703708


  • 民法について以下では、条数のみ記載する。

概説

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5

一般不当利得と特殊不当利得

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703704[1][2]

705[1][2]

沿[2][3]

公平説と類型説

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  • 公平説(衡平説)
ドイツ民法学における公平の理念を基礎とする不当利得の統一的理解は、日本の民法学者(我妻栄など)においても受け入れられ、不当利得の制度は形式的には問題のない財産的価値(財貨)の移転が実質的観点から正当化できない場合に生じる矛盾を公平の理念に従って調整するものと考えた。これを公平説といい、かつての通説の立場である。
  • 類型説(類型論)
公平説に対しては、その後、ドイツ民法学において多様な適用場面を包摂する不当利得において公平という概念が曖昧で個々の場面では用をなさないという批判が大きくなり、日本でも次第に不当利得が適用される場面の類型に応じて理論化する類型説(類型論)が有力視され現在では主流になっているとされる[4][5]

具体的な類型化

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[4][5][6]



[5][7][8][6][9]



[9][10][8]





[11]



[11]


() () () 3
()
()
()
 424

不当利得の要件

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不当利得の一般的要件

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(一)
[9][12][13][14]

(二)
[15][16][17]

(三)
[18][19]81020251890499262861243[18][20]

(四)
111715101[21][22][23]

類型論との関係

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給付利得

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[15]

[22][24]

侵害利得

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[20]使[25]

[26]

不当利得の効果

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不当利得の一般的効果

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703704

[27]

[28][29]
(533)
使10使5166[30]

善意の受益者の返還義務

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703[31]

[32]

18938122417121720[33]

悪意の受益者の返還義務

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704[34]

[35]


211196391987
166[35][36]

類型論との関係

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給付利得

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不当利得の範囲は受益者の主観(善意・悪意)に応じて異なるが、この区別は内容の点からみると給付利得においては妥当でない場合があり、全体的な公平の点から調整を図る必要性があるとされる(強迫による売買によって商品の引渡しを受けた者が当該売買を取り消した場合にも悪意者として扱うべきでないとされる)[28][29]

侵害利得

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使



189190[37][38]



191[39][40]

特殊不当利得

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705708

非債弁済(狭義の非債弁済)

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意義

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705

要件

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  1. 債務の不存在
    当初から債務が存在しない場合とかつて存在していた債務が既に消滅していた場合とがある[41]
  2. 任意の給付
    本条が適用されるためには弁済者が任意で弁済したことが必要であり、弁済者が強制執行の回避などやむを得ない事情により弁済してしまった場合には適用がない(大判大6・12・11民録23輯2075頁、最判昭35・5・6民集14巻7号1127頁)[39][41]
  3. 弁済者が債務の不存在について知っていること

効果

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本条の効果は返還請求の否定である。

期限前の弁済

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706[42]

706[42][43]

他人の債務の弁済

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意義

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7071[44]

要件

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民法707条1項の滅失・損傷とは、債権証書を自由に立証方法として用いることができなくなることを指し、債権者が債権証書を弁済者に返還して債権証書の支配を失った場合も含まれる(最判昭和53年11月2日判時913号87頁)。

効果

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本条の効果は返還請求の否定である。債務は消滅してしまうが、勘違いで弁済してしまった者は真実の債務者に対して求償することができる(707条2項)。

不法原因給付

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意義

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90708

[44]

[45]

要件

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[46]

422調708206106261488

[47]4610282581069(1)(2)45102124111560

効果

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70870845102124111560

45102124111560

転用物訴権と騙取金弁済

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法律上の原因のない給付があった場合に、その受益が相手方のみならず実質的に第三者にも帰することになる場合がある。転用物訴権の問題と騙取金による弁済の問題がこれにあたり、その法的処理については議論がある。

転用物訴権

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騙取金弁済

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499262861243

脚注

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(一)^ ab  3  20112564

(二)^ abc 4  201012367

(三)^   3  20112565

(四)^ ab  3  20112566

(五)^ abc 4  201012368

(六)^ ab 2  2 20054403

(七)^   3  20112566-568

(八)^ ab 42 ︿α20033166

(九)^ abc  3  20112568

(十)^  4  201012369

(11)^ ab 42 ︿α20033167

(12)^  4  201012370

(13)^  2  2 20054404

(14)^  2  2 20054404-405

(15)^ ab  3  20112569

(16)^  4  201012371

(17)^  2  2 20054405

(18)^ ab 4  201012372

(19)^   3  20112569-574

(20)^ ab 42 ︿α20033169

(21)^  4  201012376

(22)^ ab  3  20112574

(23)^  2  2 20054407

(24)^  2  2 20054408-409

(25)^   3  20112571-572

(26)^   3  20112575

(27)^  2  2 20054411-412

(28)^ ab  3  20112601

(29)^ ab 42 ︿α20033174-175

(30)^  ()23

(31)^  2  2 20054411

(32)^  4  201012383

(33)^  2  2 20054412

(34)^  4  201012385

(35)^ ab 2  2 20054413

(36)^ 2020411671202041167

(37)^   3  20112600

(38)^  42 ︿α20033171

(39)^ ab  3  20112594-596

(40)^  42 ︿α20033172

(41)^ ab 4  201012387

(42)^ ab  3  20112612

(43)^  4  201012388

(44)^ ab  3  20112613

(45)^   3  20112614

(46)^   3  20112615

(47)^   3  20112617

参考文献

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  • 鈴木禄彌『債権法講義(3訂版)』(1995年、創文社)
  • 加藤雅信『事務管理・不当利得・不法行為(第2版)』(2005年、有斐閣)
  • 内田貴 『民法Ⅱ 第3版 債権各論』 東京大学出版会、2011年2月
  • 川井健著 『民法概論4 債権各論 補訂版』 有斐閣、2010年12月