所收――﹁十二月八日﹂﹁女生徒﹂﹁葉櫻と魔笛﹂﹁きりぎりす﹂﹁燈籠﹂﹁誰も知らぬ﹂﹁皮膚と心﹂﹁恥﹂﹁待つ﹂
昭和十二年頃から、時々、女の獨り言の形式で小説を書いてみて、もう十篇くらゐ發表した。讀み返してみると、あまい所や、ひどく不手際な所などあつて、作者は赤面するばかりである。けれども、この形式の小説を特に好きな人も多いと聞いたから、このたび、この女の獨白形式の小説ばかりを集めて一本にまとめてみた。題は、﹁女性﹂として置いた。少しも味の無い題であるが、あまり題にばかり凝つてゐるのも、みつともないものである。
昭和十七年春