其中日記

(十三の続)

種田山頭火







 





宿



 




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宿鹿




 



 




 















 






 






 




退



 


便西



華山々麓の一夜


 





 


西

東行庵
水浴
胡瓜一山十銭!
寝たら餅
柳すずしくお地蔵さまのあたま撫でては
[#改ページ]


 





 




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稿




 








 








 






 





 





廿

 











 


廿

 







廿

 





廿

 









廿

 











廿

 



稿






 
 


   
                
   





 



廿

 


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ついてゆく

△馬鹿と罵られても私は怒らない、私は自分が馬鹿であることを知りぬいてゐるから。




廿

 






廿

 






廿

 





┌誠─┐
││ │
│真心┼無心境
││ │
└無我┘

――我は如何なるさまに居るとも、足ることを学びたればなり。――





 








宿











 








……私は身心共にどんづまりに来たやうです、こゝで自己転換をしなければなりませんが、それが出来るかどうか、出来たらお手拍子喝采を願ひます、……お互に還暦も近づきましたね、私はいそいで酒を飲まなければなりません、みつちり句も作らなければなりません、とすれば私もやつぱり忙しいといへますね!……
苔の花
それは私の句、私の文にまことにまことによく似てゐる、――私の文集と句集の名前としてふさはしいではないか。





 











 





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稿



  
  
  



 











 




 




 














 











 




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稿










 










 



 












 









宿








 








 


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稿















   




 


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廿


 





  



 




 


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便


 



姿




 
 

 
 


      



 



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稿





 

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便稿
廿



緑平老の来信に答へて――







廿

 














 




 



廿

 

















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廿

 













   

調

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廿

 



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廿

 


稿





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廿

 


 


















廿

 














・新聞紙の一きれも――
一きれの新聞反古から、私は暗示を受ける場合がちよい/\ある。
・言葉――ぴたりとあてはまる言葉といふものは考へ出すよりも拾ひあげる場合が多い。
作家としての苦心、制作のよろこび。


   廿
   
   
  
   
   
 
  
  
   廿
  
  
  
  
 
   
   
   
  
  
   
   
 
   
   
   
  
 
  
  
 
  



廿

 




稿



廿

 








 











 




 










 











 
 


   
   
   
 



 





 




便












 
 


 


 


  
  
  








┌古池や蛙とびこむ水の音
│―――蛙とびこむ水の音
│――――――――水の音
└――――――――――音





 








 








・二つの宿願





・酔中の思考や行動がいつものそれらと相違するといふことは、自分の平常の生活に嘘偽――不自然があるからではないか。




 









 



稿







 

・卑怯だけれど私は人間から逃避する、そして勇敢に自然の中に沈潜する。
 安易な妥協は私の性情が許さない。
姿





 








姿



緑平老に――
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軒からぶらりと蓑虫の秋風





 
















 

稿







・死は誘惑する、生の仮面を脱げ!











 






























 




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・詩人は吃がよい、訥々としてうたふのがよい。
 舌の長い唇の薄いのはいやだ。

 おしやべりに悪人もなからうがホンモノもあるまい。


・単純、清澄、温情。
 湧いて湛へて溢れる温泉のやうに句作したい。

   


 









 



      
   
      





 
















 







風の中の豆腐一丁(樹明)







 











澄太君の好意で――
二十五銭  焼杉下駄
三十銭   家庭用マツチ
壱円    借金二口





 



 




 











 



無理のない存在
自然な生死
麦と兵隊を読んで、いろ/\感じたが――
・記者の眼と作者の眼
彼等のペンの相違








廿

 




稿




廿

 



退




 







 






廿

 









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廿

 












 



廿

 









廿

 


















廿

 












 









 



姿








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・さびしいところにゐては、さびしさをそれほど強く感じないですむが、にぎやかなところではかへつてさびしさを感じる。




 

















 

調












 









 











  
  

  
  
  



 










・酒飲酒好は――
 鉄のやうに強い意志を持つてゐるか、または貧乏でなければならない、節酒しなければ経済的に破綻する前に肉体的にまゐつてしまう!
・市井にうづもれて市塵に染まず、親しんで狎れず、愛して媚びず、敬うて阿らず。――




 


※(「火+(麈−鹿)」、第3水準1-87-40)


西

 
 





“かくなればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂”(松マヽ
・年の瀬流れ渡りの記

Nさんに――
あなたが風邪をひかれたと聞いて、私はしみ/″\自分の孤寒を感じました、そして風邪もひかない私は幸福なのか不幸なのか解らなくなりました。……

執着のいろ/\
銭、酒、女、等々。

鰯のあたま――鰤のあたま






 


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稿





廿

 






便








廿

 






   










 
   1987629251
5-86



201074
201255

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JIS X 0213



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