鎮魂歌

原民喜




 
 
 
 
 
 
 
  ESSAY ON MAN 
死について  死は僕を生長させた
愛について  愛は僕を持続させた
孤独について  孤独は僕を僕にした
狂気について  狂気は僕を苦しめた
情欲について  情欲は僕を眩惑させた
バランスについて  僕の聖女はバランスだ
夢について  夢は僕の一切だ
神について  神は僕を沈黙させる
役人について  役人は僕を憂鬱にした
花について  花は僕の姉妹たち
涙について  涙は僕を呼びもどす
笑について  僕はみごとな笑がもちたい
戦争について  ああ戦争は人間を破滅させる
 殿殿殿殿

 

 
 
 
 
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 調調調
 
 
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 姿
 宿
 
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︿湿
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 調
      
 
 宿      
 宿

 


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 姿姿姿姿
 姿姿
 姿
 姿
 
  姿 
 
 
 
 
     
 
 
 
 
真夏ノ夜ノ
河原ノミヅガ
血ニ染メラレテ ミチアフレ
声ノカギリヲ
チカラノアリツタケヲ
オ母サン オカアサン
断末魔ノカミツク声
ソノ声ガ
コチラノ堤ヲノボラウトシテ
ムコウノ岸ニ ニゲウセテユキ
 
アア オ母サン オ父サン 早ク夜ガアケナイノカシラ
窪地で死悶えてゐた女学生の祈りが僕に戻つてくる。
兵隊サン 兵隊サン 助ケテ
 鳥居の下で反転してゐる火傷娘の真赤な泣声が僕に戻つてくる。
アア 誰カ僕ヲ助ケテ下サイ 看護婦サン 先生
 真黒な口をひらいて、きれぎれに弱々しく訴へてゐる青年の声が僕に戻つてくる、戻つてくる、戻つてくる、さまざまの嘆きの声のなかから、
ああ つらい つらい
姿
 
 


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 姿


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  姿
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 漿
 
 
 姿
 姿
 姿
 
 
 
 





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   19835881

   1949248
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︿ 1973(48730 1973(48515121


2002920
2003521

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●表記について