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'''飢え'''︵うえ︶とは、 == 類語との差異 ==
* [[栄養失調]]は、偏食を含む食事内容の誤りで栄養不足によって引き起こされる状態。
* [[飢饉]]とは、あらゆる[[動物相]]における広範囲に及ぶ食糧不足現象。 * [[飢餓]] とは「飢え」よりも長い間食べ物が欠乏している状態<ref name=":0" />。
==
{{main|栄養失調}}
[[2023年]][[7月]]、全世界の栄養失調者数が[[2022年]]で約7億3,510万人に達したと報告された<ref name="食糧安全保障2023図1">{{Cite journal|author=[[国際連合食糧農業機関|FAO]]|author2=[[国際農業開発基金|IFAD]]|author3=[[国際連合児童基金|UNICEF]]|author4=[[国際連合世界食糧計画|WFP]]|author5=[[世界保健機関|WHO]] |title=State of food security and nutrition in the world 2023>CHAPTER 2 FOOD SECURITY AND NUTRITION AROUND THE WORLD>2.1 Food security indicators – latest updates and progress towards ending hunger and ensuring food security>FIGURE 1 GLOBAL HUNGER REMAINED VIRTUALLY UNCHANGED FROM 2021 TO 2022 BUT IS STILL FAR ABOVE PRE-COVID-19-PANDEMIC LEVELS︵2023年 世界の食糧安全保障と栄養の状況>第2章 世界の食料安全保障と栄養>2.1 食料安全保障指標 – 飢餓撲滅と食料安全保障の確保に向けた最新の更新と進捗状況>図1世界の飢餓は2021年から2022年にかけてほぼ横ばいだったが、依然として2019年コロナウイルス感染症流行前の水準をはるかに上回っている。︶|date=2023-07-12|language=英語|url=https://openknowledge.fao.org/server/api/core/bitstreams/a69f5540-6ee7-43f4-a8ef-9eb7b3e7b677/content/state-food-security-and-nutrition-2023/food-security-nutrition-indicators.html#fig1|accessdate=2024-06-02}}</ref>。 これは世界の総人口のおよそ11分の1に相当する。また、栄養失調とは別に、[[2021年]]で約23億5,690人︵人口割合で約29.6%︶が重度・中度の食糧不安<ref group="注釈">重度の食料不安︵Severe food insecurity︶は、食料に窮し、[[飢餓]]に直面し、最悪の場合丸一日あるいは数日間何も食べていない状況が続いて、自らの[[健康]]および[[幸福]]︵well being︶が非常に危うい状態にある、深刻な食料不安のレベル。<br /><br />中程度の食料不安︵Moderate food security︶は、自身の食料獲得能力を揺るがすような不確実性に直面しており、[[お金]]やその他の資源の不足から消費する食料の[[品質|質]]または[[量]]に妥協を強いられている深刻な食料不安のレベル。食事の質を下げ、正常な食事パターンを妨げ、結果的に栄養、健康そして幸福︵well being︶に負の影響を与える可能性がある、食料への継続的なアクセスが妨げられている状況を指す。</ref>(内、約9億10万人[人口割合で約11.3%]が重度)に直面している<ref>{{Cite press release|和書|title=﹁食料安全保障と栄養﹂最新報告書 2019年以来、新たに1億2,200万人が飢餓直面 現状SDGs達成困難か、変革努力が必須|publisher=国際連合食糧農業機関︵FAO︶駐日連絡事務所|url=https://www.unicef.or.jp/news/2023/0116.html|date=2023-07-12|accessdate=2024-06-02}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=国際連合食糧農業機関|url=https://openknowledge.fao.org/server/api/core/bitstreams/a69f5540-6ee7-43f4-a8ef-9eb7b3e7b677/content/state-food-security-and-nutrition-2023/food-security-nutrition-indicators.html#tab3|title=Sustainable Development Goals>TABLE 3 PREVALENCE OF FOOD INSECURITY AT SEVERE LEVEL ONLY, AND AT MODERATE OR SEVERE LEVEL, BASED ON THE FOOD INSECURITY EXPERIENCE SCALE, 2015–2022︵持続可能な開発目標>表3 食料不安経験尺度に基づく、重・中度で食料不安に直面している人々の蔓延率、2015~2022年|date=2023-07-12|accessdate=2024-06-02}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=国際連合食糧農業機関|url=https://openknowledge.fao.org/server/api/core/bitstreams/a69f5540-6ee7-43f4-a8ef-9eb7b3e7b677/content/state-food-security-and-nutrition-2023/food-security-nutrition-indicators.html#tab4|title=Sustainable Development Goals>TABLE 4NUMBER OF PEOPLE EXPERIENCING FOOD INSECURITY AT SEVERE LEVEL ONLY, AND AT MODERATE OR SEVERE LEVEL, BASED ON THE FOOD INSECURITY EXPERIENCE SCALE, 2014–2021︵持続可能な開発目標>表4 食料不安経験尺度に基づく、重・中度で食料不安に直面している人々の数、2015〜2022年|date=2023-07-12|accessdate=2024-06-02}}</ref>。 {| class="wikitable"
!年次!!1970!!1980!!1990!!2000!!2005!!2010!!2015!!
