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古史古伝︵こしこでん︶とは、日本の古代史で主要資料とされている﹁記紀︵﹃古事記﹄と﹃日本書紀﹄︶﹂とは著しく異なる内容歴史を伝える文献を一括して指す名称。種類が多い。また超古代文献・超古代文書ともいう。なお、古史古伝は今のところ、いずれも学界の主流からは偽書とみなされている。
概論
古史古伝は、
(一)写本自体が私有され非公開である、などの理由で史料批判がなされる予定がなく、史料として使えないものも多い
(二)超古代文明について言及されている
(三)漢字の伝来以前に日本にあったという主張がある神代文字で綴られている
(四)上代特殊仮名遣に対応してない︵奈良時代以前の日本語は母音が8個あったが、5母音の表記体系である︶
(五)近代以降の用語が使用されている
等々の理由で古代史研究における歴史学的な価値は非常に低く、古代からの伝来である可能性も極めて低いと考えられている。しかし、古史古伝は種類が多く1〜5の特徴もすべての古史古伝に共通しているわけではなく、それらの諸点についての度合いは各書ごとに様々である。
ただし、いずれの﹁古史古伝﹂においても﹃偽書である﹁古史古伝﹂ではなく、真書である﹄と主張する人々はかつて存在したか、もしくは現存している。
現在では、近代における日本人の国家観・民族観への受容等のあらわれとして、写本作成を行う者の思想に対する研究が始まったところである。写本そのものに史料的価値が認められなくとも、﹁それらの写本︵偽書︶をいつ、だれが、どのような背景・目的で作成したのか﹂を研究することはじゅうぶん学問的な行為といえる。
名称由来
第2次世界大戦前には﹁神代史﹂﹁太古史﹂など言われ、戦後︵1970年代頃まで︶には吾郷清彦が﹁超古代文書﹂と呼んでいた。また同じ頃、武田崇元︵武内裕︶は﹁偽書﹂﹁偽史﹂﹁偽典﹂などといっていたが、﹁偽書﹂﹁偽典﹂は用語としてすでに確立した別の定義が存在しており紛らわしいので、やがて﹁偽史﹂という言い方に統一されていった。
﹁古史古伝﹂という言い方は、吾郷清彦が著書﹃古事記以前の書﹄︵大陸書房、1972年︶で最初に提唱したもので、この段階では﹁古典四書﹂﹁古伝三書﹂﹁古史三書﹂とされていたが、著書﹃日本超古代秘史資料﹄︵新人物往来社、1976年︶では、﹁古典四書﹂﹁古伝四書﹂﹁古史四書﹂﹁異録四書﹂に発展した。
初期の頃の吾郷清彦は﹁超古代文書﹂という言い方を好み、﹁古史古伝﹂とは言わなかった。あくまで分類上の用語として﹁古伝四書﹂とか﹁古史四書﹂といっていたにすぎない。1980年代以降、佐治芳彦がこれをくっつけて﹁古史古伝﹂と言い出したのが始まりである。
下記の分類は前述の﹃日本超古代秘史資料﹄を基本としているが、その後、他の文献写本が発見されるに従って吾郷清彦自身によって徐々に改訂が繰り返され増殖していった。その分として若干の補足を加えてある。
吾郷清彦による分類
古典四書
●﹃古事記﹄
●﹃日本書紀﹄
●﹃先代旧事本紀﹄︵旧事紀︶
●﹃古語拾遺﹄
