メッセージ (映画)
アメリカ合衆国の SF 映画
﹃メッセージ﹄︵Arrival︶は、テッド・チャンの短編小説﹁あなたの人生の物語﹂を基にエリック・ハイセラーが脚本を執筆し、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務めた2016年のアメリカ合衆国のSFドラマ映画である。出演はエイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカーらである。
メッセージ | |
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Arrival | |
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監督 | ドゥニ・ヴィルヌーヴ |
脚本 | エリック・ハイセラー |
原作 |
テッド・チャン 「あなたの人生の物語」 |
製作 | |
製作総指揮 |
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出演者 | |
音楽 | ヨハン・ヨハンソン |
撮影 | ブラッドフォード・ヤング |
編集 | ジョー・ウォーカー |
製作会社 | |
配給 |
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公開 |
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上映時間 | 116分 |
製作国 |
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言語 |
英語 中国語 |
製作費 | $50,000,000[1] |
興行収入 |
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主要撮影は2015年6月7日よりカナダのモントリオールで行われた。2016年9月1日にヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映された後、2016年11月11日よりパラマウント映画配給でIMAXを含む劇場で公開された。日本では、第29回東京国際映画祭・特別招待作品として先行上映が行われ、2017年5月19日に全国公開された[4]。
あらすじ
編集「あなたの人生の物語#プロット」も参照
世界各地に謎の宇宙船が現れ、言語学者のルイーズ・バンクス︵エイミー・アダムス︶、物理学者のイアン・ドネリー︵ジェレミー・レナー︶、アメリカ陸軍大佐のウェバー︵フォレスト・ウィテカー︶たちが調査を始める。
ルイーズとイアンはウェバーらが指揮する宿営地に加わる。そこでの任務は宇宙船の中にいる2体の地球外生命体﹁ヘプタポッド﹂と交信して、飛来の目的を探ることだった。試行錯誤の末、墨を吹き付けたようにして描かれるヘプタポッドの文字言語の解読がはじまる。並行して、ルイーズは母となった自分が、病で死んでいく娘を持つ光景のフラッシュバックに悩まされる。過去の記憶のように感じられるが、彼女は娘を持ったことがない。
結論を急ぐ政府の要請を受け、ルイーズがヘプタポッドに飛来の目的を尋ねると、﹃人類に﹁武器=道具﹂を与えるため﹄と読み取れる返答があった。中国軍がこの情報を受け取り、ヘプタポッドを脅威と見なし、対ヘプタポッド戦争の準備に入る。
ルイーズとイアンは慌ててヘプタポッドと再度対面に向かうが、開戦派の一部将校が仕込んだ爆弾がそこで爆発する。二人はヘプタポッドにより助けられ、複雑で巨大なメッセージを受け取る。彼らは解読を始めるが、その頃世界では各国が中国に続く動きをして、全面戦争が始まる寸前になっていた。
ルイーズは一人円盤に乗り込み、そこでヘプタポッドが地球に来た理由を知らされる。彼らは3000年後に人類から助けられるため、贈り物をするのだという。ルイーズはヘプタポッドが時間を超越していること、フラッシュバックしていたのは自分の未来であることも知る。
ルイーズはヘプタポッドの言語を学ぶにつれ、ヘプタポッドのように未来を認識することができるようになっていた。開戦が迫る中、ルイーズは中国軍のシャン上将に電話して説得を試みる。誰も知らないはずの妻の死ぬ間際のメッセージを伝えられたシャン上将は説得に応じ、戦争は食い止められた。各地の宇宙船は次々と空に消える。ルイーズは後にパーティー会場でシャン上将と初対面し、彼を説得する決め手となった情報を受け取るのであった。
役目を終えて撤退する宿営地の脇でイアンがルイーズに結婚を申し込む。将来娘とイアンを失う運命を避けられないと知りながらルイーズはプロポーズを受け入れる。
キャスト
編集※括弧内は日本語吹替[5]
- ルイーズ・バンクス - エイミー・アダムス(中村千絵)
- イアン・ドネリー - ジェレミー・レナー(加瀬康之)
- ウェバー大佐 - フォレスト・ウィテカー(立木文彦)
- ハルパーン捜査官 - マイケル・スタールバーグ(石原辰己)
- マークス大尉 - マーク・オブライエン(川原元幸)