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!発展途上国における栄養失調者の割合<ref>{{Cite report|author=Food and Agriculture Organization Agricultural and Development Economics Division|authorlink=国際連合食糧農業機関|date=2006|title=The State of Food Insecurity in the World 2006 > Undernourishment around the world > Counting the hungry: trends in the developing world and countries in transition(2006年の世界における食糧不安の状況 > 世界の栄養不足 > 飢餓人口の把握: 発展途上国と移行期にある国の傾向)|url=http://www.fao.org/docrep/009/a0750e/a0750e00.htm|pages=8|format=PDF|isbn=92-5-105580-7|accessdate=2024-06-02}}</ref><ref>The State of Food Insecurity in the World 2006(2006年の世界における食糧不安の状況)の8ページに下記の記載がある。<br />“Because of population growth, the very small decrease in the number of hungry people has nevertheless resulted in a reduction in the proportion of undernourished people in the developing countries by 3 percentage points – from 20 percent in 1990–92 to 17 percent in 2001–03. (…) the prevalence of undernourishment declined by 9 percent (from 37 percent to 28 percent) between 1969–71 and 1979–81 and by a further 8 percentage points (to 20 percent) between 1979–81 and 1990–92.”<br />和訳文<br />﹁人口増加により、飢餓人口の減少はごくわずかですが、それでも発展途上国における栄養不足人口の割合は3%減少しました。[[1990年|1990]]~[[1992年]]の20%から[[2001年|2001]]~[[2003年]]の17%に減少しました。(中略) 栄養不足の蔓延率は、[[1969年|1969]]~[[1971年]]から[[1979年|1979]]~[[1981年]]にかけて9% (37%から28%) 減少し、1979~1981年から1990~1992年にかけてはさらに8%(20%) 減少しました。﹂</ref><ref name="食糧安全保障2015図A1">{{Cite journal|author=[[国際連合食糧農業機関|FAO]]|author2=[[国際農業開発基金|IFAD]]|author3=[[国際連合児童基金|UNICEF]]|author4=[[国際連合世界食糧計画|WFP]]|author5=[[世界保健機関|WHO]]|title=State of food security and nutrition in the world 2015>Annex 1>TABLE A1 Prevalence of undernourishment and progress towards the World Food Summit (WFS) and the Millennium Development Goal (MDG) targets in developing regions︵2015年 世界の食糧安全保障と栄養の状況>別紙1>表A1 開発途上地域における栄養不足の蔓延と世界食糧サミット︵WFS︶およびミレニアム開発目標︵MDG︶の目標に向けた進展︶|date=2015-07-01|language=英語|pages=44|url=https://www.fao.org/3/i4646e/i4646e.pdf#page=48|accessdate=2020-12-31}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=国際連合食糧農業機関|url=https://www.fao.org/sustainable-development-goals-data-portal/data/indicators/2.1.1-prevalence-of-undernourishment/en|title=Sustainable Development Goals>Indicator 2.1.1 - Prevalence of undernourishment︵持続可能な開発目標>指標2.1.1-栄養不足の有病率︶|date=2023-07-12|accessdate=2024-06-02 }}</ref><ref>{{Cite web|author=世界銀行|authorlink=世界銀行|url=https://data.worldbank.org/indicator/SP.POP.TOTL|title=Population, total|date=2024-05-30|format=Excel|accessdate=2024-06-02}}</ref><ref name="食糧安全保障2023図1" />
