10月29日に起こった韓国・ソウルの梨泰院での雑踏事故を受けて、尹錫悦政権の前途に暗雲が漂っている。ハロウィンを楽しもうと韓国有数の繁華街に集まった若者ら156人が死亡するという痛ましい事故に韓国社会が動揺することは理解できるが、なぜ尹錫悦政権に打撃を与えることになるのだろうか。 その背景について、ある韓国外交筋は「韓国では保守政権のときに大事故や大事件が起こるというジンクスがあります」と指摘する。 1987年に大統領直接選挙制が導入された韓国では、軍事政権の流れを汲む盧泰愚政権、初の文民出身大統領ある金泳三政権以降、保革が激しい勢力争いを繰り返してきた。ゆえに韓国では、李明博・朴槿恵・尹錫悦政権を保守政権、金大中・盧武鉉・文在寅政権を革新政権と呼ぶ。 では、過去の保守政権である李明博大統領と朴槿恵大統領の執権下で、どのような大事故・大事件が起こったのだろうか。 「李明博政権では2008年
尹錫悦大統領とキム・ゴンヒ女史が31日午前、ソウル広場に設けられた梨泰院事故死亡者合同焼香所で、弔問するために移動している/聯合ニュース 梨泰院(イテウォン)での痛ましい惨事から4日目。咲くこともできないまま落ちた156のつぼみを追悼する波が全国に広がっている。国家哀悼期間中は追悼に集中するのが道理だ。しかし、そうしてばかりはいられない出来事がまたも起きた。イ・サンミン行政安全部長官に続き、ハン・ドクス首相までもが責任逃れの発言で国民の怒りを買っているのだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の卑語使用(暴言)問題、国民の力のチョン・ジンソク非常対策委員長の親日妄言に続き、今回も「いまいましい口」が問題を起こした。政権そのものが支持率を下げる最大のリスク要因となっているのだ。 経済分野の状況も大きな違いはない。尹錫悦政権の無能と政策の誤りが国の経済を脅かす、いわゆる「尹錫悦リスク」が深刻だ。カカ
尹錫悦、米議会議員を「새끼」と呼ぶ:「(第1)副部長同志」も使わぬ大暴言、mother fuckerかson of a bitch相当の罵倒語 (2022年9月22日 「TBS NEWS」) 22日、尹錫悦が、米国で国際会議に出席後「この새끼(セキ)共が承認してやらないと、バイデンは恥をかくのにどうするんだろう」と発言した。もちろん、公の発言ではないのだが、同行した韓国政府関係者に言った言葉がOFFにされていなかったマイクで拾われてしまった。韓国メディアでは「이 XX들이 승인 안 해주면 바이든은 쪽팔려서 어떡하나”」(미디어오늘、http://www.mediatoday.co.kr)などと、悪口部分が伏せ字(xx)になっており、尹錫悦は「野郎共(놈들)」とでも言ったのではないかと思っていた。 ところが、日本のメディアはそこを隠さず音声を流して、それを聞いていたら「새끼」と言っていた
(羽田 真代:在韓ビジネスライター) 2022年9月19日(日本時間20日)、英女王エリザベス2世の国葬が執り行われた。ロンドン中心部にあるウェストミンスター寺院には、各国から要人など2000人以上が参列。参列者たちは70年間英国を率いた偉大な女王に別れを告げた。 日本からは天皇皇后両陛下が参列された。 韓国からは尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領と、その妻である金建希(キム・ゴンヒ)氏が参列した。 日本の報道では岸田首相ではなく天皇陛下が参列されたこともあってか、「各国の要人たちと外交を」など、海外の要人との積極的な交流を促す報道はほとんどなかった。 一方で、韓国の報道は尹大統領が英国に発つ前から「歴代級の弔問外交だ」「先取り、経済外交の展望は?」「日本からはナルヒト日王夫婦が出席する」と、要人らとの交流を期待する声が多かった。 韓国国民は保守・左派にかかわらず、自国民が海外で名を高め
