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「EPSON PCシリーズ」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2021年3月}}


'''EPSON PC'''[[]][[PC-9800]][[]][[|]]''''''PC-9800[[]]NEC

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==概要==

== 概要 ==


{{lang|en|EPSON PC}} [[]][[Intel 80286|i80286]] PC-9801VX/RX/DX [[1987]][[Microsoft Windows 95|Windows95]] [[1995]] NEC PC-9801 

EPSON PC [[]][[Intel 80286|i80286]] PC-9801VX/RX/DX [[1987]][[Microsoft Windows 95|Windows 95]] [[1995]] NEC PC-9801 


初期は同等な性能の機種ではNEC製品より安く同価格帯のNEC製品より高速であること、末期はNEC機にはない特殊なアップグレードパスを用意することをコンセプトとして製造販売が続けられた。

初期は同等な性能の機種ではNEC製品より安く同価格帯のNEC製品より高速であることだったが、末期はNEC機にはない特殊なアップグレードパスを用意することをコンセプトとして製造販売が続けられた。



==スペックの変遷==

== スペックの変遷 ==

===黎明期===

=== 黎明期 ===


NEC981986<ref name="kimura">{{Cite web|author=|date=2010-02-16|url=http://www.hosei.ac.jp/fujimi/riim/img/img_res/WPNo.82_kimura.pdf|title=|format=PDF|work=WORKING PAPER SERIES 82|pages=  3|publisher=[[]]|language= |accessdate=2010627 }}</ref>

NEC981986<ref name="kimura">{{Cite web||author=|authorlink=|date=2010-02-16|url=http://riim.ws.hosei.ac.jp/wp-content/uploads/2014/10/WPNo.82_kimura.pdf|title=   No.3|format=PDF|work=WORKING PAPER SERIES No.82|publisher=[[]] |accessdate=2021-11-05}}</ref>



1984[[IBM-PC]]<ref> pp.44-47</ref>981985<ref> pp.47-48</ref>

1984[[IBM-PC]]{{sfn||1991|pp=44-47}}981985{{sfn||1991|pp=47-48}}


日本では当時、数社に NEC PC-9801 互換機発売の噂があったが、同社は仮想競合メーカに先駆けて1番目に発売することを目標とし、[[1987年]][[元日]]の[[日本経済新聞]]に1ページ全面NEC互換機発売を暗示するカラー企業広告を掲載した<ref name="kimura"/><ref>『ヒット商品物語』 p.50 - によれば、[[キヤノン]]、[[シャープ]]などの参入の可能性が考えられていた。</ref>


 NEC PC-9801 1[[1987]][[]][[]]1NEC<ref name="kimura" />{{refnest|group=""|[[]][[]]{{sfn||1991|p=50}}}}



[[1987]]323938[[]][[]]913<ref name="19XX-Trip1">[http://japan.zdnet.com/sp/feature/07timemachine/story/0,3800077407,20357346,00.htm 19XX--Trip11 vs. NEC PC-981] / [http://japan.zdnet.com/sp/feature/07timemachine/story/0,3800077407,20357346-2,00.htm 2] / [http://japan.zdnet.com/sp/feature/07timemachine/story/0,3800077407,20357346-3,00.htm 3] / [http://japan.zdnet.com/sp/feature/07timemachine/story/0,3800077407,20357346-4,00.htm 4] / [http://japan.zdnet.com/sp/feature/07timemachine/story/0,3800077407,20357346-5,00.htm 5] / [http://japan.zdnet.com/sp/feature/07timemachine/story/0,3800077407,20357346-6,00.htm 6] - [[ZDNet Japan]]</ref>NEC<ref name="19XX-Trip1"/><ref> pp.52-53</ref>NEC137[[]]31612313NEC44NEC<ref name="19XX-Trip1"/>

[[1987]]323938[[]]913<ref name="zdnet20070928">{{Cite web||url=https://japan.zdnet.com/article/20357346/ |title=19XX--Trip11 vs. NEC PC-98 |website=ZDNet Japan |date=2007-09-28 |accessdate=2021-05-21}}</ref>NEC<ref name="zdnet20070928" />{{sfn||1991|pp=52-53}}NEC137[[]]31612313NEC44NEC<ref name="zdnet20070928" />