﹃古語拾遺﹄を除いて﹁古典三書﹂ともいう。この﹁古典四書﹂︵または古典三書︶という分類は、異端としての超古代文書に対して正統な神典としての比較対象のための便宜的な分類であり、﹁古典四書﹂はいわゆる超古代文書︵古史古伝︶ではなく、通常の﹁神典﹂から代表的・基本的な四書を出したもので、実質は﹁神典﹂の言い替えにすぎない。︵神典の範囲をどう定めるかは古来諸説があるがこの四書に加えて﹃万葉集﹄﹃古風土記﹄﹃新撰姓氏録﹄などをも含むことが多い︶。
しかし﹃先代旧事本紀﹄については若干の説明が必要である。﹃先代旧事本紀﹄は江戸時代以来、偽書であるとの評価が一般的であり、当然、吾郷清彦も最初からそれを認識していた。しかしまた同時に、通説と同様に、その価値を全面否定はせず、記紀に次ぐ重要な﹁神典﹂とみなされてきた事実には変わりない、と︵記紀ほどではないが︶評価もしていたのである。
この本来の旧事紀︵十巻本︶とは別に異本︵﹃先代旧事本紀大成経﹄︵72巻本︶・﹃白河本旧事紀﹄︵30巻本︶・﹃大成経鷦鷯伝﹄︵31巻本︶︶もあり、こちらは論者によっては古史古伝の一種とされることもありがちなのであるが、超古代文書︵=古史古伝︶は﹁偽書﹂の一種ではあっても、﹁偽書﹂のすべてが古史古伝かというとそれも疑問であり、吾郷清彦はその著作の中で﹃旧事紀﹄の異本を紹介しながらも、これらを古史古伝とはしていないのである。
同様に﹃天書﹄︵﹃天書紀﹄ともいう︶・﹃日本国総風土記﹄・﹃前々太平記﹄の三書を異端古代史書として古史古伝と同様に扱おうとする説︵田中勝也など︶もあるが、このうち﹃天書﹄は古史古伝の類とはいえず、他の二書も超古代文書というほどの内容をもっているわけではない。これらは古典四書の周辺的な類書であり、古史古伝の同類とみなされかねない異端古代史書とはいえても、超古代文書だとか古史古伝そのものに入れるのは相当な無理がある。
また﹃新撰姓氏録﹄を超古代史書として解釈する説もあるが、これは高橋良典の解釈説の内容が超古代史なのであって本文そのものが超古代史なわけではない。先代旧事本紀または天書と似たような位置にある史書として住吉大社神代記があるが、今のところこれを古史古伝扱いする議論は出現してないようである。
古伝四書
●﹃ウエツフミ﹄︵大友文書、大友文献ともいう[1]︶
●﹃ホツマツタヱ﹄︵※漢字ではなくカナ書きするのが吾郷の流儀︶
●﹃ミカサフミ﹄
●﹃カタカムナのウタヒ﹄︵いわゆる﹁カタカムナ﹂︶
﹁カタカムナ﹂を除いて﹁古伝三書﹂ともいう。
この﹁古伝四書﹂は全文が神代文字で書かれているという外見上の体裁による分類であって、内容に基づく分類ではない。
また、﹃フトマニ﹄という書がある。この﹃フトマニ﹄は普通名詞の太占︵ふとまに︶と紛らわしいので吾郷清彦は﹃カンヲシデモトウラツタヱ﹄︵神璽基兆伝︶と名付けた。﹃フトマニ﹄﹃ホツマツタヱ﹄﹃ミカサフミ﹄の三書は世界観を同じくする同一体系内の一連の書であり﹁ホツマ系文書﹂ということができる。一部の肯定派の研究者からは﹁ヲシテ文献﹂と一括してよばれる。
また、カタカムナに関係する﹃神名比備軌﹄︵かむなひびき︶や﹃間之統示﹄︵まのすべし︶という漢字文献も﹁カタカムナ系の文献﹂として一括できるが、これらカタカムナを含むカタカムナ系の諸文献は﹁歴史書﹂ではない。﹁超古代文書=古史古伝﹂は、このように歴史書以外をも含む幅広い概念である。
