損害賠償

損害を与えた者が被害者にその損害を補填すること
賠償から転送)

損害賠償(そんがいばいしょう)とは、他人に損害を与えた者が被害者に対しその損害を填補し、損害がなかったのと同じ状態にすることである[1]

損害の発生と損害賠償

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415709

[2]

[3]

債務不履行に基づく損害賠償

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[2][4]

41512017202041[5]4193[2]

損害賠償の範囲

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通常損害と特別損害

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4161


4162

2017202041[6]

12111542214[2][7]

[6]416[7]

遅延賠償の場合

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履行の遅滞によって生じた特別損害の予見可能性の判断の時期は、履行期を基準にする見解(判例)と契約時を基準にする見解がある[7]。なお、金銭債務の場合は特則がある(民法404条・419条)[7]

填補賠償の場合

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[8][8][9]

損害賠償の方法

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損害賠償は、別段の意思表示がない限り、金銭により賠償額が定められる(金銭賠償の原則417条)。

過失相殺と損益相殺

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過失相殺

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418

2017202041[10]

[11]43122422133454[11]

損益相殺

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債務不履行に基づく損害賠償において、債権者に保険金など債務不履行を原因として得ることとなった利益がある場合には、これを考慮して賠償額を定めることになる。これを損益相殺という。

金銭債務の特則

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(一)4191

(二)4192

(三)4193

損害賠償額の予定

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4201

20174201[12]2017202041[12](6421)

使42024203 

421

損害賠償による代位(賠償者代位)

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債権者が損害賠償として債権の目的である物や権利の価額の全部について支払を受けたときは、債務者はその物や権利について当然に債権者に代位する(422条)。 これを損害賠償による代位(賠償者代位)という。

代償請求権

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債務者が、その債務の履行が不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である権利又は利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害の額の限度において、債務者に対し、その権利の移転又はその利益の償還を請求することができる(民法422条の2)。

代償請求権については規定がなかったが、判例で認められており、2017年の改正民法で民法422条の2が新設された(2020年4月1日施行)[13]

不法行為に基づく損害賠償

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不法行為が成立した場合、原則として、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害することにより生じた損害について賠償する責任を負う(民法709条以下)。

損害賠償の範囲

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不法行為に基づく損害賠償の範囲については民法416条が類推適用される(通説)。

損害賠償の方法

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7221417

723

損害賠償額の算定

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過失割合

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交通事故などで当事者双方に過失のある事故の場合には過失割合が問題となる[14]。交通事故の過失割合については交通事故の過失割合を参照。

過失相殺

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不法行為に基づく損害賠償額の算定においては裁判所は被害者の過失を考慮して損害賠償額を定める(722条)。これを過失相殺といい、債務不履行に基づく損害賠償の場合にも同様の制度があるが、不法行為に基づく過失相殺の場合には必要的なものとされておらず責任を免除することも認められない。

逸失利益

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[15]

慰謝料

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710

71133.8.542.11.1

不法行為による損害賠償請求権の行使期間

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3使7242017202041724257242

20724

特別法

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  • 免除を定める法令
    • 争議権を保障するため、正当な争議行為における労働組合またはその組合員の損害賠償責任は免除される(労働組合法8条)

会社法上の損害賠償

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423

429 16710

脚注

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出典

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  1. ^ "損害賠償". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2021年7月31日閲覧
  2. ^ a b c d 松尾弘 2016, p. 271
  3. ^ 2011年5月1日の参議院予算委員会の紙智子参議院議員の福島第一原子力発電所事故に関する発言
  4. ^ 松尾弘 2016, p. 274
  5. ^ 浜辺陽一郎 2015, p. 67
  6. ^ a b 浜辺陽一郎 2015, p. 70
  7. ^ a b c d 松尾弘 2016, p. 272
  8. ^ a b 松尾弘 2016, p. 277
  9. ^ 松尾弘 2016, p. 278
  10. ^ 浜辺陽一郎 2015, p. 71
  11. ^ a b 松尾弘 2016, p. 273
  12. ^ a b 浜辺陽一郎 2015, p. 72
  13. ^ 浜辺陽一郎 2015, p. 69
  14. ^ 交通事故の過失割合”. ソニー損保. 2016年10月18日閲覧。
  15. ^ 昭和36(オ)413  最高裁判所第三小法廷  昭和39年6月24日

参考文献

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From Now 

 62016ISBN 978-4766422771 

 2015ISBN 978-4492270578 

関連項目

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