活用していくかという議論が起きています。AIが記事を作成するようになった場合、記者の存在意義が薄まる可能性も指摘されています。また、情報の正確性の見極めが難しくなるという懸念もあります。こうした状況をどのように見ていますか? 個人的には、生成AIは慎重に使うべきだと考えています。記者の役割はできる限り一次情報に近づき、自分で見聞きしたことを、自分の言葉で伝えることで、その基本はいまも変わっていません。 そこを安直にAIに頼れば物事の本質を見誤る可能性がありますし、記者の存在価値を自ら下げることになります。出所がはっきりしない情報を使ってフェイクを流すという行為は、記者として、メディアとしてあってはならないことです。 翻訳やリサーチなどの作業を効率化するといった活用方法はよいと思いますが、
中国の魅力あふれる恐竜は、日本の国民的漫画『ドラえもん』でもその迫力ある姿が描かれている。中華圏をフィールドに多彩なテーマに取り組む安田峰俊氏の新著『恐竜大陸 中国』から、日本でも人気の高い“あの中国恐竜”にまつわるほっこりエピソードを紹介する。 ドラえもんでおなじみのあの恐竜が見つかるまで──マメンチサウルス 日本は、状態のいい恐竜の化石が比較的見つかりにくい国である。 2010年代後半に世間の話題をさらった「むかわ竜」ことカムイサウルスがあれほど注目されたのは、ほぼ全身の骨格が見つかった新種だからであった。日本は恐竜の全身骨格が見つかるだけで大騒ぎになる国なのだ(ちなみに中国の恐竜関係者に聞いたところ、日本の25倍の国土面積を持つかの国では年間に20体くらいは恐竜の全身の化石が見つかり、ありふれた現象であるそうだ)。 しかし、日本人の恐竜人気の裾野は中国よりもずっと広く、また深い。その
マルボ族の近代化を推進した「一家」 ジャバリ・バレー先住民区域は、地球上で最も隔絶された場所の一つだ。ポルトガルに匹敵する広さの熱帯雨林が鬱蒼と広がり、道路はなく、迷路のように入り組んだ水路が張り巡らされている。ジャバリ・バレーに住む26部族のうち、19部族が完全な孤立状態で暮らしている。 その一つであるマルボ族も、かつては外界との接触がなく、何百年もの間、森の中を移動しながら生活していた。19世紀末に天然ゴムの違法伐採業者がやってきたことで、長年にわたる暴力と疫病に見舞われたが、同時に新たな習慣や技術がもたらされもした。 マルボ族は服を着るようになり、なかにはポルトガル語を学ぶ者も出てきた。イノシシ狩りに使う弓矢は銃に、キャッサバ畑を開墾するための鉈(なた)はチェーンソーに持ち替えられた。 この変化をとくに推進した一家があった。セバスチャン・マルボは、1960年代に森の外で暮らしはじめた
演説が長引くにつれ、人々の視線はスマホ画面へと逸れていった。インスタをスクロールする10代の若者たち。ガールフレンドにメールを送信する男性。そして、グループ初の女性リーダーが演説中だというのに、スマホに群がりサッカー中継を観戦する男性たち。 どこにでもあるような、ありふれた光景だ。だが、これが起きているのは、地球上で最も隔絶された地域の一つにある、先住民族の集落なのだ。 マルボ族は長年、アマゾンの熱帯雨林の奥地を流れるイトゥイ川沿いに、何百キロにもわたって点在する共同小屋で暮らしてきた。彼らは独自の言語を話し、森の精霊とつながるために幻覚剤のアヤワスカを飲み、クモザルを捕まえてスープの材料にしたりペットにしたりする。
「スポッチャ」などの遊戯施設運営で知られるラウンドワンが米国で人気を集め、業績を伸ばしている。コロナ禍後、米国では郊外のショッピングセンターでテナントの立ち退きが相次いでいたが、ラウンドワンが起死回生に一役買っているという。米国で人気の理由とは? 全米で50ヵ所以上に 2021年末、米国コネチカット州郊外のショッピングモールに日本のビジネスマンご一行が訪れた。彼らは、破綻したアパレルブランド「フォーエバー21」が立ち退いた後、空っぽになっていたショピングモールを視察していたという。 このショッピングモールのオーナーは、米国ではもはや百貨店は流行しないと気づき、百貨店の代わりにモールの起死回生のために目をつけたのが、ゲームセンターなどを運営する日本のアミューズメント施設「ラウンドワン」だった。 米国ラウンドワンは現在、全米で50ヵ所以上の店舗を展開している。日本のゲーム機がたくさん並び、なか
国民議会選が目前に迫り、極右政党「国民連合(RN)」が存在感を強めるなか、フランスではこれに抗議する運動が各所で湧き起こっている。女性の権利を訴える団体の大規模デモ、サッカー選手キリアン・エムバペや女優のマリオン・コティヤールをはじめとする多数の有名人の反対表明……。 さらに、日本の「漫画ファン」コミュニティもRNへの反対を訴える。「『ONE PIECE』、『進撃の巨人』、『NARUTO -ナルト-』のファンでありながらRNに投票しようとするなんて、作品を理解していないか、作品の哲学をないがしろにしているかだ」。その真意とは? エマニュエル・マクロン仏大統領による国民議会解散を受け、6月30日と7月7日におこなわれるフランス総選挙。その選挙で、漫画がどのような役割を果たすというのだろうか? 間近に迫った投票を脅かす暗い危機を前に、日本の漫画など、とるに足らないようにも思えるが、選挙戦がイン