古史四書
●﹁九鬼神伝精史﹂︵いわゆる﹁九鬼文書﹂。﹃天津鞴韜秘文﹄︵あまつたたらのひふみ︶は九鬼文書群の一部である︶
●﹁竹内太古史﹂︵いわゆる﹁竹内文献﹂。﹁天津教文書﹂﹁磯原文書﹂ともいう︶
●﹁富士高天原朝史﹂︵いわゆる﹁富士谷文書﹂︵ふじやもんじょ︶。﹁宮下文書﹂﹁富士宮下古文献﹂ともいう︶
●﹁物部秘史﹂︵いわゆる﹁物部文書﹂︶
﹁物部秘史﹄を除いて﹁古史三書﹂ともいう。
﹁古史四書﹂は神代文字をも伝えてはいるものの、本文は漢字のみまたは漢字仮名まじり文で書かれたもの。やはり内容による分類ではない。上記の四つのタイトル︵九鬼神伝精史・竹内太古史・富士高天原朝史・物部秘史︶は、吾郷清彦が独自に名付けたものである。
竹内文書、大友文書、富士文書を三大奇書ともいう[2]。
異録四書
●﹃東日流外三郡誌﹄︵つがるそとさんぐんし︶。いわゆる﹁和田家文書﹂の一つ[3]。
●﹃但馬故事記﹄︵たじまこじき。﹁但馬国司文書﹂とも。但馬故事記は本来は但馬国司文書の中の代表的な書物の名︶
●﹃忍日伝天孫記﹄︵おしひのつたえてんそんき︶
●﹃神道原典﹄︵しんとうげんてん︶
﹃神道原典﹄を除いて﹁異録三書﹂ともいう。
﹁異録四書﹂は古伝四書や古史四書に含まれないものをひとまとめにしたもので、いわゆる﹁その他﹂の枠であり、古伝四書・古史四書のように四書全体に通じる共通の特徴があるわけではない。
﹃忍日伝天孫記﹄と﹃神道原典﹄は古文書・古文献ではなく、前者は自動書記、後者は霊界往来による霊感の書である。このように吾郷清彦の﹁古史古伝﹂︵超古代文書︶という概念は﹁古代から伝わった書物﹂という意味だけでなく、﹁自動書記などの霊感によって超古代の情報をもたらす現代の書﹂まで含む幅広い概念である[4]。吾郷は上記の他にも、超古代文書として﹃異称日本伝﹄・﹃神伝上代天皇紀﹄・﹁春日文書﹂を取り上げているが、このうち﹃異称日本伝﹄は松下見林による江戸時代の有名な著作であり、超古代文献とはいえないものであることは、後述の﹃香山宝巻﹄と同様である。また﹁春日文書﹂は言霊︵ことだま︶関係の文献[5]であり歴史書ではないが、古史古伝には歴史書以外も含みうるのは、上述のカタカムナの場合と同じである。
吾郷清彦による分類の発展
東亜四書
●﹃契丹古伝﹄︵﹃神頌叙伝﹄ともいう︶
●﹃桓檀古記﹄
●﹃香山宝巻﹄
●﹃宝巻変文類﹄
吾郷は﹁新しき世界へ﹂誌︵日本CI協会刊︶に寄稿した際﹁東亜四書﹂という項目を追加している。
構想段階では﹃香山宝巻﹄﹃宝巻変文類﹄がなく﹃竹書紀年﹄﹃穆天子伝﹄だったが、この両書を古史古伝だというのは無理があり、後の著作では﹃竹書紀年﹄﹃穆天子伝﹄をはずし﹃香山宝巻﹄﹃宝巻変文類﹄を入れた形で発表されている。しかし﹃香山宝巻﹄﹃宝巻変文類﹄は世間的には有名ではなかったが専門家の世界ではもとから知られたものであり、超古代史文書に入れるのは異論もある。ほかに東アジアに関連するものとして﹃山海経﹄﹃封神演義﹄をあげる論者もいるが、﹃山海経﹄は古来有名な古典であり、一方﹃封神演義﹄は小説であり、いくら内容が面白いからといってもこの両書を古史古伝というのは無理がある。それよりも﹃契丹古伝﹄や﹃桓檀古記﹄とならぶべき超古代文書といえば﹃南淵書﹄があげられる。また﹃桓檀古記﹄は﹃揆園史話﹄や﹃檀奇古史﹄などの同系の書物とともに﹁檀君系文献群﹂として一括してよぶことができる。
