横領罪

自己の占有する他人の物を横領する罪

横領罪(おうりょうざい)は、自己の占有する他人の物を横領する罪である。

横領罪
法律・条文 刑法252条-254条
保護法益 物に対する所有権
主体 他人の物を占有する者(真正身分犯)
客体 自己の占有する他人の物、公務所から保管を命じられた物
実行行為 横領行為
主観 故意犯
結果 結果犯、侵害犯
実行の着手 -
既遂時期 不法領得の意思を実現しようとする行為が行われた時点
法定刑 各類型による
未遂・予備 なし
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2522

条文

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252

(一)

(二)

253



254


保護法益

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本罪は、物の委託者と受託者の委託信任関係を保護するものであるとされる。近時は委託信任関係と併せて委託者の所有権も保護法益とする見解が有力である。

犯罪の類型

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単純横領罪

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2521

5

業務上横領罪

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253

10

遺失物等横領罪

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254

110

委託物横領罪

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遺失物等横領罪と対比して、狭義の横領罪と業務上横領罪とを包括し委託物横領罪と呼ぶ。

行為

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行為の客体

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占有の意義

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行為の内容

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本罪の実行行為たる横領とは、通説によると、不法領得の意思の発現行為一切をいうとされる。ここで「不法領得の意思」とは、通説的な説明によれば、所有者を排除する意思とその物の効用を享受する意思の総体をいうとされる。そして、横領罪における不法領得の意思は、「委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意志をいう」(最判昭和24年3月8日刑集3巻3号276頁)。したがって、窃盗罪などとは異なり、毀棄隠匿の意思であってもこれに含まれると解しうる。

既遂時期

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他罪との関係

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  • 背任罪との区別

他人の物を本人の委託に基づいて占有する者が、図利加害目的で任務に背き本人に財産上の損害を与えた場合、横領罪と背任罪のいずれが成立するのかという問題が生じる。両罪の区別については、越権の有無で区別する見解や、領得行為の有無で区別する見解などがある。また、最近は横領罪は背任罪に対して特別法の関係に立つとして、横領罪の成否によって区別することが必要であり、かつ、それで十分であるとする見解が有力である。

親族間の特例

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関連項目

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