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「一寸法師」の版間の差分

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[[ファイル:Otogizoshi5.jpg|thumb|250px|[[御伽草子]]]]

[[ファイル:Tale of Issun Bōshi from Otogi-zōshi.jpg|thumb|300px|[[御伽草子]]]]

'''一寸法師'''(いっすんぼうし)は、日本の[[説話|伽話]]の一つ。現在伝わっている話は[[御伽草子]]に掲載されたものが元となっている。

'''一寸法師'''(いっすんぼうし)は、日本の[[説話|伽話]]の一つ。現在伝わっている話は[[御伽草子]]に掲載されたものが元となっている。



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{{Indent|[[|]][[]][[]]3cm

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一寸法師は、鬼が落としていった打出の小槌を振って自分の体を大きくし、身長は六[[尺]](メートル法で182cm)になり、娘と結婚した。飯と、金銀財宝も打ち出して、末代まで栄えたという。


[[]][[]]182cm3

}}

}}



しかし[[御伽草子]]に掲載されたものは、今のうなこととは少し話が異なっている。

しかし[[御伽草子]]に掲載されたものは、よく知られている話とは少し異なっている。


* 老夫婦が、一寸法師が全く大きくならないので化け物ではないかと気味悪く思っていた。そこで、一寸法師は自分から家を出ることにした。

* 老夫婦が、一寸法師が全く大きくならないので化け物ではないかと気味悪く思っていた。そこで、一寸法師は自分から家を出ることにした。

* 京で一寸法師が住んだのは[[参議|宰相]]殿の家

* 京で一寸法師が住んだのは[[参議|宰相]]殿の家


* 殿殿殿

* 殿殿殿

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* [[]][[|]][[]]

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*娘は濡れ衣を着せられた状態で一寸法師に預けられるが、求婚者の携えてきた食物を口にすればその男の意思を受け入れたものと見なす観念が働いているという説もある<ref name="nomura" />。

*娘は濡れ衣を着せられた状態で一寸法師に預けられるが、求婚者の携えてきた食物を口にすればその男の意思を受け入れたものと見なす観念が働いているという説もある<ref name="nomura" />。



*婚約者を得た法師は手に入れた小槌で若者に成長し、娘と結ばれる。話によっては娘に対する計略のモチーフを欠いている話もある<ref name="nomura" />。

*婚約者を得た法師は手に入れた小槌で若者に成長し、娘と結ばれる。話によっては娘に対する計略のモチーフを欠いている話もある<ref name="nomura" />。


*鬼退治のみで計略や若者への成長がないもの<ref name="nomura" />。


各地に伝わる話によってはその内容に変化が多い<ref name="nomura" />。



== 解釈 ==

== 解釈 ==

現在伝わっている話がいつ成立したかは未詳であるが、[[室町時代]]後期までには成立していたものとされる。「小さな子」のモチーフは、日本においては[[日本神話]]の[[スクナヒコナ]](少・大地男神、スク=少・ナ=大地・ヒコ=男神・ナ=接尾辞)がその源流と考えられる。

現在伝わっている話がいつ成立したかは未詳であるが、[[室町時代]]後期までには成立していたものとされる。「小さな子」のモチーフは、日本においては[[日本神話]]の[[スクナヒコナ]](スク=少・ナ=大地・ヒコ=男神・ナ=接尾辞)がその源流と考えられる。



[[スクナヒコナ]]は「[[日本霊異記]]」の道場法師、『天神縁起』の[[菅原道真]]を媒介し中世の『小男の草子』、近世の『[[御伽草子]]』の一寸法師にまでつながっていく。

[[スクナヒコナ]]は「[[日本霊異記]]」の[[道場法師]]、[[五條天神社 (京都市)|五條天神]]を媒介中世の『小男の草子』、近世の『[[御伽草子]]』の一寸法師にまでつながっていく。