(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使) 韓国では、大統領が代わると国防の方針がこうも変わるものなのか――。文在寅(ムン・ジェイン)政権時代、韓国の国防政策は「日本の侵攻」から国土を守ることであった。しかし、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になってからは「中国・北朝鮮の攻撃」から守ることに大きく転換した。それまでの中朝に寄り添った国防から、より現実を見据えた国防政策への転換が急ピッチで図られている。 文在寅政権時代、韓国の防衛対象国は日本だった 文在寅前大統領の国防政策は、本来友好国である日本を、あたかも仮想敵国としているようであった。 その象徴が竹島である。日本が竹島を島根県に編入した1905年は、日本が韓国を保護領としたのと同じ年であったことから、韓国政府は、竹島は日本が韓国に侵略する第一歩だとこじつけた。そして武装警察を常駐させ実効支配した竹島について、日本との間での領土紛争を認めようとせ
2022年09月08日 アジア・太平洋総合研究センターフェロー 松田侑奈 尹錫悦政権の科学技術に関わる国政課題の最後の部分になるが、宇宙強国への強い意志が伺える。ヌリ号の発射で宇宙分野でのポテンシャルを示してきた韓国であるが、この勢いに乗って、目標としている世界7大宇宙強国になれるだろうか。 参考: 尹錫悦政権の科学技術に関わる国政課題~若干の解説を加えて~(中) (5)世界最高のネットワークを構築し、デジタルイノベーションを加速する 目標: 5G、6Gのネットワークインフラを強化し、ネットワークの安全性、サイバーセキュリティーへの対応力を向上させることで、安全かつ強いデジタル基盤を作る。 地域別・産業別のデジタル融合・イノベーションを加速させ、国家デジタル競争力を引き上げる。 主な内容: (5G・6Gを先導) 農村地域を網羅する全国各地に5Gネットワークを普及(2024年まで)し、差別化
2022年09月02日 アジア・太平洋総合研究センターフェロー 松田侑奈 尹錫悦政権の科学技術に関わる国政課題(上)に続き、(中)では人材育成に関する課題に触れていく。文在寅政権は2022年3月が制定した「第4次産業革命に向けた時期政権の課題」で、核心技術を先導できる人材育成と大胆な規制緩和こそが、次期政権の最重要課題と指摘した。これからの科学技術のグローバル競争で鍵に握るのは、人材と言っても過言ではないだろう。尹錫悦政権は、人材育成について、どう考えているのか。 参考: 尹錫悦政権の科学技術に関わる国政課題~若干の解説を加えて~(上) (3)自律と創意性のある基礎研究を支援し、人材育成に力を入れる。 目標: 研究者が主導する創意性がある挑戦的な基礎研究に投資を拡大し、基盤を作る。 大学の研究人材育成および科学技術研究の拠点としての役割を強化し、若手、女性、中堅・シニア層分け科学技術人材を
田中康夫・浅田彰対談のPart4では、米国の政権の現実から、大統領が交代した韓国との向き合い方に話が及びます。Part1 Part2 Part3とあわせてお読み下さい。 トランプならウクライナ戦争になっていなかった? 田中 前回、浅田さんが引用したウィンストン・チャーチルの「他よりまし」で言えば、「ウラジミール・プーチンよりウォロディミル・ゼレンスキーのほうが断然マシ」「ドナルド・トランプよりジョー・バイデンのほうがまし」と日本の記者クラブメディアは唱和しているけど、少なくともバイデンは最早「他よりまし」とは言えない状況だと思う。 2月24日のロシア侵攻から半年、1991年にソ連邦の解体でウクライナが独立して記念日の8月24日に29億8000万ドル≒4100億円もの追加支援を発表したけど、これでアメリカは総額135億ドル≒1兆8716億円以上も投じているんだからね。ウクライナ国民への医療や
