飛節
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![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/17/Hock.jpg/320px-Hock.jpg)
飛節︵ひせつ、英語: hock︶とは、イヌやウマ、ウシなどの四肢動物の後肢にある関節のひとつ。おもに下腿骨と中足骨をつなぐ足根骨の部分を指し[1]、後方にひと際関節が突き出したように見える、ヒトにおいて足首やかかとに相当する部位である[2][3]。飛関節、または単純に足首︵英語: ankle︶と呼ばれることもある。
概要
[編集]![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8a/MusclesMbreCaudExtChevalChauveau1890CM.jpg/200px-MusclesMbreCaudExtChevalChauveau1890CM.jpg)
四肢動物、特に四足歩行する動物の後肢の足根関節が総じて飛節と呼ばれる[4]。この関節には4つの可動関節面があるが、多くの動物では下腿骨と足根骨の間でそれがみられる。下腿骨の脛骨遠位端︵下端︶にある﹁脛骨ラセン﹂という凹部に、足根骨の距骨が組み合わさって滑車のように動いており、またこの脛骨ラセンが斜めに走っていることから、足根部が前方に進むと同時に外側への移動も生まれる[4]。
この関節は多数の靭帯によって保定されている。なかでも重要なものが、中間に付着点を持ちながら脛骨から中足骨近位端に伸びる内側側副靭帯・外側側副靭帯で、これは全長にわたる長い浅部と、この関節の近位部付近にのみみられる深部から成っている。踵骨の足底面から第4足根骨上を走り、中足骨に至る長い靭帯もその後部にみられる。このほかにも他の小靭帯群によって、足根骨は固く固定されている[4]。
足根関節内には、いくつかの関節腔が存在する。脛骨と距骨の間のものが最も大きく、その各部に多くの膨出部あり、これらの膨出部は関節包の薄い部位であることが知られている。また、それ以外の関節包は強い靭帯で互いに交通している[4]。
飛節に関する筋肉
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飛節に関わる筋肉は、飛節の伸筋・屈筋、および趾節関節の伸筋・屈筋から成る。これらは脛骨前外側のものと後面のものに大別される[5]。
前外側の筋群
飛節を屈するだけの作用をもつ筋、および本作用とともに趾節を伸ばす働きをする筋群から成り、これらは総腓骨神経の支配を受ける[5]。これらは前脛骨筋・第三腓骨筋・長腓骨筋・短腓骨筋によって構成されるが、家畜でこれをすべて備えた種はおらず、たとえばイヌやネコは第三腓骨筋を欠き、有蹄類は短腓骨筋を持たない[6]。ウマは短腓骨筋と長腓骨筋を欠くうえ、第三腓骨筋も細い腱に退化している[6]。
後面の筋群
一対の筋腹をもつ腓腹筋・ヒラメ筋・浅趾屈筋・深趾屈筋から成り、これらは脛骨神経の支配を受ける[6]。イヌではヒラメ筋がみられない[6]。
飛節と肢勢
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飛節の異常
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脚注
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(一)^ abcd﹃獣医英和大辞典﹄ p.595
(二)^ abcdef﹃まるごとわかる競馬の辞典﹄ p.199
(三)^ ab“ひ|競馬用語集|わいわい競馬塾”. 金シャチけいばNAGOYA. 2019年10月3日閲覧。
(四)^ abcd﹃獣医解剖学﹄ p.85
(五)^ ab﹃獣医解剖学﹄ p.87
(六)^ abcd﹃獣医解剖学﹄ p.88
(七)^ abc﹃競走馬ハンドブック﹄ p.63
(八)^ ab﹃競走馬ハンドブック﹄ p.62
(九)^ ab﹃獣医英和大辞典﹄ p.1191
(十)^ abc﹃新獣医学辞典﹄ p.1100
(11)^ ab“スパーピン︵競馬用語辞典︶”. 日本中央競馬会. 2019年10月4日閲覧。
(12)^ abc﹃明解獣医学辞典﹄ p.1061
(13)^ ﹃新獣医学辞典﹄ p.1101
(14)^ “Help: Glossary of Horse Racing Terms”. DRF.com. 2019年10月4日閲覧。
(15)^ ﹃動物病名辞典﹄ p.51
参考文献
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●浪岡茂郎﹃動物病名辞典﹄養賢堂、1982年。
●原著‥Dyce Sack Wensing、監訳‥山内昭二・杉村誠・西田隆雄﹃獣医解剖学︿第二版﹀﹄近代出版、1998年。ISBN 4-87402-646-X。
●﹃明解獣医学辞典﹄チクサン出版社、1991年。ISBN 4-88500-610-4。
●長谷川篤彦﹃獣医英和大辞典﹄チクサン出版社、1992年。ISBN 4-88500-611-2。
●鈴木和幸﹃まるごとわかる 競馬の辞典﹄池田書店、2000年。ISBN 4-262-14472-0。
●新獣医学辞典編集委員会、森田猛﹃新獣医学辞典﹄緑書房、2008年。ISBN 978-4-88500-654-8。
●日本ウマ科学会﹃競走馬ハンドブック﹄丸善出版、2013年。ISBN 978-4-621-08734-3。