元日
一年の始めの日、日本の国民の祝日
元日︵がんじつ︶は、新年を迎える年の最初の日。日付はグレゴリオ暦では1月1日︵日本の改暦前、太陰太陽暦では旧暦の正月一日︶。元旦︵がんたん︶ともいうが、この場合は特にその日の朝を指すこともある[1]。
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暦法と元日
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元日は正月の新年を迎える年初の日である。しかし、年は繰り返すもので、どの季節を年初にしても記年法上問題はなく、太陽暦︵特にユリウス暦やグレゴリオ暦︶では1月1日そのものに天文学的な意味は特にない[2]。
なお、1月1日以外を年初とする暦法も存在する[2]。太陽暦に基づきながらも、元日が1月1日ではない暦法もあった。例として、フランス革命暦では、葡萄月︵ヴァンデミエール︶1日が元日とされた。その日はグレゴリオ暦では9月22日から9月24日の間と、グレゴリオ暦1月1日とは大きなずれが生じていた(実際、フランス革命暦最終日となった1805年12月31日はフランス革命暦14年雪月︵ニヴォーズ︶10日であり、これは葡萄月を1月、果実月︵フリュクティドール︶を12月と数えると、4月10日に相当する)。
各国の元日
編集日本
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日本では明治から大正・昭和前期まで皇室行事である四方拝にちなみ、﹁四方節︵しほうせつ︶﹂と呼ばれて祝祭日の中の四大節︵紀元節、四方節、天長節、明治節︶の一つとされてきた。
1948年︵昭和23年︶公布・施行の国民の祝日に関する法律︵昭和23年7月20日法律第178号︶第2条により、四方節に代わって﹁年のはじめを祝う﹂ことを趣旨とする国民の祝日となった。
日本各地では、元日の1月1日から1月3日まで︵三が日︶、または﹁松の内﹂[注1] までを特に﹁お正月︵おしょうがつ︶﹂と呼んでこれを尊重し、毎年この時期独特の行事や慣習が執り行われる。
かつてはほとんどの店舗が休みであったが、1990年代にダイエーが日本のスーパーマーケットとして初めて元日営業を開始し、2013年にはそごう・西武が、大手百貨店として初めて元日営業を開始した。
中華圏
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太陰太陽暦等による中国暦を使用していた王朝時代の中国では、それらの暦を基準として新年を祝っていた。中華民国では、孫文が臨時大総統に就くと、黄帝紀元4609年11月13日︵1912年1月1日︶を中華民国元年元旦とすると宣言した[3]。ただ、新年を祝う行事は今でも旧暦に基づいて行われ、春節と呼ばれる。
中華民国︵台湾︶では、1月1日は﹁開国記念日﹂として休日になる。また、中国大陸、香港、マカオなども1月1日は休日である。
フィリピン
編集元日と元旦
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﹁元日﹂に類似する言葉として﹁元旦﹂があり、﹁元日﹂と同じ意味を指す場合と、﹁元日の朝﹂を指す場合がある。﹃日本国語大辞典﹄等では、﹁元旦﹂は﹁元日﹂と﹁元日の朝﹂の両方の意味を持つとしている[1]。﹃デジタル大辞泉﹄では両方の意味を紹介しつつも、﹁旦﹂が﹁朝・夜明け﹂の意であることをもって、﹁﹃元旦﹄を﹃元日﹄の意で使うのは、本来は誤り﹂としている[5]。
しかし、﹃新撰漢和辞典﹄は、﹁旦﹂という漢字自体に﹁いちにち﹂という意味があるとしている。それらの用法の事例として、﹁月の初めの日﹂を表す﹁月旦﹂[6]や、﹁よい日﹂を表す﹁吉旦﹂[7]がある。
日本の中世における文献では、室町中期の文明本節用集が、
元旦 ゲンタン 正月一日
とする一方、17世紀の日葡辞書は、正月の﹁アシタ﹂︵朝︶と語釈する。
また、近代以降の国語辞典においては、﹃新註漢和大辞典 : 熟語詳解﹄︵1913年︶は﹁正月元日のあしたをいふ﹂と、元日の朝を指すと説明する一方で[8]、より古い﹃言海﹄︵1889-1891年︶は﹁ぐわんにちニ同ジ﹂[9]、﹃帝国大辞典﹄︵1896年︶は﹁元日といふにおなじ﹂[10]と、単に元日と同義語であると紹介する例もみられる。
