日記

一九二二年(大正十一年)

宮本百合子




一月一日

(日曜)晴
 
 
 () 
 
 
 

一月二日

(月曜)晴
 

一月三日

(火曜)晴
 
 
 
 
 調

一月四日

(水曜)晴 風強

 
 
 
 
 

一月五日

(木曜)晴
 
 
 

 


一月六日

(金曜)晴
 
 
 

一月七日

(土曜)晴
 
 

一月八日

(日曜)晴


 
 

一月九日

(月曜)
 使
 
 

一月十日

(火曜)晴
 
 


 
 

一月十一日

(水曜)晴
 
 
 

 

一月十二日

(木曜)晴
 
 西

 

一月十三日

(金曜)曇
 
 
 
 

 
 

一月十四日

(土曜)曇
 

 
 
 
 
 ()()

一月十五日

(日曜)曇
 
 
 
 
 
 
 ()
 
 
 
  
  

一月十六日

(月曜)曇

 

一月十七日

(火曜)曇
 
 
 
 chums
 
 

一月十八日

(水曜)雪
 ○はっきりしない空が十一時頃から雪になって来た。午後から朱葉会を見に行こうと云って居るのに、困った天気だ。
 下の子供が
雪やこんこんあられやこんこん
 降っても降っても又積る、
 my childhood 
 
 
 

一月十九日

(木曜)晴
 
 
 
 
 
 
 

一月二十日

(金曜)晴
 
 
 my childhood 
 ()

一月二十一日

(土曜)晴
 
 ()
 
 

一月二十二日

(日曜)晴
 昨夜おそくなってから、東京社の原稿を思い出し、今朝出かける前に書く。十二時半頃出、倉知により、四時頃まで。うまくなし。午後を棒にふったような心持がする。
 夜、朝日やその他、返事を書くような処へ皆すませる。

一月二十三日

(月曜)晴
 
 

 
 
 
 
 

一月二十四日

(火曜)曇
 ()()
 
 
 ()


一月二十五日

(水曜)晴
 
 Front Page 
Flaubert came as near to genius as a man can come by the taking of pains

一月二十六日

(木曜)晴
 綿
 
 

一月二十七日

(金曜)晴
 調()()


一月二十八日

(土曜)
 my childhood Ruling passion. Van Dyke
 

一月二十九日

(日曜)曇
 昨夜中から、A、絶間なく下痢し、今朝はへとへとになって、絶食、何が悪かったのか分らない。大したことではなさそうだからよいとしても、自分は、こけた彼の頬、土気色の額、蒼白い唇を見ながらつい種々のことを空想した。つまり彼がずっと床につくような病人になったら自分達はどうして行くのだろうと云うことだ。自分の収入は、決してならし月二百円はない。二百円でも健康でやっとなのだから、いざとなったら自分は矢張り林町へなり何なりたよらなければならないのかと思うと不甲斐ない頼りない気がした。自分の小説で良人を養って行くことは出来ないのだろうか、深く考えさせられた。自分があの振袖を質屋へでもあずけ、とれず、今頃はどこでどんな店に売られて居るか、賃仕事でもしながら想像するような場面も浮んで来る。
 先達中から、市内に、謎のような幸福のために、と云う葉書が配られる。知名な人の処へ、同文の九枚を誰かに送れ、九日間にしないと大不運が来る、と云って来るのだそうだ。きっと自分の処にも来るだろう、と思って居ると、今朝来た。全体なら、大した気にすべき処を、平気で、思わず微笑した。第一の原因、近頃、警察でやかましく云って、謎気が薄らいだこと、第二、文字が余り無学文盲の書いたらしいこと、第三、自分の幸不幸が此那葉書一枚でどうなるものかと云う心持。(書くと一寸面白い)と思う。

一月三十日

(月曜)
 
 

一月三十一日

(火曜)晴
 綿 Ruling passion 
 
 
 

二月一日

(水曜)
  Catherine de Medici 
 
 

二月二日

(木曜)曇
 
 
 

二月三日

(金曜)曇 暖
 
 
 
 使
 

二月四日

(土曜)晴 暖
 
 
 Catherine de Medici, duma 

二月五日

(日曜)晴
 ()

二月六日

(月曜)晴
  A doll's House 
 

二月七日

(火曜)晴
 
Doll's House 
 

二月八日

(水曜)雨
 稿
 
 
 Times Literary Supplement When a writer is completely and even ecstatically conscious of success he has, as likely as not, written his worst.
 

