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「斜張橋」の版間の差分

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{{複数の問題|出典の明記=2019年2月17日 (日) 23:38 (UTC)|独自研究=2022-11}}
[[ファイル:TataraOhashiTataraOhashi2005.jpg|thumb|300px|多々羅大橋]]
 
'''斜張橋'''︵しゃちょうきょう、''Cable-stayed bridge''︶は、[[橋]]の形式の1つで、塔から斜めに張ったケーブルを橋桁に直接つなぎ支える構造のものである。ケーブルを利用し吊って支えることから、広義には[[吊り橋]]の一種と言える。しかし狭義には、すなわち[[土木工学]]分野、橋梁工学分野では吊り橋とは区別される。斜張橋はこの狭義の吊り橋︵以降、単に﹁吊り橋﹂と記す︶に次ぐ支間長︵スパン、塔と塔の間隔︶を得られる。
 
== 歴史 ==
[[ファイル:SundialBridgeCA1.jpg|thumb|サンダイアル歩道橋、[[カリフォルニア州]][[レディング (カリフォルニア州)|レディング]]。[[サンティアゴ・カラトラヴァ]]の設計による]]
 
近代的な斜張橋は戦後、ドイツでライン川に架けられたものとされる。少ない材料で建造するのに適していたが、ケーブルにかかる負荷の計算など[[構造解析]]が難しく、永らく小規模なものに止まっていた。しかし、[[20世紀]]末期からコンピュータによる構造解析や[[シミュレーション]]技術などの進歩により、長大な橋が幾つも建設されている。
 
[[本四連絡橋]]の1つの[[多々羅大橋]]は、当初は吊り橋で計画されていたが、途中で斜張橋に変更された。同じ本四架橋で初期に建設された吊り橋の[[大鳴門橋]]の中央径間 (876&nbsp;[[メートル|m]]) を超える890m890&nbsp;mを実現し、世界最長の斜張橋だった。2012年4月13日、[[ロシア極東]][[ウラジオストク]]の[[ムラヴィヨフ・アムールスキー半島]]と[[ルースキー島]]の間の[[東ボスポラス海峡]]([[:en:Eastern Bosphorus|en]])を跨ぐ[[ルースキー島連絡橋]]が完成し、2本の[[橋脚]]の間が1104 mで世界最長記録を塗り替えた<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20120415k0000m030016000c.html ロシア:世界最長の斜張橋が完成　毎日新聞2012年04月14日]</ref>。
またケーブルの張り方が均等でない、塔が斜めであるなどの特殊な形状のものも可能となってきている。例えば、アメリカ合衆国のサンダイアル︵日時計︶橋は、斜めに傾斜した塔の片側だけにケーブルが張られており、その名の通り傾いた塔が[[日時計]]となっている。また東京の[[かつしかハープ橋]]は、川を斜めに渡るため、橋桁すなわち路面がS字型という特殊な形状をしている。
 
== 形式 ==
=== 吊り橋との相違 ===
[[ファイル:SyachokyoVsTsuribashi.png|thumb|両者の形状比較]]
 
吊り橋と斜張橋は、いずれもケーブルの張力を利用した吊り構造という点では同じである。大きく異なるのは、斜張橋が塔と桁をケーブルで直結しているのに対し、吊り橋は塔の間にまず渡したメインケーブルがありそこから垂らしたハンガーロープで桁を吊っていることである。このため、桁に掛かる力は、吊り橋では垂直方向の張力だけであるが、斜張橋では垂直方向の張力に加えて橋軸方向の圧縮力が作用する。吊り橋では両端に[[アンカーブロック]]、またはアンカレイジというメインケーブルを繋ぎとめる重しがいるが、斜張橋では桁に作用する圧縮力とケーブルに作用する引張力を塔の左右で釣り合わせることができるために不、必ずしも必要ではない<ref group="注">片持ち式の斜張橋では、アンカーを用いる場合︵例‥[[秩父橋]]︶と、橋脚を傾けて全体のバランスを取る場合︵例‥[[雑炊橋]]︶、両者を組み合わせる場合がある。</ref>。
 