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[[ファイル:Epson PC-286L.jpg|サムネイル|200x200ピクセル|PC-286L]]


[[1987]][[11]][[|]] PC-286L NEC PC-98LT PC-9800 VRAMPC-9801VM2 <ref group="" name="V30" />[[C]]L2調STNNTN8調 PC-286LE PC-286 BookPC-386 Book-L PC-286 Note 1130NEC<ref name="kimura" /><ref name="zdnet20070928" />PC-2861694.3%109.9%1120.1%12[[]]198712551<ref name="kimura" />



[[1988]]PC-9801RX12MHz286PC-286VEPC-9801RA20MHz[[Intel 80386|i386DX]]PC-386NEC16MHz[[Am80286]]PC-286X[[1989]]80C286(12MHz)PC-286LS80286(16MHz)PC-286VS{{sfn| 19893|p=306}}286[[1990]]20MHzPC-286VX16MHzPC-286VGPC-CLUBPC-286C PC-ONEPC-286LP8MHzCPU[[RS-232C]] 5MHzNEC14400[[|bps]][[]]NEC{{|date=20213}}

[[1987]][[11]][[|]] PC-286L NEC PC-98LT PC-9800 {{lang|en|VRAM}}PC-9801VM2 <ref name="V30" />[[C]]L2調STNNTN8調 PC-286LE PC-286 {{lang|en|Book}}PC-386 {{lang|en|Book}}-L PC-286 {{lang|en|Note}} 1130NEC<ref name="kimura"/><ref name="19XX-Trip1"/>PC-2861694.3%109.9%1120.1%12[[]]198712551<ref name="kimura"/>



 PC-386  PC-286 CPUPC-9801VX  GRCG  EGC PC-9801VM  GDC  GRCG EGC 使VM NEC PC-9800 VXi286<ref group="">8028680186/V3080287i8086i802861180186/V3080287使<code>PUSH SP</code><code>POP CS</code></ref>EGC VMPC-286/386[[]]NEC PC-98XA/XL/XL<sup>2</sup>/RL

[[1988]]PC-9801RX12MHz286PC-286VEPC-9801RA20MHz[[Intel 80386|i386DX]]PC-386NEC16MHz[[Am80286]]PC-286X286[[1990]]20MHzPC-286VX16MHzPC-286VGPC-{{lang|en|CLUB}}PC-286C PC-{{lang|en|ONE}}PC-286LP8MHzCPU[[RS-232C]] 5MHzNEC14400[[|bps]][[]]NEC


=== 高解像度化 ===


 PC-386  PC-286 CPUPC-9801VX  GRCG  EGC PC-9801VM  GDC  GRCG EGC 使VM NEC PC-9800 VX i286 EGC VMPC-286/386[[]]NEC  PC-9801 

{{Infobox Information appliance|プロセッサ=Intel 80386SX 16MHz|os=MS-DOS Ver 2.11(付属)|発売日={{Start date and age|1991|6}}|キャプション=PC-386GE|種別=[[パーソナルコンピュータ]]|image=[[ファイル:PC-386GE(前面).jpg|250px|PC-386GE]]}}




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===高解像度化===


[[1990]]12PC-386S25MHz i386DX  EGC <ref>{{lang-en-short|enhanced graphic charger}}NEC PC-980080286</ref> PC-386G33MHz i386DX [[PC-9800#|]]NECNEC {{lang|en|[[NESA]]}}  [[PC-9800#PC-H98|PC-H98 ]]NEC {{lang|en|NESA}}  {{lang|en|NESA}} 



53.5[[1991]]6PC-386GS3.5[[]]FDD2513IBM555053.5 {{lang|en|EPSON PC}} 

53.5[[1991]]6PC-386GS3.5[[]]FDD2513IBM555053.5 EPSON PC 


1990年から1992年にかけて、セイコーエプソンは欧米でのパソコン不況や日本の景気後退の煽りを受け、苦境に陥っていた。EPSON PCはNECの機種に比べて粗利が少ない分、収益を確保するために多く販売する必要があったが、不況の影響で販売量が伸びない状況にあった。また、NECが高性能機から低価格機まで幅広く商品を展開していたのに対し、セイコーエプソンは低価格機の展開に注力し、32ビット高性能機の商品展開でNECに後れを取っていた<ref name="NPC_19920203">{{Cite journal|和書|date=1992-02-03|title=NPCレポート なぜ広がらない98互換機ビジネス 「幻の98互換機」があった|journal=日経パソコン|pages=110-115|publisher=[[日経BP]]}}</ref>。