二月九日

(木曜)
 
 

二月十日

(金曜) 晴
 A、明治をやすみ、午前中から午後にかけて雑誌を整理し、小林さん、とり青山の家へ行く。

二月十一日

(土曜)晴 暖
 
 
 ()()

二月十二日

(日曜)晴
 朝から本棚の整理
 腰が痛くなった。
 A、非常に楽しそうなり。

二月十三日

(月曜)晴
 
 
 姿


二月十四日

(火曜)曇
 使
 
 
 
 

二月十五日

(水曜)雨
 
 

二月十六日

(木曜)雨
  

 
 

二月十七日

(金曜)晴
 ◎昨夜中から激しい風が吹き、今朝は上天気。

二月十八日

(土曜)晴
 
 
 
 
 

二月十九日

(日曜)晴◎
 
 
 

二月二十日

(月曜)曇◎〜

二十一日

(火曜)晴
 
 
 
 
 
 使
 
 ※(「火+華」、第3水準1-87-62)live manly! Whole being 
 Charming little lady  childish  childish  mistress 
 

二月二十三日

(木曜)

 

二月二十四日

(金曜)曇
 

 

二月二十五日

(土曜)晴 七十三度
 

 
 西
 
 

二月二十六日

(日曜)曇
 

 
 
 
 

二月二十七日

(月曜)雪
 ()()
 
 
 

二月二十八日

(火曜)晴
 
 
 

 
 
 
 

 

三月一日

(水曜)晴 寒

 
 
 穿()

三月二日

(木曜)
 ※(「火+華」、第3水準1-87-62)
 
 
 
 
 

三月三日

(金曜)晴 暖
 
 
 
 

 
 

三月四日

(土曜)雨
 
 ()
 
 
 

三月五日

(日曜)晴
 
 
 
 
 

三月六日

(月曜)曇
 

 ()
 

三月七日

(火曜)雪
 
 
 
 ()

三月八日

(水曜)晴
 ()()
 調
 

三月九日

(木曜)曇
 恐ろしきエゴイツティック
 或男、中年、自分が若いときにあまり仕事をせず近頃漸く仕事もまとまり出す。
 
 
  
 それなら一そ早々死んで呉れたら、と云う、ぞっとするような望が妻の心に浮き上る。

三月十日

(金曜)雨
 
 

三月十一日

(土曜)晴
 何故、女性が真の大芸術家になり得ないか、
一、愛す、と云う立場に立ち難いこと、
 
 
 

 

三月十二日

(日曜)晴
 
 head 稿

 
 ()()

三月十三日

(月曜)曇
 ※(「火+華」、第3水準1-87-62)※(「火+華」、第3水準1-87-62)
 ※(「火+華」、第3水準1-87-62)

三月十四日

(火曜)雨
 
 
 
 
 
 
 
 
 ()
 調 either or 
 

三月十五日

(水曜)晴
 
 ()()

三月十六日

 木曜 晴
 十六日、野上さんの処へ始めて行く。やっぱり何と云っても、他の人々と比べれば第一人者、智的教養の深さが、自分には到底及ばないことを思わせる。熱に於ては自分が勝って居よう。然し、インテレクトナレッジ? は到底及ばない。その点で、実にたより強く思われ、自分が安心して、或程度まではリードされる。よい先輩。古典の頭は、実に遠い。オキュターブ・レネ Ren※(アキュートアクセント付きE小文字) のイラストレートしたディバァイン・コメディー大いによく、よんでみる気を起させた。

三月十八日

(土曜)晴
 
 
 
 
 
 

三月十九日

(日曜)晴
 
 
 
 使

三月二十日

(月曜)曇
 ()()()
 

三月二十一日

(火曜)晴
 
 稿
 
 
 
 ()
 
 

三月二十二日

(水曜)晴
 
 
 