また同じスパンの場合、塔の高さは斜張橋の方がやや高くする必要がある。
 
=== 斜版橋 ===
斜張橋の特殊な形式の1つに﹁斜版橋﹂がある。通常の斜張橋では桁を支える斜めのケーブルが露出しているが、斜版橋ではケーブルの周囲をコンクリート版で被覆することでPC部材<ref>PCとは"Prestressed Concrete"のことであり、内部のケーブルが締め上げられ緊張状態のままコンクリートが打設されることで、完成後もコンクリートに圧縮力が掛かり強度が高くなる。</ref>としたものであり、これにより橋全体の剛性が向上する<ref group="注">斜版橋の例として、九州新幹線の川内川橋梁がある。</ref><ref>藤野陽三著、﹃橋の構造と建設がわかる本﹄、ナツメ社、2012年3月26日発行、ISBN 9784816352027、160-161頁</ref>。
 
== 構造 ==
[[ファイル:ShachokyoCableType.png|thumb|ケーブルの張り方]]
[[ファイル:OldNewOnomichiOhashi.jpg|thumb|手前、新尾道大橋（ハープ型）<br />後方、尾道大橋（放射型）]]
[[File:Oze Konaka Bridge.jpg|thumb|アーチ式鋼斜張橋の尾瀬子仲橋（[[群馬県]][[片品村]]、[[国道401号]]）<ref>{{Cite web |url=https://www.zenken.com/hypusyou/zenkensyou/h12/zk_12_douro01.pdf |title=道路改築事業国道４０１号 土出 ・ 戸 倉 工区（ 尾 瀬 古 仲 橋 ） |publisher=全日本建設技術協会 |accessdate=2024-05-19 }}</ref>]]
 
=== 主塔 ===
ここから張られたケーブルで桁をささえる。塔は2本であることが多いが1本の場合、3本以上の場合もある。塔の形状はさまざまで一本の柱状、吊り橋と同様の2本組、塔の上部をすぼめた逆Y字形やA字型など各種存在する<ref name="fujips">{{Cite web |和書|date= |url=http://www.fujips.co.jp/technology/t-bridge/sub12020/1025 |title=斜張橋とは |publisher=株式会社富士ピー・エス |accessdate=2017-03-31 }}</ref>。塔には圧縮力のみが作用する。材料は[[鋼]]や[[鉄筋コンクリート]] (RC) が用いられることが多い。
 
=== ケーブル ===
[[File:HEIRABASHI20151231.jpg|thumb|片持ち式の斜張橋　 [[平羅橋]]]]
斜材ともいう。主塔と桁を繋ぎ桁を支える。構造上、片持ちの斜張橋を除き塔から左右に張られたケーブルと桁でバランスをとるため吊り橋のような両端の[[アンカレイジ]]は不要である。
 
ケーブルの張り方にはいくつか種類がある。
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== 世界の斜張橋 ==
{{雑多|section=1|date=2022年7月}}
 
