ルーター

コンピュータネットワークにおいて、データを2つ以上の異なるネットワーク間に中継する通信機器
ルータから転送)

: router2TCP/IP使
 27Tbps 

OSI13IP3

 (ISP) 

 (OS) JUNOSExtremeXOSOSUnixCisco IOSIOS XRUNIX2005OSSDebianLinuxVyattaAlliedWare PlusLinuxLinux[1]
TCP/IPの階層構造
TCP/IPの階層構造

歴史

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前史

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ルーターの原型となったIMP

1964MITARPAAdvanced Research Projects AgencyDARPAJ.C.1966ARPAARPANET1968ARPANET19704ARPANETBBN (Bolt Beranek and Newman) IMP (Interface Message Processor) 1972ARPA19742IEEETCP/IPTCP19771980使[2]

2TCP (TCP)  (IP) 1981TCP/IP

誕生

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1976BNNARPANETIPDEC16PDP-1120K100/[3]

1982ARPANET201[2]

商用販売

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1986ProNET p42001990Cisco70001997Cisco1200010M/

1987 (ISP) UUNETDCEDTE[1]

1995ISDNCATVX.25WAN#

LANFDDI (Fiber-Distributed Data Interface) (AppleTalkIPIPX) WANLANWAN使WAN (DTE) WANISPWANDCEDTE

LANの普及とWANの高速化

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1995TCP/IPOSWindows 95PCLANISPPCLAN22便VLAN (Virtual LAN) 

ISDN1990[2]

レイヤ3スイッチの誕生

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VLANLAN

3212CPU使ASIC (Application Specific Integrated Circuit) [3]TCP/IPIP-VPNWAN

320003Summit3[6]

専用線から仮想線へ

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2000年頃から、企業ネットワークの主流がこれまでの専用線から、より安価で接続範囲を限定されないインターネットによるVPN (Virtual Private Network) に移行した。通信業者はMPLSVRによる有料サービス「IP-VPN」を提供したが、企業や個人にも独自にVPN環境を構築する動きが広がり、IPsecトンネルやPPTPを経路とするインターネットVPNを実装するエッジルーターやブロードバンドルーターが開発された。

2002年には、データリンク層をギガビットイーサネットで繋ぐ、広域イーサネットによるサービスが広まり、そのデバイスとしてレイヤ2スイッチが再度注目されることとなった。

次世代ネットワークによるオールIP化

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2000IP3 (IMT-2000) IP (NGN) IP2010640Gbps/100Gbps2IEEE 802.3ba40Gbps100Gbps使

分類

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コアルーターの一部。黄色いケーブルは10ギガビットイーサネット用光ファイバー。
 
IPsec VPN 対応ルーター(主に拠点間で使用される小型ルーター)

規模やネットワーク上で使用される位置によってルーターが分類されており、それぞれ名称が変わる。いずれもルーターとしての機能は同じである。以下に規模の大きな物から順に示す。

コアルーター

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ISPISP (P) 

センタールーター[注 4]

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WANを介して、企業のネットワークや、ISPと企業のネットワークを相互接続する。ISP・企業間でともに利用されるエッジルーターを、便宜上センタールーターと呼称する。立地条件により、プロバイダーエッジルーター (PE)、カスタマーエッジルーター (CE) とも呼ばれる。高速なパケット処理を必要とする場合、L3スイッチもしくはギガビットイーサネット対応L2スイッチに置き換えられることがある。

エッジルーター

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基幹ネットワークの端に設置されるルーター。企業の支店や営業所内のネットワークをWAN回線に繋ぎ、本社のセンター・ルーターにアクセスする。

ダイヤルアップルーター

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NTT-MEのダイヤルアップルーター「MN128 SOHO」

WANISDNINS64NTT-TENTT-MEMN128 SOHO[7]RTA50i

ISDNPCISP

LANDHCPIPNAT#

2001ADSLNTTISDN



MN128 SOHOPAL B&IIB3PCLANWAN使SlotinIB3SlotinLANPCFOMAPHS

ブロードバンドルーター

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無線LANアクセスポイント内蔵ブロードバンドルーター

WANWAN

2010ADSLFTTH使ADSLONU[8]

ISP使

ISP(FVNE)ISPISPIPv4IPv4IPv6[5]2010IPv6

IPDNSBitTorrent

ISP

[6]2010CPU

LANLANLAN[10]


