ウィリアム・テル (オペラ)
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概要
編集初演とその後
編集楽譜
編集リブレット
編集演奏時間
編集楽器編成
編集序曲
編集役柄
編集役柄 | 声域 | 1829年8月3日初演のキャスト (指揮者: フランソワ・アブネック) |
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ギヨーム・テル | バリトン | アンリ=ベルナール・ダバディ |
エドヴィージュ(テルの妻) | メゾソプラノ | モリ嬢 (Mlle Mori) |
ジェミ(テルの息子) | ソプラノ | ルイーズ=ズルマ・ダバディ |
マティルド(ハプスブルク家の皇女) | ソプラノ | ロール・サンティ=ダモロー |
アルノール・メルクタール | テノール | アドルフ・ヌーリ |
メルクタール(アルノールの父) | バス | ボネル |
ジェスレル(ウーリ州とシュヴィーツ州を 治めるオーストリア人総督) |
バス | アレクサンドル・プレヴォ |
ヴァルテル・フュルスト(スイスの愛国者) | バス | ニコラ・プロスペル・ルヴァッスール |
リュオディ(漁師) | テノール | アレクシス・デュポン |
ルートルド(羊飼い) | バス | フェルディナン・プレヴォ |
ロドルフ(ジェスレルの警備隊長) | テノール | ジャン=エティエンヌ・マソル |
狩人 | バリトン | ベルトラン・プイィ |
農民、羊飼い、騎士、小姓、貴婦人、兵士 |
初演時の衣装
編集-
マティルド(ロール・サンティ=ダモロー)
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アルノール (アドルフ・ヌーリ)
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ジェスレル(プレヴォスト)
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踊り子(マリー・タリオーニ)
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村人のカップル
あらすじ
編集- 舞台 - スイス
- 時代 - 14世紀
第1幕
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/1f/Rossini_-_Guillaume_Tell_-_Tell_saves_Leuthold_from_the_tyrant_-_The_Victrola_book_of_the_opera.jpg/240px-Rossini_-_Guillaume_Tell_-_Tell_saves_Leuthold_from_the_tyrant_-_The_Victrola_book_of_the_opera.jpg)
第2幕
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a3/Rossini_-_Guillaume_Tell_-_The_Oath_-_Al_Fresco_production_in_Switzerland_-_The_Victrola_book_of_the_opera.jpg/330px-Rossini_-_Guillaume_Tell_-_The_Oath_-_Al_Fresco_production_in_Switzerland_-_The_Victrola_book_of_the_opera.jpg)
第3幕
編集第1場
編集アルトドルフ宮殿の人目につかない礼拝堂
アルノールとマティルドが寂れた礼拝堂にいる。父を殺したジェスレルへの復讐を決意したアルノールの話しを聞いたマティルドは「異郷の湖畔で」(Sur la rive étrangère)を歌い、別れを告げる。戦いの騒音が激しさを増してくるので、マティルドはアルノールを逃がすのだった。
第2場
編集アルトドルフの町の市場
オーストリアによるスイス統治100周年の記念日。広場の中央にはオーストリア軍の勝利を示す勲章が飾られた杭が打たれている。ジェスレルはスイス人の反感を感じとり、彼らを辱めるようと案じる。ジェスレルは自分の前で膝を折り、帽子を取って敬礼するようスイス人に命ずる。さらに、ジェスレルはスイスの娘たちに好色なオーストリア兵とダンスを踊ることを強要し、村人たちの屈辱感を高揚させる。そこにテルが息子のジェミと通りかかるが、テルはジェスレルへの敬礼を拒絶する。ジェスレルは、テルが服従の意を表さないので、ルートルドを救った男がテルだと理解する。そこでテルとジェミを逮捕することを命じるが、兵士たちはテルの凛とした態度に恐れをなして、近づこうとしない。テルはジェミにスイス人たちに反乱を始める合図を送るよう耳打ちするが、ジェスレルに感づかれ、ジェミも逮捕されてしまう。なんとかしてテルを罰しようとするジェスレルはテルの失敗を期待しつつ、テルに息子を助けたければ、弓の名手の腕前を見せてジェミの頭の上のリンゴを撃つように命じる。テルは「お前には子供はいないのか」と反抗するが、ジェミは恐れに震える父を勇気づけて「僕を縛る必要などはありません」と毅然とした態度をとる。テルはチェロの独奏で始まるアリア「じっと動くな」(Sois immobile)と歌う。テルは見事にリンゴに矢を突き通し、スイス人たちは喝采を送る。ジェスレルはテルがもう一本矢を持っているのを見つける。そのことを詰問されたテルは「もし失敗していたら、次の矢でジェスレルを射ていただろう」と答える。ジェスレルはテル親子の逮捕を命ずる。そこにマティルドが割って入り、ハプスブルク皇帝の名でジェミを引き渡すよう要求し、ジェミを助ける。さらに、テルの釈放も要求するが、ジェスレルはテルを船でキュスナハト砦の地下牢に護送するよう命令する。嵐の中での操船をためらう部下たちに「そこに優れた漕ぎ手がいるではないか」とテルを指差す。連行されるテルは村人に武装蜂起を呼びかける。オーストリア兵がジェスレルを讃える歌(Vive, vive Gesler!)とスイス人たちの「ジェスレルを追い出そう」(Anathème à Gesler!)という合唱が交錯する中で幕となる。
第4幕
編集第1場
編集ビュルグレン村近くの老アルノールの荒れ果てた家の前
