超音波
人間の耳には聞こえない高い振動数をもつ音波
周波数範囲
編集
超音波の周波数の下限に関する定義はいくつかあるが、1つは20kHz以上の音波とするものであり、例えば広辞苑では﹃超音波は振動数が毎秒2万ヘルツ以上で定常音として耳に感じない音﹄と定義されている。
なお、﹁人間が聞き取れない﹂周波数ではあるが、発声に関しては20kHzを超える音成分を発することができる人もいる。
一方、超音波の周波数の上限は特に規定されていないが、2007年現在の科学技術では数GHzまでの超音波が発生できるため、このあたりが実質的な上限といえるかもしれない[1]。但し、周波数を高めても伝搬媒体とのインピーダンスが整合していなければキャビテーションが発生して伝搬できないので実用上の上限になる。逆にこの現象を利用して超音波洗浄機等に応用される。
用途
編集
超音波は指向性が高くうまく使えば高分解能な探知に使える。また音圧を比較的容易に上げられるため静かなドリル・金属やプラスチックの加工にも用いられる。以下にさまざまな用途を挙げる[2]。
情報的な利用
●距離計︵自動車周辺の障害物検出、超音波式車両感知器、積雪計など︶
●漏洩検査︵ガス・水道などの配管のリークセンサ︶
●超音波厚さ計
●超音波ボルト軸力計
●非破壊検査装置︵超音波探傷検査、レーザー超音波計測︶
●超音波検査︵医療︶
●胎児超音波検査
●腹部超音波検査
●心臓超音波検査
●頸部超音波検査
●頸部血管超音波検査
●乳房超音波検査
●血管超音波検査
●経膣超音波検査
●運動器超音波検査
●超音波内視鏡
●気管支腔内超音波断層法
●ソナー︵魚群探知機︶
●測深機︵環境測定など︶
●超音波流速計
●超音波式風速計
●超音波映像装置︵遠隔操作無人探査機ほか︶
●建築物の破壊音探知
●リモコンなどの通信
●水中電話
動力的な利用
●超音波洗浄機︵メガネの洗浄など。超音波振動エネルギーにより洗浄︶
●超音波加工機︵超音波カッター、ドリルのほか、金属やプラスチックの溶接・研磨など。超音波振動エネルギーを利用︶
●超音波モータ︵小型化しやすいため、カメラ用レンズのAFやズームの制御や腕時計などに使われている︶
●高密度焦点式超音波治療法︵集中超音波による前立腺癌・胆石・脳血栓の破壊・除去︶
●超音波骨折治療法[3]
●超音波スケーラー︵歯石の除去︶
●超音波歯ブラシ
●超音波加湿器
●超音波霧化機︵ネブライザなど[4]︶
●超音波霧化分離装置︵廃液の浄化や、薬液の分離・濃縮、エタノールや温泉成分の濃縮[5]︶
●超音波アイロン
●超音波ミシン
●乳化凝固装置
その他の利用
●特殊なスピーカー
●骨伝導スピーカー
●酒の熟成器
●超音波治療︵骨折治療など︶
公正取引委員会は、超音波による﹁ダニ撃退﹂および﹁蚊よけ﹂をうたう商品について、効果が認められないとして排除命令を出した事がある[6][7]。
超音波を利用する動物
編集出典
編集
(一)^ ab﹁超音波の本﹂谷腰欣司、ISBN 4526053554
(二)^ 谷腰欣司; 谷村康行﹃トコトンやさしい超音波の本第2版﹄日刊工業新聞社、2015年、19,23,25,35頁。
(三)^ “超音波骨折治療法とは”. 帝人ファーマ株式会社. 2015年12月16日閲覧。
(四)^ “超音波で霧をつくり出す加湿器のしくみ”. TDK 電気と磁気の?︵はてな︶館. 2015年10月31日閲覧。
(五)^ “日本酒製造に使った霧化技術を、廃液処理やリサイクルに活用”. 日経テクノロジーonline (2013年9月10日). 2015年12月10日閲覧。
(六)^ “公正競争規約の制度”. 平成6年度 公正取引委員会年次報告. 公正取引委員会 (2010年3月31日). 2011年10月17日閲覧。
(七)^ “株式会社オーム電機に対する排除命令について”. 公正取引委員会 (2007年11月20日). 2011年10月17日閲覧。
(八)^ “イルカやコウモリの音によるナビゲーション”. 国立大学法人秋田大学 大学院工学資源学研究科・工学資源学部 電気電子工学科 今野研究室. 2015年12月9日閲覧。