三月二十三日

(木曜)晴
 
 
 
 
 
 

三月二十四日

(金曜)晴 風強
 
 
 

三月二十五日

(土曜)晴
 

 
  I myself 
 
 

三月二十六日

(日曜)晴 風強
 
 
 
 
 

三月二十七日

(月曜)晴
  The death of the Gods 

 
 

 

三月二十八日

(火曜)晴
 ※(「弓+享」、第3水準1-84-22)()
 ()()
 

三月二十九日

(水曜)晴◎
 

 
 
 

三月三十日

(木曜)晴
 

三月三十一日

(金曜)雨
 A、父をつれ、もとの家の方へ行く。

四月一日

(土曜)晴
 
 
 

四月二日

(日曜)晴
 西
 

四月三日

(月曜)晴
 
 
調

四月四日

(火曜)晴 夜雨
 姿
 
 
 ()

四月五日

(水曜)晴
 
 
 
 
 

四月六日

(木曜)曇
 ()()


四月七日

(金曜)雨
 A、学習院の卒業式予行に出かける。

四月八日

(土曜)晴
 
 
 

四月九日

(日曜)晴
 
 
 

四月十日

(月曜)晴
 
 姿
 
 
 
 
 
 

四月十一日

(火曜)雨
 
 

 
 

四月十二日

(水曜)晴
 
 
 
 

四月十三日

(木曜)晴
 
 

四月十四日

(金曜)雨
 
 稿
 
稿
 
 

四月十五日

(土曜)晴
 からりとしたよい天気だ。
 明日、小林、石田氏出航

四月十六日

(日曜)晴
 朝正直さんが、サトルの結果をききに来る。

四月十七日

(月曜)朝晴 夕雨 雷電
 
 
 
 

四月十八日

(火曜)晴
 
 使
 My days & dreams. Carpenter 

四月十九日

(水曜)晴
 朝まず『良婦の友』にやる原稿を書き終る。(一つの花)

四月二十日

(木曜)晴
 
 
 
  

四月二十一日

(金曜)晴
 昨夜、Aいそがしく母上への手紙が出来なかった。三時頃帰って書くから、それ迄待って居ろと云うので自分はいやな淋しい心持になった。たまに一日、朝から親の家に行き楽しもうと思うのに、午後まで待てとは理解がない。自分はがんばり、学校から手紙をよこさせ午前十一時頃行く。父上は九州、それで明日の銀婚式もいつ祝うか判らなくなった。せめて自分が卓子でもきれいに飾り、子供達の賑やかさでも味わせ味おうと思い、花を買いなどして行く。花瓶大変おきに入りうれしい。何と云っても二十五年結婚して立ったのを思えば感慨なきあたわずであろう。まして、国男さんが学校にも入り、スエ子は小学に入り。よくぞこれまで来たものと思う。自分は、思わず父の、良人として、父としての真情の暖かさを賞めた。婦人の独立と云うような話も出たが母の老いたのを痛感する。自分の生活について相談するのは国男であるのを覚える。
「ファウスト」

四月二十二日

(土曜)晴
 
 退 
 

 

四月二十三日

(日曜)曇
 
 ※(二の字点、1-2-22)
 ※(二の字点、1-2-22)調鹿
 
 
 
 