[[1992年]]6月発売の「PC-486GR」では、[[Intel 486|i486]]SX 25MHz、[[グラフィックアクセラレータ]]専用[[ローカルバス]]搭載、CPUをメモリコントローラーと共にドーターボード搭載とし、これを差し替えることで[[オーバードライブプロセッサ]]によるものでない正規の {{lang|en|[[Pentium]]}} へのアップグレードを保証、とNECの同世代機に比してCPUクロック、グラフィック描画性能について圧倒的な高性能を低価格で実現し、ベストセラーとなった。後から部品交換や追加することでマシンの性能を段階的に向上可能とするこの設計コンセプトは「{{lang|en|UP GRADE}} コンセプト」とよばれ、以後のエプソン製互換機の一大特徴となった。続く PC-386/486 ノートシリーズ各機種でも、CPUやハードディスクドライブ、増設フロッピーディスクドライブやカード、液晶モジュールなどのパーツを、交換できるような設計がされた(PC-386NAR、PC-486NAS以降)。また、ノートシリーズ用のハードディスクドライブパックを内蔵できるデスクトップ機もあった。



[[1992年]]6月発売の「PC-486GR」では、[[Intel 486|i486]]SX 25MHz、[[グラフィックアクセラレータ]]専用32ビットローカルバス搭載、CPUをメモリコントローラーと共にドーターボード搭載とし、これを差し替えることで[[オーバードライブプロセッサ]]によるものでない正規の [[Pentium]] へのアップグレードを保証、とNECの同世代機に比してCPUクロック、グラフィック描画性能について圧倒的な高性能を低価格で実現し、ベストセラーとなった。後から部品交換や追加することでマシンの性能を段階的に向上可能とするこの設計コンセプトは「UP GRADE コンセプト」とよばれ、以後のエプソン製互換機の一大特徴となった。続く PC-386/486 ノートシリーズ各機種でも、CPUやハードディスクドライブ、増設フロッピーディスクドライブやカード、液晶モジュールなどのパーツを、交換できるような設計がされた(PC-386NAR、PC-486NAS以降)。また、ノートシリーズ用のハードディスクドライブパックを内蔵できるデスクトップ機もあった。

性能的には高価格帯に移行していったとはいえ、それでもシステムセット価格ではNECの主流より、実売価格で2割から3割以上安価に供給されていた。また、高解像度をオプションとすることで価格を下げた「PC-486GF」も発売された。エプソンの i486 機の方がNECの i386 機より安かったのである。従前路線である「安価なPC-9801互換機」変えではった。



また、変わったところで PC-486 {{lang|en|PORTABLE}}(PT)というペンコンピュータがこの時期に発売されている。

また、変わったところで PC-486 PORTABLE(PT)というペンコンピュータがこの時期に発売されている。




NEC23PC-486GF i486 NEC i386 PC-9801FANEC<ref name="Nikkei_19930315">{{Cite journal||date=1993-03-15|title= : 9898|journal=|pages=130145|publisher=[[BP]]|issn=0287-9506}}</ref>

Creative[[C]] {{lang|en|Sound BLASTER}}16 NEC PC-9801-26K  PC-9801-73  {{lang|en|Windows}} PCM



[[Sound Blaster]][[]][[C]]Sound Blaster16NEC PC-9801-26K  PC-9801-73  Windows PCM

もっとも、その一方でこのボードは本来のSB16相当のFM/PCMサウンド機能だけではなく、PC-9801-26ボードとのFMサウンド機能の互換性を持たせるため、オプションとして[[YM2203|OPN]]チップとその周辺チップを追加搭載するためのソケットが用意されているという大きな特徴があり、[[アイ・オー・データ機器]]の取り扱いによるボードの外販もあって本家NEC製98のユーザーにも普及し、一時は海外からの移植ゲームを中心に対応ソフトが提供されるなど、98用サウンドボード市場に一大勢力を形成した。