|37 %||28 %||
|}
注‥[[中国]]など人口の多い国々の重要なデータの更新の際、[[2000年]]まで遡ってより正確に見直された結果、世界の飢餓人口の推定数は減少している。そのため、2000年以降と[[1999年]]以前のデータは異なることに留意する<ref>{{Cite press release|和書|title=世界の飢餓人口 増加続く 2030年の﹁飢餓ゼロ﹂達成困難のおそれ ユニセフなど、国連5機関が新報告書|publisher=[[ユニセフ]]|date=2020-07-13|url=https://www.unicef.or.jp/news/2020/0173.html|accessdate=2020-12-31}}</ref>。 世界の地域別では、2022年時点で[[サブサハラアフリカ]]では、約19.7%(2億8,160万人)もの人々が栄養失調に苦しんでいる。
また、[[2019年コロナウイルス感染症による社会・経済的影響|2019年コロナウイルス感染症流行による経済悪化と流通制限]]と[[2022年ロシアのウクライナ侵攻|ロシアのウクライナ侵攻]]による[[黒海艦隊#2022年ロシアのウクライナ侵攻|ロシア海軍の艦隊による黒海の海上封鎖]]で[[港]]が閉鎖されたことで生じた食料供給減少による穀物の価格高騰により、[[ウクライナ]]と[[ロシア]]からの[[穀物]]や[[肥料]]の[[輸入]]に依存している[[後発発展途上国]]や低所得国を中心に影響を与えたことにより、2020年から2021年の間に増加し、2022年時点で流行前の基準(2019年:人口は約6億1,280万人、割合は約7.9%)に戻っていない<ref>{{Cite press release|title=世界の飢餓、新型コロナウイルスで悪化 アフリカ人口の2割以上が栄養不足 食料と栄養に関する国連合同報告書|publisher=[[国際連合児童基金|ユニセフ]]|date=2021-07-12|url=https://www.unicef.or.jp/news/2021/0140.html|accessdate=2024-05-11
}}</ref><ref>{{Cite press release|title=ウクライナ戦争:国連WFPは、世界が深刻化する飢餓の危機に直面する中、港の再開を要請|publisher=[[国際連合世界食糧計画]]|date=2022-05-06|url=https://ja.wfp.org/stories-9|accessdate=2024-05-11}}</ref><ref>{{Cite news|author=マット・マーフィー|title=ウクライナでの戦争、世界的な食料危機を引き起こす恐れ=国連|newspaper=[[BBC]]|language=日本語|date=2022-05-19|url=https://www.bbc.com/japanese/61503673|accessdate=2024-05-11}}</ref><ref>{{Cite news|author=柳澤 あゆみ|author2=田村 銀河|title=迫り来る“食料危機” 日本や世界の食はどうなる?|newspaper=[[NHK]]|language=日本語|date=2022-06-16|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220616/k10013674301000.html|accessdate=2024-05-11}}</ref>。なお、[[ウクライナ]]の輸出ルートにあたる黒海西側での防衛強化により、2023年12月にはウクライナからの穀物などの輸出量が侵攻前の基準に回復しつつある。但し、輸出の約40%を[[紅海]]を経由して[[アジア]]に輸出しており、輸出する途中で[[イエメン]]の反政府勢力[[フーシ]]派が[[船舶]]への攻撃を行っており、安定的供給に懸念が生じている<ref>{{Cite news|title=ウクライナ穀物輸出量“黒海防衛強化でほぼ軍事侵攻前水準に”|newspaper=NHK|language=日本語|date=2024-01-31|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240131/k10014341311000.html|accessdate=2024-05-11}}</ref>。
