賢　木

凡例
1．﹃大島本　源氏物語﹄︵角川書店　平成8年5月︶及び﹃大島本源氏物語DBD-ROM版﹄︵角川学芸出版　2007年11月︶に拠って漢字仮名字母翻字した。
2．漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名と区別するため太字で表示した。
3．平仮名はそのまま平仮名で表示した。
4．変体仮名は字母で表示した。
5．片仮名はそのまま片仮名で表示した。
6．仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、より元の字母の漢字に近い字形には﹁1﹂と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し方には﹁2﹂と付記した。
7．本行本文は普通字体で表示し、書入注記等は小字体で表示した。
8．本文中の朱点及び朱書きは朱色で表示した。
9．行頭に同字が並ぶ場合、異なる字母字形は茶色、同じ字母字形は緑色で表示した。


﹁さか木﹂︵題箋︶

　　斎宮の1御く多りち可う成ゆくまゝに・御息
　　所も1の古ゝろほそくお1もほ春・やむこ2とな1く
　　王つらハしきもの尓お本え2たまへりし・大殿の
0001︻大殿の君︼－葵上事
　　君もうせ給てのち・さりとも1登・世人も1き2
　　こえ2あ徒可ひ・宮能うち尓1も1心と起めきせ2しを・
　　そ2能ゝちしも1・可きたえ2あさましき御もて
　　なしを見給尓1・満こ2とにうして︵て＄と<朱>︶おほ春事こ2そ
　　あり氣め登・し里者て給ぬ連ハ・よろ徒農
　　阿者れをお1本し春てゝ・飛多見ちにいてたち
0002︻ひたみちに︼－直路ナリ
　　給・おやそ2ひく多里給連いも1︵も1＝ハ＄<朱>︶・古と尓な2け連﹂︵1オ・333①︶
0003︻おやそひくたり給れい︼－村上御女規子内親王斎宮ニ下向母徽子女王重明親王女副下例

　　登・いと見者那ち・可多き御ありさ満な2るに
　　古と徒氣て・う起世を行者な2れむとお本春
　　に・大将の君さす可尓い満ハと可遣者な2れ給
　　なむもくちお1しくお1ほされて2・御せ2うそこ
　　ハ可りハあ者れなるさ満尓1て2多1ひ〳〵かよふ・
　　たいめ志給ハんこ2と越ハ・いま佐ら尓あるましき
　　古とゝ女君もおほ春・人者心徒きなし登
　　思をき給・事も1あらむ尓・わ連ハい満春こし
　　おもひ見多るゝ事能まさ流へきを・あいな
　　志と心徒よくお1ほ春な2るへし・もと能殿尓1﹂︵1ウ・333⑥︶
0004︻もとの殿︼－六条京極の御家也

　　者・あ可ら佐まにわ多り給お1り〳〵あ連と・い多
　　う志のひたまへハ・大将殿え志り給者春・多1ハ
　　屋春く御心尓1満可せて2まうてたまふへき
　　御春見可尓1︵＋ハ多<朱>︶あらね1者・おほ徒可な2くて・月日
　　も1遍多ゝりぬる尓・院のう遍・お1とろ〳〵し
　　き御な2や見尓1ハ・あらてれいな2ら春時〳〵
　　な2やませ給へハ・いとゝ・御心のいと満な1个れ
　　と・徒らき物尓思者て給な2むも・いとお1しく・
　　人きゝなさけな2くやと・お1本しを古して2・
　　野の宮にまうて給・九月七日ハ可りな1れ者・﹂︵2オ・333①︶
0005︻まうて給︼－源

　　む氣尓1个ふあ春とお1ほ春に・女可多も・︵＋いと︶心
0006︻むけにけふあすと︼－下向
　　あハ多ゝし个れと多1ちな2可ら登・多1ひ〳〵御
　　せうそ2こあり氣れハ・いてやとハお1本し王徒
0007︻いてや︼－＼<朱合点>　御息所
　　羅ひな可らいとあまりうもれい多き越・物
　　古しハ可りの1多1いめハと・人志れ春まちきこ
　　え給个り・者るけきの1へを・わ遣いり給より
　　いとものあ者れなり・秋の花見な1お1とろへ
　　徒ゝ・あさち可原も1可連〳〵な流むし農
　　ね1尓1・松風春こく吹あ者せて2・そ2能こ2とゝも
　　きゝ王可れぬ本とにものゝね1とも1・堂え2〳〵﹂︵2ウ・334②︶

　　き古え2たる・いとえんな2り・む徒ましき2こせ
　　む十よ人者可り・見春いら︵ら＃し<朱>︶む古と〳〵しき
　　春可多な2らて・い多う・志農ひ給へれと・古と尓1
　　日起徒くろ飛給へ流・御ようい・ゝとめてたく
　　みえ2給へ者・御とも1な2流・春起ものとも1・所可ら
　　さへ身に志ミて思へり・御心尓も1なとていま
　　万て・多1ち那ら佐ゝり徒らむと・す起ぬる可多・
　　くやしうお1ほさ流・もの者可な2けなるこ志
　　葉可きを・お1ほ可きにてい多やとも1・あ多り
　　阿多りい登可りそ2免な2り・くろ木農とり井﹂︵3オ・334⑧︶

　　とも1佐春可に・可う〳〵志う・見王多されて2・
0008︻かう〳〵しう︼－神
　　王つらハしき氣しきな2るに・可む徒可さ
　　の1物とも1・古ゝかしこ尓1・うちしハふきて・を
　　の可とち・ものうちいひ多流遣者ひなとも1・
　　ほ可尓ハさ満可ハりて見ゆ︵＝おも本ゆ︶・ひ多1きや可春︵＋可︶耳
0009︻ひたきや︼－火炬子<タキノワラハ>二人山城国葛<カト>郡秦氏童女延喜式
　　悲可りて・人氣春くな2く・志め〳〵登して・
　　古ゝにもの思ハしき人の月日を・遍多て給
　　へら無本とを・お1ほしや流尓1・いといミ志う
　　あハれ尓心く類し・き堂の多1いの1さるへき
　　所尓・堂ちかくれ給日て・御せ2うそこき2こ﹂︵3ウ・334⑬︶

　　え給尓1・あそひハ見那やめて2・心尓くき氣
0010︻あそひハみなやめて︼－上に物の音ともたえ〳〵きこえたるとあり
　　者ひ・あま多きこ2ゆ・那尓くれの1人徒て2能
　　御せうそ2こハ可り尓て・身つ可らハ多1い免し
　　給へき佐ま尓1も1あらね1ハ・いとものし登
　　お1本して・かうやう能ありきもい満ハつきな1
0011︻かうやうの︼－源氏詞
　　き本と尓1なり尓1て2侍越・おも本し志らハ・可う
　　志め能本可尓ハ・もてな1し給はて・いふせ2う侍
0012︻しめのほかにハ︼－＼<朱合点>
　　事をも1・あ起ら免侍尓1し哉︵哉＃可な1<朱>︶と・ま免や可丹
　　き古え2給遍ハ・人々遣尓1いと可多ハらい多う・た
　　ち王つらハせ給尓・いとお1しうなと・あ徒可ひ﹂︵4オ・335④︶

　　きこ2ゆれハ・いさや古ゝの人めも見くるしう・
0013︻いさや︼－御息所
　　かのお1ほさむこ2とも・わ可〳〵志う︵＋いて<朱>︶ゐん可・いま
0014︻かのおほさむことも︼－斎宮
　　佐らに・徒ゝましき古とゝお本春にいとものう
　　个れと・な2さけなうもてな2さむ尓も1・多1け可ら
　　ね1者・と可く・うちな2けきや春らひて・ゐさり
　　いて給へる御氣ハひ・いと心にくしこ那多者
0015︻こなたは︼－源氏
　　春のこハ可り能ゆるされハ・侍りやとて・の1本り
　　い給へり・者那や可に佐しいて多1るゆふ徒く
　　よに・うち婦るまひ給へるさ満尓本ひ尓・丹流
　　も1のな2く免て2多1し月こ2ろ能徒もり越・﹂︵4ウ・335⑨︶