もっとも、その一方でこのボードは本来のSound Blaster 16相当のFM/PCMサウンド機能だけではなく、PC-9801-26ボードとのFMサウンド機能の互換性を持たせるため、オプションとして[[YM2203|OPN]]チップとその周辺チップを追加搭載するためのソケットが用意されているという特徴があり、[[アイ・オー・データ機器]]の取り扱いによるボードの外販もあって本家NEC製98のユーザーにも普及し、一時は海外からの移植ゲームを中心に対応ソフトが提供されるなど、98用サウンドボード市場に一大勢力を形成した。

===シリーズの終焉とその後===

[[1993年]][[1月]]の[[PC-9821シリーズ|PC-9821 A-mateシリーズ]]発売によって上記のアドバンテージは全て覆された。



=== シリーズの終焉とその後 ===


PC-486/586PC-9821[[PEGC]]VGAPC-9801-86FM/PCM[[1993]]9PC-486HX[[Peripheral Component Interconnect|PCI 1.0]][[1995]]6PC-586RJ

[[1993]][[1]]NEC98MATE[[PC-9821]]98FELLOWEPSON PCPC-486/586PC-9821[[PEGC]]VGAPC-9801-86FM/PCM<ref name=":0" />[[1993]]9PC-486HX[[Peripheral Component Interconnect|PCI 1.0]][[1995]]6PC-586RJ


エプソンは、[[エプソンダイレクト]]がエンデバーシリーズを立ち上げるなど、[[PC/AT互換機]](非・国民機)路線に移行し、{{lang|en|EPSON PC}} シリーズは登録ユーザへのアップグレードパーツの優待販売と[[Microsoft Windows 95|Windows 95]]{{lang|en|EPSON PC}} シリーズ用Windows 95は、最終的に5万本を販売した<ref>『[[日経産業新聞]]』1998年4月15日付</ref>の販売をもって、サポートを終了した。


[[]]Vividy[[]]Endeavor[[PC/AT]]EPSON PC [[Microsoft Windows 95|Windows 95]]{{Refnest|group=""|EPSON PC Windows 955<ref>[[]]1998415</ref>}}


その後、エプソンは「プラットフォーム・エミュレータ 98/V」を発売し、その体験版無償で公開した。「98/V」はPC/AT互換機上でPC-9800シリーズ用ソフトウェアを動作させるための[[エミュレータ (コンピュータ)|エミュレータ]]ソフトウェアである。

その後、エプソンは「プラットフォーム・エミュレータ 98/V」を発売し、その体験版無償で公開した。「98/V」はVividyやEndeavorをはじめPC/AT互換機上でPC-9800シリーズ用ソフトウェアを動作させるための[[エミュレータ (コンピュータ)|エミュレータ]]ソフトウェアである。



「98/V」は純粋なソフトウェアエミュレータ版とEGC互換チップ等を実装した[[Industry Standard Architecture|ISA]]カードと専用ソフトウェアがセットとなったハードウェアエミュレータ版の2種が提供された。前者にはGRCG相当の描画機能しかサポートしなかったものの、使用条件を満たすPC/AT互換機上であれば機種を選ばず動作するというメリットがあり、後者にはISAスロット1本の消費と引き替えに、ソフトウェア版に比して格段に高速な動作とEGC相当の描画機能が提供されるというメリットがあった。

「98/V」は純粋なソフトウェアエミュレータ版とEGC互換チップ等を実装した[[Industry Standard Architecture|ISA]]カードと専用ソフトウェアがセットとなったハードウェアエミュレータ版の2種が提供された。前者にはGRCG相当の描画機能しかサポートしなかったものの、使用条件を満たすPC/AT互換機上であれば機種を選ばず動作するというメリットがあり、後者にはISAスロット1本の消費と引き替えに、ソフトウェア版に比して格段に高速な動作とEGC相当の描画機能が提供されるというメリットがあった。




