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5419972003 - 2004

あらすじ

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第一部

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三世紀初頭。ナムジとその家族が沖ノ島に隠栖して十数年後。倭国の覇権を巡る情勢は邪馬台国が優位を得て、出雲を追い詰めるに至る。タケミカヅチ率いる邪馬台軍はナムジの末子ツヌヒコを出雲王に擁立すべく、大挙して沖ノ島に押し寄せる。家族の引き渡しを強要されたナムジは求めに応じるが、自らは海中に没して現し世を去る。 父を失った上、幼馴染みを殺されたナムジの息子ツノミは密かに邪馬台への復讐を誓う。 やがて邪馬台軍の猛攻で出雲は降伏し、ここに国譲りが成る。ナムジの妻子は王となったツヌヒコと共に出雲で庇護を受けるが、反抗的なツノミは両陣営から不穏分子として命を狙われ、巻向にある伯父ニギハヤヒ(オオドシ)の元へ身を寄せる。

第二部

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オオドシの後見で成長したツノミは宇陀のツチグモ族を服属させるなど国作りに貢献する。やがて、巻向を訪れたもう一人の伯父イタケルから邪馬台の話を聞き、興味を抱いたツノミは共に日向の地に赴く。出雲平定後の邪馬台国は隣国熊襲との関係が悪化し、一触即発の情勢となっていた。熊襲に協力して邪馬台国と戦おうとするツノミだったが、戦場に現れたヒミコの孫イワレヒコの姿を見て、その前に跪く。

第三部

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イワレヒコに仕えるようになり数年後、ツノミは夢の啓示で妹テルヒメの夫ワカヒコに危機が迫っている事を知る。十数年ぶりに出雲に帰還したツノミだったが、ワカヒコは既に殺害されており、その黒幕であるサルタヒコを斬って敵を討つ。 時を同じくして弟ツヌヒコが死に、出雲との縁が切れた事を悟ったツノミはかつて父ナムジが治めていた杵築の遺民を率いて大和に戻る。死期の迫ったオオドシはツノミに領地を与えて崩御する。程なくしてオオドシの後継者ミトシの縁談が持ち上がり、ツノミはその相手としてイワレヒコを推挙するが、ミトシの伯父ナガスネの猛反発を受ける。

第四部

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婚姻を実現させるべく日向を再訪したツノミだったが、イワレヒコは既に熊襲の姫を妻に迎え、娘が産まれた直後だった。計画はヒミコらの同意を得る所となったものの、イワレヒコ夫婦は引き裂かれる事になり、ツノミも姫が報復に差し向けた刺客によって長年の従者タニグクを失った。傷心を抱えて大和に帰還したツノミは追い討ちを受けるようにナガスネに捕らわれ、牢獄に幽閉される。 程なくしてイワレヒコも長兄イツセ率いる船団に守られつつ日向を発ち東国へ向かう。オオドシの息子ウマシマチらをはじめとする巻向の一族はナガスネの説得を試みるものの頑として応じず、遂には軍勢を率いて国境いを固め、侵略者を迎え撃つ構えを見せる。 痺れを切らしたイツセは大和入りを強行するが、ナガスネの軍と戦闘に陥り、日向の一団は甚大な被害を受けて南へと逃れる。 同じ頃、ミトシの手引きで脱出したツノミも弟ウカシの導きで宇陀の山中に身を隠し、イワレヒコを捜索する。イワレヒコら日向の生き残りは紀の国の奥深く分け入り、熊野の地でツノミと再会を果たす。

第五部

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登場人物

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記紀の記述との関連、および仮説や創作と考えられる点についても記述する。

沖ノ島

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日向

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使

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纒向

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出雲国

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関連作品

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  • 蚤の王』 - 『記紀』の人物を題材とした連作の1つ。

備考

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『ナムジ』『神武』におけるニギハヤヒ大物主が同一であるという設定は、市井の古代史研究者である原田常治著『古代日本正史』の珍奇な説の影響を受けているという[1][2]

出典

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  1. ^ 原田実『トンデモ日本史の真相 と学会的偽史学講義』文芸社、2007年6月。ISBN 978-4-286-02751-7 
  2. ^ ナムジ』1巻著者あとがき