　　徒き〳〵志うき古え2給者むもま者ゆき程
　　尓1な2りに个れハ・佐可木をいさゝ可お1りて・も給
　　遍り个流を佐しい連て・可ハらぬ色を志るへ
0016︻かハらぬ色︼－＼<朱合点>　源氏御詞　後千はやふる神垣山の榊葉ゝ時雨に色もかハらさりけり<左墨>︵後撰457・古今六帖902・躬恒集264、花鳥余情・休聞抄・孟津抄・岷江入楚︶　をく霜に色もかハらぬ榊葉ハかをやハ人のとめてきつらん貫之集<左墨>︵新古今1869・貫之集19、湖月抄・引歌︶
　　丹て2こ2そ2・い可きも古え2侍尓个れ・さも心うく
0017︻いかきもこえ︼－＼<朱合点>　ちハやふる神のい可きもこえぬへしいまハわ可身のおしけくもなし<左朱>︵拾遺集924・古今六帖1065・万葉2671・人丸集195、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　ちハやふる神の井垣もこえぬへしいまはわかミのおしけクもなし<左墨>　賀茂女集ちハやふる神のいかきもこゆる身の草のとさしになにかさハらん<左墨>︵古今六帖1377、河海抄︶　ときハなる松にし心なれきなハかハらぬ色もいまはたのまん<左墨>︵出典未詳︶
　　ときこえ2給へハ
　　　　神可起ハ志流しの1春起もなきもの越
0018︻しるしのすき︼－恋しくハとふらひきませ我宿ハ三輪の山本杉たてる門︵古今982・新撰和歌316・古今六帖1364・俊頼髄脳64、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚︶
　　い可尓1満可へて2お1連流佐可木そ2ときこえ1給へハ
　　　　をとめこ可あ多りとお1もへ者佐可木者の
0019︻をとめこか︼－源氏返し
　　香越な2つ可しミとめて2こ2そ2お1連お1ほ可多
0020︻香越なつかしみ︼－＼<朱合点>　模御息　さかきハのか越かくハしみとめくれハやそうち人もまとひせりけり︵拾遺集577、河海抄・弄花抄・一葉抄・細流抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚︶
　　能氣ハひ・王つらハしけ連と・見春ハ可りハひき﹂︵5オ・336①︶

　　きて・な2け志尓お1し可ゝ里てゐ給へり・心耳
　　ま可せ2て・見多てま徒り津へく・人も志多
　　飛佐まに・お1本志多り徒る・とし月ハの1と可
　　なり徒る・御心おこりに佐しも1おほされ
　　さりき・ま多心の1うち尓・い可にそ2や・き春
　　ありて・思きこえ2給尓し能ちハ多あハれも
　　佐めつゝ・かく御中も1遍多ゝりぬるを・めつら
　　志き・御多1いめ能む可しおほえ2たるに・あ者れ
　　登お1本しみ多るゝ事かきりなし・きし
　　か多ゆくさ起おほし徒ゝ遣られて2・心よ者﹂︵5ウ・336⑦︶

　　具な2き給ぬ・女ハ佐しも1見え2し登お1ほし
　　徒ゝむめれと・えしのひ給ハぬ御氣しき2
　　を・いよ〳〵心くるしう・な2越お本しとまるへ
　　き2さ満尓そきこえ2給める・月もいりぬる
　　尓やあハれなる空をな2可め津ゝ・うら見き
　　こえ2給尓・こゝ羅思日あ徒め給へる徒らさも・
　　きえ2ぬへし・屋う〳〵い満ハとおもひ者な2れ
　　給へるに・佐連ハよ登・中〳〵心うこきてお本
　　志み多る・殿上の1わ可きむ多ちな2と・うち徒
　　連て2・と可く多1ち王つら婦なる・に者の多1﹂︵6オ・336⑫︶

　　堂春さ︵さ＃万<朱>︶ひも・个尓1えんなるか多尓・うけハり
　　た累ありさ満なり・おも本しのう︵う＃古<朱>︶すこ2とな2
　　き・御な2可らひ尓きこえ2可ハし給事とも1ま
　　ね1ひ屋ら無か多那し・やう〳〵あ遣行
0021︻あけ行空のけしき︼－三秋未暁之作<トキ>五夜将<ス><右><スル><左>明之天別緒依云晴遭逢新<ノ>時<ニ>
　　空能遣しき・こ2と佐らに・徒くりいて多1ら
　　むやう也
　　　　あ可つき能王可れハい徒も露けき越
0022︻あかつきの︼－源氏
　　こハ世に志らぬ秋の空可那・いてかて2尓御
0023︻世にしらぬ秋の空︼－大底<オホヨソ>四時心惣<テ>苦<ム>就中腸断<ハ>是秋天
　　てをとらへて2や春らひ給へる・い見しう
　　なつ可し・可せいとひやゝか尓吹て2・松むし﹂︵6ウ・337③︶

　　の1なき可らしたるこ2ゑも・お1りし里可本
　　なるを・さして思事な2き多1尓・きゝ春
　　具しか多氣な1流尓まして・わりなき
　　御古ゝろまとひとも尓1・中〳〵古とも1遊可
0024︻中〳〵こともゆかぬにや︼－秀逸可出来ヲ不事行云々
　　ぬ尓や
　　　　お1ほ可多能秋の王可れも1か那しき2尓1
0025︻おほかたの︼－宮す所返し
　　なくね1な1そ2へその遍能まつむしくやし
0026︻くやしき事︼－河説二首源不可様也
　　き事お1ほ可れと・可ひな2け連ハ・あ氣行空も
　　者したなふて・いて給・みち能ほといと露
　　个し・女も1・え心徒よ可ら春な2こりあ者れ尓て2・﹂︵7オ・337⑨︶

　　な可め給・本の見多てま徒り給へる月影
　　の1御可多ち・猶と満連流尓本ひな2と・わ可き
　　人々ハ身尓1志めて2・あやまちも志徒遍〳〵︵〳〵＄く<朱>︶・
　　めてきこ2ゆ・い可は可りのミち尓て可・かゝ流
　　御ありさ満を・見春てゝハ王可れきこえ2んと・
　　あいな2く涙くミあへ里・御ふミ徒年よりも・
　　こまや可なるハお1本し那飛くハ可りな2れと・
　　又うち可へしさ多め可年給へき事な2らね1
　　ハ・いと可ひ那し・お1とこハ佐しも1お1ほさぬ
　　事を多尓1・なさ氣の1多1め尓は・よくいひ﹂︵7ウ・337⑬︶

　　徒ゝ遣給ふへ可めれハ・ましてをしなへて2
　　能つら尓ハ・思日き古え2給ハさりし御な2可
　　の1・可くて2そ2むき給なんとするを・具ち
　　お1しうも1いと越しうもお本しな2やむへし・
　　多1ひの御さうそくより者し免・人々能ま
　　て・な尓1くれの御てうとな2と・い可めしう・
　　めつらしき・佐まにて・とふらひきこえ2給へ
　　登・な2にとも1お1ほされ春・あ者〳〵志う心
　　うき・なをのミな2可して・あさましき2身
0027︻あさましき身のありさま︼－宮す所御ありさま
　　能ありさ満を・い満ハしめ多1らむ屋うに・本と﹂︵8オ・338④︶

　　ち可くな2流まゝに・お1きふしな2けき給・
　　斎宮ハ・わ可き御心ちにふちやうなり
　　徒る御いて多1ち能・かくさ多まりゆくを・
　　うれしとのミお1本したり・世人ハ連井な2き
　　事と・も1と起もあハれ可りも1・佐ま〳〵に
　　きこゆへし・な2にこ2とも1人尓・も登きあ徒
　　可ハれぬきハゝ・屋春けな2り・な可〳〵世耳
　　ぬ希いてぬる人の・御あ多りハ・とこ2ろせ2起
　　古とお1ほくな2む・十六日かつら河尓て・御
0028︻かつら河にて御はらへし給︼－群行日西河にて御禊事あり幄の屋にて中臣御麻<ヌサ>をたてまつる事あり
　　者らへし志給・徒年の1きし起尓満さりて2・﹂︵8ウ・338⑨︶