PC-9801-26KNEC[[FM]][[]]{{lang|en|EPSON PC}} WindowsPC/ATMS-DOSPC-9821

とは言え、これらはいずれもPC-9801-26K以降のNEC純正[[FM音源]]を公式にはサポートしなかった(後にユーザーにより[[フリーソフト]]が作成された)ためにゲームには不向きであった。それ故、EPSON PC ユーザーは以後Windowsの快適な環境を最優先にPC/AT互換機に乗り換えるか、それともMS-DOSゲーム環境を重視して、この時期以降急激に低価格化していったPC-9821シリーズを購入するかの二者択一を迫られるなっていったのである。



==本体の型番==

== 本体の型番 ==

{{lang|en|EPSON PC}} シリーズはごく一部の機種を除き、搭載しているインテル製80x86系CPUの名前を冠している<ref>ただしPC-286U、最初のラップトップ機PC-286L、LE、最初のノート機PC-286NOTE executive、PC-286NOTE Fの5機種はCPUに[[V30]]を搭載している。また、Pentium搭載機はPC-586であるが、命名基準に沿っているものといえる。</ref>。ラップトップ機には「L」、ノート機には「NOTE」、ブックタイプ機には「BOOK」と続くものの、デスクトップにおいては、アルファベットに一貫した命名基準はない模様である。

EPSON PC シリーズはごく一部の機種を除き、搭載しているインテル製80x86系CPUの名前を冠している<ref group="注釈">ただしPC-286U、最初のラップトップ機PC-286L、LE、最初のノート機PC-286NOTE executive、PC-286NOTE Fの5機種はCPUに[[V30]]を搭載している。また、Pentium搭載機はPC-586であるが、命名基準に沿っているものといえる。</ref>。ラップトップ機には「L」、ノート機には「NOTE」、ブックタイプ機には「BOOK」と続くものの、デスクトップにおいては、アルファベットに一貫した命名基準はない模様である。

:※初期には当時のPC-9800シリーズの命名基準を意識した、Vが5インチFDD搭載のメインストリーム、Xが高速・拡張性重視のやや大型の筐体、Uがホビー指向の3.5インチFDD搭載の小型筐体機というグループ分けはされていた。

:※初期には当時のPC-9800シリーズの命名基準を意識した、Vが5インチFDD搭載のメインストリーム、Xが高速・拡張性重視のやや大型の筐体、Uがホビー指向の3.5インチFDD搭載の小型筐体機というグループ分けはされていた。



なお、「Pro-486」のみは命名基準から唯一逸脱している。

なお、「Pro-486」のみは命名基準から唯一逸脱している。



==サードパーティー機器・OS==

== サードパーティー機器・OS ==

NEC は自社の販売する[[N88-BASIC]]([[DISK-BASIC]])や[[MS-DOS]]に自社製ハードウェアであるか確認する処理([[プロテクト]])を付け加えるなどした(通称:エプソン・チェック)<ref group=*>脇 (1988) p.164によれば、ハードウェアのROM内の「NEC Corporation」等文字列の有無をチェックしているとされる</ref>が、セイコーエプソンではそれを解除するパッチ(SIP:ソフトウェアインストレーションプログラム)を供給し、サードパーティー機器の互換性検証を行い情報提供を行っていた<ref name=32bit>{{Cite book ja-jp | title=パソコン通信 8月号別冊 32ビットパソコンのすべて | year=1990 | publisher=エーアイ出版 | author=伊藤博康 ほか | pages=36}}</ref>。


NEC[[N88-BASIC]]([[DISK-BASIC]])[[MS-DOS]]([[]]){{refnest|group=""|ROMNEC Corporation{{sfn|便|1988|p=164}}}}SIP<ref name=32bit>{{Cite book ja-jp | title=832 | year=1990 | publisher= | author=  | pages=36}}</ref>NECWindowsEGCEGCPC-386G, GS, GE, PPC-286EGC


もっとも、逆にエプソンが開発した[[Cバス]]用グラフィックアクセラレータにはPC-9801シリーズで動作しないようになっていたという事例も存在する<ref name=32bit /><!-- それ目的のプロテクトかどうかは要出典 -->。

もっとも、逆にエプソンが開発した[[Cバス]]用グラフィックアクセラレータにはPC-9801シリーズで動作しないようになっていたという事例も存在する<ref name=32bit /><!-- それ目的のプロテクトかどうかは要出典 -->。



