デスヴォイス
デスボイス︵デスヴォイス︶とは、意識的、積極的に出す﹁ダミ声﹂﹁悪声﹂﹁がなり声﹂といった意味である。デスボイスは歌詞、特に母音が不明瞭になる事がある。デスボイスのことをデス声とも呼び、これに対して普通の声をクリーンボイスと呼ぶ事がある。
日本ではデスメタルの声という意味でデスヴォイス︵デス声︶と言われるが、英語圏で"death-voice" という呼び方はしない。代わりにgrowl, grunt、高音の叫び声はscreechなどと呼ばれている。﹁グロウル﹂、﹁グラント﹂は日本でも使われる事がある。
デスメタル、ブラックメタル、グラインドコア、ゴシックメタル、スクリーモなどのジャンルで多用される。日本のポップスやロックでも限定的に使われ、メタル風の楽曲のほかに、ラップやヒップホップ調の曲にも頻繁にみられる。
デスボイスを使用して、強い怒りや悲しみなどの感情や、不気味さ、汚さ、痛みや苦しみなどを表すことがある。ゴアグラインドは初期カーカスのようなピッチシフターを使った低音デスボイスが定着し、俗に下水道ボイスと呼ばれている。
発声の際に口蓋帆や舌︵の後ろ側︶、仮声帯などで声道を狭めそれらを振動させることで﹁デスヴォイス﹂が形成されることが多い。︵声帯自体の働きで︶嗄声を故意に出して︵本来はシャウト︶デスボイスとする場合もある。ピッチシフターやエフェクターを用い、雰囲気を増強する場合もある。
歴史
デスヴォイスが定着したのは初期のデスメタル、グラインドコアのシーンで、代表的な人物として、デスのチャック・シュルディナー、ナパーム・デスのリー・ドリアン、オビチュアリーのジョン・タ-ディ、カーカスのビル・スティアーなどが挙げられる。カンニバル・コープスのクリス・バーンズ、サフォケイションのフランク・ミューレン、元クリプトプシーのロード・ウォームは低音のうなり声を得意とし、これは現在のガテラルボイスと呼ばれる歌い方につながっている。
また限定的ではあるがスレイヤーのHell Awaits ︵1985年︶の一部ではピッチシフトを使ったデスヴォイスを聴く事が出来る。
現在は一曲通してデスヴォイスを使うこともあるテスタメントのチャック・ビリーはThe Legacy ︵1987年︶において部分的に通常よりさらにドスの効いた、現在のデスヴォイスに近い声を使っていた。