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やる気の出し方
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チュニジア、カルタゴ近郊のシディ・グリブ遺跡で発見されたモザイク画。ビーナス姿の高貴な女性と、そばで着替えや髪の手入れを手伝う2人の召使いが描かれている。古代ローマで使われていた身だしなみを整える道具は、かつてローマ帝国だった場所のいたるところで発見されている。(PHOTOGRAPH BY BRIDGEMAN IMAGES) 古代の洗面用具、50個以上の毛抜き、1500年以上前のネイルケア道具。英国で発掘されたこれらの品は、いずれもブリテン島がローマ帝国の一部だった時代のものだ。 西暦43年のローマ帝国の侵攻に始まり5世紀に終わるこの時代、古代ローマの文化がブリテン島に持ち込まれた。特に注目すべきは入浴施設と身づくろいの習慣で、ローマ帝国が征服した他の地域にも広まっていた。 「公衆大浴場が帝国内に広がるのに伴って、身づくろいの習慣も広がったのです」と、英国の歴史的建造物保護機関「イングリッ
ガラパゴス島で、ピンタゾウガメの最後の生き残り「エンドリング」となった「ロンサム・ジョージ」。100年生きたとされている。(PHOTOGRAPH BY JAD DAVENPORT, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 「エンドリング」という言葉をご存じだろうか。主に人間の活動により絶滅の瀬戸際に追い詰められた動物種のうち、知られる限り最後の生き残りとなった個体のことだ。例えば、1914年に死んだリョコウバトの最後の1羽だった「マーサ」。2018年に死んだキタシロサイの最後のオスだった「スーダン」もあてはまる。エンドリングは、自身が気づいていようといまいと、たった1匹で絶滅の重荷を背負わなければならない。(参考記事:「キタシロサイのスーダンほか、ナショジオ過去10年のベスト写真15」) 「最後の生き残り」という表現に人々が惹きつけられるのは、これをテーマにした様々な創作物が数
米カリフォルニア州にあるマリブの丘陵地帯の山道を裸足で走る男性。裸足やミニマリストシューズは足を丈夫にし、バランスの向上や歩き方の改善にもよいという研究結果がある。ただし、裸足生活に変える際は、「けが予防のため、徐々に変えていくことが必要」と専門家は注意を呼びかける。(PHOTOGRAPH BY JOSH HUMBERT, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 「自然な足の動き方であれば、けがが減り、足がもっと強くなるのでは」という考え方は長年、ランニングやウオーキングをする人を魅了してきた。メキシコの裸足の長距離ランナーたちを描いた本『BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”』が出版され(編注:米国で2009年5月、日本語翻訳版は2010年2月に発刊)、裸足で暮らすミニマリストのライフスタイルが世界的に大きな関心を呼んだとき、こ
オーストラリアに生息するキバハリアリの仲間Myrmecia midas。夜間に樹液などを集めるが、フェロモンを使わなくても巣に戻れる謎が最新の研究で明らかになった。(PHOTOGRAPH BY AJAY NARENDRA) オーストラリア、シドニーの郊外で日が沈むと、キバハリアリの仲間であるMyrmecia midasが巣から木に向かって行進する。木に到着したアリたちはほかの生きものを攻撃し、樹液などを集め、夜明け前にそれぞれが戦利品とともに巣に戻る。ほかの多くのアリと異なり、彼らは道しるべフェロモンのにおいを使わないようだ。 そこで興味深い疑問が生じる。夜行性のキバハリアリたちは暗闇でどのように帰り道を見つけるのだろう? 「ずっと謎でした」と語るオーストラリア、マッコーリー大学の神経動物行動学者コディー・フリース氏らの研究チームが、6月11日付けで学術誌「eLife」にその答えを発表した
女性アスリートは男性に比べて前十字靱帯断裂などを起こしやすいが、経口避妊薬を服用することで、けがのリスクを下げられるかもしれない。(PHOTOGRAPH BY JODI COBB, NAT GEO IMAGE COLLECTION) この数十年でスポーツをする女性が増えたことで、女性アスリートのけがは男性アスリートとは違う場合があるという認識が広まっている。けがの種類によっては、負傷のしやすさにホルモンが関係している可能性を示す証拠が集まりつつあるからだ。 このほど、経口避妊薬を飲んでいる女性は、飲んでいない女性に比べて、下肢(脚と足)の筋肉と腱のけがをする確率が約8割も下がることを示す論文が、2024年3月に医学誌「Medicine & Science in Sports & Exercise」に発表された。 「多くの女性アスリートが何らかの避妊薬を使っています」と、けがの予防と回復の性