モバイルWi-Fiルーター

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Wi-FiLAN使

基本機能

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ルーターの基本機能は4つある。

接続(インターフェース)

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ADSLルーターの接続ポート

LANWAN2


WAN
ISDN PRI/BRI


WANHDLCPPPX.25/LAPBATM[16]

 (Ethernet) - 
AUI - 10BASE5

RJ-45 )

InfiniBand



LAN
 - LAN

 (Ethernet)
RJ-45 



RJ-45 

RS-232

[17]ATM使WAN (DTE) [18]

経路選択と転送

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 (Routing)  (Forwarding) 

IPv4

(一)IPIP (Destination Address) 

(二) (Nexthop) IP2調

(三)ARPARPMACARPARP (Source Address)  (ICMPHost Unreachable) 

(四)

(五) (Interface) 

(六) (Source Address)  (ICMPNet Unreachable) 

[19]

ARP3 (Control Plane) CPUARPASIC32 (Data Plane) ASIC

選別

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WANIPQoS (Quality of Service) LAN



IPTCP/UDPURLIP[12][20]

QoS

QoSLANWAN[13]


IPIPPriority Queuing[14]



 (Policing)  (Shaping) [15]

管理

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[21]



 (Static Route)  (Dynamic Route) 

[22]

2 (AS) 使EGP (Exterior Gateway Protocol) AS使IGP (Interior Gateway Protocol) EGPBGP-4IGPRIPOSPF

ICMP[23] 2RIPOSPFBGP

内部処理

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[17]

4[18]
分散アーキテクチャ
複数のパケット処理エンジンをクロスバー・スイッチ(スイッチカード)で接続する。複雑なルーティング処理をコントロールプレーンで実施し、単純なパケット処理をデータプレーン(フォワーディングプレーン)のスイッチ用LSIとパケット処理エンジンで分散することで処理を高速化するアーキテクチャ。高拡張性、高価格、処理エンジンのI/O負荷が高いため電力量が多い。
集中アーキテクチャ
データプレーンでのパケット処理を、1つのパケット処理エンジンに集中させ処理をおこなう。分散アーキテクチャに比べシンプルな構造。

受信

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受信した信号をインターフェース回路がビット列に変換し、受信処理を行うパケット処理エンジンに入力データを渡す。パケット処理エンジンでは受け取ったIPフレームをあらかじめ区切られたルーティングテーブル用メモリバッファに蓄積する。この入力バッファ領域は1フレームが十分に収まる長さごとに区切られている。メモリーのサイズは限りがあるため、転送処理が滞って後から来たパケットがメモリーに格納出来なくなればそのパケットは破棄される。これが「パケット・ロス」と呼ばれる現象である。

解析

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パケット処理エンジンは、ルーティングテーブル用メモリに蓄積されたIPパケットのヘッダーを読み取り、ルーティングテーブルの検索をおこない、出力先インターフェースを決める。同時にQoSとアクセス制御リストを参照する。条件にあえばその処理を行う。解析で得られた情報は、パケットバッファ用メモリのIPパケットに付加しておく。

ルーティングテーブル検索方法

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ルーティングテーブルの検索方法は3種類ある。

加工

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加工されたパケットは以下のように処理される。

  • パケットをスイッチングする。
  • 出力制御部のキューへFIFOにより送信する。
  • 出力回線ごとに備えた複数のFIFOはQoSに従い、パケットを蓄積する。
  • スケジューラによりFIFOからパケットを読み出して出力する。

送出

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パケットの送出を担当するパケット処理エンジンは、各種テーブルメモリからパケットを読み出して、「解析」処理で得られたQoSにより、出力インターフェイスを振り分け、パケットバッファ用メモリに蓄積する。スケジューラにより、パケットバッファ用メモリからパケットを読み出して出力する。

冗長化技術

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 (redundant configuration)