　　長ふそうしなと・佐らぬ可む多ちめも・や無
0029︻長ふそうし︼－チヤウ奉<フ>送<ソウ>使<シ>
0030︻さらぬかむたちめ︼－中納言君参議致伊勢国
　　古とな2くおほえ2あるを盈らせ給へり・院の1
　　御心よせもあ連ハな2るへし・いて給ふ程尓・
　　大将殿より・連いの徒きせぬ事とも1き2
　　こえ2給へり・か氣まくも1かしこきお1まへ尓て
0031︻かけまくもかしこき︼－掛<カケマクモ>　畏<カシコ>　宣命詞
　　と・ゆふ尓徒氣て・な2る神多1尓こ2そ2
0032︻なる神︼－＼<朱合点>　天の原婦ミとゝろ可しなる神も1思ふ中をはさくる物可者<朱>︵古今701・古今六帖805、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶
　　　　やし満もるくに津ミ神も1古ゝろあらハ
0033︻やしまもる︼－源氏
0034︻くにつミ神︼－地神申也
　　あ可ぬ王可れ能中をこ2とハれお1もふ多ま婦
　　流尓あ可ぬ心ち・し侍可那とあり・いとさハ
　　かしき2本とな2れと御可へりあり・宮の御を者女﹂︵9オ・338⑭︶
0035︻御かへり︼－御息
0036︻宮︼－斎
0037︻女へたう︼－斎宮の女別当延喜式にみえたり

　　へ多う志て・かゝせ給へり
　　　　くに徒可ミ空にこ2とハる中な2らハな2越
0038︻くにつかミ︼－宮す所或斎返哥
　　さりこ2とをまつ屋たゝさむ大将ハ御ありさ満2
　　遊可しうて・うち丹もまいらま本しくおほせと・
　　うち春てら連て・見をくら無も・人王ろき
　　心ちし給へ者・お本しと満りて2・徒連〳〵耳
　　な2可め井給へり・宮能御可へり能お1とな1〳〵
　　志きを・本越ゑミて見ゐ給へり・御登し濃
0039︻ほをゑミて︼－な越さり事をまつやたゝさんとあるをいへり
0040︻御とし︼－十四
　　本とよりハ・お1可しうも1・お1者すへき可那と・
　　多1ゝな2ら春かう屋うに・連い尓た可へる・王徒﹂︵9ウ・339⑥︶

　　羅ハしさ尓・め︵め＃可<朱>︶な21羅春心可ゝ流御くせ2尓て・
　　いとよう見多てまつり徒へ可りし・い者け
　　な2き御本とを・見春な2りぬるこ2そ2・ね1多
　　个れ・世中佐多めなけれハ・多1いめ春流やう
　　も1ありな2む可しな2と・お1本春心尓くゝ・よし
　　ある御氣ハひな2れハ・もの見くる満お本可る
　　ひな2り・さ流の1時尓1・うちに万いり給・宮春ん
　　所御古しにの1り給へる尓徒个ても・ちゝおとゝ
0041︻御こしにのり給へる︼－葱花輿神事用之諸事行幸等
　　の1・可きりな2き春ちにお本し心佐して・い徒
0042︻いつき︼－寵
　　き2多1て2まつり給しありさ満可ハりて・春ゑ﹂︵10オ・339⑪︶

　　の1世に・うちを見給丹も・も1のゝ見徒きせ2春・
　　あ者れ尓お本さ流・十六丹て2・こ宮にまいり
0043︻こ宮︼－前坊
0044︻まいり給て︼－生秋好
　　給て2・廿丹て2・をくれ多てま徒り給・卅尓て
　　楚・氣ふま多・こゝのへを・ミ給个流
　　　　そ2能可ミを个ふ者可氣しと志のふ連と
0045︻そのかミを︼－宮す所
　　心の1うち尓1ものそ可那しき斎宮ハ十四尓
　　そな2り給个る・い登うつくしうお1者するさ満
　　をうるハしう・志多て〳〵まつり給へるそいと
　　ゆゝしき2まて見え2給を・見可と御心うこ
　　きて・王可れのくし多1てまつり給本と・﹂︵10ウ・340②︶

　　いとあハれ尓て・しほ多れさせ給ぬ・いて給を
　　まち多1てま徒るとて・八省尓多1て徒ゝ
0046︻八省︼－太極殿をいふ
0047︻たてつゝけたる︼－美福門内立ツヽク
　　遣多流・い多し車とものそ2てくち色
　　あひも1・め那連ぬ佐まに・心尓くき个し
　　き2な2れハ・殿上人ともゝわ多くし濃
　　王可れお1しむおほ可り・くらういて給て2・
　　二条より・とうゐむの1お1本ちをお連給婦
0048︻とうゐむのおほち︼－東洞院也
　　本と・二条能院の1まへな2れハ・大将の1君い登
　　あハれ尓お1ほされて佐可きにさして
　　　　婦り春てゝ氣ふ者ゆくとも1すゝ可河﹂︵11オ・340⑧︶
0049︻ふりすてゝ︼－源氏

　　やそせ能浪尓袖ハぬ連しやとき古え2
0050︻やそせの浪︼－すゝか川やそせのたきをみな人のめくるもしるくときにあへるかも︵催馬楽﹁鈴鹿川﹂、孟津抄・岷江入楚︶
　　給へ連と・いとくらうものさハ可しき2程な2れ
　　者・又の1日・せ2起能あな2多よりそ御可へり︵可へり＃返し︶阿る
0051︻せきのあなた︼－＼<朱合点>　相坂の関のあなたハまたみぬにあつまの事もしられさりけり︵後拾遺937、河海抄・一葉抄・孟津抄︶
　　　　春ゝ可河屋そせの1な見尓ぬ連〳〵春
0052︻すゝか河︼－宮す所
　　いせ2万て多1れ可おもひをこせ2む・こ2と楚きて
0053︻ことそきて︼－草かちなるをいふにや
　　可き給へるしも1・御ていとよし〳〵志具・
　　那まめき堂る尓1・あハれな2る氣を春こし
0054︻あはれなるけ︼－正体ノもしすかた越いふ
　　そへ給へらまし可ハとお1ほ春・き2りい多う
　　婦りて・たゝな2らぬあさ本ら遣尓・うちな1可めて・
　　悲とりこち・お1ハ春﹂︵11ウ・340⑬︶

　　　遊く可多越な2可めも屋らむこの秋者
0055︻ゆくかた越︼－源氏
　　あふさ可山を霧那遍多てそにし能多1い
　　尓も1・わ多り給者て・飛と屋りな2ら春・もの
0056︻ひとやりならす︼－＼<朱合点>　人屋り能道な2らな2く尓大可多ハいきうしといひていさ可へりな1ん<朱>︵古今388・新撰和歌185、河海抄・孟津抄︶　下句能宣集<墨>
　　佐ひし遣に・な2可免く羅し給・まして旅
　　の1空ハい可尓御心徒くしな2流事おほ可り
　　氣ん・院の1御な2やミ・神な1月尓な2りてハ・いと
　　お1もくおハしま春・世中尓お1しミきこ
　　えぬ人那し・うちにもお本しな2けきて・行
　　幸あり・よハ起御心ち尓も・春宮御事を・
　　かへ春〳〵きこえ2させ給て2・徒きにハ・大将﹂︵12オ・341⑥︶

　　の御事・侍つる世尓可ハら春・大小の1こ2とを遍多
　　て春・な2にこ2とも1御うしろミと・お1ほせよハひ
　　の本とよりハ・よ越ま徒りこ多1む尓も・お1さ〳〵
　　者ゝかりあるましうなむ見給ふる・可那
　　羅春世中多1もつ1へきさうある人なり・
　　さ流尓よりて・王つらハしさに・見こ尓も那
　　さ春・たゝ人丹て2・お1ほや氣能御うし路ミ
　　をせさせ2無と思給へしなり・その心多可へ
　　させ給な2と・あハれなる御ゆいこむとも1お1
　　本可り遣れと・女のま年ふ︵へ＆ふ︶へきこ2と尓1しあら﹂︵12ウ・341⑩︶

　　ね1ハ・こ能可多ハし多1尓・か多ハらい多し・み可
0057︻みかと︼－朱雀
　　とも1・い登可那しとお1ほして・佐らにた可
　　へきこえ2佐春ましき2よしを・可へ春〳〵
　　き2こえ2させ給・御可多ちも・いときよらに・
0058︻御かたちも︼－院御気色
　　ね1ひまさら勢給へるを・うれしくたのも
　　志く見多てま徒らせ2給・かきりあれハ・いそ
0059︻いそきかへらせ給にも︼－朱雀
　　き可へらせ2給尓も・な2可〳〵な2る事お本くな2ん・
　　春宮も1ひと多1ひ丹も︵も＃と<朱>︶お本しめし个れ
0060︻春宮︼－冷泉
　　とも1のさハ可しき2により・ひを可へて2・王多
　　らせ給へり・御とし能本とよりハ・おとなひ・﹂︵13オ・342②︶