=== 栄養失調死亡率の統計 ===
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研究の結果、アメリカでは、高齢者の500万人以上(全高齢者の11.4%に相当)が何らかの形の食糧不安を経験している、すなわち言い換えるとわずかに食糧が不足しているのだと分かった。そのうち約250万人が飢えの危険性にあり、およそ75万人が経済的な理由で飢えに苦しんでいる。より飢えの危機にさらされやすい高齢者というのもいる。高齢者人口全体の代表と比べて、限られた収入の人、70歳未満の人、アフリカ系[[アメリカ人]]、[[ヒスパニック]]、未婚者、借家人、及び[[アメリカ合衆国南部]]在住の高齢者などはみな飢えの危険性が比較的高い。 特定の高齢者は飢えの危険性がより高い一方で、飢えは所得の程度に関係なく起こりうる。例えば、飢えの危険がある全高齢者の半数以上が[[貧困線]]を上回る収入を得ているのだ。同様に、そのようなことは、あらゆる人口集団にも言える。例を挙げると、飢えの危険性がある高齢者のうち、白人が3分の2を超えている。飢えの危険性には、家族構成、特にひとり暮らしや孫と生活をしている高齢者のそれに渡って、著しい相違点がある。ひとり暮らしでは、既婚の高齢者に比べて2倍も飢えを経験しやすい。飢えの危険にさらされているのが、現在孫と同居していない世帯ではおよそ20に1つであるのに比べ、孫と暮らす︵が成人した子どもはいない︶高齢者世帯では5つに1つである。非都市地域に住む高齢者も、大都市圏に住む高齢者と同じくらい食糧不安を経験しやすい。これは食糧不安が都市と地方のどちらにおいても起こりうるのだということ示唆している。<ref>Excerpt from "The Causes, Consequences and Future of Senior Hunger in America", Executive Summary, pp.i-ii</ref> 2013年11月に発表された非営利団体﹁{{仮リンク|飢えと闘うニューヨーク市連合|en|New York City Coalition Against Hunger}}﹂の報告書によると、[[ニューヨーク]]では20%を超える子どもたちが十分に食べるものもなく暮らしているとされる。その原因として、[[ハリケーン・サンディ]]によって多くの人びとが[[ホームレス]]生活を強いられており、また当局の予算削減や[[アメリカ合衆国の経済|アメリカ経済]]の低迷が挙げられている<ref>{{cite news |title=NYの子ども、5人に1人は十分な食事とれず NPO報告 |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2013-11-27|url= == 対策 ==
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* [[世界飢餓指数]]
* {{仮リンク|食糧の権利|en|Right to food}}
;飢えで行動を変える({{ill2|行動可塑性|en|Behavioral plasticity}})動植物
* {{ill2|サカサクラゲ科|en|Cassiopea}}のクラゲは、共生する褐色藻で光合成ができなくなると、[[刺胞]]付きの細胞を放出する。 * [[食虫植物]]の[[トリフィオフィルム・ペルタトゥム]]は栄養が少なくなると、食虫植物となる。
=== 組織 ===
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* [[ワールド・ビジョン]]
==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
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*[http://www.lamberspublications.com/schoolfeeding.html 児童飢餓と闘う学校給食制度] - 発展途上国の学校給食と、児童の飢えと栄養失調を減らすことにおけるその効果についてのWFPとの一連のインタビュー
*[http://www.alertnet.org/db/topics/HUNGER.htm?v=in_detail 食と飢えの危機の概要] - [[ロイター|ロイター通信]]より
*[
*[http://www.thenation.com/doc/20090601/ten_things 世界の飢えと闘うためにあなたができる10のこと] - 2009年5月13日付のザ・ネイションの記事
*[http://www.examiner.com/x-16819-Global-Hunger-Examiner~y2009m7d11-The-Roadmap-To-End-Global-Hunger 世界の飢え終息への道] - カトリック・リリーフ・サービスのブルースホワイトとのインタビュー
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