ストックホルムオリンピック(1912年)
綱引きは、複数人数からなるチームで一本の綱を両側から引き合って、その移動を競う競技である。団体戦であること、ルールが単純明快であること、またチーム分けによって力量の配分などに公正化が図りやすいこともあり、世界的にも広く親しまれている競技である。その反面、高度化したものではテクニックや戦略といった要素も多分に絡み、競技としての奥深さも存在する。
オリンピックでは1920年のアントワープ大会まで正式競技であった。2020年現在、ワールドゲームズで正式競技である。2002年には国際綱引連盟 (TWIF) が国際オリンピック委員会 (IOC) に加盟し、オリンピック競技への復帰を目指している。
多くの場合において綱引きは両チームの力量・テクニック・総重量が近接しているほど盛り上がる傾向もあり、競技を純粋に楽しむ上では様々な面からチームの平均化が図られる。
この項では、競技スポーツとしての綱引きについて説明する。
●1チーム8名で行われる。補欠は2名まで。
●男女ともチームウェイト︵8人の総重量︶によって階級ごとに分けられる。TWIF主催の世界選手権では、以下の階級で行われている。
アウトドア
●男子 560kg 600kg 640kg 680kg 720kg U23 600kg
●女子 520kg 560kg
インドア
●男子 560kg 600kg 640kg 680kg
●女子 480kg 520kg
●チームの最後尾を﹁アンカーマン﹂︵錨に由来︶といい、アンカーマンのみロープを肩にかけることが出来る。
●時間制限はなく、相手側チームを自分側チームに4m引き込んだ時点で勝利となる。
●競技会により1セットマッチ、2セットマッチ︵1勝1敗は引き分け︶、3セットマッチがある。
競技場はレーンと呼ばれ、平坦で水平でなければならない。室内のインドアと、屋外のアウトドアがある。インドアではカーペットのマットやウレタンゴム製の専用レーンマット等を使用する。体育館の床が使用できる場合はラインテープによるマーキングでも構わない。ラインは、競技場の中央に赤いセンターラインを引き、両側2mに白いラインを引く。ラインの幅は原則として5cm。レーンの幅は90cm。
基本的に標準的なスポーツ用の服装である。ショートパンツ、襟つきの長袖シャツなどを着用する。腰を保護するためのベルトを腰に巻く場合もある。シューズはインドアでは綱引きシューズまたは滑りにくい平らなスポーツシューズを使用し、アウトドアではピンのついた綱引きブーツを使用する。素手で競技するが、滑り止めのために炭酸マグネシウムなどの使用が認められている。
競技会によってはゼッケンの着用が必要な場合がある。また、最後尾のアンカーマンはヘルメットを付けなければならない。
長さ33.5m - 36m(小学生は28m - 30m)、外周10cm - 12.5cm(小学生は9cm - 10cm)のマニラアサでできた頑丈なロープが使われる。
ロープの中央に赤いマーキングを付け、中央から両側2m(アウトドアでは4m)の場所に白いマーキング、さらに両側0.5mの場所に青いマーキングをつける。地面にも赤と白のラインが同じ間隔で引かれている。白いマークとラインは勝敗決定に利用する。また、先頭の競技者は青いマークよりも後ろでロープを握らなければならない。各マークはロープからはがして張る位置を調整できるようになっている。
競技サイドはじゃんけんまたはコイントスで決めるが、事前に指定される場合もある。2セット目はサイドを交代し、さらに3セット目を行う場合は抽選、じゃんけん、コイントスなどでサイドを決定する。
審判による以下の号令によって競技が開始される。
(一)﹁ピック・アップ・ザ・ロープ﹂(Pick up the rope)‥地面のロープを持ち上げる。
(二)﹁テイク・ザ・ストレイン﹂(Take the strain)‥両手でロープを持ち、競技の態勢︵アンカー・ポジション︶になる。
(三)調整︵Rope to center︶‥ロープの競技開始位置の調整。
(四)﹁ステディ、プル﹂(Steady,Pull)‥競技開始の合図。﹁プル﹂の合図で競技者は一気にロープを引く。
以下の場合には競技が終了する。
(一)勝敗が決したとき。
お互いがロープを引き合い、先に4メートル引き込んだ側の勝利となる。具体的には、インドアではロープの相手側の白マークが自分側の白ラインに達した瞬間に、アウトドアでは相手側の白マークがセンターラインに達した瞬間に自分側の勝利となる。原則として時間制限はなく、勝敗が決定するまで続けられる。勝利決定の瞬間、審判はホイッスルを鳴らした後勝利チームを指し示す。なお、ルールブック上にはないが競技会によっては特別ルールとして時間制限が設けられることがある。その場合主に30秒 - 2分程度に設定する場合があり、時間に達した時点でより引き込んでいるチームを勝利とする。