泰西四書
●﹃ウラ・リンダの書﹄︵﹃オエラリンダ年代記﹄ともいう︶
●﹃OAHSPE﹄︵オアフスペ、オアースプ等いろいろに読まれる︶
●﹃モルモン経﹄
●﹁アカーシャ年代記﹂︵﹁アカシックレコード﹂ともいう[6]︶
他に﹁ナーカル碑文︵聖なる霊感の書︶﹂﹃ドゥジャーンの書﹄﹁エメラルド・タブレット﹂﹁トートの書﹂等がある。また﹃ネクロノミコン﹄は当初から小説の中の存在として発表されたため建前上も架空の書物だが、実在と信じる人もいるのでその場合は超古代文書の一種となる。
ただし﹃OAHSPE﹄は自動書記によるもので、﹁アカーシャ年代記﹂は不可視界の存在であり、どちらも古文書ではないが、他にも神の啓示とか霊感などによって書かれて古史古伝に入れられたものに﹃宝瓶宮福音書﹄がある。これらは古代から伝来した書物ではないが、それは古史古伝の定義上問題ないことは異録四書での説明の通り。
地方四書
●﹃甲斐古蹟考﹄
●﹁阿蘇幣立神社文書﹂︵﹁高天原動乱の秘録﹂ともいう︶
●﹃大御食神社神代文字社伝記﹄︵﹃美杜神字録﹄ともいう[7]。吾郷は﹃美しの杜物語﹄と名付けた[8]。︶
●﹃真清探當證﹄︵ますみたんとうしょう︶
﹃美杜神字録﹄は神代文字で書かれており定義からいえば﹁古伝四書﹂の方に入れてもよさそうではあるが、吾郷はその件については特にふれていない。﹃美杜神字録﹄のように地方色豊かなものとして原田実はさらに﹃伊未自由来記﹄︵いみじ・ゆらいき︶・﹃肯搆泉達録﹄︵かんかんせんだつろく︶をあげている。
秘匿四書
●﹁阿部文書﹂︵阿部でなく﹁安部文書﹂とする説もある[9]︶
●﹁斎部文書﹂
●﹁清原文書﹂
●﹁久米文書﹂
上記の四書は未確認文献である。これらは神代文字を伝えているとか竹内文献と共通する内容があるとかウガヤフキアヘズ朝についての記述があるとか、戦前には様々な噂が広がっていた。阿部文献については、三浦一郎は﹃九鬼文書の研究﹄の中で、また宇佐美景堂は﹃命根石物語﹄の中で、ともに豊後の阿部家に伝わる古代文字文献について述べており、戦前からの研究者である山根キクや大野一郎らは神武以前の天皇名などを伝えている個所があると主張していた。が、現在のところ何も見つかっていない。残りの三書﹁斎部文書﹂﹁清原文書﹂﹁久米文書﹂も噂の域をでず詳細不明であり、実在しない可能性が高い。
これらの他にもなお﹁大伴文書﹂[10]なるものが存在することが判明している[11]。
一覧
本項ででてきた書物のタイトル一覧。五十音順。
古史古伝
●﹁アカーシャ年代記﹂︵﹁アカシックレコード﹂ともいう︶
●﹁阿蘇幣立神社文書﹂︵﹁高天原動乱の秘録﹂ともいう︶
●﹁阿部文献﹂︵阿部とは別に﹁安部文書﹂も存在する︶
●﹃異称日本伝﹄︵これを古史古伝に加えるのは異論もあるが本項の中では吾郷の判定に従う︶
●﹃伊未自由来記﹄︵いみじ・ゆらいき︶
●﹁斎部文書﹂︵いんべもんじょ︶
●﹃ウエツフミ﹄︵﹁大友文書﹂﹁大友文献﹂ともいう︶
●﹃ウラ・リンダの書﹄︵﹃ウラ・リンダ年代記﹄ともいう︶