四月二十四日

(月曜)雨
 昨日一日自分等は切り出したことについて話した。が結局、どうにもならない。若し離れて生活するようなら、自分は、すっかりの仕事をすてて田舎に入り、自然を楽しむ。今まで、人から、ほんとうに理想的な夫妻だと思われて居たのに、それを裏切り、どうして、人を教える身分にある自分が面と向って、世の中に生活して行かれるか。Aの云うことは前から自分の予想して居る通りのことであった。若しこれで埋れるなら、それ限りの人なのだからとは矢張り思えない。彼が幸福でなくては、少くとも彼自身の生活をして居なければ結局自分も安らかではないことを痛感する。逃げられず、避けられない運命であるのを、自分は深く思った。此をよくして行くほかない。自分と云うものを、彼に煩わされず、強く育て上げて行かなければならない。夫婦の関係と云うものが、話した結果、自分の心では、若し高下が感じられてよいものとすると、ずうっと下、頭を圧さないものとなった。自分が親と生活したように、生活すればよいのだ。「二つの家を繋ぐ回想」、を書きつづけて居るうちに、自分の心に深い疑いが起った。いつも自分がAに牽かれるのは、彼の偉大さ、強き正などと云うのではなくて、彼のみじめさ、自分だけが慰め手だろうと思うような狭さ、孤独な人を愛す唯一人の自身などと云う感動である。自分はそれなら、何によって、彼とつながって居る。可哀そうさ、自分がなければ、何になるか判らない弱者への恐怖的愛? 馬鹿な子ほど可愛い、と云う心持、卑小なる良人ほど可愛いか? あわれ、あわれ。
 日常生活をインフェリオルなものとして居ると、自己肯定が多くなる、何よりの危険。総ての偉大だった人々の魂! どうぞ自分を護り正路を歩かせて下さい。知らないうちに一人よがりになり、曖昧になり、おさまるかと思うと、死ぬ如し。

四月二十五日

(火曜)晴 風強
 

四月二十六日

(水曜)晴
 
 

四月二十七日

(木曜)晴 七十二度
 
 使

 使
 




四月二十八日

(金曜)晴
 使
 稿
 

  

四月二十九日

(土曜)ひどく暑。八十三度
『改造』の「文芸管見」林町へ午前中から行く電車の中でよむ。技巧、内容の問題――里見氏としては、自分のバイタルなことにふれて来たわけだ。いろいろ考える。そして、彼方で独りゆっくり、ベートウベンの、第五シムフォニーをきいた。又、ストリング、クォルテット、その他。これで一つ或思いが来、イタリー古代の、あの名は思い出せないが、白と黒との大理石を、実に驚くべき調和で使った建築を思い起し、なおその考は強まった。即、フィフスシムフォニーは、何で、自分を、あれ丈の感動、すんで吻っとし、そのままでは心が重く居たたまれないようにさせるのか? 音ではないか。ベートウベンによってのみ響く音によってだ。そこで、言葉は神、と云うことが、文字を使う芸術には云われるのが当然ではないだろうか。技巧などと云うことを、浅薄にとらず、言葉、我が書く文字は神、唯一無二絶対なものであると云う信頼、良心、は必要だ。又制作の心が純であればそうなると思う。言葉に牽かれて筆が進むのではなく、文字が、心が流れ出し、筆に写る。いやしくも文字を使うものは、その文字と云う材料=建築の大理石――に、自己独特の美調和、神を認め、創造するのが、つまり、内容で(ママ)はないか。

四月三十日

(日曜)雨
 一日うち、昨日から見ると、秋が来たような寒さだ。鳥の巣を拵えてやり、宮原さんが来たりして、夜、三浦環さんの帰京のことから、話が我々のことになって来た。丁度食事をしまったままで話すうち、今夜は時に自分の問題がなかったので公正にきけ、又話せ、いろいろ今まで達しなかった理解に達した心持がした。つまり、私が、仕事を真先に立て、Aもそれは認めて居乍ら、自分の心持が徹底しない為に、仕事専一になり切らない、と云うこと。私がAの為に死なないのは、Aに判って居る、それでよいのも判って居る。それだのに私は、Aはそう思わない、ああ思わないと、自分で思って、する丈思い切ってしないと云うことなのである。其点はつまり、自分が、一種あさましいひがみを持って居たことになる。すっかりAの善意を信じ切れず、親にするように信じて勝手に振まわず、それを、Aの狭小さにのみきせて居たと云うことである。自分を知るものがあまりAに支配されすぎるのは為にならないと云う、その外面の表われも、一方は、私の心持で、強調して見えたようなことはなかったろうか。自分のだらしなさで、Aにひどい嫉妬心でもありそうに思わせたことはないか。

五月一日

(月曜)晴 程よい。
 
 

五月二日

(火曜)
 ゲーテの「ファウスト」、偉大には違いない。然し、種々な点で、我々の持つ感じとは、創作の態度上、違った点がある。自分には一寸、なぜ、あれ程、ギリシアの神話時代にこだわらなければならないのか、今の処分らない。但し、あの中性の、智慧によって生れた小人は愉快。真実だ。
 どうしても、自分には、「ファウスト」より、「ジャン・クリストフ」の方が心を直接に動かされる。性格的に違うのだろう。

