推薦入学
入学者選抜において学力テストを軽減または免除して入学させること
概要
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選抜の基準は、学業やスポーツ、芸術分野など大学・高校が要求する特定分野の成績、調査書等で判断される。近年は自己推薦︵自分で能力をアピールして自分で推薦する︶、社会人推薦︵2年~3年程度以上の社会経験を積んだ社会人のための入試制度︶など出身校の枠や現役・浪人︵卒業時期︶の別を問わないなど推薦入学の形態も変化しつつある。北陸大学のように国内の全高校を推薦入試指定校にしたり[1]、立命館アジア太平洋大学のように予備校︵早稲田塾︶に推薦入試枠を与える事例[2]も見られる。推薦入試を希望する場合、出身校の校長の権限で可否が決まる。真面目に学校生活を送ってきたかどうかで判断されるので﹁いじめの加害者になった﹂﹁非行があった﹂など、在学中に問題行為を起こしたことがある場合は推薦に通らない︵試験を受けること自体ができない︶場合がある。
スポーツ推薦の場合、高校・大学側の方が中学生・高校生を対象に事前にセレクションかもしくは入部試験を行い、合格者に推薦入学を認めるという方式を取る場合がある。ただし野球では入部に際して高校野球の日本高等学校野球連盟憲章も含め日本学生野球憲章第4条に基づいて当該学校の生徒について入部希望者の入部拒否を禁止しており[3]、それに従う限り入部試験については開催され得ない。しかし、現実にはそれを守らず入部試験を課している高校が一定数存在する[4]。
中国では、競技に専念してきた世界クラスのプロ選手を無試験で名門大学へ入学させる推薦制度がある[5]。
形態
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推薦入試は大きく﹁指定校制﹂と﹁公募制﹂の2種類に分けられる。指定校制推薦は、自分の在籍する学校が指定校になっていなければ応募できないが、公募制推薦は、高校の推薦基準と大学の出願条件を満たしていれば応募できる[6]。
肯定的見解
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学校側のメリットとして、優秀な学生を早期に確保することができる。2005年の早稲田大学の評価報告書では、政治経済学部において指定校推薦入試で入学した学生たちが修めた学業成績の平均点は、他の入試形態で入学した学生の平均点よりも優れていたことが示されている[7]。佐賀医科大学の追跡調査でも、学内成績の動向をみるかぎり、推薦生の成績順位は一般教育科目専門教育科目を通じて、一般生より良いことが示された[8]。大島商船高等専門学校の成績調査では、全体的に学力入学者に比べて、推薦入学者の方が高得点を挙げているが、これは例外なしの法則ではなく、志望者の目的・動機がどれだけ明確であるかを学校側が的確に判断するのが重要とされる[9]。
学生側のメリットとしては、通常の入学試験で課せられる試験科目が軽減、もしくは免除されることが多く、通常の入試時期よりも早い段階で合否判定が行われることから受験の負担が軽減される。
否定的見解
編集脚注
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(一)^ “全高校を推薦指定校に”. 読売新聞 (2007年1月11日). 2007年3月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月6日閲覧。
(二)^ “予備校に推薦枠”. 読売新聞 (2006年7月5日). 2006年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月6日閲覧。
(三)^ 日本学生野球憲章と解説
(四)^ このため、天理高等学校など入寮試験としているものや、浦和学院高等学校のようにアスリートコース単願志願者合格者のみとして入学試験の区分で対応している場合[1]など、対応は様々である。
(五)^ “﹁囲碁界のプリンス﹂柯潔九段、今秋に名門・清華大に入学”. www.afpbb.com (2019年8月6日). 2024年7月1日閲覧。
(六)^ “推薦入試の仕組み|マナビジョン|Benesseの大学・短期大学・専門学校の受験、進学情報”. manabi.benesse.ne.jp. 2020年4月12日閲覧。
(七)^ 学術院・学部・大学院に関する事項 政治経済学部 (PDF, [2]) 早稲田大学教務部 2005年度 自己点検・評価報告書
(八)^ 小橋修, 高崎光浩, 十時忠秀, 金関毅﹁推薦および一般選抜入学の学生の学内成績, 医師国家試験成績の追跡調査﹂﹃医学教育﹄第1巻第28号、日本医学教育学会、1997年、23-34頁、doi:10.11307/mededjapan1970.28.23。
(九)^ “大島商船高専における推薦入学者の特色 : 10年間にわたる追跡調査の結果から”. ypir.lib.yamaguchi-u.ac.jp. 2020年4月4日閲覧。
(十)^ ﹃名古屋学院大学人間健康学部リハビリテーション学科における学業成績の調査 : 入試区分の違いによる検討﹄2011年1月31日。doi:10.15012/00000393。2020年4月4日閲覧。
(11)^ 甲斐雅裕﹃工芸大工学部での新入生への学力調査﹄日本リメディアル教育学会、2007年。doi:10.18950/jade.2.1_19。2020年4月4日閲覧。