AppleTalk
AppleTalk(あっぷるとーく)は、主にアップルコンピュータ社製パソコンのMacintosh(Mac)で利用された通信プロトコル群の総称。またMac OSのネットワーク機能。 AARP、DDP、RTMP、AEP、NBP、ZIP、ATP、PAP、ASP、ADSP、AFPといった複数のプロトコルを組み合わせて利用する。現在のMacintoshはTCP/IPに移行したため、AppleTalkはほとんど利用されない。
概説
登場背景
歴史
物理層およびデータリンク層
LocalTalk
EtherTalk
TokenTalk
TokenRingを用いたものをTokenTalkと称する。LLCによってAppleTalkのパケットをカプセル化するデータリンク層のプロトコルをTLAP (TokenTalk Link-Access Protocol)と呼ぶ。
FDDITalk
IPTalk
IPTalkは特定の物理層を用いるものではない。Internet Protocol上でAppleTalkのパケットをカプセル化 するプロトコルである。すなわちAppleTalk over IPである。詳しくはIPTalk (通信)を参照。
無線LAN
電話回線
ARA (Apple Remote Access)やOpen Transportの為のソフトウェアをインストールすると、アナログ回線、ISDN等を問わず電話回線経由で遠隔地のMacとAppleTalkで接続することが出来た。この為のプロトコルとしては、ARAP (Apple Remote Access Protocol)とPPPの二種類がある。ARAPはApple独自のプロトコルである。PPPは元々NCP (Network Control Protocol)によってAppleTalkも使えるように設計されたプロトコルである。
各プロトコル
AppleTalk Address Resolution Protocol
AARPはAppleTalkのノードアドレスと物理アドレスのマッピングを行なうネットワーク層(第3層)のプロトコルである。TCP/IPにおけるARPと同等である。
Datagram Delivery Protocol
DDPは最下位でデータグラムを配送するネットワーク層(第3層)のプロトコルである。TCP/IPにおけるIPに相当する。
Routing Table Maintenance Protocol
RTMPはDDPパケットのルーティングに用いられるトランスポート層(第4層)のプロトコルである。
AppleTalk Echo Protocol
AEPはDDP上でEchoを送受信するトランスポート層(第4層)のプトロコルである。TCP/IPではpingを用いたICMPのechoに近い。
Name Binding Protocol
NBPはAppleTalkの名前解決、すなわちノード名とアドレス名の解決やlookupを行なうトランスポート層(第4層)のプロトコルである。
Zone Information Protocol
ZIPはネットワークとAppleTalk Zoneのマッピング等を行なうセッション層(第5層)のプロトコルである。
AppleTalk Transaction Protocol
ATPはAppleTalkのトランザクションを実現するトランスポート層(第4層)プロトコルであり、DDP上に実装される。
Printer Access Protocol
PAPはプリンタ共有の為のセッション層(第5層)プロトコルであり、ATP上に実装される。
AppleTalk Session Protocol
ASPは高位のネットワークサービスを行なうセッション層(第5層)のプロトコルであり、ATP上に実装される。
AppleTalk Data Stream Protocol
ADSPはAppleTalkで全二重通信を実現する為のセッション層(第5層)のプロトコルである。
AppleTalk Filing Protocol
Appletalk Update-Based Routing Protocol
AURPはRFC1504で公開されたAppleTalkのルーティングをWANに拡張するためのトランスポート層(第4層)のプロトコルである。
MacIP Protocol
MacIPはAppleTalk上でIPのパケットをカプセル化するプロトコルである。すなわちIP over AppleTalkである。詳しくはMacIPを参照。
Timelord Protocol
Timelord Protocolは時刻合わせのプロトコルである。メルボルン大学で開発されたものであり、サーバソフトウェア「Timeload」にはMac OS用とCAP用がある。クライアントソフトウェアは「tardis」という。 仕様書は特に存在しないため、netatalkはCAP用Timeloadのソースをリバースエンジニアリングして実装を行なっている。 Mac OS 8.5以降はTCP/IPの時刻プロトコルであるNTPクライアント機能を実装しているため、Timelordの必要性は薄まっている。
OSI参照モデル
セレクタ
Mac OS 9まではアプリケーション「セレクタ」(アップルメニューから選択)によって接続する他のノードを選択するが、これが起動している間は常にネットワークへブロードキャスト信号を流す。このため、セレクタを起動したままにしておくとネットワークトラフィックの増加を招くので使用後はすぐに終了させたほうがよい。
また、ネットワーク上の他のマシン(接続先のプラットフォームは問わない)を接続し、その内容を表示していると、「常にウィンドウ内容の変化を監視する」動作を行うMac OSの仕組みにより、ローカルディスクのみならずネットワーク上デバイスのウィンドウも逐一内容更新を行うため、やはりネットワークに負荷がかかる。
ルータ
TCP/IPとはプロトコルの構造が異なるため、遠隔地へ接続するためには専用のルータが必要になる。ルータを接続した際には「ゾーン名」の設定が必要になる(AppleTalkルータが存在する環境で「セレクタ」を開くと、画面左下に選択肢が現れる)。
他のOSでの利用
外部リンク
- Inside Macintosh:Networking
- Inside AppleTalk Second Edition (pdf)
- AppleTalk Filing Protocol Version 2.1 and 2.2 (pdf)
- RFC1243 - AppleTalk Management Information Base
- RFC1742 - AppleTalk Management Information Base II
- RFC1378 - The PPP AppleTalk Control Protocol (ATCP)
- RFC1504 - Appletalk Update-Based Routing Protocol: Enhanced Appletalk Routing
- System 7.x.x: AppleTalk and ADSP Versions
- 株式会社インテリジェントワークス/技術情報 - Apple Talkのプロトコル
- Internetworking Technology Handbook - Apple Talk - Cisco Systems
- Apple Talk Protocol suite
- CITES UIUCnet documentation: AppleTalk on the Urbana-Champaign Campus
- AppleTalk Directory & Informational Resource