この青くしなへる指をくみ合せ、 夜あけぬ前に祈るなる、 いのちの寂しさきはまりなく、 あたりにむらがる友を求む。 そこにふるへ、 かくれつつうかがひのぞく榎あり、 いのりつつ、一心に幹をけづりしに、 樹き樹ぎはつめたく去り行けり。 みなつらなめて逃れゆく、 黎明の林を出づる旅びとら、 その足あし竝なみに音はなけれど、 水ながれいでて靴のかかとをうるほせり。 かくばかり我に信なきともがらに、 なにのかかはりあるべしやは、 空しく坐して祈り、 遠き遍路に消え殘る雪を光らしむ、 いのちはひとりのもの、 ただ我が信願をかくるにより、 木ぬれにかかり、 有明の月もしらみてふるへ悲しめり。