キュバン
立方体の形をした炭化水素分子
性質
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無色透明の結晶で、融点130–131 ℃、220 ℃以上で分解する。キュバンはプラトン立体炭化水素の1つで、プリズマン類の一員である。ひずみエネルギーが166 kcal/mol[1]とかなりひずんだ骨格のために、大きなエネルギーを内包している。炭化水素の中でも密度が最大であるため、高密度、高エネルギーの燃料としての有用性が模索されている。
炭素以外にも、炭素族元素であるケイ素やゲルマニウム、スズなどでもキュバン同様の立方体分子が合成されている。ただし、これらの元素同士の結合は酸素などと反応しやすいため、周りを大きな置換基で覆うことにより初めて安定に取り出すことが可能となった。例として、オクタテキシルオクタシラキュバン (octathexyloctasilacubane, Si8(Me2CHCMe2)8) がある[2]。
合成
編集用途
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キュバンの8個の水素原子をすべてニトロ化したオクタニトロキュバンは現在理論的に考えられる最強の爆薬であるとされるが、現段階ではその合成にはかなりのコストと手間がかかるため、実用的ではない。
キュバンを多数つなげたポリマーが作り出されており、非常に頑丈な繊維である。また、キュバンはベンゼンの生物学的等価体としての活用が可能だとされている[4]。
出典
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(一)^ ﹃ボルハルト・ショアー現代有機化学(第8版)﹄化学同人、2019年、199頁。
(二)^ 海野雅史、松本英之﹁オクタシラキュバンの化学﹂﹃有機合成化学協会誌﹄第62巻第2号、有機合成化学協会、2004年、107-115頁、doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.62.107。
(三)^ Eaton, P. E.; Cole, T. W., Jr. (1964). “Cubane”. J. Am. Chem. Soc. 86: 3157–3158. doi:10.1021/ja01069a041.
(四)^ “サイコロを作ろう!”. Chem-Station. 2021年11月28日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 炭素の四角形2 - 有機化学美術館
- High energy derivatives of cubane - キュバンと誘導体(英語)