丸刈り
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丸刈り︵まるがり︶及び坊主刈り︵ぼうずがり︶とは、頭髪を非常に短く均等な長さに刈り取る髪型である。
仏教の僧侶、軍隊や刑務所の受刑者などが日常生活と決別するため行う場合がある。髪結文化圏では刑罰的意味あいで行なわれることがある。ただ、人権問題の事もあり、剃髪自体が形骸化されつつある。
﹁坊主刈り﹂の語源は、かつて僧侶は髪型を坊主刈りにする事が求められていた事による︵近代以降は法令によって自由化された︶。
歴史
●大日本帝国における学校教育では大正期に男子学生・生徒の制服が大日本帝国陸軍に倣った学生服、女子学生・生徒の制服が大日本帝国海軍に倣ったセーラー服となり、その流れの中で軍人と同様、男子の髪型は丸刈りとされた。そして高度経済成長以前の初等教育の児童の髪型は坊主刈りと坊ちゃん刈りの2種類しかなく、農村や都市の庶民層では、坊主刈りを選択する男の子がほとんどであった。
●既製服の普及と歩調を合わせるかのように坊主刈りは廃れて行き、坊ちゃん刈りが一般的となった。
●しかし、1990年代初頭までは︵地域によっても事情が大きく異なるが、主に九州の郡部で︶﹁服装の乱れを防止する﹂という名の下に、校則で坊主刈りを男子生徒に対してのみ︵女子は免除︶強制する中学校も多かった。もともと髪型の指導がない学校が﹁坊主刈りは非行防止に効果がある﹂と坊主刈り強制に転じた学校も多い。神戸市は都市部としては最後まで中学校での坊主刈りを堅持しようとする姿勢で有名だったが、校則での坊主刈り強制を人権問題と考える弁護士も介入し、坊主刈りを強制する中学校は減少した。しかしながら、全国でも一部では坊主刈り強制の校則が存在する中学校も存在するといわれ、学区内で校則の存廃について対立している。
●また、長いあいだ、学校での特にスポーツ関係の部活動、なかでも野球部は丸刈り強制が普通だったが、1993年のJリーグ発足と同時に、長髪を容認するサッカーに優秀な選手が流出し、危機感を募らせた多くの野球部でも丸刈り強制は廃止された。ただし現在においても、依然として丸刈りの球児は多く見受けられる。
●校則では髪型自由にも拘らず、クラスの担任の方針や裁量により学級単位で丸刈り強要させている場合もある。
●警察学校、刑務所では、男子に対してのみ丸刈りが画一的に課せられている。一方で大概の場合、女子囚人は髪型が自由で、収監時に染髪されている状態だった場合は、そのままでいることが黙認されている。︵一部刑務所では女子も丸刈り強制の所もある。︶ただし2005年に改正された法律により受刑者に対する意に反する調髪は衛生上の必要性を除く調髪する事はない。[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を﹁date=yyyy年m月﹂形式で記入してください。間違えて﹁date=﹂を﹁data=﹂等と記入していないかも確認してください。
丸刈り強制への批判
丸刈りの強制に関しては、人権侵害という観点から批判が根強い。またそれが男子にのみ課され、男子が丸刈りであっても女子には左程厳しい髪型の規制が行われないことが多いことから、男性差別であるとする批判がある。但し、まれに女子にも丸刈りを強要させるケースもあり[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を﹁date=yyyy年m月﹂形式で記入してください。間違えて﹁date=﹂を﹁data=﹂等と記入していないかも確認してください。、一概に男性差別とは言えない事もある。
丸刈りをすると成績やスポーツによいと信じている場合があるが、因果関係は全くなく、誤りである。また、丸刈りが非行を防ぐとされる証拠はないことから、教育指導としても問題があるといえる。
性同一性障害者が窃盗罪で実刑判決を受けて受刑者となるにあたって、拘置所長による調髪処分︵丸刈りの強制︶をしないように求めた行政訴訟で、これを認めなかった裁判例がある。それが、2006年の行政処分差止請求事件︵名古屋地方裁判所平成18年8月10日︶である。この事件は、戸籍上は男性であるが女性として社会生活を営んでいた性同一性障害者が、受刑者となるにあたって、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律︵平成17年法改正により監獄法から改称︶37条に基づく男子受刑者としての調髪処分︵平成17年法改正前の監獄法36条に基づく強制翦剃処分。現行法令上﹁原型刈り﹂、﹁前五分刈り﹂の2種︵及び﹁中髪刈り﹂︶から規定に沿って受刑者が選択する︶が拘置所長によって行われないように求めて、仮差止め請求︵行政事件訴訟法37条の5第2項︶を行った。これに対して裁判所は、まず訴訟要件に関する被告︵国︶の本案前の抗弁を排斥した。しかし、実体判断によって原告の仮差止め請求を棄却した。
理由として、髪型の自由について、一般論としては﹁日本国憲法第13条の保障する個人の尊厳に係る権利の内容をなすものとして尊重されるべきもので、何人も合理的な理由なく一定の髪型を強制されることはない。﹂とした。しかし、﹁懲役刑等は受刑者に贖罪と更生を図ることを目的とし、身柄の刑事施設︵刑務所︶への収容と強制を図るものであり、拘禁目的達成に必要な限度で、自己決定権が制約を受けることは当然である﹂とした。そして、﹁丸刈りに調髪することは、犯罪性向を有する多数の者を集団生活させる際に、規律や衛生を厳格に維持するために有効かつ必要で、逃走防止、画一的処遇の必要性、調髪を許容することによる財政上の負担増加を理由に、合理的な制限にあたる﹂ことなどを上げ、原告の請求を退けた。
しかし、上記の理由は女子受刑者︵戸籍が﹁女性﹂である受刑者︶にする取り扱い︵丸刈り免除︶と男子受刑者︵戸籍が﹁男性﹂である受刑者︶に対する取り扱い︵丸刈り強制︶が異なることによる男性差別を正当化できていない。
テレビ、企画、罰ゲームなどの丸刈り
テレビ等のバラエティ番組の企画又は罰ゲームとして行われることもあれば、いじめなどで丸刈りにされる例もある︵とんねるずの石橋貴明、よゐこの濱口優、インパルスの板倉俊之など︶。プロ野球で応援している球団が優勝できなかったり、またはアンチの球団が優勝してしまい丸刈りになったアナウンサーもいる︵前者は1982年の徳光和夫、後者は1989年の久米宏。︶。
丸刈りをやめる罰ゲーム
これを反転させたものとして、﹁敗者髪伸ばしマッチ﹂という﹁負けた者が丸刈りをやめ、髪を伸ばさなければならない﹂というルールで丸刈りにしているレスラー同士の試合を行ったプロレス団体なども存在する。
丸刈りに対する抵抗感が薄れ、ファッション、キャラクターとしての丸刈りが成立するようになったがゆえの出来事といえよう。
丸刈りの長さ
一口に丸刈りと言っても、その長さは様々である。丸刈りの長さを表すのに、関東では分・厘、関西では枚︵バリカンに取り付けるスペーサーの枚数に由来︶を用いることが多い。分や厘は尺貫法が基本であるが、必ずしも対応していない。
共通
- スキンヘッド:バリカンで刈って、更に特殊な剃刀で剃る
- 1厘刈り:0.5mm
- 5厘刈り:2mm
- 1分刈り:3mm
- 3分刈り:6mm
- 5分刈り:9mm
- 1枚刈り:2mm
- 1枚半刈り:3mm
- 2枚刈り:5mm
- 3枚刈り:7mm