1994年8月、NECは自社製OSからエプソンチェックを外し、NECが次に実施するパソコンフェア(見本市)にエプソンが初めて製品を出展する方針を明らかにした。このエプソンチェックはMS-DOS 6.2以降から廃止<ref group="注釈">プリインストール版ではMS-DOS 5.00A-Hの最終版以降で廃止。なおMS-DOS 5.00A-HがプリインストールされていないPC-98であっても、市販のMS-DOS 5.0系に対するアップデータが付属する場合があるので、これを適用することでプリインストール版MS-DOS 5.00A-H相当になる。</ref>された<ref group="注釈">このチェック廃止については「PnP BIOSとの相性の問題があり、NEC機であってもチェックに引っかかる(当該文字列等を検知できない)場合があるから廃止した」との説もあるが定かではない{{要出典|date=2020年10月}}。</ref>。このことは「NECがセイコーエプソンのパソコンをPC-98の正当な互換機として認めた」と報道されたが、これについてセイコーエプソンの入江昭夫(当時、専務)は、「この件についてNECとの間で公式な話し合いはしていない。おそらくNEC側の一方的な判断。NECがエプソンの製品を認めたというのは、同じ土俵へ上げてもいいということ。つまり、エプソンの互換機なんか怖くないぞ、と言っているも同然。それだけウチの製品の優位性が薄らいできているわけです。」とコメントした<ref name=":0">{{Cite journal|和書|last=石井|author=|first=智明|title=戦略研究 セイコーエプソン: 販売上向くも収益低下で正念場に立つ98互換路線|journal=日経パソコン|volume=1994年9月12日号|pages=136–142|publisher=[[日経BP]]|ISSN=0287-9506}}</ref>。

ちなみにこのエプソンチェックはPC/AT互換機が台頭してきてからのリリースとなったMS-DOS 6.2以降では廃止となっている。また、『[[一太郎]]』([[ジャストシステム]])も、Ver.5からEPSON PCシリーズに公式対応となった。




[[MS-DOS]]N88-BASIC [[DISK-BASIC]][[MS-DOS]]Version4NEC

[[MS-DOS]]N88-BASIC [[DISK-BASIC]][[MS-DOS]] 4NECMS-DOSPC-9800使



WindowsVer.3.1<ref> NEC PC-9800 NECDOS</ref>Windows 95OS/2Ver.2Windows98NTOS/2WARPVer.3

WindowsVer.3.1<ref group="">Windows 3.1NEC [[PC-9800]]MSNECGRCGNECSIPEGCMSNECDOSEPSON[[]]WXA-WINMS[[Microsoft IME|MS-IME]]</ref>Windows 95[[OS/2]]Ver.2Windows98NTOS/2WARPVer.3


=== Windows 98 の発売を断念した理由について ===

==注==

1998年4月付のお客様各位に郵送された文書では、Windows 95 に比べてスピードが遅くなる以外の理由として、「Windows 98 でサポートするUSB、IEE1394、ACPI、OnNow などの新しい機能はエプソン98互換機モデルでは残念ながらまったく使用できません。」と書かれていた。

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==出典==

== 脚注 ==

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=== 釈 ===

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=== 出典 ===

{{Reflist|30em}}



==参考文献==

== 参考文献 ==

*{{Cite book ja-jp | editor=[[THE COMPUTER]]編集部 | year=1991 | title=パソコンヒット商品物語 | publisher=ソフトバンク | isbn=4-89052-194-1}}

* {{Cite book|和書|editor=THE COMPUTER 編集部 |year=1991 |title=パソコンヒット商品物語 |publisher=ソフトバンク |isbn=978-4890521944 |ref={{sfnref|パソコンヒット商品物語|1991}} }}

*{{Cite book ja-jp | author=脇英世 監修| year=1988 | title=パソコンの活用便利事典 | publisher=日本実業出版 | isbn=4-534-01387-6}}

* {{Cite book|和書|others=脇英世 監修|year=1988 |title=パソコンの活用便利事典 もっと十分に使いこなすための実用情報&ノウハウ |publisher=日本実業出版 |isbn=978-4534013873 |ref={{sfnref|パソコンの活用便利事典|1988}} }}

* {{Cite book|和書|editor=テクノメディア |title=EPSON PCシステムガイド 100万人EPSONユーザーのためのオフィシャル・データブック |year=1993 |date=1993-10-01 |publisher=クリエイトクルーズ |isbn=978-4990003166}}