国土造成神スクナヒコナが水辺に出現したように昔話の「小さ子」の主人公も何らかの形で水界と関わっており、水神にまつわる基層信仰の存在が指摘されている。年老いて子がない事自体共同体の中では異端であり、その異端者が神に祈願して脛から生まれたりタニシの姿([[田螺長者]])で生まれたりする異常な出生は[[英雄]]や[[神の子]]を語るときの常でもある<ref name="shinwadensetsu">{{Cite book|和書|author=猪股ときわ|editor=吉成勇|title=日本「神話・伝説」総覧|year=1992|publisher=[[新人物往来社]]|series=歴史読本特別増刊・事典シリーズ|isbn=978-4-4040-2011-6|pages=254-255|chapter=小人伝説}}</ref>。

国土造成神スクナヒコナが水辺に出現したように昔話の「小さ子」の主人公も何らかの形で水界と関わっており、水神にまつわる基層信仰の存在が指摘されている。年老いて子がない事自体共同体の中では異端であり、その異端者が神に祈願して脛から生まれたりタニシの姿([[田螺長者]])で生まれたりする異常な出生は[[英雄]]や[[神の子]]を語るときの常でもある<ref name="shinwadensetsu">{{Cite book|和書|author=猪股ときわ|editor=吉成勇|title=日本「神話・伝説」総覧|year=1992|publisher=[[新人物往来社]]|series=歴史読本特別増刊・事典シリーズ|isbn=978-4-4040-2011-6|pages=254-255|chapter=小人伝説}}</ref>。



御伽草子の一寸法師が有名になったことで、各地に伝わる小さな人が出てくる民話や伝承も「一寸法師」と呼ばれるようになった。

御伽草子の一寸法師が有名になったことで、各地に伝わる小さな人が出てくる民話や伝承も「一寸法師」と呼ばれるようになった。



江戸時代には、「一寸法師」の名は背の低い人間に対する差別用語としても用いられ、[[妖怪]]をテーマとした『狂歌百鬼夜狂』『狂歌百物語』などの狂歌本では、一寸法師が妖怪の一種として詠まれている<ref>{{Cite book|和書|author=[[京極夏彦]]・[[多田克己]]編著|title=妖怪画本 狂歌百物語|year=2008|publisher=[[国書刊行会]]|isbn=978-4-3360-5055-7|pages=299}}</ref>。


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[[]]<ref>2002[[]]2004</ref>

[[|]][[]][[]][[]]<ref>2002[[]]2004</ref>


=== 民俗学 ===

=== 民俗学 ===

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嘘と虐殺によって富と女を手にする俵薬師の少年は知恵によって鬼の宝と女を手にする一寸法師の裏の姿であり「小さ子」神の末裔に他ならない<ref name="shinwadensetsu" />。

嘘と虐殺によって富と女を手にする俵薬師の少年は知恵によって鬼の宝と女を手にする一寸法師の裏の姿であり「小さ子」神の末裔に他ならない<ref name="shinwadensetsu" />。



俵薬師の少年の残虐性は罪もない異人に向けられている。ただ通りかっただけの座頭・眼病病みの乞食といった弱者でさえ騙し身代わりとして殺してしまう。

俵薬師の少年の残虐性は罪もない異人に向けられている。ただ通りかっただけの座頭・眼病病みの乞食といった弱者でさえ騙し身代わりとして殺してしまう。



ここに異人達を撲殺し代償として成り立つ村の暗い一面が照らし出されている。悪質な知恵の働きを笑いとユーモアの中に語るところに、知恵の破壊的な超秩序な側面が示されるとともに、村の共同体の複雑さがある。知恵は正義や潔さを無意味化し権力の維持にとって重要な安定した秩序を笑い飛ばす危険なパワーをはらみもつのだという。スクナヒコナが国土創造神であり実は薬作り酒造りなどの化学技術の創造神であったのも「知恵」が単純に文化秩序を象徴するわけではないことを物語っている、と[[共立女子短期大学]]講師・[[猪股ときわ]]は分析する<ref name="shinwadensetsu" />。