　　う徒くしき2御さ満丹て2・恋しとおもひ
　　きこえ2させ給遣る徒もりに・︵に＋な尓1<朱>︶心もな2く・うれ
　　志とお1本し・見多てまつり給ふ御氣しきいと
　　あハれな2り・中宮ハ涙尓志津ミ給へるを・見多
0061︻中宮︼－薄
　　てまつらせ給も・佐ま〳〵御心み多れて・お本
　　志めさ流・よろ津のこ2と越きこえ2志らせ2給へと・
　　いと物者可那き2御本とな2れハ・うしろめ多く・
　　かな2しと見多てま徒らせ2給・大将丹もお本や
　　氣尓1徒可うまつり給へき御心徒可ひ・この
　　宮の御うしろミし給へきこ2と越・可へ春〳〵能﹂︵13ウ・342⑦︶

　　給者春・夜婦希てそ・かへらせ2給・のこる人な2く・
　　徒可うま徒りての1ゝ志流さ満・行幸におと
　　流遣ちめな2しあ可ぬ本と丹て2可へらせ2給
　　をいミ志うおほしめ春・お1本きさ起も・まいり
0062︻おほきさき︼－朱雀院御母
　　給者むとする越・中宮能可くそ2ひおハ春
0063︻中宮︼－藤壺事
　　流尓・御心を可れて・お本しや春ら婦本と尓1・
　　お1とろ〳〵しきさ満丹も・お1ハしまさて・可く
　　れさせ給ぬ・あしを空尓・思まとふ人お本
　　可り・御くら井を佐らせ2給と・いふハ可り耳
0064︻御くらゐをさらせ給といふはかりに︼－位をさりてな越世の政を行給ふ事嵯峨天皇の例ナリ
　　こ2そ2あれ・よのま徒りこ2とを・志つ1めさせ﹂︵14オ・342⑫︶

　　給へる事も1・我御世能お那し事丹て2お1
　　ハし万い徒るを・み可とハいとわ可うお1ハし
　　ま春・おほちおとゝい登きうにさ可な2く・
0065︻おほちおとゝ︼－二条太政大臣
　　お1ハして・そ2能御まゝにな2りなん世をい可な
　　らむと・可む多ちめ殿上人ミな1おもひな1
　　氣く・中宮大将殿な2とハまして春
　　く連て2も1能もお本しわ可れ春・のち〳〵の
　　御王さな1と・氣うし徒可うま徒り給さ満1も・
0066︻御︼－ミ
0067︻わさ︼－態<ワサ>　事<ワサ>
0068︻けうし︼－孝養事
　　そ2こら能みこ多1ち能御中に春くれた
　　まへるをこ2とハり那可ら・いとあハれ尓世人も﹂︵14ウ・343③︶

　　見多てまつる︵＋藤能御そ丹やつ連給へる︶に徒氣ても可起りな2くきよ
　　羅尓1心具流し遣な2り・こ2そ2・古としと・うち
0069︻こそ︼－こそハ葵上の事
　　徒ゝき2かゝる事を見給尓1・よもいとあち
　　きな2うお1本さるれと・可ゝ流津いて丹もまつ・
　　お本し多1︵＋た︶るゝ事ハあ連と・又さ満〳〵農
　　御本多しお本可り・御四十九日万て者・女御・
0070︻御ほたし︼－＼<朱合点>　古今世のうきめ見えぬ山ちへ入らんニハおもふ人こそ︵古今955、花鳥余情・休聞抄・孟津抄・岷江入楚︶
　　見や春所多1ち・見那院尓つとひ給へ里つる
　　を春起ぬ連ハ・ちり〳〵尓ま可て給・志者春
　　の廿日な2れ者・お1本可多能よの中・とちむ累
　　空能遣しき尓徒氣ても1・まして者るゝ﹂︵15オ・343⑧︶

　　よな2き中宮能御心のうちなりお1本き
　　さ起能御心も志り給遍れ者・心尓1満可せ給
　　遍らむ・世の1者したな2くすミうから無を・お
　　本春よりも・な2れきこえ2給へる・としこ2ろの
　　御ありさ満を・思日いてきこえ2給ハぬと起の
　　万な2きに・可くてもお1ハします満しう・見那
　　本可〳〵へと・いて給本とに可な2しき2事可起りな1し・
　　宮ハ・三条の1宮尓王多り給・御む可へ尓兵部卿
0071︻宮︼－薄
0072︻兵部卿︼－宮の御あになり
　　能宮まいり給へり・ゆきうちちり・風者氣し
　　うて・院の1うちやう〳〵人免可れ行て・志﹂︵15ウ・343⑭︶

　　めや可な流尓・大将殿こ那多にまいり
0073︻こなたに︼－薄
　　給て2・ふるき御物可多りきこえ2給・おまへ
　　の五えう能・ゆきに志本連て2・志多葉可れ
　　多1るを見多万ひてみこ
　　　　か氣ひろミたの見しま徒や可れ耳
0074︻かけひろミ︼－兵部卿宮
　　遣ん志多葉ちり行とし能暮哉な2にハ可り
　　能古と丹もあらぬ尓・お1りからも1のあハれ尓て・
　　大将の御そてい多うぬ連ぬ・いけのひま那
　　うこ本れる尓1
　　　　佐盈わ多流池の1かゝ見能さや遣起尓﹂︵16オ・344⑤︶
0075︻さえわたる︼－源氏

　　見な2れし可氣を見ぬそ1可な1しき2とお1ほ
　　春まゝにあまり・わ可〳〵志うそあるや・王命婦
　　　　としくれてい者井の1水もこ本りとち
　　見し人可遣能あせ2も行可那そ2の徒いて
0076︻そのついてに︼－作者ー
　　尓・いとおほ可れと・さ能ミかき徒ゝ具へき
　　事可ハ・わ多らせ2給きしき2かハらね1と・思
　　那しにあハれ丹て2・布るき宮ハ・返て2多1
　　ひ心ちし給丹も・御さとすミ多1え2多る・とし
　　月の本と・おほしめくらさるへし・登し可へり
　　ぬ連と・世中い満め可しき事な2く志徒﹂︵16ウ・344⑩︶

　　かな2り・まして・大将殿ハものうくてこもり
　　ゐ給へり・ちもく能こ路な2と・院の1御時を者・
0077︻ちもく︼－除目
　　佐ら丹もい者春・登しころおとる遣ち免
　　な2くて・見可と能王多り所な2く多1ちこ見
　　たりしむま車うすらき2て・との井物の1
0078︻むま車︼－ヒハ引<本ノマヽ>　門前零落鞍馬稀
0079︻とのゐ物のふくろ︼－無指事秘事と申伝侍り
　　ふくろ・おさ〳〵見え2春・志多しき2遣いし
　　ともハ可り・古と尓いそく事な2け丹て2
　　ある越見給丹も・い満よりハ・かくこ2そ2ハと
　　思やられて・も1の春さましくな2む・見く
0080︻みくしけとの︼－御匣
　　志遣とのハ・二月尓な2いしの1可ミになり﹂︵17オ・345①︶
0081︻ないしのかみ︼－おほろ月夜

　　給ぬ・院の1御思尓や可て・あま尓1なり給
　　へる可ハりな2里个り・やむこ2と那くもてな2し・
0082︻かハりなり︼－内侍闕
　　人可らも1・い登よ具お者春れハ・あま多
　　まいりあ徒まり給中丹も春くれて・時
　　めき給・后ハさとかちに・お1ハしまいて2・
0083︻后︼－大后
　　まいり給ふときの1・御徒本年尓ハ・むめ徒本
　　を志多れハ・こきてん尓ハ・可むの1君春ミ給ふ・
0084︻かむの君︼－朧
　　とう花殿のむもれ多1り徒るに・ハれ者れしう
0085︻とう花殿︼－登華殿　弘ー殿北　梅壺東也
　　な2りて・女坊な2ともか春志ら須1・徒とひ万
　　いりて・い満め可しう・者那やき給へと・御心農﹂︵17ウ・345⑥︶

　　中ハ・思日の本可なりし古とゝも1を・わ春
　　連可多くな2けき給・い登志のひて・かよハし
　　給ふ事ハな2越・お那し佐まな2るへし・ものゝ
　　き2こえ2も1あらハ・い可な2ら無とおほしな2可
　　羅・連いの御くせな2れハ・い満しも1御心
　　さし満さ流へ可めり・院のおハしまし徒る
　　世こ2そ2ハゝ可り給つれ・后の1御心・いち者や
　　くて・可た〳〵おほし徒め多1る事とも1
　　の・むくひせ2むとお1本春へ可めり・古と尓ふ連
　　て・者したな2きこ2と能ミいてくれハ・かゝ流﹂︵18オ・345⑪︶