アルノールが住む人がいなくなった思い出の家の前に佇み、アリア「先祖伝来の住処よ」 (Asile héréditaire)を歌う。そこに彼の仲間が駆けつけ、テルが投獄されたと伝える。アルノールは自分が独立の戦いの先頭に立つ覚悟を決め、この家に別れを告げる。アルノールは彼の父がいざと言う時のために岩陰に隠していた武器があることを告げ「友よ、復讐に手を貸してくれ」(Amis, amis, secondez ma vengeance)と歌うと仲間は「勝利か、さもなくば死か」(Ou la victoire ou le trépas!)と叫ぶのだった。
第2場
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/2c/Gioachino_Rossini_-_Guillaume_Tell_-_Charles-Abraham_Chasselat_-_dessin_pr%C3%A9paratoire_%C3%A0_la_gravure_2_%28cropped%29.jpg/310px-Gioachino_Rossini_-_Guillaume_Tell_-_Charles-Abraham_Chasselat_-_dessin_pr%C3%A9paratoire_%C3%A0_la_gravure_2_%28cropped%29.jpg)
主なフランス語版による全曲録音・録画
編集年 | 配役 ギヨーム・テル アルノール・メルクタール マティルド ジェスレル ジェミ |
指揮者 管弦楽団 合唱団 |
レーベル |
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1972 | ガブリエル・バキエ ニコライ・ゲッダ モンセラート・カバリエ ルイ・エンドリックス マディ・メスプレ |
ランベルト・ガルデルリ ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 アンブロジアン・オペラ・コーラス |
CD: Warner Classics ASIN: B0040UEI4U パトリック・シュミット、 マイケル・スコット、 ジョン・ウィラン、 ガルデッリによって編纂された全曲版 |
1998 | トーマス・ハンプソン ジュゼッペ・サッバティーニ ナンシー・グスタフソン エギルス・シリンス ドーン・コトスキ |
ファビオ・ルイージ ウィーン国立歌劇場管弦楽団 ウィーン国立歌劇場合唱団 |
CD: ORFEO ASIN: B0002K71SW M.エリザベス・C.バートレット編の クリティカル・エディション使用 |
2010 | ジェラルド・フィンリー ジョン・オズボーン マリン・ビストレム カルロ・チーニ エレナ・クサントウダキス |
アントニオ・パッパーノ ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団 ローマ聖チェチーリア国立音楽院合唱団 |
CD: EMI ASIN: B0050PRS2I M.エリザベス・C.バートレット編の クリティカル・エディション使用 |
2013 | アンドルー・フォスター=ウィリアムズ マイケル・スパイアーズ ジュディス・ハワース ラッファエーレ・ファッチョラ タラ・スタッフォード |
アントニーノ・フォリアーニ ヴィルトゥオーシ・ブルネンシス ポズナン・カメラータ・バッハ合唱団 演出:ヨッヘン・シェーンレバー |
DVD: Bongiovanni ASIN: B00V8945F8 CD: Naxos ASIN: B00SCJILQG M.エリザベス・C.バートレット編の クリティカル・エディション使用 |
2013 | ニコラ・アライモ ファン・ディエゴ・フローレス マリナ・レベカ ルカ・ティットート アマンダ・フォーサイス |
ミケーレ・マリオッティ ボローニャ歌劇場管弦楽団 ボローニャ歌劇場合唱団 演出:グラハム・ヴィック |
DVD: Decca ASIN: B00TQE9SHC M.エリザベス・C.バートレット編の クリティカル・エディション使用 |
2015 | ジェラルド・フィンリー ジョン・オズボーン マリン・ビストレム ニコラ・クルジャル ソフィア・フォミナ |
アントニオ・パッパーノ ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団 ロイヤル・オペラ・ハウス合唱団 演出:ダミアーノ・ミキエレット |
DVD: Opus Arte ASIN: B072ZQ1JD7 M.エリザベス・C.バートレット編の クリティカル・エディション使用 |
- イタリア語版は多数あり。
有名なアリア
編集- "Asile héréditaire" (「先祖伝来の住処よ」) - アルノール
- "Sois immobile" (「じっと動かずに」) - テル
- "Sombre forêt" (「暗い森」) - マティルド
脚注
編集注釈
編集出典
編集参考文献
編集- 『イタリア・オペラ・ガイド』河野典子(著)、星雲社 (ISBN 978-4434230516)
- 『新グローヴ オペラ事典』 スタンリー・セイデイ著、白水社(ISBN-13: 978-4560026632)
- 『フランス・オペラの魅惑 舞台芸術論のための覚え書き』澤田 肇 (著)、出版社: ぎょうせい (ISBN-13: 978-4324094037)
- 『新イタリア・オペラ史』水谷彰良 (著)、 音楽之友社(ISBN 978-4276110410)
- 『消えたオペラ譜』―楽譜出版にみるオペラ400年史― 水谷彰良 (著)、音楽之友社(ISBN 978-4276121805)
- 『オペラは手ごわい』岸純信 著、春秋社(ISBN 978-4393935811)
- 『パリ・オペラ座-フランス音楽史を飾る栄光と変遷-』竹原正三 著、芸術現代社(ISBN 978-4874631188)
- 『フランス音楽史』今谷和徳、井上さつき(著)、春秋社(ISBN 978-4393931875)
- 『ヴィルヘルム・テル』フリードリヒ・フォン・シラー(著) 、桜井政隆、桜井国隆(翻訳) 、岩波書店(ISBN 978-4003241035)
- 『オックスフォードオペラ大事典』ジョン・ウォラック、ユアン・ウエスト(編集)、大崎滋生、西原稔(翻訳)、平凡社(ISBN 978-4582125214)
- 『最新名曲解説全集18 歌劇1』 永竹由幸ほか (著)、音楽之友社 (ISBN: 978-4276010185)
- 『ラルース世界音楽事典』 福武書店刊
- 『イタリア・オペラの黄金時代』ウィリアム ウィーヴァー (著) 、大平光雄 (翻訳) 、音楽之友社 (ISBN 978-4276113725)