天表春命・天下春命(あめのうわはるのみこと・あめのしたはるのみこと)は、日本神話に登場する神。
天表春命は天上春命とも表記する。
﹃先代旧事本紀﹄の﹁天神本紀﹂によると、両神は共に八意思兼神の御子神で、饒速日命が天磐船に乗って天降った時、護衛として随従した32柱の神の2柱とされる。
天表春命は信乃阿智祝部︵しなののあちのほうりべ︶等の祖神とされる。天下春命は天表春命の弟神と見られ[1]、知々夫国造︵ちちぶのくにのみやつこ︶の先祖とされる。この国造族が大伴部氏と推定されている。初代知々夫国造は天下春命の9世孫の知々夫彦命で、崇神天皇の御代に国造職を賜ったとされる。
なお﹃高橋氏文﹄に﹁知々夫︵秩父︶国造の上祖、天上腹、天下腹人﹂と見える人名は、この両神に関係があると見られている[2]。
- ^ 「天神本紀」には「八意思兼神の児、表春命(中略)次に下春命」とある。
- ^ 田中卓「第一次天孫降臨とニギハヤヒの命の東征」(『社会問題研究』7ノ1、大阪社会事業短期大学、昭和32年所収)