仮面
人体のうち顔の一部または全体に被るもの、または覆うもの
(お面から転送)
仮面︵かめん︶もしくはマスク︵英: mask︶とは、人体のうち顔の一部または全体に被るもの、または覆うものを指す。頭部まで覆うものを含めることもある。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b6/Ravensburg_Fasnet_Papierkrattler_2005.jpg/250px-Ravensburg_Fasnet_Papierkrattler_2005.jpg)
仮面をかぶったカーニバルの参加者
英語のmaskやフランス語のmasqueは仮面やマスクと訳されるが、以下の通り定義の範囲は同一でなくずれがある︵例として剣道の面やガスマスクなどはmaskであるが仮面とは呼ばれない。フランス語のmasqueは英語のmaskと同じ意味であるが、単体で仮面劇という意味もある。︶。
日本語における﹁仮面﹂とは、顔を隠し正体を分からなくするために用いられる︵覆面︶、あるいは儀式や演劇や祭礼などの時に役になりきるために使われるなど、ペルソナ[要曖昧さ回避]に関わる用具としての意味合いに特化しており、本項でもそれらについて記述する。
一方、鼻や口などを中心に衛生・防護目的で覆う実務的なものについては日本語の﹁仮面﹂の範疇には含まれず、専ら外来語で﹁マスク﹂と呼ばれる。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b6/Ravensburg_Fasnet_Papierkrattler_2005.jpg/250px-Ravensburg_Fasnet_Papierkrattler_2005.jpg)
仮面の意義
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/9e/Clay_masks_and_shell_masks_-_Niigata_Prefectural_Museum_of_History.jpg/250px-Clay_masks_and_shell_masks_-_Niigata_Prefectural_Museum_of_History.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4a/The_Japanese_Mask.jpg/250px-The_Japanese_Mask.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4a/%E3%81%8A%E9%9D%A2.jpg/250px-%E3%81%8A%E9%9D%A2.jpg)
顔を覆って隠すことはさまざまな意味合いがある。他人からはわからないということのみならず、装着するマスクがかたどっている神・精霊・動物︵実在架空を問わず︶等そのものに人格が変化する︵神格が宿る︶とも信じられ、古くから宗教的儀式・儀礼またはそれにおける舞踏、あるいは演劇などにおいて用いられてきた。こうした性格のものは、日本においては一般的にはマスクといわれず、仮面と称されることが多い。
そうした仮面舞踏︵儀礼︶は、紀元前4000年ごろにすでに行われていたという。これは当時に描かれたアフリカのアルジェリア・タッシリ・ナジェールの洞窟壁画︵英語版の写真ギャラリーも参照︶から推測されている。日本における最古の仮面は縄文時代中期前半︵5千年以上前︶の土面であるという[注釈1]。現存する国内最古の木製仮面は弥生時代終末︵3世紀︶の纏向遺跡から出土したものである[2]。
いっぽう、顔を隠すという意味合いが強いマスクは、日本においては一般に覆面と呼ばれ、﹁覆面強盗﹂や﹁覆面レスラー﹂などのように用いられる︵なお、上記の衛生マスクと同様に、神事・仏事、または貴人への配膳の際に口を覆って息がかからないようにするためのものも覆面と呼ぶ。一般に和紙などによって作られる︶。
しかしながら、中世ヨーロッパにおいておこった仮面舞踏会︵マスカレード︶での﹁仮面﹂は、上記の宗教的儀式のように仮の何者かになりきるわけではなく、顔を隠すという意味合いが強い。よって、布などのやわらかい素材で顔を隠す︵顔を覆う︶マスクを覆面といい、硬質の素材で作られたマスクを仮面と呼ぶような用法が日本では一般的とみられる︵これは物品に対するものであり、言語そのものに関することは国語辞典などを参照されたい︶。
日本における伝統芸能である能︵能楽︶などに用いる仮面︵能面︶等は、わざわざ仮面とは称さず、単に面と呼ぶ︵専門的には﹁おもて﹂と呼ぶ︶。そうした面のていねい語︵幼児語[要検証]︶がお面であり、現在でも祭礼などの際に大道で的屋が子供向けにさまざまなキャラクター物を販売している。