(二)同一チームに3回目のコーション︵後述︶が宣言されたとき︵反則による失格︶。
(三)ノー・プルが宣告されたとき︵試合を続行できない状態︶。
反則を犯すと審判から指導され、直ちに改めなければならない。改めなければコーション︵警告︶となり、3回のコーションを宣告された場合そのチームは反則負けとなる。
●シッティング‥故意に座る。
●リーニング‥足の裏以外の部分が地面に触れたままロープを引き続ける。
●ロッキング‥ロープを腕や肘を使って自由を利かなくする。
●グリップ‥両手で握り拳を作ってロープを持つ。
●プロッピング‥両手で握り拳を作り、身体に沿って持ち上げる。
●ポジション‥屈伸しながら引く。
など、12種類がある。
大会等で総当り戦が行われ、2チーム以上が同順位で並んだ際にはコーション数の合計において少ないチームを上位とする場合がある。
日本の運動会などでの綱引きでは、﹁オーエス!﹂という掛け声がよく使われる。語源には諸説あるが、フランス語の﹁oh hisse﹂︵﹁それ引け﹂という意味︶からきているという説が有力とされている[22]。﹁oh hisse﹂は旗や帆を巻き上げる際に用いられた掛け声で[23]、明治初期に東京築地の外国人居留地でフランス人たちが綱引きをした際に掛け声としたものが﹁オーエス﹂と聞き取られ、日本で定着した[22]、などと伝えられるが、明確な証拠はない。
運動会の綱引きでは﹁オーエス!﹂のほか、呼吸を合わせるために﹁よいしょ、よいしょ﹂[22]﹁そーれ、そーれ﹂[22]﹁わっしょい、わっしょい﹂[22]﹁せーの、せーの﹂[22]などの掛け声が使われる。これらは地域や世代によってもさまざまである[22]。特に掛け声が無く、ピストルの音と同時に一斉に無言で引き始めることもある[22]。
宮崎県の運動会では﹁えい、えい、えいやさー﹂﹁えい、やー﹂といった掛け声が用いられる[22]。これは、伝統的に豊年感謝のため十五夜︵旧暦8月15日︶に行われた綱引き行事の掛け声が引き継がれたものという[22]。
高知県西部では、運動会や伝統行事の綱引きにおいて﹁さーうん﹂[24]や﹁やーのーうん﹂[25]﹁さーのーうん﹂[26]などの掛け声が使われる。
北海道檜山郡江差町の運動会・体育祭では、町の姥神大神宮渡御祭で山車の綱を引く際の掛け声である﹁エンヤ!エンヤ!﹂から転じて、綱引きの掛け声にも使われるのが見られる。
競技綱引きにおいては、掛け声をほとんど発せずに引き続けるのが一般的である[22]。
慣用句としては、なんらかの利害関係により複数の組織・団体が相互に圧力を掛けたり牽制したり自陣営側に有利にことが運ぶように画策したり工作しあうことを綱引きに準える場合がある。
例えば、地域的な団体がオリンピックのようなイベントから鉄道・道路など公共事業の誘致合戦を繰り広げたり、政治家ないし政党がより多くの支持者を得て発言権の拡大を目指しあったり推進する政策に自陣営側の要望を最大限盛り込もうとしたりといったものである。
英語にも似たような比喩表現があり、﹁tug of love﹂という慣用句では、離婚した両親が各々子の親権をめぐって争うことを示しているが、これはイメージとして子の腕を綱のようにして父親と母親が左右から引っ張っている状態である。
日本綱引連盟の機関誌として、「綱引マガジン」(季刊)が1990年秋季号 (1) から2007年冬季号 (66) まで、ベースボール・マガジン社から発行されていた。
●よろしく!すねかじり ゲーム&クイズ︵テレビ東京系列︶
後期より最終ゲームとして行った。全4チームがゲーム開始前の賞金獲得順位によって、﹁1位×3位﹂と﹁2位×4位﹂に分け、まずその対戦で﹁1回戦﹂を行い、続いて1回戦の敗者同士で﹁3位決定戦﹂を行い、最後は1回戦の勝者同士で﹁決勝戦﹂を行った。
●最強の男は誰だ!壮絶筋肉バトル!!スポーツマンNo.1決定戦︵TBS系列︶
全38大会のうち7大会で、1対1の綱引き種目﹁THE TUG-OF-WAR︵ザ・タッグオブウォー︶﹂が行われた。また参加者16名を8対8に分けて綱引きし、勝った側を更に半々に分けて綱引き。これを最後の1名になるまで繰り返す種目﹁THE BEST OF TUGGER︵ザ・ベストオブタガー︶﹂も、2大会で行われている︵どちらも本戦での実施回数。本戦以外のスペシャルバトルとしても、数回行われた︶。
●オールスター感謝祭︵TBS系列の期首特番︶
2001年春から開始、﹁大分コスモレディースTC﹂が番組参加芸能人からの選抜チームやプロレスラーなどと戦ったが、2004年秋では参加芸能人からコメディアンを集め、東西対抗で行った。