ホン・ジュンピョ(洪準杓)テグ(大邱)市長は26日に第1回規制革新戦略会議主宰のため、大邱を訪れたユン・ソギョル(尹錫悦)大統領に地域主要懸案について説明し、解決に乗り出すことを要請した。 この席で洪市長は、大邱キョンブク(慶北)統合新空港の中南部圏中枢空港建設、澄んだ水ハイウェイ事業推進、国家ロボットテストフィールド事業の予備妥当性通過、大邱国家スマート技術産業団地(第2国家産業団地)造成、軍事跡地など開発予定地開発制限区域の解除、キョンサンプクド(慶尚北道)庁跡地およびスソン(寿城)池敷地の無償供与など、6つの懸案解決に大統領室と政府レベルの支援を建議した。 これに対して尹大統領は冒頭発言で、大邱の主要懸案について言及し、積極的な支援を約束した。 尹大統領は「大邱市民の飲み水問題、パルコン(八公)山国立公園昇格など、市民が関心を持っている主要懸案を大邱市と緊密に協議し、市民が満足できる
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が就任後初の光復節(独立記念日)演説で日韓関係改善の意志を改めて示した。しかし、最大野党「共に民主党」は待っていたかのように「屈辱外交」と強く非難、ネット上でも「光復節に親日メッセージを出した」と揶揄されている。 反日イデオロギーがまだ堅固な韓国社会で支持率20%台の尹錫悦政権は果たして日本との関係改善を成し遂げることができるだろうか。 日本は「協力しなければならない隣人」 韓国が日本から独立した8月15日と日本への大々的な抵抗運動が勃発した3月1日は、それぞれ光復節と三一節とよばれ、韓国人が最も大切に思う祝日だ。もちろん、日本に対する「敵意」が最も込みあげる日でもある。「両日はソウル市内に出歩かないほうがいい」といった日本人友人もいるほどだ。 このため、韓国メディアはもちろん、日本メディアも3月1日や8月15日の韓国大統領の祝辞に注目し、「反日」メッ
李明博(イ・ミョンパク=1941年生)政権時代の高官はこうため息をついた。 尹錫悦(ユン・ソンニョル=1960年生)政権発足後初の特別赦免は、政治家を除外しサムスンやロッテの総帥などが対象となった。 「大統領の夏休み中に事態が急転回した」 韓国紙デスクは特赦についてこう話す。尹錫悦大統領は8月1日から7日の日曜日まで夏休みだった。 支持率急落で元大統領除外に 夏休み前までは、財閥総帥数人と李明博元大統領など保守政権時代の有力政治家や国家情報院長歴任者などの可能性が高いと見られていた。 さらに文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)前大統領の側近の名前も出ていた。 特赦は大統領固有の権限で、支持率低迷に悩む尹錫悦大統領は、元大統領や財閥総帥を対象とすることで保守支持層を結集させるとの見方だった。 ところが、特赦対象者を検討している間に、予想もしなかった速度で大統領の支持率が下がってしまった。
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、日本の植民地支配からの解放記念日「光復節」77周年を迎えた15日、記念式典で演説を行った。次は演説文の全文。 尊敬し、愛する国民の皆様、750万人の在外同胞の皆様。 今日は第77周年光復節です。 祖国の独立のため犠牲になり、献身なさった殉国先烈と愛国志士、そして遺族の皆様に深い感謝と敬意を表します。 日帝強占期において、独立運動は三・一独立宣言と中国・上海に設立された大韓民国臨時政府の憲章、そして尹奉吉(ユン・ボンギル)先生の独立精神に見られるように、国民があるじとなる民主共和国、自由と人権、法治が尊重される国を築くためのものでした。 自由と人権が無視される全体主義の国を築くための独立運動では決してありませんでした。日帝強占期において殉国先烈と愛国志士をはじめとする全国民が共に打ち込んだ独立運動は1945年のまさに今日、光復とい
