極値
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![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/68/Extrema_example_original.svg/300px-Extrema_example_original.svg.png)
数学の実解析において、実数値関数の極値︵きょくち、英: extremum[注 1]︶とは、関数の局所的な最小値および局所的な最大値の総称である。関数の極値を求める問題は極値問題と呼ばれる。
と表せる[注 3]。同様に関数 fを定義域 Uに属する点 pのある ε 近傍に制限すると値 f(p) がその最大値であるとき値 f(p) を関数 fの極大値︵local maximum︶といい、点 pを関数 fの極大点︵local maximum point[1]︶という。
極小値と極大値を総称して極値︵extremum︶といい、極小点と極大点を総称して極値点という。
上の条件に現れる d(p, q) < ε ⇒ f(p) ≤ f(q) を 0 < d(p, q) < ε ⇒ f(p) < f(q) へ置き換えたとき、値 f(p) を関数 fの狭義の極小値︵strict local minimum︶という。同様に狭義の極大値︵strict local maximum︶も定義される。またこれらを総称して狭義の極値という。︵ただし狭義の極値を単に極値と呼ぶこともあるので、実際に用いられている定義をよく確認する必要がある。︶
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/6c/Function_x3.svg/200px-Function_x3.svg.png)
原点は関数 x3の停留点ではあるが、極値点ではない。
n 次元ユークリッド空間 Rnの開集合 U上で定義された実数値関数 f: U→ Rをとり、これが微分可能であるとする。
定義域 Uに属する点 pにおける関数 fの勾配
が 0 であるとき、点 pを関数 fの停留点︵stationary point︶あるいは臨界点︵critical point︶といい、値 f(p) を停留値︵stationary value︶あるいは臨界値︵critical value︶という。
点 pが関数 fの極値点であるためには、点 pが関数 fの停留点であることが必要である。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/99/Parabol-el-zy-hy-s.svg/500px-Parabol-el-zy-hy-s.svg.png)
原点は関数 x2+ y2, x2, x2− y2すべての停留点で ある。関数 x2+ y2の原点におけるヘッセ行列は正の定符号であり、原点で関数 x2+ y2は狭義の極小値をとる。また関数 x2− y2の原点におけるヘッセ行列は不定符号であり、原点は関数 x2− y2の鞍点である。一方で関数 x2の原点におけるヘッセ行列は特異行列であり、原点で退化している。
n 次元ユークリッド空間 Rnの開集合 U上で定義された実数値関数 f: U→ Rをとり、これが2回連続微分可能であるとする。
関数 fの停留点 pにおけるヘッセ行列
が正の定符号︵∇2 f(p) > 0︶であるならば関数 fは点 pにおいて狭義の極小値をとる[2]。またヘッセ行列 ∇2 f(p) が負の定符号︵∇2 f(p) < 0︶であるならば関数 fは点 pにおいて狭義の極大値をとり、不定符号であるならば関数 fは点 pにおいて極値をとらない︵このとき点 pは関数 fの鞍点と呼ばれる︶。
この方法[注 4]により、ヘッセ行列 ∇2 f(p) が特異行列で停留点 pが退化している場合を除けば、極値判定ができる。
定義[編集]
n 次元ユークリッド空間 (Rn, d) の開集合 U上で定義された実数値関数 f: U→ Rをとる[注 2]。 関数 fを定義域 Uに属する点 pのある ε 近傍に制限すると値 f(p) がその最小値であるとき、値 f(p) を関数 fの極小値︵local minimum︶といい、点 pを関数 fの極小点︵local minimum point[1]︶という。この条件は論理式を用いると必要条件[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/6c/Function_x3.svg/200px-Function_x3.svg.png)
十分条件[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/99/Parabol-el-zy-hy-s.svg/500px-Parabol-el-zy-hy-s.svg.png)
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ a b Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), “Maximum and minimum points”, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4
- ^ ヨスト 2000, p. 142, 定理 9.12.
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- ユルゲン・ヨスト『ポストモダン解析学』シュプリンガー、2000年。ISBN 978-4-431-70871-1。
外部リンク[編集]
- Weisstein, Eric W. "Extremum". mathworld.wolfram.com (英語).
- extremum - PlanetMath.
- Ivanov, A.B. (2001), “Extremum”, in Hazewinkel, Michiel, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4
- extremum in nLab