　　へきこ2と︵＋と︶ハ・おほし志可と・見し里給者ぬ
　　世能うさに・多1ちまふへくも1おほされ春・左の
0086︻左のおほいとの︼－摂政
　　お本いとのも1・春佐ましき心ちし給て2・
　　古と尓1うち丹もまいり給者春・こひめ君を・
0087︻こひめ君︼－葵上事
　　日起よきて・この大将の1君尓きこえ1徒氣
　　給ひし・御心を・きさ起ハお本しをきて・よ
　　ろしうも・思きこえ2給者春・おとゝ能御中
0088︻おとゝ︼－二条
　　も・も1とよりそハ〳〵志う・お1ハするにこ院の
0089︻そハ〳〵しう︼－稜文
　　御世尓ハ・我まゝにお1者せしを時うつりて2・
0090︻我まゝに︼－摂ー
　　志多り可本尓お1ハするを・あちきな2し登﹂︵18ウ・346②︶

　　お1本し多1る・こ2とハりなり・大将ハありしに
　　可ハら春王多りかよひ給日て・さふら飛し人
　　人をも・中〳〵にこ満可尓1お1本しをきて・わ可
0091︻わか君︼－夕霧
　　君をかしつき・思きこえ2給へる事可きりな
　　个れハ・あハれ尓阿り可多起御心と・いとゝい多徒
　　き2ゝ古え2給事とも1お那し佐まな2り・かきり
　　な2起御おほえ2能あまり・も1能さハ可しきまて・
　　いと満2な2氣尓1・見え2給しをかよひ給し・登
　　こ2ろ〳〵も・可多〳〵に多1え2給事ともあり・
　　かる〳〵しき御忍日ありきも・あいな2う﹂︵19オ・346⑦︶

　　おほしな2りて古とにし給ハ年ハい登の1と
　　屋可尓1・い満しもあらま本しき御ありさ満
　　な2り・にしの1堂いのひめ君の1御さい者いを・世
0092︻にしのたいのひめ君︼－紫上
　　人もめてきこ遊・少納言な2とも1人志れ
　　春・こあ万うへの御いのり能志類しと見多
　　てまつる・ちゝみこも思さ満尓きこえ2可ハし
　　給・む可ひハら能可きりな2くとおほ春ハ・者可〳〵
0093︻むかひハら︼－当腹
　　志うも1えあらぬ尓・ね1多氣那る事おほく
　　て・まゝハゝ能き多能可多ハ屋春可ら春お本
0094︻まゝハゝのきたのかた︼－紫
　　春へし・もの可多里にこ2と佐ら尓徒くりいて﹂︵19ウ・346⑬︶

　　多1流屋うな2る御ありさ満なり・斎院ハ御
　　布く丹て2おりゐ給丹し可ハ・あさ可ほのひ
　　め君ハかハり尓ゐ給尓1き・可ものい徒き
0095︻いつき︼－斎院とかく
　　丹ハ・そ︵＋む︶王うのゐ多まふ・連いお1本くもあ
0096︻そむわう︼－孫
0097︻れいおほくも︼－延喜已前例直<ナヲ>子ノ女王文徳孫此外無例
　　羅さり个れと・さるへき女見こや︵ゝ＆や︶・お1ハせさり
　　氣む・大将の君とし月ふ連と・猶御古ゝろ
　　者な2れ給ハさり徒るを・かう春ち古と尓1なり
0098︻はなれ︼－槿
　　給ぬ連ハ・くちお1しくとお1本春・中将耳
0099︻中将︼－斎院女房
　　をとつ連給事もお那しこ2と丹て2・御ふミ
　　な2とハ・多1え2さ流へし・む可しに可ハる御あり﹂︵20オ・347④︶
0100︻むかしに︼－桐ー院中

　　佐まな2と越ハ・こと尓1な2にともお1本したら春・
　　可やう能者可那し事とも越まきるゝこ2と
　　なきまゝに・こな2多可那多とお1本しな2や
　　めり・み可とハ・院の1御ゆいこむた多1可へ春・あ
　　ハれ尓おほし多1連と・わ可うお1ハしま春
　　うち丹も・御心な1よひ多1るか多尓春起て2・
0101︻なよひ︼－麗
　　徒よき所おハしまさぬな2るへし・者ゝき
　　さ起・おほちおとゝとり〳〵し給事は・
　　えそ2む可せ給者春・よのま徒り古と・御心尓1
　　かな1ハぬやうな2り・王つらハしさの1見まされと・﹂︵20ウ・347⑨︶

　　かむの1君ハ・人志連ぬ御心しかよへハ・王り
　　なくて2と・おほつ可な2くハあら春・五多1ん能
　　見春本う能者しめ丹て2・徒ゝ志ミお1ハし
　　ま春・飛万を・う可ゝひて・連いの夢能屋う
　　にきこえ2給・可のむ可しお1本え2多1流・本そ2とのゝ
　　徒ほ年尓・中納言の1君ま起らハしていれ
　　多1て2ま徒る・人めも志遣起こ2ろな2れハ・徒年
　　よりも者しち可那る・空おそ2ろしうお本
　　ゆ・あさゆふ尓見多てま徒る人多1尓・あ可ぬ
0102︻あさゆふに︼－＼<朱合点>　伊勢の海人の朝な夕なにかつくてふみるめに人をあくよしもかな︵古今683・古今六帖1869、異本紫明抄・紫明抄・河海抄・孟津抄︶
　　御さ満な2れハ・ましてめつら志き本と尓のミ﹂︵21オ・347⑭︶

　　ある御多1いめのい可て可ハをろ可な2らむ・女能
　　御さ満も个尓1そ2めて2多1き御さ可りな2流・
　　おもり可な1流可多ハ・い可ゝあらむ・お1可しう
　　な2ま免き王可ひ多る心ちして・見ま本
　　志き御遣ハひなり・本とな2くあ氣ゆく
　　丹やとお本ゆるに・たゝ古ゝに志も・との井
　　申さふら婦と・こ者つくるな2り・ま多この1
0103︻こはつくる︼－近衛夜行
　　わ多りに・可くろへ多1るこ能ゑ徒可さそ2あるへ
　　き・ハらき多な2起か多への・をしへをこ春る
0104︻ハらきたなき︼－日本記に黒心とかきてきたなき心とよめり
　　楚可しと・大将者きゝ給を可しきも能可ら・﹂︵21ウ・348⑤︶

　　王つらハしこゝかしこ・たつ年ありきて︵△＆て︶・とら
0105︻こゝかしこ︼－大将次将ノ間ヲ
　　飛と徒と申なり・女君
0106︻女君︼－朧
　　　　心可ら方〳〵そ2て2をぬら春可那あくとを
0107︻心から︼－おほろ月
0108︻あく︼－明
　　志布るこ2ゑ丹徒希て2もとの多まふさ満・
　　者可な1多1ちていとをかし
　　　　なけき徒ゝわ可よ者可くて春くせとや
0109︻なけきつゝ︼－源氏
　　む年の1あくへき時そ2とも1なく志徒心な2く
0110︻むねのあく︼－心ニアク
　　ていて多1まひぬ・︵＋夜︶布可きあ可徒き月夜農・
　　えもい者須1きりわ多れるに・いとい多うや
　　徒れて2布るまひなし給へる志も・尓流もの﹂︵22オ・348⑩︶

　　な2き御ありさ満丹て2・承香殿能御せう
0111︻承香殿︼－そきやう殿女御ハ朱雀院の女御今上の御母ナリ
　　との・とう少将布ち徒本よりいてゝ・月能春
　　こしくまある・多1てしとミ能もとに・多1
0112︻くま︼－少将
　　てり个流を・志らて春き給个んこ2そ2・いと
　　をし个れ・もときゝこゆるやうもありな2ん
　　かし・可やうのこ2とに徒氣ても・もて者な2れ・
　　徒連なき人の御心を・可徒ハめてたしと
0113︻つれなき人︼－藤壺の中宮の御事也
　　思ひきこえ2給物可ら・わ可心のひく方尓てハ・
　　猶徒らう心うしと・おほえ2給をりお1本可り・
　　内尓1まいり給者ん事ハ・うゐ〳〵し具・所﹂︵22ウ・349②︶

