嫌がらせ
概要
編集種類
編集場所
編集学校
編集職場
編集第1条1 (a) 仕事の世界における﹁暴力及びハラスメント﹂とは、一回限りのものであるか反復するものであるかを問わず、身体的、心理的、性的又は経済的損害を目的とし、又はこれらの損害をもたらし、若しくはもたらすおそれのある一定の容認することができない行動及び慣行又はこれらの脅威をいい、ジェンダーに基づく暴力及びハラスメントを含む。 (b) ﹁ジェンダーに基づく暴力及びハラスメント﹂とは、性若しくはジェンダーを理由として個人に向けられた暴力及びハラスメント又は特定の性若しくはジェンダーの個人に対して不均衡に影響を及ぼす暴力及びハラスメントをいい、セクシュアル・ハラスメントを含む。 — 国際労働機関 2019年の暴力及びハラスメント条約︵第190号︶ 嫌がらせでよくメディアなどで取り上げられるセクハラは有名である。職場などの男性上司による対女性部下のケースが多い。例えば、スキンシップとして女性の体に触れたり、﹁○○ちゃん﹂と呼んでみたり、いかにも興味のあるように扱うという行為もセクハラにあたるとされている。 また、職場で社会問題になっている嫌がらせがもう一つある。それはパワハラである。上司・上位にある者が、その職務権限・権力を悪用し、部下を精神的に追い詰めることである。例えば、他の部下のいる前で大声で叱責したり、あからさまにある部下だけを無視したり、明らかに一人でこなせない量の仕事を押し付け、終わらせられなかったその部下を罵ったりという行為がそれに当たる。これには周囲から部下の側が悪いと認識され、そのために被害者を追いつめることがある。 同僚や上司・部下からのみならず、商品・サービスの利用者からの暴言、暴力も社会問題化している︵﹁クレーム﹂﹁モンスターカスタマー﹂参照︶。特定の職種について、学校では﹁モンスターペアレント﹂、医療機関では﹁モンスターペイシェント﹂、介護ではケアハラ[37]などと呼ばれることもある。 宴会の席でアルハラも問題となる。飲めない酒を断ることができないのはパワハラとも関連する権力関係を巡る問題である一方、酒︵アルコール︶を飲めない体質は多くの場合遺伝性のものであり、飲酒を強要するのは嫌がらせを超えて人権侵害行為、あるいは傷害行為であるとの指摘もある。企業や大学サークルなどでは、かつてのアルハラは減少してきている。インターネット
編集代表的な嫌がらせに﹁荒らし﹂がある。これは、あるウェブサイト内の掲示板に無意味かつ長大な文字の羅列を何度も貼り付けたり、掲示板の趣旨とはそぐわない内容の議論をいつまでも続けたり、管理人やその他の利用者を中傷するような書き込みなどを指す。2ちゃんねるに代表される匿名掲示板のように、ほとんどのユーザーがハンドルネームを持たない名無しさんであるというような場所でも、他者への誹謗中傷を繰り返す者︵粘着︶は存在する。 不特定多数のインターネット利用者の目に触れるような場所に、ある人物の不利益となるような情報を書き込む嫌がらせもある。個人情報を暴露するプライバシーの侵害や、名誉毀損などがそれに該当する。この嫌がらせは上記の﹁荒らし﹂と重なる部分もあるが、完全に同義というわけでもない。例えば、ある掲示板の管理人に対する名誉毀損は同時に荒らしでもあるが、他者のプライバシーの侵害を目的とするウェブサイトそのものを、荒らしとは呼ばない。 また、実在の人物が直接的な被害を被るわけではないが、アニメなどの特定のキャラクターをターゲットにし、徹底的かつ執拗な誹謗中傷を、そのキャラクターのファン︵もしくは、その作品のファン︶が見ているであろうスレッド︵主に2ちゃんねるや5ちゃんねる︶に張り付ける行為を行う者がおり、それだけならまだ良いが、悪質な者だと、そのキャラクターが残酷且つ猟奇的な方法で虐待されている様子を描いたアスキーアート(AA)やSS(Short story)などの二次創作物を張り付けることを繰り返す場合もあり、これらの行為は﹁虐待﹂、それを行う者は﹁虐待厨﹂︵﹁~厨﹂は、好ましくないとされる人物を指すネットスラング︶と呼ばれる。この結果、知らずにスレッドを開いたファンが、自分の好きなキャラクターが誹謗中傷や﹁虐待﹂を受けている様子を見てしまい精神的ショックを受けたり、キャラクターのイメージダウンにつながり企業が間接的に損害を被ったりする可能性がある。 このような行為は最悪の場合でも掲示板の書き込み削除や投稿ブロックを受けるなどの処分で済むことがほとんどであるが、一方で、キャラクターのイメージダウンを恐れた著作権保有者から民事訴訟を起こされた例もあり、法的リスクが全くないとは言えない。 その他の嫌がらせとしては、不正なプログラムの散布が挙げられる。その効果は千差万別で、中にはコンピュータに深刻な不具合をもたらすものもある。詳細は﹁コンピュータウイルス﹂参照。 メールボムという嫌がらせもある。この行為は、ターゲットのメールアドレスを無断で出会い系サイトやメールマガジンに登録したり、専用のソフトウェアを使ったりして、ターゲットに大量のメールを送りつける嫌がらせのことである。 このほか、インターネット上で他人の写真や付随する情報︵本名・自宅住所など︶の無断公開や漏洩が﹁フォトハラ﹂と呼ばれるようになっている[38]。 これらの行為は、特定の人物への私怨や嫌悪感から行われることもあれば、相手を選ばず面白半分で行われることもある。近隣