- シャン上将 - ツィ・マー(堀越富三郎)
製作
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企画は遅くとも2012年11月の段階で始まっており[6]、フィルムネーション・エンターテインメントが関与していた[7]。2014年5月にパラマウントは北米での映画の権利を獲得したことを発表し[8]、2015年3月6日にはジェレミー・レナーがアダムスと共にエイリアンとのコミュニケーションを試みる物理学教授役でキャストに加わった[9]。2015年4月1日にフォレスト・ウィテカーが出演契約を交わし、さらに2015年6月にはマイケル・スタールバーグがCIA捜査官のハルパーン役で加わった[10][11]。2016年6月、原題が原作と同じ﹃Story of Your Life﹄から﹃Arrival﹄に変更されたことが報じられた[12]。
撮影
編集レナーが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を終えた直後[9]である2015年6月7日よりカナダケベック州モントリオールで主要撮影が始まった[13][14]。
音楽
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音楽はヨハン・ヨハンソンが担当した[15]。ヨハンソンが監督のヴィルヌーヴとコラボレートするのは本作品で3回目だった[15]。オープニングとエンディングの曲はマックス・リヒターの作品 "On the Nature of Daylight" である[16]。ヨハンソンによれば、始まりと終わりのシーンのリヒターの曲とその他のシーンのヨハンソンの曲のあいだには強いコントラストがある[16]。
終盤のレセプションの場面では、ドヴォルジャークの弦楽セレナーデ ホ長調 Op.22 第4楽章ラルゲットの一部が印象的に使われている。演奏は、ブノワ・フロマンガー指揮/ベルリン室内プレイヤーズ。︵1h38m58s~1h40m47s ルイーズがシャン上将から、彼の妻の最期の言葉を聞く、作品のキイとなるシーンである︶
マーケティングと公開
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2016年8月にティーザー予告が公開され、その翌週には1本目の公式予告が公開された[17]。
プレミア上映は2016年9月1日にヴェネツィア国際映画祭で行われた[18]。またトロント国際映画祭でも上映された[19][20]。北米では2016年11月11日より劇場公開された[21][22]。
日本ではキービジュアルのポスターが公開された後、本作に登場する宇宙船のデザインがスナック煎餅﹁ばかうけ﹂に酷似していることがSNSを中心に話題となった。監督ヴィルヌーヴはこれを受けて日本での公開直前、日本向けのスペシャルメッセージをYouTubeで公開し、﹁ご推察の通り、宇宙船のデザインは﹃ばかうけ﹄に影響を受けたものだ﹂とジョークを交えてコメントした[23]。一方、ばかうけを製造販売する栗山米菓では、本社敷地内の﹁ばかうけ稲荷﹂で本作の﹁ばかうけ﹂を祈願した[24]ほか、ばかうけとのコラボポスターも公開された[25]。
評価
編集受賞
編集年 | 映画賞 | 賞 | 対象 | 結果 | 出典 |
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2016 | 第22回クリティクス・チョイス・アワード | SF/ホラー映画賞 | 受賞 | [26][27] | |
主演女優賞 | エイミー・アダムス | ノミネート | |||
監督賞 | ドゥニ・ヴィルヌーヴ | ノミネート | |||
第16回ニューヨーク映画批評家オンライン賞 | 今年の映画ベスト12 | 選出 | [28] | ||
2017 | 第74回ゴールデングローブ賞 | 主演女優賞 (ドラマ部門) | エイミー・アダムス | ノミネート | [29][30] |
音楽賞 | ノミネート | ||||
第21回美術監督組合(ADC賞) | ファンタジー映画部門 | ノミネート | [31] | ||
2017年度全米脚本家組合賞 | 脚色賞 | 受賞 | [32] | ||
第70回英国アカデミー賞 | 作品賞 | ノミネート | [33] | ||
監督賞 | ドゥニ・ビルヌーブ | ノミネート | |||
主演女優賞 | エイミー・アダムス | ノミネート | |||
脚色賞 | エリック・ハイセラー | ノミネート | |||
撮影賞 | ノミネート | ||||
編集賞 | ノミネート | ||||
作曲賞 | ノミネート | ||||
音響賞 | 受賞 | ||||
視覚効果賞 | ノミネート | ||||
第28回全米製作者組合賞 | 映画部門 | ノミネート | [34] | ||
全米撮影監督協会賞 | 映画部門 | ブラッドフォード・ヤング | ノミネート | [35] | |
