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{{出典の明記|date=2016年1月|section=1}} |
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文字を読み書きできない'''非識字'''︵illiteracy︶と読み書きを'''流暢'''にできる段階︵full fluency︶の間には、初歩的な読み書きを行えても、社会参加のための読み書きを満足に使いこなせない段階が存在する。これが'''[[機能的非識字]]'''︵functional illiteracy︶である。[[1956年]]にウィリアム・グレイ︵[[:en:William S. Gray|William S. Gray]]︶は識字教育に関する調査研究報告書の中で、﹁'''機能的識字'''︵functional literacy︶﹂の概念を明確にして、識字教育の目標を機能的識字能力を獲得することに設定すべきと提言した。
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文字を読み書きできない'''非識字'''︵illiteracy︶と読み書きを'''流暢'''にできる段階︵full fluency︶の間には、初歩的な読み書きを行えても、社会参加のための読み書きを満足に使いこなせない段階が存在する。これが'''[[機能的非識字]]'''︵functional illiteracy︶である。[[1956年]]にウィリアム・グレイ︵[[:en:William S. Gray|William S. Gray]]︶は識字教育に関する調査研究報告書の中で、﹁'''機能的識字'''︵functional literacy︶﹂の概念を明確にして、識字教育の目標を機能的識字能力を獲得することに設定すべきと提言した。
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=== 非識字者への配慮 === |
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公共サービスや選挙などで非識字者が排除されないようにする取り組みが行われている。インドの選挙は押しボタン式の[[電子投票]]機を使用するが、識字率が73%(2016年時点)とされることから候補者名と共に所属政党のシンボルマークを表示するようになっている<ref>{{Cite web |title=【世界選挙紀行】インド④ 超簡単!投票は“電子投票マシン”で {{!}} 選挙を知ろう {{!}} NHK選挙WEB |url=https://www.nhk.or.jp/senkyo/chisiki/ch18/20160525.html |website=www.nhk.or.jp |access-date=2024-04-19 |last=日本放送協会}}</ref>。 |
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== 国別の識字率 == |
== 国別の識字率 == |
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17世紀と18世紀を通じ上昇を続けた識字率は、19世紀に入るとより一層上昇するようになった。これは産業革命の開始によって識字能力が業務上多くの職種において必須となり、国力を増進させたい国家と生活水準を上昇させたい市民がともに識字能力を強く求めるようになったからである。ほとんどの国で義務教育が導入されるようになり、またラテン語にかわって各国語において高度な知識が記述され出版されるようになり、知識階級と一般市民の文章言語の断絶が解消したのもこの時期のことである。19世紀末には、イギリスやフランスなど当時の最先進国においては識字率が9割を越え、ほとんどの人々が文字を読み書きすることが可能となっていた{{Sfn|江藤恭二監修|2008|p=24}}。
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17世紀と18世紀を通じ上昇を続けた識字率は、19世紀に入るとより一層上昇するようになった。これは産業革命の開始によって識字能力が業務上多くの職種において必須となり、国力を増進させたい国家と生活水準を上昇させたい市民がともに識字能力を強く求めるようになったからである。ほとんどの国で義務教育が導入されるようになり、またラテン語にかわって各国語において高度な知識が記述され出版されるようになり、知識階級と一般市民の文章言語の断絶が解消したのもこの時期のことである。19世紀末には、イギリスやフランスなど当時の最先進国においては識字率が9割を越え、ほとんどの人々が文字を読み書きすることが可能となっていた{{Sfn|江藤恭二監修|2008|p=24}}。
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ヨーロッパ各国により植民地化された地域では宗主国の教育制度が導入され、現地の支配階級に教育が施された。 |
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=== アメリカ === |
=== アメリカ === |
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=== アジア (漢字圏) === |
=== アジア (漢字圏) === |
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近代以前の東アジアでは中国の影響により知識階級は |
