国柱会

宮沢賢治




外の面には春日うららに
ありとあるひびきなせるを
灰いろのこの館には
百の人けはひだになし

台の上桜はなさき
行楽の士女さゞめかん
この館はひえびえとして
泉石をうち繞りたり

大居士は眼をいたみ
はや三月の人の見るなく
智応氏はのどをいたづき
巾巻きて廊に按ぜり

崖下にまた笛鳴りて
東へととゞろき行くは
北国の春の光を
百里経て汽車の着きけん





 
   1980552151
junk

2011514

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