第89回アカデミー賞 | アカデミー音響編集賞 | Sylvain Bellemare | 受賞 | [36] | |
アカデミー作品賞 | ノミネート | ||||
アカデミー監督賞 | ドゥニ・ビルヌーブ | ノミネート | |||
アカデミー脚色賞 | ノミネート | ||||
アカデミー録音賞 | ノミネート | ||||
アカデミー撮影賞 | ノミネート | ||||
アカデミー編集賞 | ノミネート | ||||
アカデミー美術賞 | ノミネート |
トリビア
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劇中でルイーズは、カンガルーという言葉は先住民族の”意味が分からない”を語源としていると語っているが、劇中でも語られているように、これはあくまで俗説であり、実際には、先住民族の言語で”跳ぶもの”を語源としている。[37]
関連書籍
編集- 『ドゥニ・ヴィルヌーヴの世界 アート・アンド・サイエンス・オブ・メッセージ』 著:タニア・ラポイント 序文:テッド・チャン 訳:阿部清美、DU BOOKS、2023年2月、ISBN 978-4866471686。
出典
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(一)^ “Story of Your Life (2016)”. The Numbers. 2016年6月21日閲覧。
(二)^ “Arrival (2016)”. Box Office Mojo. 2017年1月29日閲覧。
(三)^ ﹃キネマ旬報﹄2018年3月下旬 映画業界決算特別号 p.32
(四)^ “未知なる飛行物体からのメッセージとは?予告編解禁”. ORICON STYLE. (2016年9月26日) 2016年9月26日閲覧。
(五)^ “メッセージ”. 2017年12月27日閲覧。アーカイブ 2017年12月27日 - ウェイバックマシン
(六)^ “New Sci-Fi Thriller, Story Of Your Life, Has A Great Concept And Fresh Funding”. bleedingcool.com. (2012年11月27日) 2013年6月23日閲覧。
(七)^ “Shawn Levy To Tell Story Of Your Life”. empireonline.com. (2013年11月28日) 2013年6月23日閲覧。
(八)^ “Cannes: Paramount Confirms ‘Story Of Your Life’ Acquisition; $20 Million Is Fest Record Deal”. Deadline. (2014年5月14日)
(九)^ abKit, Borys (2015年3月6日). “Jeremy Renner Joins Amy Adams in Sci-Fi 'Story of Your Life' (Exclusive)”. hollywoodreporter.com 2015年3月8日閲覧。
(十)^ Kroll, Justin (2015年4月1日). “Forest Whitaker Eyes ‘Story of Your Life’ With Amy Adams (EXCLUSIVE)”. variety.com 2015年6月9日閲覧。
(11)^ White, James (2015年6月17日). “Michael Stuhlbarg Joins Story Of Your Life”. Empireonline 2015年6月20日閲覧。
(12)^ “Denis Villeneuve’s ‘Story Of Your Life’ Reportedly Retitled ‘Arrival’; Opens In The U.K. This Fall”
(13)^ “On the Set for 6/8/15: Paul Feig & Melissa Mccarthy Start Shooting Ghostbusters, Ryan Reynolds Finishes Off Deadpool & More”. ssninsider.com. (2015年6月8日). オリジナルの2015年6月10日時点におけるアーカイブ。 2015年6月9日閲覧。
(14)^ “Amy Adams, Jennifer Garner spotted in Montreal as Hollywood filming heats up”. Montreal Gazette. (2015年6月7日)
(15)^ abArrival composer Jóhann Jóhannsson: 'People are hungry for new sounds'|Music|The Guardian Sharon O'Connell 26 November 2016 09.00 GMT
(16)^ abJóhann Jóhannsson Talks About His Arrival Music November 11th, 2016 by Jacob Hall