近代以前の東アジアでは中国の影響により知識階級は漢籍や仏典で漢字を習得していたが、庶民層は自国の文字を使うため、漢字を知る支配階級と格差が存在した事例が多い。 |
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前近代の[[中国]]では識字能力を持たない庶民のための代筆業者もおり、[[科挙]]を断念した知識層が[[訟師]]のような活動を行っていた。1950年代から、識字率を引き上げる目的で[[簡体字]]を採用し、多くの漢字を9画以内に収めた。
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前近代の[[中国]]では識字能力を持たない庶民のための代筆業者もおり、[[科挙]]を断念した知識層が[[訟師]]のような活動を行っていた。1950年代から、識字率を引き上げる目的で[[簡体字]]を採用し、多くの漢字を9画以内に収めた。
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=== 日本 === |
=== 日本 === |
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==== 近世以前 ==== |
==== 近世以前 ==== |
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日本での文字の普及は比較的遅く、[[6世紀]]頃からである<ref>[https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-66/ 漢字はいつから日本にあるのですか。それまで文字はなかったのでしょうか | ことばの疑問 | ことば研究館]</ref>。近世以前には公家や僧侶など知識階級は、中国からもたらされた漢籍や仏典を通して[[漢字]]や[[漢文]]の読み書きを修得しており、江戸時代までこれらの書物が教科書として利用され、[[明治維新]]後にも一部が利用された。 |
日本での文字の普及は比較的遅く、[[6世紀]]頃からである<ref>[https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-66/ 漢字はいつから日本にあるのですか。それまで文字はなかったのでしょうか | ことばの疑問 | ことば研究館]</ref>。近世以前には公家や僧侶など知識階級は、中国からもたらされた漢籍([[四書五経]]など)や[[仏典]]を通して[[漢字]]や[[漢文]]の読み書きを修得しており、江戸時代までこれらの書物が教科書として利用され、[[明治維新]]後にも一部が利用された。 |
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公家や僧侶以外には中央との文章をやりとりする[[在地領主]]、商取引に[[証文]]が必要な[[有徳人]]などが書いた文章が残されている。庶民層の普及は不明だが、1311年ごろの書かれた土地取引の証文では、女性が土地の売主となっていたことから仮名で書かれていた<ref>{{Cite web|和書|title=企画展示 {{!}} スケジュール {{!}} こどもれきはく︵国立歴史民俗博物館︶ |url=https://www.rekihaku.ac.jp/kids/schedule/special/o181016.html |website=www.rekihaku.ac.jp |access-date=2023-09-18}}</ref>。また拇印する例もあった<ref name=":2">{{Cite web|和書|title=中世の古文書 -機能と形- 担当者インタビュー 第4回|これまでの企画展示|企画展示|展示のご案内|国立歴史民俗博物館 |url=https://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/old/131008/i004.html |website=www.rekihaku.ac.jp |access-date=2023-09-18}}</ref>。
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公家や僧侶以外には中央との文章をやりとりする[[在地領主]]、商取引に[[証文]]が必要な[[有徳人]]などが書いた文章が残されている。庶民層の普及は不明だが、1311年ごろの書かれた土地取引の証文では、女性が土地の売主となっていたことから仮名で書かれていた<ref>{{Cite web|和書|title=企画展示 {{!}} スケジュール {{!}} こどもれきはく︵国立歴史民俗博物館︶ |url=https://www.rekihaku.ac.jp/kids/schedule/special/o181016.html |website=www.rekihaku.ac.jp |access-date=2023-09-18}}</ref>。また拇印する例もあった<ref name=":2">{{Cite web|和書|title=中世の古文書 -機能と形- 担当者インタビュー 第4回|これまでの企画展示|企画展示|展示のご案内|国立歴史民俗博物館 |url=https://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/old/131008/i004.html |website=www.rekihaku.ac.jp |access-date=2023-09-18}}</ref>。
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