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'''フォークボール'''︵{{Lang-en-short|forkball}}︶は、[[野球]]における[[球種 (野球)|球種]]の1つで、[[投手]]の投げた[[ボール (野球)#用具としてのボール|ボール]]が[[打者]]の近くで落下する変化球である。 人差し指と中指でボールを挟む握りで落ちる変化球を日本ではフォークと呼ぶ。アメリカではフォークボールは[[フォークボール#スプリットフィンガード・ファストボール|スプリッター]]︵{{lang-en-short|splitter}}︶と呼ばれる。この影響で、日本でも浅い握りで速度の速いフォークをスプリットと呼び分ける場合がある。 == 投げ方と落下の原理 ==
一般的には、[[ツーシーム]]の握りで人差し指と中指の間にボールを深く挟み、手首の関節を固定しリリースする(要するにストレートと同じように投げればよい)。この指で挟む握り方が[[ピッチフォーク 2021年3月23日、[[東京工業大学]]・[[九州大学]]・[[慶應義塾大学]]の共同研究チームは、[[スーパーコンピュータ]][[TSUBAME#TSUBAME3.0|TSUBAME3.0]]を使用して[[数値シミュレーション]]を行い、フォークボールの落ちる原理が低速回転のツーシーム回転のボールに働く負のマグヌス効果にあることを初めて解明したと発表した<ref name="mainichi20210323">{{Cite news|url=https://mainichi.jp/articles/20210323/k00/00m/050/265000c|title=フォークボールが落ちる理由、スパコンで解明 千賀投手の技も検証|publisher=毎日新聞|date=2021-03-23|accessdate=2021-03-23}}</ref><ref name="kyudai20210323">{{Cite press release|和書|url=https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/580|title=フォークボールの落ちる謎をスパコンで解明|publisher=九州大学|date=2021-03-23|accessdate=2021-03-23}}</ref><ref>{{Cite press release|和書|url=https://www.kyushu-u.ac.jp/f/43005/21_03_23_02.pdf|title=フォークボールの落ちる謎をスパコンで解明|publisher=東京工業大学、九州大学、慶應義塾大学|date=2021-03-23|accessdate=2021-03-23}}</ref>。
その特徴的な握り方と変化の大きさから[[暴投]]や[[捕逸]]を起こしやすく、日本球界を代表するフォークの使い手であった[[村田兆治]]は[[日本プロ野球]]歴代最多の通算148暴投を記録している。また、[[握力]]が不十分でボールが意図に反してすっぽ抜けると痛打されやすい。また、[[岡島秀樹]]など抜けることを逆手に取って﹁フォークの握りの[[チェンジアップ]]﹂を持ち球としている投手もおり<ref>{{Cite news |title=赤靴下陥落…岡島100戦目飾れず |newspaper=[[スポーツニッポン|スポニチAnnex]] |date=2008-07-01 |url=http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2008/07/01/kiji/K20080701Z00002200.html |accessdate=2017-07-16}}</ref>、チェンジアップのバリエーションのひとつとしてフォークに近い握りで投げる[[チェンジアップ#スプリットチェンジ|スプリットチェンジ]]という球種がある。▼ ▲その特徴的な握り方と変化の大きさから[[暴投]]や[[捕逸]]を起こしやすく、日本球界を代表するフォークの使い手であった[[村田兆治]]は[[日本プロ野球]]︵NPB︶歴代最多の通算148暴投を記録している。また、[[握力]]が不十分でボールが意図に反してすっぽ抜けると痛打されやすい。また、[[岡島秀樹]]など抜けることを逆手に取って﹁フォークの握りの[[チェンジアップ]]﹂を持ち球としている投手もおり<ref>{{Cite news |title=赤靴下陥落…岡島100戦目飾れず |newspaper=[[スポーツニッポン|スポニチAnnex]] |date=2008-07-01 |url= [[サイドスロー]]や[[アンダースロー]]の投手がフォークボールを投げることは珍しく、落ちる変化球として投法と相性の良い[[シンカー・スクリューボール]]や投法を問わないチェンジアップを選択する傾向にある。