トニングリッシュ
トニングリッシュとはトニーイングリッシュ(Tony's English)のこと。ボードビリアンのトニー谷が創始した独特のカタコト英語。トニーグリッシュと呼ばれることもある。
概要
編集
●1950年までの時期に発生。進駐軍の英語とジャズの影響が大きく、のちのフォロワーたちも﹁トニングリッシュ﹂のダイレクトなフォロワーというよりも、同様の風土から育まれた要素が強い。
●言語学的にはピジンやクレオールに近い形式をもつといえるが、けっして言語として普及したものではない。話者のセンスや表現力がない限りは存立しえない、きわめて孤独な言語であり、表現者による表現でしかない。
●英語と日本語、ときには中国語由来の外来語、東北方言と思われる語尾、山の手言葉などを適宜おりまぜながら、日本の伝統的な七五調でまとめるのが特徴。語調はきわめてリズミカルである。
●﹁マリリン・モンロー→モリリン・マンロー﹂﹁アイラブユー→アイブラユー﹂[1]のようなスプーナリズム︵spoonerism [2], 音韻交替︶も顕著な特徴の一つである。
●また、日本語の副詞語尾﹁~り﹂は﹁~りんこ﹂あるいは﹁~りんこん﹂と変形することが多い。﹁ふわり→ふわりんこ﹂﹁ぽとり→ポトリンコン﹂など。
●英語と日本語の同義反復も多々みられる。﹁スプリングレイン春雨﹂[3]など。
●中国語由来の外来語、戦時中から終戦直後当時、一般的に日本で流通していたいわゆる﹁兵隊シナ語﹂の混在が、時代を感じさせる。﹁没法子 (めーふぁおずー︶﹂﹁快々的 (かいかいでー︶﹂[4]など。
●例文﹁わが信条は、ひとつの望みが潰えても諦めぬことだ。人生は粘りだ。押しが肝心だ﹂
これをトニングリッシュに訳すと、こうなる。
﹁マイ・モットウの信条は、一つの望みがポシャッても、ペシャリンコンになるなかれ。人生はこれネバリなり。一押し、二押し、三に押し﹂[5]