2024年5月11日:ロード・ハウ島の礁湖の浅瀬に生息する、紫外線に照らされて蛍光を発する健康なサンゴ。2024年2月に記録的な高温がこの海洋保護区を襲った後、病気で死んだ近くのサンゴは同じ色をしていない。(Photograph by Justin Gilligan) 人里離れた世界遺産の海洋保護区でさえ、気候変動の影響は免れない。ナショナル ジオグラフィックの独占取材による新たな写真が、それをはっきりと示した。2024年、オーストラリアの海洋保護区であり、世界自然遺産にもなっているロード・ハウ島の手つかずのサンゴの多くが白化し、死滅したのだ。原因は海水温の急上昇と記録的な低潮で、折り重なる悲劇に研究者たちは打ちのめされた。 オーストラリアのシドニーから飛行機で2時間の距離にあるロード・ハウ島は、世界最南端のサンゴ礁がある海洋生物の楽園だ。「これは気候変動が海洋生態系にどれほど広範囲に影響
メタボリックシンドロームは、がんのかかりやすさや進行のしやすさと関連していることがわかってきた。写真は病院で血圧を測る患者。(PHOTOGRAPH BY WHITTEN SABBATINI, THE NEW YORK TIMES/REDUX) 血液腫瘍学の研究員として働いていたころ、ウルビ・シャー氏はホジキンリンパ腫と診断された。健康な免疫反応にとって不可欠なリンパ系のがんだ。4カ月にわたる集中的な化学療法によって病気は治ったが、こんな疑問を抱くようになった。がんを治すうえで、食事はどのような役割を果たしたのだろうか。 「家族や友人からは、食べていいもの、いけないものについてたくさんの助言をもらいましたが、そのとき私は、医学部の授業では治療に栄養が果たす役割について何も教わらなかったと気づいたのです」とシャー氏は言う。 食物繊維の多い植物性食品ががんの発生率や再発のリスクを下げるという証拠
ローマの淡水ガニは、トラヤヌスの広場の下水道にいるこのメスのように、ハリネズミなどの動物の死骸を食べることがある。(PHOTOGRAPH BY GIANLUCA DAMIANI) カニについてわかっていること セミナーラ氏によると、地元の科学コミュニティでは、100年近く前から群れの存在が漠然と認識されていたという。2005年の発掘作業により、群れの規模が明らかになるとともに、カニの研究に対する関心が一時的に高まった。 2004年から2006年にかけて、地元ローマ・トレ大学の研究者が500匹近い個体を捕獲して識別を行った。研究チームは2008年、ローマのカニは同種のほかの個体よりも13〜20%大きいことを報告している。ローマのカニは甲幅が平均で約7センチあり、これは近縁種に比べてサイズが増大する巨大化の一例かもしれない。 同研究ではまた、ローマのカニは成長が遅く、同種のほかの個体よりも最大
イタリアの固有種で唯一の大型淡水ガニ「ポタモン・フルビアティレ(Potamon fluviatile)」は、「かつて生息していた古代の群れの生き残り」だ。彼らはローマ帝国の興亡を目にしてきたかもしれない。トラヤヌスの広場で撮影。(PHOTOGRAPH BY EMANUELE BIGGI) 2005年、ローマの中心部にあるフォロ・トライアーノ(トラヤヌスの広場)で発掘を進めていた考古学者らが、古代の下水道を掘り当てた。その内部からは、大理石でできた紀元4世紀のコンスタンティヌスの胸像のほか、イタリアの固有種としては唯一の大型淡水ガニである「ポタモン・フルビアティレ(Potamon fluviatile)」の群れが見つかった。研究者らは、この群れの起源は非常に古く、ローマが単なる渓谷の湿地帯に過ぎなかった時代にまでさかのぼると推測している。 古代ローマ帝国の興亡を目にしてきたかもしれない彼らだ
エジプトのルクソール近郊の町エスナにあるクヌム神殿から煤や泥を取り除いたところ、天井や円柱が2000年前の色鮮やかな姿を取り戻した。(ELIZABETH BEARD/GETTY IMGAGES) およそ2000年前につくられた古代エジプトの神殿の天井を研究者チームが復元したところ、驚くべき発見がもたらされた。黄道12星座やその他の星々を描いたフルカラーのレリーフのほか、ヒエログリフ(象形文字)の碑文も見つかり、これらの天体図に隠された意味を解くカギとなりそうだ。(参考記事:「ヒエログリフを解読した「エジプト学の父」シャンポリオンの生涯」) 天井が復元された神殿は、エジプト中南部の町エスナに残るクヌム神殿だ。プロジェクトには考古学者でエジプト学者のヒシャム・エライシー氏を中心とするエジプト観光・考古省と、ドイツのテュービンゲン大学から計30人の研究者が参加。5年余りに及ぶ作業で、当時の色彩を
2022年12月25日と26日、研究者たちはノルウェーのロングイェールビーン(写真)で珍しい「電子の雨(ポーラーレイン)」によるオーロラを観測した。一般的なオーロラとは異なるメカニズムで形成され、観測は極めて困難だ。(PHOTOGRAPH BY FREDRIK MELING, 500PX/GETTY IMAGES) あるクリスマスの明け方近く、ノルウェーの北極圏にあるスバールバル諸島で、魚眼レンズが鮮やかな緑色の夜空を捉えた。ヘビのように細い構造が星座の下で織りなすような荘厳なオーロラとは異なり、ほぼ均一な緑色の毛布のように空一面に広がっていた。 「このオーロラは非常に滑らかな形をしており、緑がかったものがただ広がっているような構造でした。まるで大きな緑色のケーキのようでした」と宇宙物理学者である電気通信大学大学院の細川敬祐(ほそかわ けいすけ)教授は言う。細川氏らは、このオーロラが「電子
