性に目覚める頃
(性に眼覚める頃から転送)
﹃性に眼覚める頃﹄︵せいにめざめるころ︶は、1919年︵大正8年︶10月に室生犀星が雑誌﹃中央公論﹄に発表した短編青春小説。翌1920年1月、新潮社より刊行の同題の小説集に入れられた。これは詩人の犀星の初の小説集であった。
詩人・室生犀星が初めて小説に挑戦して中央公論に採用された﹃幼年時代﹄の続篇に位置付けられる。犀星は当初﹃発生﹄の題名を付けていたが、﹃幼年時代﹄を採用した中央公論の名編輯者滝田樗陰が勝手に現題名﹃性に眼覚める頃﹄に改めた。前作ですでに大正8年の最高の原稿料︵一枚一円︶を受け取ったが、この作品でさらに稿料が1.5倍に上がったという。
同じ年に﹃或る少女の死まで﹄を書き、翌年には﹃結婚者の手記﹄﹃古き毒草園﹄﹃香炉を盗む﹄などを相次いで発表して自他共に認める新進作家となった。それ以降の3年間︵関東大震災で帰郷するまで︶は原稿料の誘惑などもあって、﹁捨身の書き飛ばし﹂を続けたと述べている。