五月三日

(水曜)晴
 稿

 

五月四日

(木曜)晴
 



 ()

五月五日

(金曜)曇
 稿
 
 
 ()()()




五月七日

(日曜)雨
 
 
 
 

五月八日

(月曜)曇
 
 調


()


五月九日

(火曜)雨 曇
稿
 


 

五月十日

(水曜)晴
 
 稿
 ()

五月十一日

(木曜)晴
 
 
 
  My days & dreams 
 

五月十二日

(金曜)雨
 
 調使調
 
 

五月十三日

(土曜)晴 ◎
 
 

五月十四日

(日曜)晴 夜高垣氏。
 
 
 


五月十五日

(月曜)曇
 能に行かれなかったことにつき野上さんに手紙を書く。

五月十六日

(火曜)雨『文生新聞』三時
 梅雨が来たようにさむい。My days & dreams をよみつづける。いろいろなことで自分の裡に、いかほど祖父(西村)の血がテムペラメンタル・テンデンシーがあるか思わずには居られない。
 芸術家的社会改造家とでも云う一面が、哲学、倫理学のぞうけいとともに彼にはあったのではないか。
 自分は、より多く芸術的傾向を持って居る。しかし著しい共通があるらしい。

五月十七日

(水曜)
 
 
 
 
 

五月十八日

(木曜)晴 午後五時Y・W・C・A
 
 
 

五月十九日

(金曜)曇
 My days & dreams 
 ()

五月二十日

(土曜)曇
 
 

 

五月二十一日

(日曜)曇
 
 
 
 
 

五月二十二日

(月曜)曇
 
 
 
  Book lover 

五月二十三日

(火曜)雨
 
 
 
 
 
 
 

五月二十四日

(水曜)晴
 
 
 
 ()()

五月二十五日

(木曜)晴
 
          
 


五月二十六日

(金曜)曇
 
 
 
 

五月二十七日

(土曜)晴
 
 
 使調
 

五月二十八日

(日曜)晴 朝林町へ電話、
 
 
 調
 ()
 

五月二十九日

(月曜)晴
 
 
 
 

五月三十日

(火曜)晴
 
 
 ()()()()()
 調 carry 

五月三十一日

(水曜)大雨
 
 ()
 
 

六月一日

(木曜)晴
 
 稿
 

六月二日

(金曜)晴
 
 
 

六月三日

(土曜)晴
 
 
 

六月四日

(日曜)晴
 
 
  Book list 
  Wars it can be told 

六月五日

(月曜)晴
my Ideal 
 
 

六月六日

(火曜)晴
 
 
 same old day 
 
 
 

六月七日

(水曜)晴
 
 
 稿西

六月八日

(木曜)雨
 
 
調
 
 調
 西西
 

六月九日

(金曜)曇
 
 
 調
 
 
 
 

六月十日

(土曜)曇 雨
 
 
 西

六月十一日

(日曜)晴 強雨
 
 
 
 
 

六月十二日

(月曜)晴
 
 
 
 

六月十三日

(火曜)晴
 
 

 駿
 
 

六月十四日

(水曜)晴
 

 
 

六月十五日

(木曜)晴 八十二三度 野上さんの処
 
 
調



六月十六日

(金)梅雨になる。
 
  Roll on 
 
 

六月十七日

(土曜)不定
 


六月十八日

(日曜)曇
 西西

六月十九日

(月曜)晴
 稿

六月二十日

(火曜)晴
 ()()

六月二十一日

(水曜)曇
 
 
 
  使

六月二十二日

(木曜)曇
 

 
 

六月二十三日

(金曜)

 

六月二十四日

(土曜)◎

 
 

六月二十五日

(日曜)曇 晴
 
 
 
 
 
 

六月二十六日

(月曜)不定
 decoration 

六月二十七日

(火曜)曇 雨
 Little women

六月二十八日

(水曜)雨
 
 
 