　　せ2くお本しな2りて・春宮を・見多てま徒り
　　給者ぬを・お1本つ可なくお1もほえ2給・又多1の
　　もしき人も1ゝ能し給ハ年ハ・多ゝこの1大将
　　の君をそ2・よろ徒尓1堂のミきこえ2給へる尓1・
　　︵＋猶この尓1くき御心のやまぬ尓<朱>︶ともすれハ・御むねを徒布し給津ゝ・いさゝ可も・
0114︻いさゝかもけしきを御らんししらす︼－源氏の君と藤壺との事を故院ハつゐにしらせ給ハさりし事也
　　遣しきを御らん志・しら春なり尓1しをおも
　　ふ多尓・いとおそ2ろしき2に・い満さらにま多
　　さ流事能きこえ2ありて・我身ハさ流もの尓
　　て・春宮の1御多1め︵＋丹︶・可な1ら春よ可らぬこ2といて
　　き2な2んとおほ春に・いとお1そ2ろし个れハ・御いの﹂︵23オ・349⑦︶

　　里をさへせ2させて2・こ能古と思やませ堂て2
　　まつらむと・お1本しい多らぬ事な2くの可連給を・
　　い可なるお1里尓1可阿り氣ん・あさましうて
　　ち可つきまいり給へり・心ふ可くた者かり給个ん
0115︻まいり︼－源
0116︻心ふかく︼－藤壺事
　　事をし流人な2可り遣れハ・夢の1やう尓1そあり个る・
　　ま年ふへき屋うなく・きこえ2徒ゝ遣給へと・宮
0117︻宮︼－薄
　　いとこよなく・もて者な2連き2古え2給て・者て〳〵
　　ハ御む年をい多うな2やミ給へハち可うさふらひ徒る・
　　命婦弁な2とそあさましう・見多てまつりあ徒
　　可ふ・お1とこハうし徒らしと思きこえ2給事﹂︵23ウ・349⑬︶

　　かきりな起尓・き2し可多行さ起可きくらす春
　　心ちして・うつし心うせに氣れハ・あ遣者てに
　　个れといて給者春な2りぬ・御な2やミにおとろきて・
　　人々ち可うまいりて・志けうま可へハ・王れ尓も1
0118︻まかへハ︼－人往来
　　あらて・ぬりこめにをしいれら︵＋連︶てお1者春・御そ
　　とも1かくしも多る人の心ちともい登む徒
　　可し・宮ハもの越いと王ひしとお1本し个るに・
　　御遣阿可りて・猶な2やましうせ2させ給・兵部卿
0119︻兵部卿︼－兄
　　宮・大夫な2と万いりて・そうめせ︵△＆せ︶な2とさハくを・
0120︻大夫︼－男　フ
　　大将いと王ひ志うきゝお1者春・か羅うして﹂︵24オ・350④︶

　　くれ行程にそ・おこ多1り給へる・かく古も里ゐ給
　　へらむとハ・お本しも1可遣春・人々も1・又御心ま登
　　者佐しとて・可くな2んともまうさぬな2るへし・ひる
　　の1おましに・いさりいてゝお1ハしま春・よろ志う
　　おほさるゝなめりとて・宮もまかて給ひなと
0121︻宮︼－兵部卿
　　志て2・おまへ人春く那尓な2りぬ・連いも氣ち
　　可くな2らさせ給人春くな2个れハ・こゝかしこ能・
　　ものゝうし路な2とにそさふら婦・命婦の君な2とハ
　　い可尓多1ハ可りてい多したて2まつらむ・こよひ
　　佐へ御氣あ可らせ給者ん・いとお1しう︵＋な2と<朱>︶うちさゝ﹂︵24ウ・350⑩︶

　　め起あ徒可ふ・君ハぬりこ免の1との・本そ2免耳
　　あき多流を・やおらをしあ个て・御屏風農
　　ハさ満尓・徒多ひ入給ぬ・めつらしく・うれしき
　　丹も・涙おちて・見多てま徒り給ふ・な2越いとくる
　　志うこ2そ2あれ・世や徒きぬらむとて・と能可多を見
0122︻世やつきぬらむ︼－＼<朱合点>　樹下集　あハさりし涙のもろく成行ハよやつきぬらん時やきぬらん︵出典未詳、花鳥余情・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚︶
　　い多し給へる・可多ハらめ・いひしら春・な2まめ可しう
　　見ゆ・御く多ものを多尓1とて・まいり春へ多1り・者
　　こ能ふ多な2とにも・な2つ可しきさ満丹て2あれと・
　　見いれたまハ春・世中をい多うお本しな2やめる
　　个しき丹て2・の1と可にな2可免いり給へるい見しう・﹂︵25オ・351②︶

　　羅うた氣な2り・かむ佐し・可しらつき・御くし能かゝ
　　里多流さ満かきりな2起・尓本者しさな2と・たゝ可の
　　堂い能ひめ君にた可ふ所な1し・登しこ2ろ春こし
0123︻たいのひめ君︼－紫
　　思ひ王春れ給へり徒るを・あさましき2まて・
　　おほえ1給つ︵つ＄へ︶る可那と・見給まゝに・春こしもの思
　　能者る遣とこ2ろある心ちし給・氣多可う・者つ
　　︵＋可しけな2る<朱>︶佐まな2とも1さらにこと人ともおもひ王起可多
　　き越・猶可きりな2く・む可しよりおもひしめきこえ2
　　てし心能思ひな2し尓やさ満こ2とにい見しうね1
　　ひまさり給尓遣る可那と多1くひな2くおほえ2給尓・﹂︵25ウ・351⑦︶

　　心まとひして・やをらみちやう能うちにかゝ徒
　　らひ入て2・御その徒まを・日起な2らし給遣ハひ
　　志流く・佐とに本ひ多1るに・あさましう・むく
　　徒氣うお1本されて2・屋可てひ連婦し給へり・
0124︻ひれ︼－領巾
　　み多尓むき給へ可しと・心やましう徒らうて・
　　ひきよせ給へるに・御そ2を春へしをきて・ゐさり
　　のき給尓1心尓1もあら春・御くし能とりそへられ
　　多1り个れハ・いと心うく・春くせの1本とお本し
　　志られて2・いミしとお1本し多1り・お1とこも古ゝ
　　らよ越もて志徒め給ふ御心・見な2ミ多1れて・﹂︵26オ・351⑬︶

　　うつしさ満尓1もあら春・よろ徒の1古と越・な2く〳〵
　　うらミきこえ2給へと・満こ2とに心徒きなし登
　　お1本していらへもきこえ2給ハ春・多1ゝ心ちの1いと
　　な2やましき2を・かゝらぬおりも1あらハ・きこえ2
　　てむとの多まへと・徒きせぬ御古ゝろ能程を・
　　いひ徒ゝ遣給・さす可尓い見しときゝ給ふしも・
　　まし流らんあら佐りしこ2と丹ハあらね1と・あら
　　ためていとくちお1しうお1本さるれハ・な2つ可し
　　きもの可らいとようの多まひの可連て2・
　　こよひもあ氣ゆく・せ2めて志多可ひきこえ2﹂︵26ウ・352⑤︶

　　佐らむも・か多し遣な2く・心ハつ可しき御氣
　　ハひな2れハ・たゝ可ハ可り丹ても・と起〳〵い見しき
　　う連へをた尓者るけ侍ぬへく︵し＆く︶ハ・な2にのお1本遣
　　なき・心も侍らしな2と・多1ゆめきこえ2給へし・
　　な2のめな2る事た丹・可やうな2流な2可らひハ・あ者れ
　　な2る事もそ2ふな2るを・まして多1くひな2けな2り・
　　あ氣者つ連ハ・ふ多りしてい見しき事とも
0125︻ふたりして︼－弁君ト王命婦ト也
　　をきこえ2・宮ハな2可ハゝな2起やうな2る御氣しき
　　能・心くるし遣れハ・世中にあ可︵可＃里<朱>︶ときこしめさ
　　連むも・い登者つ可しけれハ・や可てうせ侍な2ん﹂︵27オ・352⑩︶

　　も1・又こ能世な2らぬ徒ミとな2り侍ぬへき2事
　　なと・きこえ2給も・むく徒个きまて・お本し
　　いれ累︵累＃里<朱>︶
　　　　あふこ2との1可多き2を氣ふ尓かきら春ハ
0126︻あふことの︼－源氏
　　い万い具世越可な2けき徒ゝ遍ん御本多し尓も
　　こ2そ2と・きこえ給へハ・さ春可にうちな2けき給て
　　　　な可きよのうら見越人尓のこしても1
0127︻なかきよの︼－藤壺返し
　　可つハ心をあ多と志らな2む者可那くいひ
　　な2させ︵△△＆させ︶給へる佐万の1・いふよしな2き心ち春れと・
　　人のお本さむとこ2ろも・わ可御多1めもくるし﹂︵27ウ・353②︶