[[野茂英雄]]は[[オリックス・バファローズ]]の秋季キャンプの臨時投手コーチに招かれた際にサイドスローによるフォークボールを披露し、選手を驚かせている<ref>{{Cite news |title=野茂、サイドスローからでもフォーク落ちた |newspaper=[[朝日新聞|asahi.com]] |date=2009-02-07 |url=http://www.asahi.com/kansai/sports/news/OSK200902070070.html |agency=[[朝日新聞社]] |accessdate=2017-07-16}}</ref>。 14 ⟶ 16行目:
フォークボールは[[1919年]]頃{{仮リンク|バレット・ジョー・ブッシュ|en|Bullet Joe Bush}}が開発し<ref>{{Cite book |last=Wood |first=Allan |year=2000 |title=Babe Ruth and the 1918 Red Sox |publisher=Writers Club Press |page=372 |isbn=0595148263}}</ref>、[[1950年代]]から[[1960年代]]にかけて活躍した[[ロイ・フェイス]]が有名なものにした。 日本野球界へは[[日米野球#大正|1922年の日米野球]]で来日した全米野球団によって[[天知俊一]]らに伝えられ<ref name="週刊ベースボール2011年10月17日号">ツーシームみたいに 杉下茂﹃[[週刊ベースボール]]﹄2011年10月17日号、[[ベースボール・マガジン社]]、2011年、[[雑誌コード|雑誌]]20442-10/17, 73頁。</ref>、日本プロ野球では1950年代に[[杉下茂]]が初のフォークボーラーとして活躍し、その後、[[村山実]]や[[村田兆治]]が使い手として有名になり普及。[[1980年代]]から[[ [[今浪隆博]]はフォークボールを決め球とすることが左投手の一流の条件の1つとして解説しており、その点普通のNPBの左投手はほとんどが外角のスライダーを決め球とすると説明している。一方で左投手にフォークボールの使い手が少ないのは、そもそも現役時代にフォークボールを操っていた投手で左投手のフォークボールを教えられる指導者が少ないと指摘している<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=AzhgQBqG7X8 実は﹁左バッター﹂は対﹁左ピッチャー﹂の方が楽!?その真相とは?] 今浪隆博のスポーツメンタルTV 2024/03/08 (2024年3月8日閲覧)</ref>。 == 変化の種類 ==
[[松井秀喜]]は[[佐々木主浩]]のフォークはボールそのものが消えるような錯覚を覚えたと語り、[[権藤博]]は佐々木のフォークは落ち方は大したことがないが球速があり回転しているため打者に直球かフォークか判別されないボールだったと語っている。また、同じフォークと称される球種でも変化は多彩で、野茂は縦に落ちるものとシンカー気味に[[利き手]]側に落ちる2種類のフォークを投げ分け、上原浩治は落差の大小に加えて[[スライダー (球種)|スライダー]]気味と[[シュート (球種)|シュート]]気味の横変化をつけた4種類のフォークを投げるなど、複数のフォークを意図的に投げ分ける投手もいる。 [[岩田慎司]]はほぼ無回転で左右に揺れながら落ちるナックルボールのような球をフォークの握りで投げる。また[[ 佐々木や野茂は無回転だと打者に球種の判別をされやすいので意図的に横回転をかけて判別されにくいようにしていたという<ref name="Nomo">{{Cite web == 身体への負担 ==
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負担の要因のひとつとして、ボールを強く挟み込んだ状態からリリースの瞬間、指の間からボールを抜くように投げることで、関節部に直球と比べ強い制動作用が働くことが挙げられる<ref>{{Cite journal |和書 |author=玉村治 |title=田中将大投手を襲ったケガの裏にあるもの |journal=[[Wedge]]|date=2014-08-21 |publisher=[[ウェッジ (出版社)|ウェッジ]] |url=http://ironna.jp/article/478 |accessdate=2017-07-16}}</ref>。 == スプリットフィンガード・ファストボール ==
{| class="wikitable" style="text-align:center; float:right"
|+握り方の一例