ここに異人達を撲殺し代償として成り立つ村の暗い一面が照らし出されている。悪質な知恵の働きを笑いとユーモアの中に語るところに、知恵の破壊的な超秩序な側面が示されるとともに、村の共同体の複雑さがある。知恵は正義や潔さを無意味化し権力の維持にとって重要な安定した秩序を笑い飛ばす危険なパワーをはらみもつのだという。スクナヒコナが国土創造神であり実は薬作り酒造りなどの化学技術の創造神であったのも「知恵」が単純に文化秩序を象徴するわけではないことを物語っている、と[[共立女子短期大学]]講師・[[猪股ときわ]]は分析する<ref name="shinwadensetsu" />。



=== 類話 ===

=== 類話 ===


[[]][[]][[]][[]][[]][[|]]退<ref name="shinwadensetsu" />

[[]][[]][[]][[]][[]][[|]]退<ref name="shinwadensetsu" />


== 児童文学 ==

== 児童文学 ==


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*[[]][[]]18962924401020退[[]]<ref name="nomura38">{{Cite book||author=|title=|page=38|chapter=}}</ref>

*絵本では石井桃子・再話、秋野不矩・絵『いっすんぼうし』(1965年福音館書店刊)が出色<ref name="nomura38">{{Cite book|和書|author=土橋悦子|title=昔話・伝説小事典|pages=38|chapter=いっすんぼうし}}</ref>。


*[[]][[]]1965<ref name="nomura38">{{Cite book||author=|title=|page=38|chapter=}}</ref>

*[[|]][[]]189629[[]]<ref>{{Cite book||author=|title=|pages=65|chapter=}}</ref>

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== 唱歌 ==

== 唱歌 ==

*1905年(明治38年)『[[尋常小学唱歌]]』にも巖谷小波作詞の「一寸法師」が収められ、子供たちに歌い継がれている<ref name="nomura38" />。

*1905年(明治38年)『[[尋常小学唱歌]]』にも[[巖谷小波]]作詞の「一寸法師」が収められ、子供たちに歌い継がれている<ref name="nomura38" />。



== メディア ==

== メディア ==

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*まつざきあけみ『一寸法師』 2007年、ぶんか社出版(ホラーMコミック文庫)。

*まつざきあけみ『一寸法師』 2007年、ぶんか社出版(ホラーMコミック文庫)。

*[[江戸川乱歩]]『[[一寸法師 (江戸川乱歩)|一寸法師]]』(1927年発表) - 一寸法師風の小人が夜な夜な出没し、人の腕を切り落とす猟奇事件。名探偵[[明智小五郎]]が推理する話。

*[[江戸川乱歩]]『[[一寸法師 (江戸川乱歩)|一寸法師]]』(1927年発表) - 一寸法師風の小人が夜な夜な出没し、人の腕を切り落とす猟奇事件。名探偵[[明智小五郎]]が推理する話。

*江戸川乱歩『[[踊る一寸法師]]』(1926年発表) - [[サーカス]]団の緑(ロク)さんという、あだ名が一寸法師、[[小人症]]の団員が主人公である。殺人事件に関する猟奇物の話である。

*江戸川乱歩『[[踊る一寸法師]]』(1926年発表) - [[サーカス]]団の緑(ロク)さんという、あだ名が一寸法師、[[小人症]]の団員が主人公である。殺人事件に関する猟奇物の話である。

*[[倉橋由美子]]『一寸法師の恋』

*[[倉橋由美子]]『一寸法師の恋』

*[[松智洋]] 『[[メルヘン・メドヘン]]』(アニメ・ライトノベル)- ''加澄有子が契約している原書として登場。''

漫画

漫画


*[[]]16

*[[]]16
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ゲーム

ゲーム

*『[[東方輝針城_〜_Double_Dealing_Character.]]』一寸法師の末裔の少女、少名 針妙丸が登場。お椀または船にしているお椀の蓋を被っている。

*『[[東方輝針城_〜_Double_Dealing_Character.]]』一寸法師の末裔の少女、少名 針妙丸が登場。お椀または船にしているお椀の蓋を被っている。