特に人事は大統領府の秘書官らに検察官や元検事を多数起用し、「ソ・オ・ナム」(ソウル大学出身の50代の男性という意味)と揶揄されている。権力中枢が同質性の高いエリートだけで構成される政権は、必然的に国民との距離ができてしまう恐れがある。 つまり発足間もない尹政権は安定的なハネムーン期間もないまま、政権基盤が不安定な状況に陥っているのだ。しかし、韓国は日本以上に政権の支持率の浮き沈みが激しく、尹政権がこのまま低迷を続けるとはかぎらない。 日本政府もできる範囲で積極的に動くべき 徴用工問題の全面的解決には、韓国政府と被害者やその支援団体などが解決案に合意すること、日韓両国政府さらには日本企業も合意すること、さらには必要に応じて韓国議会で予算などの手続きが進められることなど、この先乗り越えなければならないハードルが多い。 日本政府は、表向き徴用工問題は韓国側が一方的に起こした問題であるから、韓国側
思ってもみなかった支持率急落を受けて、休暇中に難題山積の懸案に頭を悩ませるはずだ。「特赦」についても最終決断をすることになる。 「うーん、でも仕方ないかな。これといった実績がないし、人事がまずいよね」(韓国紙デスク) 「高い支持率になる理由が何かありますかね?」(大企業役員) 支持率20%台に急落 ここ1週間ほどの間、筆者はいろいろな人たちに同じ質問をしてみた。 「まだ就任してから3か月も経過していないし、決定的な失敗があったとも思えないのに、どうしてこんなに支持率が急落したのか?」 どちらかといえば、尹錫悦政権の登場に期待していたという2人の反応はともに、「仕方ない」だった。 世論調査会社、韓国ギャラップ研究所が毎週発表している大統領支持率(大統領国政運営評価)。 7月最終週(28日発表)の調査では、支持(肯定評価)が28%、不支持(否定評価)が62%となってしまった。 否定評価の理由で
韓国の政権が交代し、大統領、外相、それに駐日大使までが日本に融和的な人物に取って代わり、3人とも日本との関係改善に意欲を示す発言をしていることから日本国内ではメディアも含めてこじれた日韓関係が修復されるのではとの期待感が大きい。 日本は安倍晋三政権から菅義偉政権、そして岸田文雄政権に代わっても同じ自民党政権なので対韓基本政策が変わることはない。韓国側から元徴用工問題で納得できる解決策が示されない限り関係改善は困難との立場で一貫している。しかし、政権が日本に厳しいスタンスの進歩政権から日本との関係を重視する保守政権に代わった韓国の状況は日本とは明らかに異なる。実際に前向きの変化はある。 その一例が、韓国外交部が大法院(最高裁)に意見書を提出し、「政府は日本との外交協議を続けていて、官民協議会等を通して強制徴用被害者側をはじめとする国内各界各層の意見を取りまとめるなど多角的な外交的努力を傾けて
日韓関係関連の著作を続けてきたフリーライター。 日韓関係の歴史問題の解決及び政治、経済の懸案などについて集中的に扱ってきた。韓国の大学及び大学院で政治学を専攻し 日本に韓国の現実を知らせることに集中している。 DOL特別レポート 内外の政治や経済、産業、社会問題に及ぶ幅広いテーマを斬新な視点で分析する、取材レポートおよび識者・専門家による特別寄稿。 バックナンバー一覧 第20回大統領就任式のレセプションで韓国の朴炳錫国会議長に耳を傾ける尹錫悦大統領とその妻の金建希(右)(2022年5月10日) Photo:Pool/gettyimages 今年5月に韓国大統領に就任した尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏。この5年ほど悪化が続いた日韓関係の改善に前向きだが、就任早々支持率が急落している。なぜ支持率が低下したのか、韓国では岸田文雄首相はどのように見られているのか、徴用工問題はどうなるのか。日韓関係改
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