水分摂取を制限したマウスは、通常のマウスに比べて便通が悪くなるだけではなく、腸内細菌のバランスが崩れ、病原菌の排出にも時間がかかることを、北里大学などの研究グループが明らかにした。水分量を通常の半分に減らすと、腸の免疫に著しい乱れが生じ、感染症にかかりやすいことが確認できた。今後はヒトでも同様の結果が生じるかどうかを調べるという。 北里大学薬学部微生物学教室の金倫基教授(腸内細菌学・免疫学)らのグループは、食事が腸内環境に与える影響は多く研究されているが、水分に着目した研究はなかったことから、今回の実験を始めた。一般的に「水分不足で便秘になる」と言われているものの、それ以外の影響もあるのかを調べる狙いもあった。マウスは実験ごとに3~20匹ずつ使った。 マウスは1日3~5ミリリットルの水分を摂るとされている。通常のマウスと飲水を25%制限したマウス、50%制限したマウスの3群を用意して比較し
親しい人の顔を覚えられなかったり、目の前にいる人の顔を識別できなかったりする「相貌失認」の人は、これまで考えられていたよりも多い可能性が研究で明らかになった。(PHOTOGRAPH BY BALLBURN_PHOTOGRAPHY, GETTY IMAGES) 伝説の霊長類学者ジェーン・グドール氏、俳優のブラッド・ピット氏、そして『妻と帽子をまちがえた男』の著者として知られる神経学者の故オリバー・サックス氏の共通点は何か? 答えは親しい人や有名人の顔を覚えられなかったり、見分けがつかなかったりする「相貌失認(そうぼうしつにん)」だ。 長年、相貌失認はまれな障害とされてきたが、2023年に学術誌「Cortex」に掲載された論文によれば、相貌失認の人はこれまで考えられていたよりも多い可能性があるという。この研究では、相貌失認の重さや症状は連続的で、その有無を単純に判定できず、使用する基準によって
森林において樹木が生育する土壌に特有の微生物の集まり(微生物叢)が落葉を効率的に分解していることを東京大学などの研究グループが野外実験で実証した。森林生態系の物質循環を担う微生物叢の働きに差があることを示しており、今後の森林保全において場所ごとに特有の微生物叢を保つことが重要だとしている。 森林生態系では、地面に落ちた樹木の葉が土壌中の微生物に分解され、分解の過程でできた栄養分を根から樹木が吸い上げて成長し、茂った葉がまた落ちて微生物に分解される――という、落葉と分解を伴う物質循環が起きている。落葉の分解速度については、「温度が高い方が微生物は活発に働く」「柔らかくて栄養分豊富な葉では分解が進みやすい」など、地域の気候や落葉自体の性質によって主に決まると考えられていた。 一方で、樹木が育つ場所(ホーム)はほかの場所(アウェー)より効率的に落葉を分解するという「ホームフィールド・アドバンテー
スピリチュアルなメロディーとアンデスの楽器をヒップホップのビートと融合させるハビエル・クルス。彼のラップネームであるサラ・クタイは「トウモロコシをひく」という意味だ。クルスは少年時代、両親を手伝い、穀物をひいていたという。(PHOTOGRAPH BY VICTOR ZEA DIAZ) ケチュア語を話す若いミュージシャンたちが、ヒップホップ音楽を自分たちの言語と文化を表現する手段に変えた。 それは2024年、ある晴れた1月の午後のことだった。ここは、ペルー南部のチチカカ湖畔近くにある都市フリアカ。1年前に政府の治安部隊に虐殺された18人のデモ参加者と見物人を追悼するため、先住民のケチュア族とアイマラ族の人々が何千人も広場に集まっていた。そのなかに、黒い上着、つばの広い黒い帽子、黒と金のブーツに身を包み、黒い馬にまたがった男性がいた。その姿は、スペイン帝国に対する反乱を指揮し、アンデス地方にお
古代都市ペトラで最もよく知られている名所であり、別名「修道院」とも呼ばれる「エド・ディル」。(PHOTOGRAPH BY MICHAEL O. SNYDER) ヨルダン南部の街ワディ・ムーサで少年時代を過ごしたモハマド・アルファラジャト氏が、かつて父親から聞かされた話によると、昔このあたりの砂漠の峡谷には緑の小麦が揺れる段々畑が広がり、実り豊かなアプリコットの果樹園やイチジクの木が、地元の人々のお腹を満たしていたという。 現在、ヨルダンのマアーン近郊にあるアル・フセイン・ビン・タラール大学の地質学者となったアルファラジャト氏は、そうした恵みの痕跡は今ではほとんど残っていないと語る。乾燥した時期が長くなるにつれ、父親やその前の世代を養ってきた畑を維持するのは困難になっていった。 「40年前に気候変動が始まると、肥沃なエリアは徐々に狭くなっていきました」と氏は言う。「以前は自給自足で暮らしてい
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