「紫外線」の版間の差分
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物質の[[屈折率]]は、入射した光の波長に依存する。光学部品︵光学窓や[[レンズ]]など︶の素材としてよく用いられる[[ガラス]]は、紫外線の波長域では[[吸収係数|吸光係数]]が著しく増大し、[[透過率 (光学)|透過率]]が急激に減少する。このため、ガラスを使った光学部品で、紫外線光を取り扱う事は困難であり、特殊な材料を使用した専用の光学部品が使用される︵例えば、[[石英ガラス]]﹇波長 200 nm 以上で使用可﹈や[[フッ化カルシウム]] (CaF<sub>2</sub>)、[[フッ化マグネシウム]] (MgF<sub>2</sub>)﹇150 nm 以上で使用可﹈︶。 紫外線はガンマ線などの強透過性放射線のような透過力がなく、表面のごく近傍で吸収されてしまうことから、紫外線の照射量は吸収線量ではなく照度(mW/cm{{sup|2}})と積算光量(mJ/cm{{sup|2}})の積で表現される<ref name="osaka">{{Cite web == 語源 ==
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; 遠紫外線、真空紫外線 (VUV, Vacuum UV) (波長 10–200 nm)
: [[酸素]]分子や[[水蒸気]]分子によって吸収されるため、地表には到達しない。真空中でないと透過しない([[窒素]]分子は 150 nm 程度以上の波長であれば透過する)ため「[[真空紫外線]]」 (vacuum ultraviolet)と呼ばれる。
; [[極端紫外線]] (波長 10–121 nm)
: 極紫外線とも呼ばれる。極端紫外線は、物質の電子状態の遷移により放出される。X線との境界はあいまいである。30 nm 近辺の波長は、[[価電子帯]]の電子が[[伝導帯]]に遷移する際に放出されるのに対し、それより短い波長のものは、内側の核電子のエネルギー状態の変化により放出される。この長波長側の端は、He{{sup|+}}によるEUV/XUV放射が 30.4 nm である。波長の短いものは[[放射光|サイクロトロン放射]]によっても放出される。この領域の紫外線は、[[X線]]と分類されることもある。 41行目:
人間が、太陽の紫外線に長時間さらされると、皮膚・[[目]]・[[免疫系]]へ急性もしくは慢性の[[疾患]]を引き起こす可能性がある。UVCは高エネルギーであるためUVAやUVBよりはるかに危険である。UVCはオゾン層を透過しないため、太陽からのUVCは地上には届かないため過去ほとんど注意が払われていなかった。しかし、人工的に発生された場合200 nmより長波長のUVCは大気を伝播することが可能であり注意が必要である。例えば、250 nm程度のUVCを使用する浸漬型紫外線[[減菌装置]]などは装置の外で紫外線光源のスイッチを入れれば被曝の危険性がある。 一方222nmのUVCなど紫外線の波長によっては角質層や角膜の最表層までしか届かないものもあり<ref>{{Cite web|和書|title=皮膚がんなどの発症なし 222nm紫外線︵UV-C︶繰り返し照射の安全性を世界で初めて実証|url=https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/collaborations/2020_03_30_01.html|website=Research at Kobe|publisher=神戸大学|date=2020-03-30|accessdate=2021-06-11|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=ウシオ電機と島根大、222nm-紫外線の眼︵ラット︶に対する暴露限界値の検討と安全メカニズムを解明|url=https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?ng=DGXLRSP607580_Q1A330C2000000&scode=6925|website=日本経済新聞 電子版|date=2021-03-30|accessdate=2021-06-11|language=ja}}</ref>、これらはヒト・動物のいる空間全体に照射したり褥瘡創傷に直接照射することも可能である。<ref>{{Cite web|和書|title=世界初、222nmの紫外線で褥瘡創傷を殺菌消毒。|url=https://www.ushio.co.jp/jp/technology/challenge/500293.html|website=ウシオ電機株式会社 ホームページ|accessdate=2021-06-11|language=ja}}</ref> [[Image:DNA UV mutation.svg|thumb|right|300px|チミン二量体の生成によるDNA損傷]]