3VRRP

VRRP : 12使使

VRRPVRRP

HSRP (Hot Standby Router Protocol) : RFC2281

VRRP-E (VRRP-Extend) : FoundryBroadcom

FSRP (Foundry standby router protocl) : Foundry

ESRP (Extreme Standby Router Protocol) : Extreme Networks

NSRP (NetScreen Redundancy Protcol) : NetScreen TechnologiesJuniper Networks

en:Link aggregationCiscoEtherChannel1使

 (Spanning Tree Protocol, STP)  (Rapid Spanning Tree Protocol, RSTP) 使

新しいネットワーク・サービス技術

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2008年現在では、ルーターを含む大規模なネットワークの利便性向上のためにさまざまな技術が生まれている。下記にルーターに関係が深い技術を示す。

MPLS (Multi protocol label switching) は、MACヘッダーの後ろにMPLSシム・ヘッダーと呼ばれるラベルを付加して、MPLS対応ルーター同士での転送先識別に利用する。MPLS対応ルーター同士はLPS(ラベル・スイッチ・パス)と呼ばれる仮想パスで結ばれる。レイヤー3スイッチと違い、ルーターの使用によって優先制御や帯域制御といった機能、特定のパケットだけを別経路にう回させたり、回線障害の発生時に瞬時(数ミリ秒)に迂回路を設定する「ファスト・リルート」機能などによって高い利便性が提供される。

VPLS (Virtual private LAN) はMPLSを利用したMACアドレスを転送先アドレスとして使用する、ルーターによって構成される広域イーサネット技術。企業のローカル拠点のLANをVPLS網に繋ぐことで、そのままイーサネットのMACフレームによるやり取りが行える。VPLS網の端に位置するエッジ・ルーターはMACアドレスとパスの対応表を持ち、ローカルLANから受け取ったフレームのパケットの宛先MACアドレスからパスを見付け出してラベルを付けてVPLS網に送り出す。コア・ルーターでは、ラベルだけを頼りにフレームを転送してMACアドレスは扱わない。ローカルLANから見れば、VLPSネットワークは大きなLANスイッチと同じように機能する。MPLSの利点であるQoS機能やファスト・リルート機能が提供される。

SD-WAN

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詳しくはSD-WAN参照

ソフトウェア定義広域ネットワーク。インターネットなど、物理的なデータ通信回線上に仮想ネットワークとして拠点間通信網を構築する複数の技術で構築する仕組み。2024年現在では遠距離の拠点間接続の仕組みとして導入が進んでいる[19][20]

脚注

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注釈

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(一)^ CATVADSL[4]

(二)^ [5]

(三)^ 2ASIC

(四)^ 使

(五)^ 20102010IPv6/IPv4 over IPv6

(六)^ PC[9]

(七)^ 2010IPv6IPv6 IPoEIPv4 over IPv6

(八)^ ISP(FVNE)

(九)^ IPv6 IPoEv6VNE/ISPNGNRAVNE/ISP

(十)^ IPv4 over IPv6VNEISP

(11)^ BBR

(12)^ IP 

(13)^ 

(14)^ HGWISP

(15)^ 2010CPUDNS

(16)^ Infonetics ResearchEthernetIP2015ATM[11]

(17)^ 

(18)^ FRAD (Frame Relay Access Device)  (DCE) 

(19)^ IPIPTTLTime To LiveIP寿1NAT/NAPTIPIP

(20)^ cisco (Access Control List) 

(21)^ 

(22)^ cisco (advertisement) 

(23)^ RT[16]

出典

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(一)^ Layer3 Switching Overview (PDF) p.6

(二)^ abNETWORK 20051

(三)^ 

(四)^ Amazingly, AOL still has 3.5 million dialup subscribers

(五)^  (PDF) 

(六)^ LAN 2009813

(七)^ MN128-SOHO20090505

(八)^ ONUONU - UTPONUWANLANUTP

(九)^  

(十)^ LANWEP60. ITmedia NEWS. 2021120

(11)^ EthernetIP MPLS VPN2016810 2012727

(12)^ 

(13)^ QoS

(14)^ 2012117

(15)^    (PDF) 

(16)^ [1]

(17)^ 0545IP (PDF) 

(18)^ NETWORK 20048 P6820121214

(19)^ SD-WAN使 SDCIBUSINESS NETWORK. BUSINESS NETWORK (2023220). 2024410

(20)^ xTECH. SDWAN . xTECH. 2024410

参考文献

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  • 『図解CCNA対策教本実践ネットワークワークショップ―Cisco技術者認定 640‐607J対応』(秀和システム、2003年3月) ISBN 4-7980-0509-6

関連項目

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