 Little women Humorous 調

六月二十九日

(木曜)曇
 朝、「猿」を終までとにかく一通り行く。午後ジョン・ハリファックス、ジェントルマンをよみ始む。「リットル・ウーメン」より、古い丈(?)活々して居ない。今の若い男の子や女の子が、此を真個に面白がってよむだろうか。Books for young と云うようなものをよむと、よい、ハアティーな話を、若い十四五六の者によませる為に書きたい、と思う。肩をこらさず、自由に活々と、彼等の心になって。いつか、二十年! も経ったら書けるか?
 其中に私は自分の Humor や冒険心やイタズラを皆満足させるのだ。

六月三十日

(金曜)晴 四〇〇字三枚 ロシアの Demonstrations 朝日、新居格
 
 
 

七月一日

(土曜)明日九時から能、細川家舞台(麹町富士見町五ノ七)
 
 
 

七月二日

(日曜)
  

七月三日

(月曜)雨
 
  

七月四日

(火曜)雨
 ()
 
 
  
 

七月五日

(水曜)曇
 
 ※(「弓+享」、第3水準1-84-22)

七月六日

(木曜)晴
 
 

七月七日

(金曜)晴 風強
 
 
 

七月八日

(土曜)不定
 
 
 ()
 
 
 

七月九日

(日曜)不定
 
 
 
 

七月十日

(月曜)不定
 



七月十一日

(火曜)曇
 歯痛――。一年ぶりの不愉快。

七月十二日

(水曜)曇
 
 
  調
 

七月十三日

(木曜)晴
 
 

七月十四日

(金曜)曇

 
 

七月十五日

(土曜)晴
 
 

七月十六日

(日曜)晴
 此頃、自分の心には、種々の苦悶がある。自分の日常生活について。
 
 
 
 

七月十七日

(月曜)晴
 
 

七月十八日

(火曜)晴
 
 
 
 
 
○ 愛する者は、自分の愛する者の心に入り切ろうとする。
  
○ 一口に美徳とする忍耐も、考えるべき多くの点を持って居ると思う。っと現状を保ち、我も他も生地を出して行かないのが真の忍耐か。
  よいと思う方へ敢然と進み、それに伴うどんな苦痛も堪えて行くのが真の忍耐か。
  忍耐の積・消極、女、苦に堪えない者は、前者を奉仕とか何とか云って美しげに装うだろう。
 
○ 結婚生活の第一の要件は夫妻が、同じ量に――殆ど――人生を愛せるか否かと云うことにある。
 
○ 言葉にならず、潜精力となって来る斯様な心持は恐ろしいものだ。
○ 苦しい思いに圧せられ、心は、ぴったり外界と交渉を保つ、水門の扉をしめたようになった。
  

七月二十一日

(金曜)
 
 

七月二十二日

(土曜)
 
 
 

七月二十三日

(日曜)
 


七月二十四日

(月曜)
 
 
 

七月二十五日

(火曜)
 
  girls 

七月二十六日

(水曜)
 
 
 
 




七月二十八日

(金曜)
 
 
 

七月二十九日

(土曜)非常の暑さ
 ()
 
 鹿
 

七月三十日

(日曜)あつし。
 宿
 
 

七月三十一日

(月曜)
 一日ロシアの仕事をする。

八月一日

(火曜)
 西宿

八月二日

(水曜)
 西
 
 
  

八月三日

(木曜)
 
 
 

八月五日

(土曜)
 夕方ポスターを父上に十枚書いていただく。俊さんも来、手伝って呉れる。
 午後から、あついのに絵ハガキを整理しに出かけた使、出来ないと云う。商売人の無責任な違約を何とも思わない根性には愛素もつきる。すっかり支配され、ために一日、落付かない、いやな徒費にしなければならないのだ。

八月六日

(日曜)晴 九十五(温度)
 
 
 
 

八月七日

(月曜)九十六(温度)
 
 
 
 

八月八日

(火曜)晴
 ()()
 ()
 

八月十日

(木曜)
 
 西

八月十一日

(金曜)
 午前中まつケイオーに行き、午後夕飯過林町へ行く。

八月十二日

(土曜)
 順天堂行。唇に妙なおでき出来、不快。

八月十三日

(日曜)
  