{| class="sortable wikitable"
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|-
! [[ルースキー島連絡橋]]
| [[ロシア]] || 1,104m104&nbsp;m || [[2012年]]
|-
! [[蘇通長江公路大橋]]
| [[中華人民共和国|中国]] || 1,088m088&nbsp;m || [[2008年]]
|-
! [[昂船洲大橋]]
| [[香港]] || 1,018m018&nbsp;m || 2009年
|-
! [[多々羅大橋]]
| [[日本]] || 890m890&nbsp;m || [[1999年]]
|-
! [[ノルマンディー橋]]
| [[フランス]] || 856m856&nbsp;m || [[19931995年]]
|-▼
! [[閔（ミン）浦大橋]]
| [[中華人民共和国|中国]] || 708m || [[2009年]]
|-
! [[南京長江三橋Anzac Bridge]]
|オーストラリア
| 中国 || 648m || [[2005年]]
|805m
|1995年
|-
! [[南京長江二橋]]
| 中国 || 628m628&nbsp;m || [[2001年]]
|-▼
! [[武漢白沙長江大橋]]
| 中国 || 618m || [[2000年]]
|-▼
! [[青州閩江大橋]]▼
| 中国 || 605m || [[1996年]]
|-▼
! [[楊浦大橋]]▼
| 中国 || 602m || 1993年
|-
! [[リガ]]斜張橋
| ラトビア || 595m595&nbsp;m || 1981年
|-
! [[リオン・アンティリオン橋]]
| ギリシャ || 560m560&nbsp;m || [[2003年]]
|-
! [[カントー橋]]
| ベトナム || 550m550&nbsp;m || [[2010年]]
|-
! [[高屏溪斜張橋]]
| 台湾 || 330m330&nbsp;m || 1999年
▲|-
! [[ミヨー橋]]
| フランス || 343&nbsp;m || 2004年
 
