道徳教育
道徳教育(どうとくきょういく)とは、道徳的な心情を育て、判断力・実践意欲を持たせるなど、道徳性を養う教育のことを日本では主にいう。
概説
編集「道徳の時間」から「特別の教科 道徳」へ
編集改定点
編集具体的な改正のポイントは以下の通りである。
- 道徳科に検定教科書を導入
- 内容について、いじめ自殺問題への対応の充実や、発達の段階をより一層踏まえた体系的なものに改善
- ➞「個性の伸長」「相互理解、寛容」「公正、公平、社会正義」「国際理解、国際親善」「よりよく生きる喜び」の内容項目を小学校に追加
- 問題解決的な学習や体験的な学習などを取り入れ、指導方法を工夫
- 数値評価ではなく、児童生徒の道徳性に係る成長の様子を把握し、文章表記で評価
- ※授業時数は、引き続き年間35コマ(小学校1年生は年間34コマ)の週1時間
- ※私立小学校・中学校は、これまでどおり「道徳科」に代えて「宗教」を行うことが可能
私立学校での道徳授業
編集高等学校での道徳授業
編集都道府県立高等学校(都道府県立中等教育学校の後期課程を含む)で道徳の授業がある例は少なく、茨城県と埼玉県のみである。2013年度からは千葉県でも導入される[2]。
「道徳科」で指導する内容項目
編集小学校から中学校を通じて、身に着けるべき4つの柱に基づく内容項目が(「徳目」や「価値項目」と言われることもあるが、学習指導要領上「内容項目」として)学習指導要領で挙げられている。
A 主として自分自身に関すること
編集- 小学校第1学年及び第2学年 - 「善悪の判断,自律,自由と責任」「正直,誠実」「節度,節制」「個性の伸長」「希望と勇気,努力と強い意志」
- 小学校第3学年及び第4学年 - 「善悪の判断,自律,自由と責任」「正直,誠実」「節度,節制」「個性の伸長」「希望と勇気,努力と強い意志」
- 小学校第5学年及び第6学年 - 「善悪の判断,自律,自由と責任」「正直,誠実」「節度,節制」「個性の伸長」「希望と勇気,努力と強い意志」「真理の探究」
- 中学校 - 「自主,自律,自由と責任」「節度,節制」「向上心,個性の伸長」「希望と勇気,克己と強い意志」「真理の探究,創造」
B 主として人との関わりに関すること
編集- 小学校第1学年及び第2学年 - 「親切,思いやり」「感謝」「礼儀」「友情,信頼」
- 小学校第3学年及び第4学年 - 「親切,思いやり」「感謝」「礼儀」「友情,信頼」「相互理解,寛容」
- 小学校第5学年及び第6学年 - 「親切,思いやり」「感謝」「礼儀」「友情,信頼」「相互理解,寛容」
- 中学校 - 「思いやり,感謝」「礼儀」「友情,信頼」「相互理解,寛容」
C 主として集団や社会との関わりに関すること
編集- 小学校第1学年及び第2学年 - 「規則の尊重」「公正,公平,社会正義」「勤労,公共の精神」「家族愛,家庭生活の充実」「よりよい学校生活,集団生活の充実」「伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度」「国際理解,国際親善」
- 小学校第3学年及び第4学年 - 「規則の尊重」「公正,公平,社会正義」「勤労,公共の精神」「家族愛,家庭生活の充実」「よりよい学校生活,集団生活の充実」「伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度」「国際理解,国際親善」
- 小学校第5学年及び第6学年 - 「規則の尊重」「公正,公平,社会正義」「勤労,公共の精神」「家族愛,家庭生活の充実」「よりよい学校生活,集団生活の充実」「伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度」「国際理解,国際親善」
- 中学校 - 「遵法精神,公徳心」「公正,公平,社会正義」「社会参画,公共の精神」「勤労」「家族愛,家庭生活の充実」「よりよい学校生活,集団生活の充実」「郷土の伝統と文化の尊重,郷土を愛する態度」「我が国の伝統と文化の尊重,国を愛する態度」「国際理解,国際貢献」
D 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること
編集- 小学校第1学年及び第2学年 - 「生命の尊さ」「自然愛護」「感動,畏敬の念」
- 小学校第3学年及び第4学年 - 「生命の尊さ」「自然愛護」「感動,畏敬の念」
- 小学校第5学年及び第6学年 - 「生命の尊さ」「自然愛護」「感動,畏敬の念」「よりよく生きる喜び」
- 中学校 - 「生命の尊さ」「自然愛護」「感動,畏敬の念」「よりよく生きる喜び」
「学校の教育活動全体を通じて行う」道徳教育
編集教材
編集私たちの道徳
編集文部科学省監修の「私たちの道徳」(小学校低・中学年は「わたしたちの道徳」)は、従来の「心のノート」を全面改訂したもので、2014年度(平成26年度)から配布されている[3]。2016年度(平成28年度)配布分からは、学習指導要領が改正された「特別の教科 道徳」から追加した内容項目の教材も追加された[要出典]。
検定教科書
編集「特別の教科 道徳」になるに伴い、「私たちの道徳」に代わり、小学校では2018年度(平成30年度)から、中学校では2019年度(平成31年度)から、検定教科書が導入される[要出典]。
HERO
編集文部科学省はフジテレビとタイアップし、2014年(平成26年)7月14日からスタートした月9ドラマ「HERO」を道徳教育番組として位置づけた[4]。Jcastによれば、ネットユーザは賛否両論を示しているという[5]。
歴史
編集日本における道徳教育
編集道徳教育論
編集その他
編集ダン・アリエリーによるとMITと厳しい倫理規定のあるプリンストン大学の学生で不正をする割合を調べたらほぼ同じであったが、本当はない倫理規定にサインしてからするとどちらも不正を行わなかったことから、プリンストンの倫理規定の特訓にあまり意味はなく、道徳の特訓を受けなくても自分の中のモラルを思い出せばかわるという発見をした[7]。