内戦だった光州事件 ――韓国の左右対立は珍しくもない……。 鈴置:日本にはそんな身も蓋もない見方をする人が多い。たしかに韓国は「内紛の国」です。初代の李承晩(イ・スンマン)氏から朴槿恵(パク・クネ)氏まで、実質的な権限を持った大統領すべてが退任後に不名誉な境遇に陥っています。 「韓国歴代大統領の末路」を見れば一目瞭然ですが、亡命するか暗殺されるか、監獄に送られるか自殺するか。一番「幸せ」なケースでも子息が逮捕されました。 ただ今回は、逮捕されかかったのは「次期大統領候補」でした。「前大統領の逮捕」と比べ、政争に与える衝撃ははるかに大きい。大統領候補を失う野党は「窮鼠猫を噛む」状態に陥って死に物狂いで抵抗、国が大きく揺れるからです。 李在明氏が逮捕されれば、43年ぶりとなるところでした。朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の暗殺後、軍部が実質的に権力を握った1980年5月、民主化運動を指導し次の大