鉄道要覧
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鉄道要覧︵てつどうようらん︶
●日本国有鉄道︵国鉄︶が発行していた日本国有鉄道統計のダイジェスト版。国鉄分割民営化により消滅した。
●日本における鉄道・軌道・索道事業の営業内容の一覧。本項で詳述する。
鉄道要覧︵てつどうようらん︶は、日本の国土交通省鉄道局が監修し、株式会社電気車研究会・鉄道図書刊行会が発行する、日本の鉄道・軌道・索道事業の営業内容をまとめた要覧であり、日本の鉄道を概観するうえで最も基礎的な資料の一つである。毎年9月頃に発行されている。以前は﹃民鉄要覧﹄、更に以前は﹃私鉄要覧﹄と称していた。
歴史
1922年版または1923年版の﹃地方鉄道一覧﹄﹃軌道一覧﹄が起源とされる。両書は1928年版から統合され﹃地方鉄道軌道一覧﹄となった。当初は数年おきに1回作成される不定期刊であった。戦後は﹃私鉄要覧﹄に改題。1947年版と1948年版が作成され、1950年代前半の加除式を経て1957年度版より年刊となった。私鉄監督行政の業務用という位置づけであったため一般には提供されていなかったが、発行元が電気車研究会・鉄道図書刊行会に移った1970年度版より一般にも頒布されるようになる。その後1977年度版から﹃民鉄要覧﹄に改題し、1990年度版から現在の﹃鉄道要覧﹄に改題している。
閲覧・入手可能な場所
記載内容について
線路名称
鉄道要覧に記載される鉄道路線の名称は、各事業者における制定名称や路線図上の名称等と異なることがある。
●例1 鉄道要覧において、東日本旅客鉄道の﹁中央線﹂は神田 - 代々木間および新宿 - 塩尻間︵および岡谷 - 塩尻間。以下略︶と表記されるが、これは東日本旅客鉄道が営業上使用している﹁中央本線﹂の東京 - 松本間[1]とは名称及び区間が異なっている。[2]
鉄道要覧の記述は、国鉄が分割民営化された際に策定された﹁日本国有鉄道の事業等の引継ぎ並びに権利及び義務の承継等に関する基本計画﹂[3]と一致している。
●例2 鉄道要覧は、日本全国の地下鉄線の線区については、路線名称を﹁審議会等における計画呼称︵数字の﹁何号線﹂︶・地名等による線名﹂の順に併記しており、これらは各事業者︵地方公共団体等︶が条例および規則等で定める路線の正式名称と必ずしも同一でない。
●東京都営地下鉄﹁浅草線﹂は、同要覧では﹁1号線/浅草線﹂︵註 : “ / ”は改行を指す。以下、本段落において同じ︶と表記されるが、東京都交通局告示による正式名称は単に﹁浅草線﹂である。
●名古屋市営地下鉄﹁鶴舞線﹂は、同要覧では﹁3号線/鶴舞線﹂と表記されるが、名古屋市交通局は規程で同線を﹁第3号線﹂と定め、旅客案内には愛称の﹁鶴舞線﹂を使用する。
実際の存立状態との不一致
鉄道要覧では日本の鉄軌道等路線の、法規に定められた許認可上の現況を網羅しており、実際の各路線の存立状態とは同一でない場合がある。例としては、平成17年度版まで奥多摩湖観光株式会社が川野~三頭山口間の索道を営業していることになっていたが、この区間は1966年より長期休止中で再開の見込みがほとんどなく、事実上の廃止状態であった。平成18年度版になって休止中と記載され、平成19年度版では、奥多摩湖観光の索道の記述はなくなった。
注釈
- ^ JR東日本ウェブサイトより
- ^ 同社も会社要覧の「経営諸元」の「付表」においては、鉄道要覧と同じ路線名称及び区間を使用している。
- ^ 『官報』昭和61年12月20日号(第17956号)に掲載