ブラジルが6月26日、個人使用の大麻を解禁し、人口2億300万人の同国は、同様の措置を講じた国々のなかで世界最大となった。大麻が世界的にますます受容されるようになっていることを示す最新の事例だ。 ブラジルの連邦最高裁判所は、国民が大麻を40グラムまで(大麻たばこ約80本分)所持しても罰せられないと裁定した。この決定は数日以内で発効し、そこから18ヵ月間は有効になる。 裁判所はブラジル議会と保健機関に対して、その有効期間が過ぎたあとに国民が所持できる大麻の定量を設定するよう依頼した。大麻を売ることは刑事犯罪のままだ。 法律アナリストらによれば、何千人ものブラジル人がこの新しい基準以下の量の大麻を所持していた罪で懲役刑を受けている。今回の決定が、そうした有罪判決にどう影響するのかは不明だ。 その多くが黒人男性で、人口に占める割合は27%ながら、麻薬取引で起訴された被告の61%を占めている。黒人
家族計画を立てる際に人工知能(AI)搭載のチャットボット(自動会話プログラム)を頼りにできるだろうか。100万ドル(約1億5700万円)の投資や結婚式の誓いの言葉を作成する場合はどうだろうか。 人間のように会話するボットは2年前にはほとんど存在していなかったが、今や至る所にある。生成AIブームの火付け役となった「ChatGPT(チャットGPT)」やグーグルとマイクロソフトの製品に加え、無数の中小プレーヤーが自然な会話が可能な独自のアシスタントを開発している。 われわれは主要ボット5つを使用して一連のブラインドテストを実施し、どのくらい役に立つかを判定した。能力が抜きんでたチャットボットが見つかることを期待していたが、そうはならなかった。それぞれ得意・不得意な分野があった。その上、進化のペースも速い。われわれのテスト中に、オープンAIはスピードと時事知識が向上したチャットGPTのアップグレー
本稿は社会心理学者ジョナサン・ハイトの未邦訳書『The Anxious Generation(不安な世代)』の抜粋である。第一回はこちらから。 スマホの罠から抜け出す4つの規範 子供とその親たちはスマホを使い続ける「集団行動の罠」にはまっている。どれも個々の家庭で抜け出すのは難しいが、家庭、学校、地域社会が連携して行動すれば、抜け出すのはずっと容易になるはずだ。 ここからは、スマートフォンに支配された子供時代に終止符を打つための4つの施策を紹介する。 地域コミュニティがこの4つを実践すれば、2年以内に若年層のメンタルヘルスに大幅な改善がみられると私は信じている。
宗教を信仰する10代の若者は、世俗的な若者よりも幸せであることを示す研究が注目を集めている。 近年、米国では若者のメンタルヘルスの危機が度々報じられている。だが、信仰心の篤い10代の精神状態は、この社会的傾向とは異なり、安定しているという。 一体なぜか? 米紙「ボストン・グローブ」が掲載した、米国の高校生を対象とした「モニタリング・ザ・フューチャー」のデータ(1979〜2019年)によると、「信仰心の篤い10代」と「世俗的な10代」のメンタルヘルスに顕著な差がみられ始めたのは2010年以降だ。 同調査では、対象者を「世俗的な進歩派(リベラル)」「信仰心に篤い進歩派(リベラル)」「世俗的な保守派」「信仰心に篤い保守派」の4つのグループに分けており、そのデータは2010年以降、ほぼどのグループも孤独や不安、無価値感、憂鬱をより強く感じるようになったことを示している。
足元で世界中を襲っているインフレ。イギリスでは物価上昇率が40年ぶりに10%を超えるなど、歴史的な水準にまで上昇した。では、過去にインフレが発生した時代の教訓から、私たちは何を学ぶことができるのだろうか。 インフレ高騰した16世紀はどんな時代だったか ヘンリー8世の時代、イングランドは崩壊寸前の様相を呈していた。かつてなく物乞いが増え、隙あらば他人の喉をかっ切るような連中ばかりだったという。誰もが貨幣価値の低下を疑い、その懸念は的中していた。貨幣に負けずモラルも低下していた。 ヘンリーの治世の半ば頃にケント州で行われたある悪名高い葬儀では「酒池肉林の乱痴気騒ぎとなった」と報告されており、「140人の男たち全員が女性をはべらせていた」という。何かおかしいという感覚はヨーロッパ全域で共有され、1590年代までに財政危機、社会不安、そして戦争に見舞われたのである。 社会混乱の元凶は、まったくの予
富士フイルムは半導体事業と深い関係を築いたオールドエコノミー企業の一つ(写真は同社が昨年横浜で開いた展示会) Photo: Stanislav Kogiku / SOPA Images / LightRocket / Getty Images
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