その他、坂口安吾の﹃新春・日本の空を飛ぶ﹄︵1951年︶において
元旦正午、DC四型四発機は滑走路を走りだした。
のような用例が見られる。
﹁元旦﹂は中国語から日本語へと輸入された語彙であるが、現代中国語で元旦は1月1日を指し、﹁元日の朝﹂という意味は存在しない。例えば、中華民国︵台湾︶の国語辞典では、﹁一年的第一日﹂︵1年の最初の日︶と記されている[11]。
宋代の中国語文献においても
正月朔日,謂之元旦,俗呼為新年。︵正月の一日は、元旦といい、俗に新年とも呼ぶ︶
といった﹁元日﹂の意での用例が見られる[12]。
甲骨文字の﹁旦﹂の形
なお﹁旦﹂という文字の形について、﹃説文解字﹄では﹁从日見一上。一,地也﹂と説明されており、またそこから発展して﹁太陽︵日︶が地平線︵一︶から昇ったさまを象る﹂と説明されることがあるが、これらは隷書や楷書などの後世の形に基づく俗説である。甲骨文字や金文の形を見ればわかるように、﹁旦﹂の下端の横線は﹁囗﹂︵この要素は単独では後の﹁丁﹂字に対応する︶を簡略化したもので、地平線とは関係がない。[13][14][15][16]
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元日の行事
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●全国の郵便局で年賀はがきの配達出発式
●四方拝
●ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート - 毎年元日にウィーン楽友協会の大ホールで行なわれている。
●全日本実業団対抗駅伝競走大会︵ニューイヤー駅伝︶ - 1988年︵昭和63年︶の第32回大会より元日に開催されている。
●天皇杯全日本サッカー選手権大会 - 1968年度︵昭和43年度︶の第48回以降、2014年度︵平成26年度︶の第94回と2018年度︵平成30年度︶の第98回、2021年度︵令和3年度︶の第101回以降を除いて元日に決勝戦が開催されている。
脚注
編集注釈
編集出典
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(一)^ ab日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編﹃日本国語大辞典﹄第二版、小学館 2003年 ISBN 4095219017
(二)^ ab“1年の始まり”. 国立天文台 天文情報センター 暦計算室. 2017年4月16日閲覧。
(三)^ 宏觀周報﹃孫中山的革命之路﹄行政院僑務委員會、2016年。
(四)^ “新年のお祭り騒ぎ、ドゥテルテ大統領への恐怖で負傷者減 比”. AFP (2017年1月2日). 2017年4月16日閲覧。
(五)^ “﹁元旦﹂の意味”. goo国語辞書. 2024年5月9日閲覧。
(六)^ “﹁月旦﹂の意味”. goo国語辞書. 2024年5月9日閲覧。
(七)^ “﹁吉旦﹂の意味”. goo国語辞書. 2024年5月9日閲覧。
(八)^ 中村徳五郎﹃新註漢和大辞典 : 熟語詳解﹄松雲堂、1913年、133頁。
(九)^ 大槻文彦﹃言海 : 日本辞書 第1-4冊﹄大槻文彦、1889-1891、304頁。
(十)^ 藤井乙男, 草野清民 編﹃帝国大辞典 第1版﹄三省堂、1896年、581頁。
(11)^ “辭典檢視 ﹁元旦 : ㄩㄢˊ ㄉㄢˋ﹂”. 教育部重編國語辭典修訂本. 2024年5月9日閲覧。
(12)^ ﹃夢粱録 第1巻﹄︵維基文庫︶自由的圖書館︵中国語版ウィキソース︶
(13)^ 張世超; 孫凌安; 金国泰; 馬如森 (1996), 金文形義通解, 京都: 中文出版社, pp. 1659–61
(14)^ 季旭昇 (2014), 説文新証, 台北: 芸文印書館, pp. 538–9, ISBN 978-957-520-168-5
(15)^ 李守奎 (2019), 漢字為什麼這麼美, 西安: 陝西師範大学出版総社有限公司, pp. 10-13, ISBN 978-7-5695-0771-3
(16)^ 徐超 (2022), 古漢字通解500例, 北京: 中華書局, p. 34, ISBN 978-7-101-15625-6