　　个れハ・王れ尓もあらていて2給ぬ・い徒こをおも
　　てにて2可ハ・ま多もみえ2多1てまつらん・いとおしと
　　お本し志流ハ可りとお本して・御ふミもきこえ
　　たま者春・うち多へ︵へ＄え︶て2・内春宮丹もまいり給
　　者す・古もる︵る＃里<朱>︶おハして・お起ふしいミし可り个る人
　　の1御心可那と・人王ろく恋しうかな2しきに・心
　　たましゐもうせ尓氣る尓や・な2やましうさへ
　　お本さ流・もの心本そ2く・なそや世尓ふれ者・うさ
0128︻世にふれは︼－＼<朱合点>　古今　世にふれハうさこそまされよしの山︵よしの山＝みよしのゝイ<墨>︶岩のかけみちふミならしてん<朱>︵古今951、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶
　　こ2そ2まされとお1本した徒丹ハ・この1女君能いと
0129︻女君︼－紫
　　らう多1遣︵＋尓1︶て2・あ者れ尓うちたの1ミき2こえ﹂︵28オ・353⑧︶

　　給へるを・婦り春て無事・いと閑多し・宮も1
0130︻宮︼－薄
　　そのな2こり・連い丹もお1ハしまさ春・かうこ2と
　　佐ら免きて・こもり井をとつ連給者ぬを・命
　　婦な2とハ・いとおし可りきこ遊・宮も春宮農
　　御多1め越おほ春尓ハ・御心をき給者む事・いと
　　お1しく・世越あちきな2起も1の尓思ひな2り
　　給ハゝ・飛多見ちにお本したつ事もやと・
　　さす可尓くるしうお1本さ流へし・かゝ流事
　　多1え春ハ・いとゝ志起世尓・うき名さへもり
　　いて2な2む・おほきさ起の1・あるましき2こ2とに﹂︵28ウ・353⑬︶

　　の1給なるくら井をもさりな2んと・やう〳〵お本
0131︻くらゐ︼－薄中宮
　　志な2る・院の1お1本し能給者せし佐万能・な2のめ
　　な2ら佐りしを・お1本しいつる丹も・よろ津のこ2と・
　　ありし丹もあら春可ハりゆく世尓こ2そ2あめれ・
　　戚夫人の・み个むめ能屋う丹ハあら春とも・可な1
0132︻戚夫人のみけむめのやう︼－＼<朱合点>　漢高祖呂大后ノ子恵帝太子ヲ戚夫人讒言︵讒言＝マヽ︶眼ー人△<テイ　イノコ><右>　セキ　ふ<左>
　　ら春人わらへな2る事ハありぬへき身にこ2そ
　　あめれなと・世能うとましく・春くしか多う
　　お本さ流れハ・そ2むき2な2むこ2とをお本しとるに・
　　春宮見多てまつらて・お1も可ハりせ2むこ2とあハれ
　　尓1お本さる連ハ・志のひや可丹て2万いり給へり・﹂︵29オ・354④︶

　　大将の君ハ佐らぬこ2とた尓お1本しよらぬ事
　　な2く徒可うまつり給を・御心地な2やましき尓
　　こ2と徒けて2・御をくり丹も万いり給者春・お1本
　　可多能御とふらひハ・お那しやうな2れと・む氣に
　　お本しくしに个ると・心し流とちハい登お1し
　　可りきこ2ゆ・宮ハいミしうう徒くしうおとな1ひ
　　給て・めつらしう・うれしとお本して・む徒連き2
　　古え2給を・可な1しと見多てまつり給尓も・お1本し
　　多1徒春ちハ・い登可多个れと・うちわ多りを見
　　給尓徒个ても・世能ありさ満・あハれ尓者可な1く﹂︵29ウ・354⑩︶

　　う徒りかハる事能ミ・お1本可︵＝可<朱>︶り・おほきさ起の
　　御心もい登王つらハしくて可く・いて入給丹も
　　者したな2く・古と尓布れてく流し遣れハ・宮能
0133︻宮︼－東ー
　　御ため尓も・あやうくゆゝ志う・よろ津尓1徒氣
　　てお1も本し見多1れて・御らむせ2て2・飛さし
0134︻御らむせて︼－薄詞
　　可らむ本と尓・可多ちの・こ2と佐ま丹て2・う多て个尓
　　可ハりて侍らハ・い可ゝお1本さるへきとき2こえ2給へハ・
　　御可ほうちまもり給て2・志きふ可やう尓や・い可て
0135︻しきふかやうにや︼－老女房　東詞
　　可・さハな2り給ハんとゑミて能給ふ・いふ可ひな2く
　　あハれ尓て・そ2れハおいて侍れハ・見尓くきそ・さハ﹂︵30オ・355②︶

　　あらて可ミハ楚れよりも・見し可くも︵も＃て2<朱>︶・くろき
0136︻それより︼－式部ヲ云
0137︻みしかく︼－サケ尼
　　き2ぬな2と越きて・よ井能そう能やうにな2り侍
　　らむと春れハ・見多てまつら無事も・いとゝ
　　飛さし可流へきそとてな2起給へ者・まめたち
　　て・ひさしうお1ハせぬハ恋しき2もの越とて・
　　涙のお1徒れハ・者つ可しとお1本して・さす可にそ2
　　むき給へ流御くしハ・ゆら〳〵ときよら丹て2・
　　ま見能な2つ可し遣尓1・に本ひ給へる佐ま・おとな2ひ
　　給まゝに・多1ゝかの御可ほを・ぬき2春へ給へり・
0138︻ぬきすへ︼－似
　　御者能春こし・くちて具ち能うちくろミて﹂︵30ウ・355⑦︶
0139︻御は︼－歯


　　ゑミ給へる・可本りうつくしき2ハ・女丹て2見多1て2
　　まつら満本しう・きよら也・いとかうしも1おほえ2
　　給へるこ2そ2心う个れと・多満の1き2春にお本さるゝ
0140︻きす︼－瑕　詩白圭之瑕尚可磨
　　も1・世能王つらハしさ能・空おそろしうお1本え
　　給也个り・大将の1君ハ・宮をいと恋しう思日
0141︻宮を︼－東ー
　　き古え2給へと・あさましき2御心能本とを・登
　　き2〳〵ハ思し流さ満丹も・見せ2多1てまつら
　　むとね1んし徒ゝ・春くし給尓1・人わるく徒
　　連〳〵におほさるれハ・秋の1ゝも1見多まひ可て
　　ら・雲林院尓まうて給へり・故者ゝ宮春ん﹂︵31オ・355⑬︶
0142︻雲林院︼－淳和離宮仁明々所分次常康

　　所能・御せ2うとの里し能・こもり給へる者う丹て2・
　　法文な2とよミ・をこな2ひせ2むとお本して・二三日
　　お1者するに・あハれな2る事お本可り・もミちやう〳〵
　　いろ徒きわ多りて・秋の1野のいとな2まめき
　　多1るなと見給て・布流さとも王す連ぬへ
　　くお1本さる・本うし者ら能・さ盈あるかきり
　　免しいてゝ・ろむきせ2させて・きこしめさせ
0143︻ろむき︼－番論義事
　　給・所可らに・いとゝ世中能つ年な2さを・お1本し
　　あ可しても・な2越う起人しもそとお1本しい
0144︻うき人しもそ︼－＼<朱合点>　天の戸をおしあけかたの月みれハうき人しもそこひしかりける<朱>︵新古今1260、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶
　　てら流ゝ・お1しあけ可多の月影尓・本うし﹂︵31ウ・356④︶


　　者らの・あか可多1て万徒るとて・可ら〳〵と・な
　　羅し徒ゝ・きく能花こきう春起もミち
　　な2と・おりちらしたるも・者可那氣な2れと・
　　この可多能いとな2ミハ・この世も1・徒連〳〵
　　な2ら春・のち能世ハ多多1のもし氣な2り・さも
　　あちきな2起身をもてな2やむ可な1なと
　　お1本し徒ゝ遣給・里し能いと堂うとき2こ
0145︻りし︼－律師
　　ゑ丹て2・念仏衆生摂取不捨と・うち能へて・
　　をこな2ひ給へるハ・いとうらやまし个れハ・な2そ
　　屋とお1本しな2るに・ま徒ひめ君能心尓1可ゝり﹂︵32オ・356⑨︶
0146︻ひめ君︼－紫上


