ホンダ・NSR500
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NSR500(エヌエスアールごひゃく)は、ホンダ・レーシング(HRC)が開発した、2ストローク500ccV型4気筒エンジンを搭載した競技専用のオートバイである。
概要
編集4気筒化でパワーのホンダへ
編集歴史
編集1984 - 1986年
編集約1年間の開発期間を経て登場した1984年モデルのTYPE-1は、通常はエンジンの真上にある燃料タンクがエンジン下にマウントされ、排気管をエンジンの上に通すという、独創的なレイアウトを採用。重い燃料タンクを車体下部に置いて重心を下げ、燃料の減少による操縦性の変化を抑えようという狙いがあったが、TYPE-1ではエンジン下の燃料タンク内に仕切り板を設けるなど前輪分布荷重を最後まで乱さない工夫をしていたが、それでもトランスアトランティックカップでのスペンサーの転倒でも判るように実際にはレース終盤になると前輪分布荷重が減り、相対的に後輪荷重が大きくなるという悪癖に悩まされ続けた。また、この特徴的なレイアウトによる熱害によるキャブレーション問題と、異常なほどの整備性の悪さも重なり、具体的には燃焼ガスによって高温に熱せられる排気チャンバーが吸気を熱してしまうというものだった。このキャブレーション問題をさらに詳しく言えば、ベルギーのスパ(第9戦)やオーストリアのザルツブルクリンク(第6戦)、ドイツのニュルブルクリンク(第5戦)などの標高の高いサーキットでは空気中の酸素濃度も薄くなるため熱害がさらに深刻になりプラグのカブりも酷くなって本来のパワーが出せないというものだった。また、整備性の問題はもっと酷く、通常であればエンジン上部にある燃料タンクを取り外せばアクセスできるエンジン周りが、排気チャンバーを外さないと整備やセッティング変更ができず、走行直後では、排気チャンバーは排気熱で非常に高温になっており、外すことも困難だったため、キャブレターのジェット変更やプラグ交換、プラグの焼け具合のチェックにすら苦難が伴ったというメンテナンス性の低さ等により、TYPE-1の独創的レイアウトは永く採用されなかった。翌1985年型のTYPE-2以降は燃料タンクがエンジンの上に、そして排気チャンバーはエンジン下を通る一般的なレイアウトに戻され、心臓部の2ストローク500ccエンジンは、1984年から1986年までシリンダー挟み角90度のV4エンジンで排気チャンバーは前方に伸びるレイアウトで、キャブレターは後方2気筒の背後に位置しており、1987年型のTYPE-D以降2002年の最終型まで挟み角112度のV4エンジンで排気チャンバーは前2気筒が前方、後2気筒が後方に伸び、キャブレターはVバンク内に位置するレイアウトとなった。ともに1軸クランクシャフトを採用。当初90度の挟み角で向かい合うシリンダーの間にキャブレターを配置する空間が取れず、後方2気筒の後ろにキャブレターを配置していた為、後方2気筒の排気ポートを前方に向けて取り回すより他はなく、排気チャンバーがエンジンの下側で複雑に絡み合う状態となっていた。
1987 - 1991年
編集1992 - 2002年
編集レース戦績
編集- 1985 WGP 500(フレディ・スペンサー)
- 1987 WGP 500(ワイン・ガードナー)
- 1989 WGP 500(エディ・ローソン)
- 1994 WGP 500(マイケル・ドゥーハン)
- 1995 WGP 500(マイケル・ドゥーハン)
- 1996 WGP 500(マイケル・ドゥーハン)
- 1997 WGP 500(マイケル・ドゥーハン)
- 1998 WGP 500(マイケル・ドゥーハン)
- 1999 WGP 500(アレックス・クリビーレ)
- 2001 WGP 500(バレンティーノ・ロッシ)
主なライダー
編集- フレディ・スペンサー
- ワイン・ガードナー
- エディ・ローソン
- ニール・マッケンジー
- マイケル・ドゥーハン
- ピエールフランチェスコ・キリ
- アレックス・クリビーレ
- ルカ・カダローラ
- マックス・ビアッジ
- ダリル・ビーティー
- アレックス・バロス
- ロリス・カピロッシ
- ロン・ハスラム
- アルベルト・プーチ
- カルロス・チェカ
- ジョン・コシンスキー
- バレンティーノ・ロッシ
- 八代俊二(NSR500の開発に貢献)
- 加藤大治郎
- 岡田忠之
- 伊藤真一(1991年度全日本選手権500ccクラスチャンピオン)
- 木下恵二(1986年度全日本選手権500ccクラスチャンピオン)
- 原田哲也
- 阿部典史(1993年度全日本選手権500ccクラスチャンピオン)
画像
編集-
1984年型NSR500(フレディ・スペンサー車)
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1985年型NSR500(フレディ・スペンサー車)
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1989年型NSR500(エディ・ローソン車)
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NSR500に乗るマイケル・ドゥーハン(1990年日本GP)
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1997年型NSR500(マイケル・ドゥーハン車)
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大きく設計変更を受けた2001年型NSR500(バレンティーノ・ロッシ車)
脚注
編集- ^ “2st最後の技術革新は4st化だった-ビッグバンエンジンと同爆-|バイク豆知識”. https://bike-lineage.org. 2019年3月9日閲覧。
- ^ 『Honda Motorcycle Racing Legend vol.2』(八重洲出版) ISBN 978-4-86144-091-5