 
 
 
 
 

八月十八日

(金曜)
 
 
 ()()()
 
 

八月二十日

(日曜)
 ()
 

八月二十一日

(月曜)晴 驟雨
 退
 

八月二十二日

(火曜)
 
 
 

八月二十三日

(水曜)雨
 
 退

八月二十四日

(木曜)雨
 
 
 
 ()
 
 

八月二十七日

(日曜)曇
 便殿

八月二十八日

(月曜)曇
 姿
 
 
 

八月二十九日

(火曜)曇
 
 
 
 
 
 
 

八月三十日

(水曜)夕立
 
 
 
 
 

八月三十一日

(木曜)晴
 
 西
 

九月一日

(金曜)不定
 
 
 
 
 
 
 
 

十月十九日

(木曜)晴
 
 
 
 

十月二十日

(金曜)
 
 ()
 
 

十月二十一日

(土曜)晴
 
 
 姿調()

十月二十二日

(日曜)晴 昨日よりやや寒し
 
 
 
  Haunt 
 

十月二十三日

(月曜)晴 暖
 
 
 
 
 

十月二十四日

(火曜)晴
 
 
 
 
 

十月二十五日

(水曜)曇
 退
 
 
 
 

十月二十六日

(木曜)
『婦人界』の記者来訪
 正月のに小説の短いものをと云う。ことわり、丹野氏をすすめて置く。

十月二十七日

(金曜)
 
 
 
 
 便便便使

十月二十八日

(土曜)晴
 
 


十月二十九日

(日曜)晴
 
 
 
 
 

十月三十日

(月曜)晴
  
 ※(3分の1、1-7-88)

十月三十一日

(火曜)晴
 
brain 調

十一月一日

(水曜)雨
 
  35
 
 

十一月二日

(木曜)晴
 
 

十一月三日

(金曜)晴
 
 
 

十一月四日

(土曜)晴
 
 
 B. C. 2500 
 

十一月五日

(日曜)晴
 
 
 
 

十一月六日

(月曜)曇
 
 
   Past & Present 
 調

十一月七日

(火曜)晴
 
 
 

十一月八日

(水曜)曇
 
  
 
 
 
  

十一月九日

(木曜)晴
 
 
 
 
 
 

十一月十日

(金曜)晴
 
 
 
 

十一月十一日

(土曜)晴
 
 
 

十一月十二日

(日曜)晴
 湿
 
 
 
 
 
 ()()
 

十一月十三日

(月曜)晴
 今朝の新聞で、関さんの母上は、あの人を見舞に行って左様ならとかえろうとするとき倒れ、そのままになってしまったのだそうだ。何と云うことだろう。驚きやまぬ心持がした。自分を見舞に来、さようならと云って、頓死した母を見、私なら天地が変るほどの感に打れる。実に人間の手の届かない神秘な力がぐっと胸をつかみ、その急な死に、何か自分の足りなさ、自分の悪が、起因になって居るように感じずには居られないだろう。此気持は東洋的であり、又仏教的であるかもしれないが、それ丈のことを、徒な偶然とは看過出来ない何ものかが私のうちにある。
 関さんにも、内的に大きな変化が来るだろう。とにかく人間が一生のうちに一度ほか遭遇しない大きな悲しみの一つだ。たった五十歳で、そんな死を親にされてはたまらなし。
 大橋房子氏から送られた「愛の純一性」、あの人の殉情家的な傾向が、流達な理智の文の間にも見える。

十一月十四日

(火曜)晴
 調
 
 

十一月十五日

(水曜)晴
 
 
 
  

十一月十六日

(木曜)雨
 
 
 
  穿

十一月十七日

(金曜)晴
 午前中、昨夜のつづき。林町から電話がかかり、行く。きみ来られない由。はつをきくことにする。
 父上山形におたち。かえりにはオートバイで送って来て貰う。

十一月十八日

(土曜)晴 ○
 
稿
 稿
 

十一月十九日

(日曜)晴
 

十一月二十日

(月曜)晴
 
 
 姿

十一月二十一日

(火曜)晴
 

十一月二十二日

(水曜)晴
 
 