●﹁エメラルド・タブレット﹂
●﹃OAHSPE﹄︵オアフスペ、オアースプ等いろいろに読まれる︶
●﹁大伴文献﹂
●﹃大御食神社神代文字社伝記﹄︵﹃美社神字録﹄﹃美しの杜物語﹄ともいう︶
●﹃忍日伝天孫記﹄︵おしひのつたえてんそんき︶
●﹃甲斐古蹟考﹄
●﹁春日文書﹂
●カタカムナ系文書群
●﹃カタカムナのウタヒ﹄
●﹃神名比備軌﹄︵かむなひびき︶
●﹃間之統示﹄︵まのすべし︶
●﹃肯搆泉達録﹄
●﹃契丹古伝﹄︵﹃神頌叙伝﹄ともいう︶
●﹁清原文書﹂
●﹁九鬼神伝精史﹂︵いわゆる﹁九鬼文書﹂)
●﹁久米文書﹂
●﹃香山宝巻﹄︵これを古史古伝に加えるのは異論もあるが本項の中では吾郷の判定に従う︶
●﹃神伝上代天皇紀﹄
●﹃神道原典﹄︵しんとうげんてん︶
●﹁竹内太古史﹂︵いわゆる﹁竹内文献﹂。﹁天津教文書﹂﹁磯原文書﹂ともいう︶
●﹃但馬故事記﹄︵たじまこじき。﹁但馬国司文書﹂ともいう︶
●檀君系文書群
●﹃檀奇古史﹄
●﹃桓檀古記﹄
●﹃揆園史話﹄
●﹃東日流外三郡誌﹄︵つがるそとさんぐんし。﹁和田家文書﹂ともいう︶
●﹁トートの書﹂
●﹃ドゥジャーンの書﹄
●﹁ナーカル碑文︵聖なる霊感の書︶﹂
●﹃南淵書﹄
●﹃ネクロノミコン﹄
●﹁富士高天原朝史﹂︵いわゆる﹁富士谷文書﹂。﹁宮下文書﹂﹁富士宮下古文献﹂ともいう︶
●﹃宝巻変文類﹄︵これを古史古伝に加えるのは異論もあるが本項の中では吾郷の判定に従う︶
●﹃宝瓶宮福音書﹄
●ホツマ系文書群︵ヲシテ文献︶
●﹃ホツマツタヱ﹄︵※古伝四書として書く場合はタイトル仮名書き︶
●﹃ミカサフミ﹄
●﹃カンオシデモトウラツタヱ﹄︵神璽基兆伝︶
●﹃真清探當證﹄
●﹁物部秘史﹂︵いわゆる﹁物部文書﹂︶
●﹃モルモン経﹄
神典
●﹃古事記﹄
●﹃古語拾遺﹄
●﹃新撰姓氏録﹄
●﹃先代旧事本紀﹄︵十巻本︶
●﹃日本書紀﹄
●﹃古風土記﹄
●﹃万葉集﹄
●﹃住吉大社神代記﹄
それ以外
●旧事紀異本
●﹃先代旧事本紀大成経﹄︵七十二巻本︶
●﹃白河本旧事紀﹄︵三十巻本︶
●﹃大成経鷦鷯伝﹄︵三十一巻本︶
●﹃山海経﹄
●﹃前々太平記﹄
●﹃天書﹄︵﹃天書紀﹄ともいう︶
●﹃竹書紀年﹄
●﹃日本国総風土記﹄
●﹃穆天子伝﹄
●﹃封神演義﹄
脚注
(一)^ ﹃ウエツフミ﹄には宗像本と大友本があるが、﹁大友文書﹂という言い方はそのうち大友本をさすというのではなくて、編者の大友能直の名をとったものであり宗像本と大友本を包括する名である。しかし﹁大友本﹂と紛らわしいのであまり使われなくなった。
(二)^ 鈴木貞一などがこの三書を﹁三大奇書﹂といっている。吾郷が戦後、知名度において劣っていたホツマツタヱや九鬼文書などを吾郷が取り上げるまでは、超古代史を語る歴史書としてはこの三書が群を抜いて有名だった。
(三)^ 吾郷がこの著書を著した頃には﹃東日流外三郡誌﹄以外の和田家文書は知られていなかった。
(四)^ 吾郷は古神道の研究家でもあったので、晩年には、古史古伝とはあくまで別枠としてだが﹃霊界物語﹄﹃泥海古記﹄﹃神霊正典﹄﹃日月神示﹄を﹁霊示四書﹂と呼んでいた。
(五)^ 晩年の吾郷は﹁言霊四書﹂のリストも考案していた。