*『{{lang|en|EPSON PC}} システムガイド』ISBN 4990003160

* {{Cite journal|和書|title= |year=1989 |month=3 |publisher=[[CQ出版社]] |journal=インターフェース |issue=1989年3月号 |page=306 |ref={{sfnref|インターフェース 1989年3月号}} }}



==関連項目==

== 関連項目 ==

*[[Cバス]]

* [[Cバス]]

*[[エプソン販売]]

* [[エプソン販売]]

*[[PC-9800シリーズ]]

* [[PC-9800シリーズ]]

*[[PC-9821シリーズ]]

* [[PC-9821シリーズ]]

*[[MZ-2861]]

* [[MZ-2861]]

*[[エプソンダイレクト]]

* [[エプソンダイレクト]]

*[[:Category:PC-9800シリーズ用ゲームソフト]]

* [[:Category:PC-9800シリーズ用ゲームソフト]]



==外部リンク==

== 外部リンク ==

*{{産業技術史資料データベース|102090041028|エプソン PC-286V}}

* {{産業技術史資料データベース|102090041028|エプソン PC-286V}}



[[Category:パーソナルコンピュータ (製品)]]

[[Category:パーソナルコンピュータ (製品)]]

[[Category:日本電気のパーソナルコンピュータ]]

[[Category:日本電気のパーソナルコンピュータ]]

[[Category:セイコーグループの歴史]]


2024年6月28日 (金) 16:35時点における最新版

EPSON PCシリーズは、セイコーエプソンが販売していたPC-9800シリーズ互換機である。そのソフトウェア資産をもって日本では広告のコピー国民機[注釈 1]のフレーズも用いられた。

概要

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EPSON PC i80286 PC-9801VX/RX/DX 1987Windows 95 1995 NEC PC-9801 

NECNECNEC

スペックの変遷

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黎明期

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NEC981986[1]

1984IBM-PC[2]981985[3]

 NEC PC-9801 119871NEC[1][ 2]

1987323938913[5]NEC[5][6]NEC13731612313NEC44NEC[5]

4PC-286 Model 1 - 4CPUi80286 10MHz6PC-9801VX214[5]BIOSIBM[5]NEC調BIOS9801BIOSROMNEC47調[5][7]PC-286 Model 1 - 4[5]11NEC[ 3]BIOS[ 4]BASICROMPC-286 Model 0981424[5]

BASIC 調[1]910PC-286 ROM BASICBASIC  NEC PC-9801 [1]911PC-286V3.5FDDFMPC-9801UV[ 5]PC-286U[1]BASIC ROM PRO SPEC PC-286[1]3000西PC-28610PC-286VPC-286U調[1]
PC-286L

198711 PC-286L NEC PC-98LT PC-9800 VRAMPC-9801VM2 [ 5]CL2調STNNTN8調 PC-286LE PC-286 BookPC-386 Book-L PC-286 Note 1130NEC[1][5]PC-2861694.3%109.9%1120.1%12198712551[1]

1988PC-9801RX12MHz286PC-286VEPC-9801RA20MHzi386DXPC-386NEC16MHzAm80286PC-286X198980C286(12MHz)PC-286LS80286(16MHz)PC-286VS[9]286199020MHzPC-286VX16MHzPC-286VGPC-CLUBPC-286C PC-ONEPC-286LP8MHzCPURS-232C 5MHzNEC14400bpsNEC[]

 PC-386  PC-286 CPUPC-9801VX  GRCG  EGC PC-9801VM  GDC  GRCG EGC 使VM NEC PC-9800 VXi286[ 6]EGC VMPC-286/386NEC PC-98XA/XL/XL2/RL

高解像度化

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EPSON PCシリーズ
PC-386GE
PC-386GE
種別 パーソナルコンピュータ
発売日 1991年6月 (33年前) (1991-06)
OS MS-DOS Ver 2.11(付属)
CPU Intel 80386SX 16MHz

199012PC-386S25MHz i386DX  EGC [ 7] PC-386G33MHz i386DX NECNEC NESAPC-H98NECNESA NESA 

53.519916PC-386GS3.5FDD2513IBM555053.5 EPSON PC 

19901992退EPSON PCNECNEC32NEC[10]