このように、面・仮面・覆面などはすべてマスクではあるが、日本においては用法に微妙な差がある。
仮装用マスク
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/00/Bush_and_McCain-masks-GOP_convention-20080902.jpg/250px-Bush_and_McCain-masks-GOP_convention-20080902.jpg)
アフリカの仮面
編集インディアンの仮面治療
編集北アメリカのインディアン(ネイティブ・アメリカン)の多くの部族では、仮面には呪術的な強い力=霊力があると考えられており、シャーマン(=医者)が仮面を被って病気の治癒を祈祷する「仮面治療」(=医療)が一般的に行われていた(いる)。そもそも、病気と言う物は、「魂の抜けた状態」と考えられており、「悪霊の仕業」か「悪い呪術師の呪い」によって起こると考えられていたからである。また、儀式で病気を治す仮面の呪術団(仮面団)が存在し、病気を治してもらった者は、仮面団に加わり、治療の手伝いをする義務があった。
著名なマスク
編集
﹁デスマスク﹂、﹁ライフマスク﹂の項を参照のこと。
●日本面 - 伎楽面、能面、おかめ、ひょっとこ、狐面
●ツタンカーメンのマスク︵世界で最も知られた芸術作品・デスマスクの一つ︶
●ネイティブ・アメリカン・マスク
●ガイ・フォークス・マスク - 映画﹃Vフォー・ヴェンデッタ﹄︵2005年︶以降、アノニマスなどに見られるように、ガイ・フォークスの仮面はある種の抵抗運動のシンボルとなっている。節﹁影響﹂を参照。
博物館
編集- Museo Nacional de la Máscara - メキシコ国立仮面博物館
- Second Face: Museum of Cultural Masks - オンライン博物館
- International Carnival and Mask Museum - ベルギー、バンシュの博物館
- Museo delle maschere mediterranee - 地中海マスク博物館の意。サルデーニャの民族学博物館。
- 日本
- 日本仮面歴史館
- アフリカ仮面美術館
イベント
編集- rabaul mask festival - 毎年、パプアニューギニアのラバウルで行われる全世界の仮面が関わるも催し[9]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集
(一)^ ﹁阿高黒橋貝塚﹂も参照。
(二)^ 設楽博己﹃顔の考古学 異形の精神史﹄吉川弘文館、2021年。pp.2-3.
(三)^ “Comics in Crisis: So Many Masks”. 2017年5月28日閲覧。
(四)^ http://www.uiowa.edu/~africart/
(五)^ http://www.zyama.com/index.htm
(六)^ ﹃青淵︵せいえん︶﹄ ︵渋沢栄一記念財団︶、2007年12月号 (705号)
(七)^ ﹃青淵﹄︵渋沢青淵記念財団︶、2005年5月号
(八)^ http://shima3.fc2web.com/african-masks.htm
(九)^ 仮面 著者‥林勲男 2006年6月15日刊行 サイト‥国立民族学博物館
関連項目
編集外部リンク
編集- 能面 長澤重春能面集
- Ritual, Masks, and Sacrifice
- TraditionalBuddhist Masks from Nepal
- The Secret of Masks
- The Mythic Mask: mask history and contemporary mask art
- The Noh Mask Effect: A Facial Expression Illusion
- Read about more than 40 types of "Masks" created by African tribes.
- Essortment
- Bolivian indigenous and mestizo masks[リンク切れ]
- Smithsonian Institute African Mask Links[リンク切れ]
- Virtual Museum of Death Mask
- Chinese Opera Mask
- Artyfactory
- Contemporary Mask Art by TJ Brockelman