|}
中国では1,000m超の橋が他にも計画されている。
 
== 日本の斜張橋 ==
{{雑多|section=1|date=2022年7月}}
{| class="sortable wikitable"
|-
142 ⟶ 135行目:
|-
! [[気仙沼湾横断橋]]
| [[三陸自動車沿岸道路]] || [[宮城県]] || 360 || 未定（建設中）[[2021年]]
|-
! [[松川浦大橋]]
149 ⟶ 142行目:
! [[ときめき橋]]
| [[北陸自動車道]] || [[新潟県]] || 99 || [[1994年]]
▲|-
! [[平成大橋 (群馬県)|平成大橋]]
| [[前橋市]]道江田天川線 || [[群馬県]] || 124 || 1991年
|-
! [[坂東大橋]]
| [[国道462号]] || [[群馬県]]・[[埼玉県]] || 200 || [[2004年]]
|-
! [[秩父橋]]
162 ⟶ 158行目:
| [[国道298号]] || 埼玉県 || 190 || 1992年
|-
▲! [[青州閩江銚子大橋]]
! [[かつしかハープ橋]]<ref name="kome1">世界初の曲線斜張橋。</ref>▼
| [[国道124号]] || [[茨城県]]・[[千葉県]] || 193 || [[2008年]]
▲|-
▲! [[かつしかハープ橋]]<ref namegroup="kome1注">世界初の曲線斜張橋。</ref>
| [[首都高速中央環状線]] || [[東京都]] || 220 || [[1987年]]
|-
169 ⟶ 168行目:
|-
! [[府中四谷橋]]
| [[東京都道20号・神奈川県道525号府中相模原線|東京都道20号府中相模原線]] || [[東京都]] || 260 || [[1998年]]
|-
! [[清砂大橋]]
| [[東京都市計画道路幹線街路放射第16号線|放射16号]]|| [[東京都]] || 230 || [[2004年]]
|-
! [[勝瀬大師橋]]<ref namegroup="kome4注">日本初現在の下り線専用の橋。上り線専用の斜張橋は2007年に供用。</ref>
| [[東京都道・神奈川県道6号東京大師横浜線]]|| [[東京都]]・[[神奈川県]] || 128203 || [[19591997年]]
▲|-
! [[勝瀬橋]]<ref group="注">先代の橋は日本初の斜張橋。</ref>
| [[神奈川県道・山梨県道520号吉野上野原停車場線|神奈川県道520号]]|| [[神奈川県]] || 270 || [[2006年]]
|-
! [[横浜ベイブリッジ]]
191 ⟶ 193行目:
! [[内灘大橋]]
| [[石川県道162号高松内灘線]] || [[石川県]] || 172 || [[2001年]]
|-▼
! [[第二千曲川橋梁 (北陸新幹線)|第二千曲川橋梁]]
| [[北陸新幹線]] || [[長野県]] || 133.9 || [[1997年]]
|-
! [[名港西大橋]]
204 ⟶ 209行目:
| 伊勢湾岸自動車道 || [[愛知県]] || 235 || [[2005年]]
|-
! [[鵜飼い大橋]]<ref group="注">長良川の「鵜飼い」にちなみ、主塔を鵜匠に、ケーブルを手綱に、橋桁を鵜船に見立てた独特の造りになっている。</ref>
| [[岐阜県道77号岐阜環状線]] || [[岐阜県]] || 469154 || [[2003年]]
|-
! [[舞鶴クレインブリッジ]]
229 ⟶ 234行目:
|-
! [[生口橋]]
| [[西瀬戸自動車道|瀬戸内しまなみ海道]] || [[広島県]] || 490 || [[1991年]]
|-
! [[新尾道大橋]]
| 西瀬戸内しまなみ海自動車道 || [[広島県]] || 215 || [[1999年]]
|-
! [[多々羅大橋]]
| 西瀬戸内しまなみ海自動車道 || [[広島県]]・[[愛媛県]] || 890 || [[1999年]]
|-
! [[櫃石島橋]]
| [[瀬戸中央自動車道]]・[[瀬戸大橋本四備讃線|JR瀬戸大橋本四備讃線]] || [[香川県]] || 420 || [[1988年]]
|-
! [[岩黒島橋]]
| 瀬戸中央自動車道・JR瀬戸大橋本四備讃線 || [[香川県]] || 420 || 1988年
|-
! [[末広大橋]]
249 ⟶ 254行目:
| [[徳島県道11号鳴門公園線]] || [[徳島県]] || 280 || [[1997年]]
|-
! [[四国三郎橋]]
! [[栄川運河橋]]<ref>複合構造のS字型曲線斜張橋としては日本国内初。</ref>▼
| [[徳島県道41号徳島北灘線]] || [[徳島県]] || 160 || [[1998年]]
|-
▲! [[楊浦弓削大橋]]
| [[愛媛県道338号岩城弓削線]] || [[愛媛県]] || 175 || [[1996年]]
|-
! [[生名橋]]
| 愛媛県道338号岩城弓削線 || [[愛媛県]] || 315 || [[2011年]]
|-
! [[岩城橋]]
| 愛媛県道338号岩城弓削線 || [[愛媛県]] || 475 || [[2022年]]
|-
! [[周防大橋]]
| [[山口県道25号宇部防府線]] || [[山口県]] || 180 || [[1992年]]
|-
▲! [[栄川運河橋]]<ref group="注">複合構造のS字型曲線斜張橋としては日本国内初。</ref>
| [[宇部湾岸道路]] || [[山口県]] || 190 || [[2011年]]
|-
262 ⟶ 282行目:
|-
! [[呼子大橋]]
|　 呼子大橋線 || [[佐賀県]] || 250 || [[1989年]]
|-
! [[鷹島肥前大橋]]
273 ⟶ 293行目:
| [[ながさき女神大橋道路]] || [[長崎県]] || 480 || [[2005年]]
|-
! [[鮎の瀬大橋]]<ref group="注">Y字橋脚と斜張橋との複合型。</ref>
| 緑川農免農道 || [[熊本県]] || 200 || 1999年
▲|-
|}
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<references/>▼
=== 注釈 ===
▲<references group="注"/>
=== 出典 ===
{{Commonscat}}
{{Reflist|2}}
 
== 参考文献 ==
297 ⟶ 321行目:
{{commonscat|Cable-stayed bridges}}
* [http://www.jb-honshi.co.jp/center/job/rank.html#cstay 長大橋ランキング]
 
{{橋-footer}}
{{Normdaten}}
 
{{デフォルトソート:しやちようきよう}}
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