 

十一月二十三日

(木曜)晴
 
 
 

十一月二十四日

(金曜)晴
 
 ()

十一月二十五日

(土曜)曇
 
 
 

十一月二十六日

(日曜)雨
 
 
 
 
 
 
 

十一月二十七日

(月曜)晴

 
 
  Old maid 
 vivid 

十一月二十八日

(火曜)晴

 

十一月二十九日

(水曜)晴
 
 
 
 

十一月三十日

(木曜)曇
 
 
 

十二月一日

(金曜)晴
 二十九日の夕刊に、ギリシア革命政府要員は、トルコとの戦に負けた将軍六名を、軍法会議で反逆罪として死刑に処してしまったとある。黒シャツのまま皇帝に会い、自己の立場を声明した革命者等、我々から見るとかなり不合理と思われる処刑のしかた。ギリシア人式、革命的、傍観者として、やや無責任な言を弄すれば、甚だドラマティックなり。黒シャツを着た党員の示威運動から、ひどく人間的、私憤的な軍法会議場の判決、恥辱のうちに死ぬ将軍等と、外交的意味を以て? それを救おうとする英国大使の黙劇。興味あり。英の国交断絶も要するによいきっかけで手を抜くのか? 少し気概のある外交を見たし。もうちっと、ほんとうに意義のある。正義が口実だからいやなり。

○『女性改造』にやる原稿をまとめるため、A昨夜も二時すぎまで起きて居たので、朝ひどくおそく起る。それから、すっかり部屋の模様を変え、又手なれた古机を持ち出し、本棚を動して、坐るようにする。小崎氏夫妻見ゆ。実に揃った夫婦と云う感、力の均衡も、体の大きさも、奇のない気持がひどくする。却って其ほど調和し、自然だと云うことなのだろう。まつの夫となる金沢三平来。話して見、正直なところと、ずるい――悪気はないが――ところと入まじった男。まつの方が何と云っても単純なり。

十二月二日

(土曜)晴
「スーラーブ」。

十二月三日

(日曜)晴
「スーラーブ」。

十二月四日

(月曜)晴

 宿宿 
 稿
 

十二月五日

(火曜)晴

 
 
 
 
 
 

十二月六日

(水曜)晴
(二)
 
 
 
 

十二月七日

(木曜)曇
 
 
 稿
 

十二月八日

(金曜)晴
 
 使

十二月九日

(土曜)晴
 

十二月十日

(日曜)晴
 ()

十二月十一日

(月曜)晴
 

十二月十二日

(火曜)晴 四十七度
 Aの熱、今日は殆ど高低なくつづく。しきりにバハイズムのことを書いて居る。
 昨夜、寝しなに思ったことだが、自分が二つの時代のように或時代をはっきり現した作品をまとめたいと思う場合、こまかい材料のないので非常に困ることがある。つまり大体、東京明治時代とか何とか云うのはあっても、一年ずつそのときに何があったか、どんな流行があったか、こまかく書いたものはない。故に、自分は後の自分の仕事のためにも、又後世の人のためにも昔の人が、浮世かがみと云うようなものを書いた心持で、折にふれ、面白いと思ったこと、又生活に広い影響をなげたものを、新聞から切りぬいたり何かしてまとめて置いた方がよいと思いついたのだ。さし当り、朝日に出て居るアインシュタインの一平筆漫画でも切ぬく。つまらないようなことだが、所謂活きたリテラチューアで、あとでどんなに役立つかしれない。此を書いて居ると、まだやっと二十前後の若僧の声で、いかにも義務的に南妙法蓮華経の百万遍をやって居るのが、ひどく耳につき散漫になった。

十二月十三日

(水曜)晴
 
 
 
 
 

十二月十四日

(木曜)晴
 
 
 

十二月十五日

(金曜)晴
 
 
 使
 鹿

十二月十六日

(土曜)晴
 
 使
 
 
 

十二月十七日

(日曜)晴
 
 
 
 
 
 
 調
 ()()

十二月十八日

(月曜)晴
 
 
 
 退 





 
   197954520
   1986613205


2013921

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