編集近隣関係では、相手の言動を不快な嫌がらせとして認識しやすい。 騒音を出している住人の多くは意識せずその音を出していることが多い。そのため、苦情を指摘されてもかえってその人が憤るなど、近隣や自治会など深刻な問題に発展しやすい。 その他にも、﹁︵近所の住民に︶挨拶しても無視される﹂﹁仲間外れ﹂などの嫌がらせも存在し、﹁村八分﹂にあたるような行為は現在でも見られることがある。家庭
編集家庭内での嫌がらせも存在する。 特に、親子の相互関係にある。子から親への場合、多くは自分を見て欲しいといった甘えたかったり、反抗期から来る自立心の芽生えによるものである場合が多い。 もっぱら問題となっているのが、児童虐待である。自身の子供に手を上げる、全く子供について興味がないネグレクト、性的虐待などがある。こういった行為は、子供の将来に重大な傷を残す。児童虐待の派生として、兄弟姉妹の相互関係による嫌がらせ︵兄弟姉妹間の虐待︶がある。 配偶者同士で一方から他方への嫌がらせも存在する。物理的な暴行や傷害、無視やその他の言葉や態度での精神的な嫌がらせのどちらもがドメスティック・バイオレンス(DV)である。特定の企業および団体に対して
編集特定の企業や団体に対して、爆破予告等の嫌がらせ事件が起きる場合がある。たいていは警察が捜査しても爆弾は仕掛けられておらず愉快犯によるイタズラのままで終わる場合が多いが、三菱重工爆破事件のように、イタズラではなく本当に起きてしまったケースもある。公共交通機関
編集日本民営鉄道協会が2019年に行ったアンケート調査によると、迷惑行為ランキングの1位は﹁座席の座り方﹂であり、特に﹁座席を詰めて座らない﹂ことを迷惑と感じているという[39]。この他には、﹁乗降時のマナー﹂、﹁荷物の持ち方・置き方﹂、﹁スマートフォン等の使い方﹂、﹁騒々しい会話﹂などが上位であった。 1位となった開脚座りは特に男性に多く、別の調査では8割の人が﹁かなり迷惑﹂と答えた[40]。この迷惑行為は国際的に認知されており、公共交通機関において男性が開脚座りを行うことはマンスプレッディングと呼ばれている。 また、主に駅構内において意図的に女性に体当たりを行うぶつかり男も存在する。電車内においてドアの横の位置を陣取り、乗降客がいても動こうとしない人はドア横キープマンと言う。
統計
編集認知度
編集加害者・被害者
編集対策
編集各国政府など
編集日本
編集ILO
編集国際労働機関 (ILO)は2019年6月22日、職場での暴力やハラスメントを全面的に禁止する条約を採択した[46]。同条約は、ハラスメントを「身体的、精神的、性的、経済的危害を引き起こす行為と慣行」などと定義し、それらを「法的に禁止する」と明記。労働者だけでなく、求職中の学生やフリーランスなども保護の対象とした。日本は、この採択には賛成したものの、批准はしていない[47]。
フランス
編集フランスでは、ハラスメント、とりわけセクハラ対策がいち早く進んでおり、1992年に刑法で「セクハラ罪」が定義され、罰則規定が設けられた。その後、法改正を経て、2012年には「セクハラ法」が制定され、セクハラ定義の一層の明確化に加え、刑罰も「最長3年の拘禁刑」「最高4万5千ユーロの罰金」に厳罰化された。また、2001年には、職場におけるモラハラ防止策を盛り込んだ「社会近代化法」が成立した[46]。
スウェーデン
編集スウェーデンでは、1993年に雇用環境法体系の中で、「職場における虐待に対する措置に関する政令」として、世界で初めて職場いじめの予防が法制化された。職場いじめは、被用者に対して行われる直接的で繰り返し行われる非難されるべき、明らかな敵対的行為と定義され、いじめ予防の責務は使用者にあるとも定められており、労使間においてハラスメント行為が禁止されている[46]。
韓国
編集アメリカ
編集アメリカでは、ハラスメント禁止対策法のような法制化はされていない。これは、公民権法703条の、性別を理由として雇用を拒否または解雇する、もしくは報酬や条件などを差別待遇することを禁止する規定に、セクハラの禁止が含まれると解釈されているためである。判例では、職場でセクハラが発生した場合や、しかるべき措置を講じなかった場合について、使用者の責任を認めている。アメリカにおいては、パワハラに相当する行為は「mobbing」「bulling」などと呼ばれ、職場での集団いじめとして認識されており、セクハラや人種差別の4倍も見られる深刻な問題とされている[46]。
芸能界
編集リスペクト・トレーニング
編集インティマシー・コーディネーター
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集関連項目
編集- 私怨目的
- 金銭目的
- その他
- パワーハラスメント
- セクシャルハラスメント
- マタニティーハラスメント
- カスタマーハラスメント
- ヴェクサシオン:ピアノ曲。ヴェクサシオンとは「嫌がらせ」の意味。
- ハラスメント禁止条約
- 日本ハラスメントリスク管理協会