19926PC-486GRi486SX 25MHz32CPU Pentium NECCPUUP GRADE  PC-386/486 CPUPC-386NARPC-486NAS

 PC-486 PORTABLE(PT)

NEC23PC-486GF i486 NEC i386 PC-9801FANEC[11]

Sound BlasterCSound Blaster 16NEC PC-9801-26K  PC-9801-73  Windows PCM

Sound Blaster 16FM/PCMPC-9801-26FMOPNNEC9898

シリーズの終焉とその後

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19931NEC98MATEPC-982198FELLOWEPSON PCPC-486/586PC-9821PEGCVGAPC-9801-86FM/PCM[12]19939PC-486HXPCI 1.019956PC-586RJ

VividyEndeavorPC/ATEPSON PC Windows 95[ 8]

 98/V98/VVividyEndeavorPC/ATPC-9800

98/VEGCISA2GRCG使PC/ATISA1EGC

PC-9801-26KNECFMEPSON PC WindowsPC/ATMS-DOSPC-9821

本体の型番

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EPSON PC 80x86CPU[ 9]LNOTEBOOK

PC-9800V5FDDXU3.5FDD

Pro-486

サードパーティー機器・OS

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NECN88-BASIC(DISK-BASIC)MS-DOS()[ 10]SIP[15]NECWindowsEGCEGCPC-386G, GS, GE, PPC-286EGC

CPC-9801[15]

19948NECOSNECMS-DOS 6.2[ 11][ 12]NECPC-98NECNECNEC[12]

MS-DOSN88-BASIC DISK-BASICMS-DOS 4NECMS-DOSPC-9800使

WindowsVer.3.1[ 13]Windows 95OS/2Ver.2Windows98NTOS/2WARPVer.3

Windows 98 の発売を断念した理由について

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1998年4月付のお客様各位に郵送された文書では、Windows 95 に比べてスピードが遅くなる以外の理由として、「Windows 98 でサポートするUSB、IEE1394、ACPI、OnNow などの新しい機能はエプソン98互換機モデルでは残念ながらまったく使用できません。」と書かれていた。

脚注

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注釈

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(一)^ PC-9800NEC

(二)^ [4]

(三)^ 1988[8]

(四)^ NECBIOS

(五)^ abPC-286 80286 V30

(六)^ 8028680186/V3080287i8086i802861180186/V3080287使PUSH SPPOP CS

(七)^ : enhanced graphic chargerNEC PC-980080286

(八)^ EPSON PC Windows 955[13]

(九)^ PC-286UPC-286LLEPC-286NOTE executivePC-286NOTE F5CPUV30PentiumPC-586沿

(十)^ ROMNEC Corporation[14]

(11)^ MS-DOS 5.00A-HMS-DOS 5.00A-HPC-98MS-DOS 5.0MS-DOS 5.00A-H

(12)^ PnP BIOSNEC[]

(13)^ Windows 3.1NEC PC-9800MSNECGRCGNECSIPEGCMSNECDOSEPSONWXA-WINMSMS-IME

出典

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(一)^ abcdefghi (2010216).    No.3 (PDF). WORKING PAPER SERIES No.82.  . 2021115

(二)^  1991, pp. 4447.

(三)^  1991, pp. 4748.

(四)^  1991, p. 50.

(五)^ abcdefghi19XX--Trip11 vs. NEC PC-98. ZDNet Japan (2007928). 2021521

(六)^  1991, pp. 5253.

(七)^  1991, p. 53.

(八)^  1991, pp. 5455.

(九)^  19893, p. 306.

(十)^ NPC 98 98BP199223110-115 

(11)^  : 9898BP1993315130145ISSN 0287-9506 

(12)^ ab,  : 981994912BP136142ISSN 0287-9506 

(13)^ 1998415

(14)^ 便 1988, p. 164.

(15)^ ab 1990832 pp. 36

参考文献

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THE COMPUTER  1991ISBN 978-4890521944 

便 使& 1988ISBN 978-4534013873 

 EPSON PC 100EPSON1993101ISBN 978-4990003166 

19893CQ19893306 

関連項目

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外部リンク

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