(17)^ “‘Arrival’ Official Trailer: Amy Adams and Denis Villeneuve Make Alien Contact In Ambitious Sci-Fi Drama”. Indiewire. 2016年8月18日閲覧。
(18)^ Vivarelli, Nick (2016年7月21日). “Tom Ford’s ‘Nocturnal Animals,’ Villeneuve’s ‘Arrival,’ new Kusturica Headed for Venice (EXCLUSIVE)”. Variety. 2016年7月21日閲覧。
(19)^ Erbland, Kate (2016年7月26日). “TIFF Reveals First Slate of 2016 Titles, Including ‘Magnificent Seven,’ ‘American Honey,’ ‘La La Land’ and ‘Birth of A Nation’”. Indiewire.com. 2016年8月8日閲覧。
(20)^ “Arrival”. Toronto International Film Festival. 2016年8月8日閲覧。
(21)^ “Denis Villeneuve’s ‘Story of Your Life’ Gets Possible New Title, UK Release Date”
(22)^ Hipes, Patrick (2016年6月16日). “Paramount Dates Its Splashy Amy Adams Sci-Fi Tale ‘Arrival’ For Awards Season”. Deadline.com. 2016年6月16日閲覧。
(23)^ “﹁メッセージ﹂監督が語る、宇宙船デザインは﹁ばかうけに影響受けた﹂- 映画ナタリー︵株式会社ナターシャ︶” (2017年5月16日). 2017年5月16日閲覧。
(24)^ “映画﹃メッセージ﹄大ヒット祈願しました!” (2017年5月16日). 2017年5月22日閲覧。
(25)^ “﹁メッセージ﹂×ばかうけ“公式”コラボポスター完成!販売会社社長﹁運命感じた﹂” (2017年5月16日). 2017年5月22日閲覧。
(26)^ “﹃ラ・ラ・ランド﹄最多!放送映画批評家協会賞ノミネーション発表”. シネマトゥデイ. (2016年12月5日) 2016年12月13日閲覧。
(27)^ “﹁セッション﹂監督の新作﹁ラ・ラ・ランド﹂放送映画批評家協会賞で8冠”. 映画ナタリー. (2016年12月12日) 2016年12月13日閲覧。
(28)^ “NY映画批評家オンライン賞は﹁ムーンライト﹂が作品賞含む6冠”. 映画.com. (2016年12月13日) 2016年12月14日閲覧。
(29)^ “ゴールデン・グローブ賞ノミネーション発表!﹃ラ・ラ・ランド﹄が最多7部門︵1/3︶”. シネマトゥデイ. (2016年12月12日) 2016年12月13日閲覧。
(30)^ “ゴールデン・グローブ賞発表!最多は﹃ラ・ラ・ランド﹄!ノミネートされた7部門全てで受賞︵1/2︶”. シネマトゥデイ. (2017年1月9日) 2017年1月10日閲覧。
(31)^ “第21回米美術監督組合賞ノミネート発表”. 映画.com. (2017年1月10日) 2017年1月10日閲覧。
(32)^ “﹃デッドプール﹄全米脚本家組合賞にノミネート!脚色賞候補入り!︻第89回アカデミー賞︼”. シネマトゥデイ. (2017年1月5日) 2017年1月12日閲覧。
(33)^ “英国アカデミー賞ノミネート発表﹁ラ・ラ・ランド﹂が最多11部門”. 映画.com. (2017年1月11日) 2017年1月11日閲覧。
(34)^ “米製作者組合賞ノミネート発表 ﹁デッドプール﹂も候補入り”. 映画.com. (2017年1月12日) 2017年1月12日閲覧。
(35)^ “﹃沈黙﹄﹃ラ・ラ・ランド﹄も!全米撮影監督協会賞ノミネーション”. シネマトゥデイ. (2017年1月17日) 2017年1月17日閲覧。
(36)^ “The 89th Academy Awards (2017) Nominees and Winners”. Academy of Motion Picture Arts and Sciences (AMPAS) 2017年2月26日閲覧。
(37)^ “カンガルーに関する豆知識”. オーストラリア政府観光局. (2024年1月27日) 2024年6月23日閲覧。
外部リンク
編集- 日本語公式ウェブサイト - ソニー・ピクチャーズ
- メッセージ - allcinema
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- Arrival - IMDb
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