テレビ

* [[ウルトラマンレオ]]「ウルトラマンキングと魔法使い」レオが[[プレッシャー (ウルトラ怪獣)|プレッシャー]]により赤い風船に閉じ込められ縮小してしまう。本家と同じお椀の船に箸のかいで川を進む。少年に助けられるが縮小したプレッシャーと少年の部屋で戦う。[[ウルトラマンキング]]が打出の小槌で巨大化させた。



==備考・その他==

==備考・その他==


*dwarf[[]]<ref>{{Cite book||author=[[]]|title=[[]]|year=1989|publisher=[[]]|isbn=978-4-06-121057-8|pages=123}}</ref>

*dwarf[[]]<ref>{{Cite book||author=|authorlink=|title=[[]]|year=1989|publisher=[[]]|isbn=978-4-06-121057-8|page=123}}</ref>

*一寸法師の御伽噺から、本名を「一寸法師」と名付けられた人がいる。[[実業家]]で、[[上場企業]][[フリージア・マクロス]]社長の[[奥山一寸法師]]である。

*一寸法師の御伽噺から、本名を「一寸法師」と名付けられた人がいる。[[実業家]]で、[[上場企業]][[フリージア・マクロス]]社長の[[奥山一寸法師]]である。



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==関連書籍==

==関連書籍==

* {{Cite book|和書|author=[[江戸川乱歩]]|title=「復刻版」一寸法師|year=1993|publisher=[[春陽堂書店]]|isbn=978-4-394-90134-1}}

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== 関連項目 ==

== 関連項目 ==

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* [[水の旅人]]

* [[水の旅人]]

* [[月光条例]]

* [[月光条例]]

*[[小人 (伝説の生物)]]



== 外部リンク ==

== 外部リンク ==

{{commonscat-inline|Issun bôshi}}

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* [http://contest.thinkquest.jp/tqj2001/40555/ 古文一寸法師研究]

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[[Category:小人を題材にした作品]]

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2023年12月6日 (水) 14:31時点における版

御伽草子

一寸法師(いっすんぼうし)は、日本の伽話の一つ。現在伝わっている話は御伽草子に掲載されたものが元となっている。

あらすじ





3cm
[1]
182cm3






殿

殿殿殿





[2]
  • 娘は濡れ衣を着せられた状態で一寸法師に預けられるが、求婚者の携えてきた食物を口にすればその男の意思を受け入れたものと見なす観念が働いているという説もある[2]
  • 婚約者を得た法師は手に入れた小槌で若者に成長し、娘と結ばれる。話によっては娘に対する計略のモチーフを欠いている話もある[2]

解釈


====



姿[3]



[4]

[5]

民俗学


===[3]

姿[3]

[3]

姿[3]



[3]

類話


退[3]

児童文学


18962924401020退[6]

1965[6]

  189629[7]

唱歌

メディア




 2007M

1927 - 

1926 - 



 - 



16

THE MOMOTAROH使





1948 1961

TV

197613::::199091::::



__Double_Dealing_Character. 


  • ウルトラマンレオ「ウルトラマンキングと魔法使い」レオがプレッシャーにより赤い風船に閉じ込められ縮小してしまう。本家と同じお椀の船に箸のかいで川を進む。少年に助けられるが縮小したプレッシャーと少年の部屋で戦う。ウルトラマンキングが打出の小槌で巨大化させた。

備考・その他


dwarf[8]


脚注



(一)^ ︿200450ISBN 978-4-413-04081-5 

(二)^ abc 198737ISBN 978-4-8380-3108-5 

(三)^ abcdefg ︿1992254-255ISBN 978-4-4040-2011-6 

(四)^  2008299ISBN 978-4-3360-5055-7 

(五)^ 20022004

(六)^ abc38 

(七)^ 65 

(八)^ 1989123ISBN 978-4-06-121057-8 

関連書籍

関連項目

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、一寸法師に関するカテゴリがあります。