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{{See also|光老化}}
紫外線はたんぱく質を変性させるため、皮膚に紫外線が照射されると[[コラーゲン]][[コラーゲン線維|繊維]]および[[弾性繊維]]にダメージを与えて皮膚を加齢させる。
波長の長いUVAの危険性は近年まで軽視されてきたが、皮膚の加齢、[[デオキシリボ核酸|DNA]]へのダメージ、[[皮膚がん]]へのリスクはゼロではない。このうち特に、皮膚の加齢は、波長が長くUVBより深く皮膚の中に浸透し、皮膚の張りを保つ弾性繊維を徐々に破壊する主要因となっている。また、一度破壊された弾性繊維は回復しない。UVAはUVBと比べて、大気中での減衰が少なく、UVBの減少する冬期や朝夕でも比較的多く降り注いでいる。[[日焼け]]のうちサンバーンを引き起こすことはないがサンタンを引き起こす。日焼けサロンで照射されるのは、主にUVAである。ただし、その際に皮膚の老化を加速していることも忘れてはならない。UVAはSPFテストで測定することができない。 68行目:
眼鏡に十分な紫外線対策を期待するならば、フレームの形状も考慮するべきである。上部からの紫外線の侵入を減らすため、外出時はつば付きの[[帽子]]の併用が奨められる。レンズ以外の経路を経由する光を確認するには、レンズの部分を[[アルミホイル]]のような不透明なもので覆って、明るい光のそばに立つことで確認することができる。ほとんどの[[コンタクトレンズ]]は紫外線を吸収し、[[網膜]]を保護する。 ただし、紫外線カットの眼鏡やコンタクトレンズの日常的な使用については、[[慶應義塾大学]]の臨床研究で近視の進行を招く可能性が示唆されている。紫外線カットの眼鏡やコンタクトレンズが近視抑制作用のあるバイオレット光までカットしてしまっているからだと慶応大学医学部では考えている<ref>{{Cite web|和書
|url = https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2016/12/26/28-19271/
|title = 現代社会に欠如しているバイオレット光が近視進行を抑制することを発見-近視進行抑制に紫の光-
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=== 視覚 ===
鳥類など一部の生物は紫外線を色覚として認識している<ref>{{Cite web == 地球環境と紫外線の増加 ==
1970年代以降、[[極圏]]上空の[[オゾン層]]の減少により、とくに[[南極]]上空において[[オゾンホール]]が発生するようになり、南半球南部、とくに[[オーストラリア]]や[[ニュージーランド]]などにおいて紫外線量が急増した。オゾンホールは[[1985年]]ごろに発見され、[[1990年代]]半ばまでは急速に広がったものの、それ以降は1987年の[[モントリオール議定書]]による[[フロンガス]]の国際的な生産・使用規制などによってオゾン層の破壊のスピードが弱まり、規模の拡大はほぼ止まった<ref>{{Cite news|url= https://www.afpbb.com/articles/-/2756719 |title= オゾン層の破壊に歯止め、フロンガス全廃の取り組み奏功 国連 |newspaper= AFPBB News |publisher= 株式会社クリエイティヴ・リンク |date= 2010-09-17 |accessdate= 2023-05-15 }}</ref>。しかし一度拡大したオゾンホールの規模は縮小することはなく、[[2010年代]]に入っても大規模なまま推移しており<ref>[https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/ozonehp/diag_o3hole_trend.html ﹁オゾンホールの経年変化﹂] 気象庁 2015年1月22日閲覧</ref>、紫外線量も上記地域において増加したままである。また、日本などの中緯度地帯においても、[[つくば市]]や[[札幌市]]付近のデータでは、1990年代以降紫外線は緩やかにではあるが増加傾向を示している<ref>[https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/diag_cie.html ﹁紫外線の経年変化﹂] 気象庁 2015年1月22日閲覧</ref>。 204行目:
== 関連項目 ==
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* [[放射線熱傷]]
* [[日焼け]]
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