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|}
フォークボールと似た握りから投じられ、より速い球速で小さく落ちる変化球は'''スプリットフィンガード・ファストボール'''︵{{lang-en-short|split- [[流体力学|流体力学者]]の[[姫野龍太郎]]はリリースから[[捕手]]の[[ミット]]へ届くまでに約10回転するものをフォーク、約20回転するものをSFFと分類している<ref>{{Harvnb|ベースボール・マガジン社|2007|pp={{要ページ番号|date=2017年7月}}}}</ref>。「フォークボールの神様」の異名を持つ杉下茂はフォークを[[ナックルボール]]系の無回転の球種であるとし、無回転のものが真のフォークで近年の一般的な日本人投手が投げるフォークの多くはSFFであると語っている<ref name="Takahasi">{{Cite web |author=高橋安幸 |url=http://waga.nikkei.co.jp/play/sports.aspx?i=MMWAd3001011122008 |title=伝説のプロ野球スターを訪ねある記 第2回 フォークは遊び球 杉下茂さん |work=日経WagaMaga |publisher=[[日本経済新聞社]] |archiveurl=https://web.archive.org/web/20081218164908/http://waga.nikkei.co.jp/play/sports.aspx?i=MMWAd3001011122008 |archivedate=2008-12-18 |accessdate=2017-07-16}}</ref>。▼
フォークボールがボールの[[球面#大円|大円]](いわゆる[[赤道]])の、縫い目のない部分を人差し指と中指の各々の横の部分で挟んで握るのに対し、SFF(スプリット)はその両指の掌側から横の部分を縫い目に当てて握ることが多い<ref>{{Cite web |author=[[水野雄仁]] |url=http://www.sportsclick.jp/baseball/05/index017.html |title=ベースボール・ゼミナール 第17回:投手編 SFFとフォークボールの違いは? |work=SportsClick |publisher=[[ベースボール・マガジン社]] |archiveurl=https://web.archive.org/web/20160307010251/http://sportsclick.jp/baseball/05/index017.html |archivedate=2016-03-07 |accessdate=2017-07-16}}</ref>。フォークより多く直球よりは少ないバックスピンが掛かり、フォークよりも直球に近い球速で打者の近くで落ちる変化となる。[[ダルビッシュ有]]は打者にとってSFFはフォークよりも見極めが難しい球種であると証言しており<ref>{{Harvnb|ダルビッシュ有|2009|pp=24-27}}</ref>、変化の小さい物は[[バット (野球)|バット]]の芯を外して[[内野]][[ゴロ]]を狙う時などに多用される。変化の大きい物は空振りを狙うこともでき<ref>{{Harvnb|ダルビッシュ有|2009|p=50}}</ref>、[[マイク・スコット]]などは変化の大きいSFFで多くの空振りを奪った。人差し指と中指の間に深くボールを挟むには長い指が必要で、指の短い投手がフォークを習得しようとして深くボールを挟めずSFFを習得することもある。▼
▲[[流体力学|流体力学者]]の[[姫野龍太郎]]はリリースから[[捕手]]の[[ミット]]へ届くまでに約10回転するものをフォーク、約20回転するものをSFFと分類している<ref>{{Harvnb|ベースボール・マガジン社|2007|pp={{要ページ番号|date=2017年7月}}}}</ref>。﹁フォークボールの神様﹂の異名を持つ杉下茂は、フォークを[[ナックルボール]]系の無回転の球種であるとし、無回転のものが真のフォークで近年の一般的な日本人投手が投げるフォークの多くはSFFであると語っている<ref name="Takahasi">{{Cite web ▲フォークボールがボールの[[ == 脚注 ==
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|ref = harv
}}
* [https://fugaku100kei.jp/mag/12/ 青木尊之:「消える魔球」の正体をスパコンで解明!、富岳百景、No.12(2023年7月)。]
{{野球}}
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