(六)^ ルドルフ・シュタイナーの著作﹃アカシャ年代記より﹄のこととは限らない。﹃アカシャ年代記より﹄の著述の元になったもので、目に見えないがすべての過去の事実の跡が虚空︵アーカーシャ︶に刻まれて記録されており、特定の能力のある者がそれを読み取ることができるという。ただし﹁アカーシャ年代記﹂︵=アカシックレコード︶そのものは現界に書物として存在しているわけではなく、吾郷がここでいっているアカーシャ年代記︵実際に文章化された書物︶とは事実上ルドルフ・シュタイナーの著作をさしている。しかし吾郷清彦は、シュタイナーの著作の内容とは無関係にアカシック・レコードという言葉が使われることや、アカシック・レコードだと称されるものの内容が霊視する人間によって大きく変わってしまうことも認識していたため、あまりアカシック・レコードという言葉は使っていない。八幡書店の用語では、アカシック・レコードに相当する概念として九鬼文書の﹁天地言文︵アメチコトフミ︶﹂や荒深神道の﹁天津古世見︵あまつこよみ︶﹂があげられており、吾郷もそのような既存の和風の用語を援用・流用することを構想していた。
(七)^ ﹃美杜神字録﹄は出版物でもサイト上でも美杜神字解とするものがあるが﹃美杜神字"解"﹄は落合直澄による著作︵解読文︶であり、原書のほうは美杜神字"録"である。
(八)^ このタイトルは吾郷の昭和42年に著した解説書のタイトルでもある。
(九)^ ﹁安部文書﹂ならば実在するものの、原田実・森克明編の﹁古史古伝事典﹂︵別冊歴史読本編集部編﹃古史古伝の謎﹄所収︶によると﹁安部文書﹂で現在までに見つかっているのは安部家の系図や寺社縁起のみであって、その中に神代伝承は見いだせない。
(十)^ ﹃ウエツフミ﹄の別名である﹁大友文書﹂とは無関係。
(11)^ 熊野修験道の秘伝書という﹁天津蹈鞴秘文﹂について、伝承者の高松壽嗣はその一部を大伴氏の所伝とみなし、﹁大伴文書﹂と呼んでいたという。したがって﹁大伴文書﹂が実在するという言い方は可能だが、その中にウガヤフキアヘズ朝伝承は特に見出せない。
参考文献
●吾郷清彦 ﹃日本超古代秘史資料﹄新人物往来社、1976年。
●︵上記の復刊版︶﹃日本超古代秘史研究原典 (愛蔵保存版)﹄大陸書房 ISBN 440402472X
●吾郷清彦 ﹃古事記以前の書﹄大陸書房、1972年。
●藤原明﹃日本の偽書﹄ISBN 4166603795
●原田実﹃古史古伝論争とは何だったのか﹄・新人物往来社﹃歴史読本﹄2009年8月号
●原田実﹃﹃古史古伝﹄異端の神々﹄ビイングネットプレス、2006年
●田中勝也﹃異端古代史書の謎﹄大和書房、1986年。
●別冊歴史読本編集部編 ﹃﹁古史古伝﹂論争﹄
●︵上記の再編復刊︶﹃古史古伝の謎﹄ ISBN 4404024010
●別冊歴史読本編集部編 ﹃危険な歴史書﹁古史古伝﹂―“偽書”と“超古代史”の妖しい魔力に迫る!﹄ ISBN 4404027540
●別冊歴史読本編集部編 ﹃徹底検証 古史古伝と偽書の謎﹄ ISBN 4404030770
●佐治芳彦﹃古史古伝入門―正史に埋もれた怨念の歴史 (トクマブックス)﹄徳間書店 新書 - 1988/10 ISBN 4195037557
関連項目
●大本
●新宗教
●歴史書
●歴史小説
●ファンタジー
外部リンク
●﹃解読 上紀﹄田中勝也