　　て・おもひいてられ給そ・いと王ろき心な2流
　　や・連いな2らぬ日可すもお1本つかな2くの1ミお1本
　　さるれハ・御文ハ可りそ志けう起こえ2給める・
　　ゆき者那連ぬへしやと・心ミ侍道な2れと・
　　徒連〳〵も・な2くさめ可多う・心ほそさ満さ
　　里て2な2む・きゝ佐し多1る事ありて・屋春
　　らひ侍本と・い可尓1な2とみち能くに可ミに・うち
　　とけ可起給へる佐へそ2・めて多起
　　　　あさちふの露能屋とりに君越をきて
0147︻あさちふの︼－源氏
　　よもの嵐そ2しつ心な2起な2とこまや可な2る尓﹂︵32ウ・356⑭︶
0148︻しつ心なき︼－無閑心


　　女君も・うちな2き給ぬ御返し志ろき志起し尓
0149︻女君︼－紫上
　　　　風布けハま徒そ2見多るゝ色可はるあさ
0150︻風ふけは︼－紫上
　　ち可露尓1かゝ流佐ゝ可尓1とのミありて・御てハ・
　　い登お可しうの1ミなりまさ流も1の可那と・ひと
　　里古ちて・う徒くしと本ゝゑミ給・つね︵＋尓<朱>︶可き
　　かハし給へ者・わ可御てにいとよくにて2・い満春
　　こしな2万め可しう・女しき所可きそ2へ給へり・
　　な2に事につ氣ても・氣しうハあら春・お本し
　　多1て多1り可しとおも本春・婦き可ふ風裳・
　　ち可き本と丹て2・斎院尓もきこえ2給个り・中﹂︵33オ・357・⑥︶
0151︻ちかきほとにて︼－雲林院紫野野宮近
0152︻斎院︼－槿


　　将の1君尓1・かく多1ひの空になむ・もの思尓1あ
　　く可れ尓个るを・お本し志流丹もあらし可しな1と・
　　うらミ給て・お1まへ尓ハ
　　　　か氣まくハかしこ个れともそ2能神のあき
0153︻その神のあき︼－斎院に槿たてまつりし時のあき也
　　おも本ゆる遊ふた春起可那む可しをいまにと思
0154︻ゆふたすき︼－木綿ヲ為襁又ハ蘿為襁
0155︻むかしをいまに︼－＼<朱合点>
　　たまふるも可ひな2く・とり可へされむも1のゝやう
　　尓1と・な2れ〳〵し氣に・可ら能浅︵△＆浅︶見とり能可ミ尓・
　　佐可きにゆふ徒氣な2と・かう〳〵志う志那して・
　　まいら勢給御可へり・中将まき流ゝ事な2くて・
0156︻まきるゝ事なくて︼－文の詞
　　き2し可たのこ2と越思たまへい徒る・徒連〳〵能﹂︵33ウ・357⑪︶


　　まゝにハ・おもひ屋りきこえ2佐春る事お本く
　　侍連と・かひな2く能ミな2むと・春こし心とゝめて2・
　　お1ほ可りお1まへのハ・ゆふの可多者しに
　　　　そ2能神やい可ゝハありしゆふ多春起心尓
0157︻その神や︼－斎院返し
　　か氣て志のふらんゆへち可き世にとそある・御て
0158︻ちかき世に︼－＼<朱合点>　可尋引哥
　　こまや可尓ハあらね1と・らう〳〵志う佐うなと
0159︻らう〳〵しう︼－上臈
　　お1可しうな2りに个り・まして朝可ほもね1ひまさり
0160︻朝かほ︼－顔如槿花毛詩
　　給へらむ可しとおも本ゆ︵△△△△△＆とおも本ゆ︶るも・多1ゝな2ら春お1そ2ろし
　　や・あハれこの1こ2ろそかし・の1ゝ宮のあハれな2りし
　　古とゝ・お1ほしいてゝ・あや志う屋う能物と・神﹂︵34オ・358④︶
0161︻あやしうやうの物と︼－神ヲ恨ハ常ノ人ニカハリタルヲアヤシキヤウノ物ト云


　　うら免しうお1本さるゝ・御くせのミくるしき2
　　そ可し・わりな2うお1本さハ・佐もありぬへ可り
　　志・としこ2ろハ・の1と可尓1春くい給て・いまハくや
　　しうお1本さるへ可めるも・あやしき御心な2りや・
　　院もかくな2遍て2ならぬ・御心者へを見し里
　　き古え2給へ連ハ・多1万佐可な2る御返な2とハ・
　　えしも・ゝて者那連き2古え給まし可めり・
　　春こしあひな2き事なり可し・六十巻登いふ
　　布ミよ見給ひ・おほつ可な1き所〳〵・登可せ
　　なと志て2・お1ハしま春越・山寺丹ハ・いミしき2﹂︵34ウ・358⑩︶


　　光・お1こな2ひい多し多1てまつ連りと・本と遣
　　の1御めん本具阿りと・あやし能本うしハら
　　まて・よろこひ阿へり・志めや可丹て2世中を
　　おも本し津ゝく流に・可へらむ事もゝ能う可り
　　ぬへ氣れと・人ひとり能御事お1本し屋る可・ほ
0162︻人ひとりの御事︼－紫事
　　多しな2れハ・飛さ志うも1・盈お1ハしま佐て・寺
　　丹も見春経い可めしう・せ2させ給・あるへきかきり
　　かミ志も能そ2うとも1・そ能王多りの1山可徒万︵＝ま<朱>︶て・
　　も1の1多1ひ・たうとき事能可きりを徒くして
　　いて2給・見多てま徒りをく流とて・このも﹂︵35オ・359①︶


　　かのも1に・あやしき2・志者布るひと裳ゝ・
0163︻しはふるひとも︼－柴振人賤人云木葉身ニカヽルヲフル心
　　あ徒まりてゐて・涙をお1とし徒ゝミ多1てま
　　津る・くろき2御車の1うち丹て2・ふち能御
0164︻くろき御車︼－西宮抄云重服公卿乗黒莚車諒闇中といひなから源氏大将ハ父御門の御事に重服ナリ
　　多1もとに・屋つ連給へれハこ2と尓1みえ2給ハ年と・
　　本の1可な2る御あり佐万を・世丹な2く思き2こ
　　遊へ可めり・女君ハ飛こ2ろの本とに・ね1ひま佐り
　　給へる心ちして・いとい多う志徒まり給て・世能
　　中い可ゝあらむとおもへる个しき2能・心くるしう
　　あ者れ尓お本え2給へハ・あいなき心のさ満〳〵
　　見多流ゝや志流からむ・色可ハるとありしも﹂︵35ウ・359⑥︶
0165︻色かはる︼－紫上の返哥上ニアリ


　　らうたうお1ほえ2て・徒年よりこ2とにか多らひ
　　き2古え2給・山徒と丹も多せ給へりしも1みち・
　　お1まへの尓・御らんしくら婦連ハ・こ2と尓1・そめ万
　　志个流・露の1心も見春くしか多う・お1ほつ可
　　那さも・人者︵者＄<朱>王<墨>︶流きまてお本え給へハ・多1ゝ
　　お本可多丹て2・宮尓まいらせ給・命婦の1もと尓
0166︻宮に︼－薄
　　いらせ2給尓个るを・めつらしき2事とうけ給者る
0167︻めつらしき事︼－中宮ノ東宮ヘ入内アル事
　　に・宮能あひ多能事・おほつ可な2くな2り侍尓个れ
0168︻宮の︼－東
　　ハ・志徒心な2く思給へな2可ら・をこな2ひもつとめむ
　　な2と・思多1ち侍し日可春を・心な2ら春やとて﹂︵36オ・359⑫︶


　　な2ん・日こ2ろ尓なり侍尓1个る・もみちハ・ひとり
0169︻もみちは︼－＼<朱合点>　古今　みる人もなくてちりぬる奥山の紅葉ハ︵古今297・新撰和歌82・古今六帖4063・和漢朗詠316、源氏釈・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶
　　ミ侍尓1にしき2くらう思たまふれハな2む・おり
　　よくて2・御らんせ2させ給へな2とあり・氣にい見
　　志起え多ともな2れハ・御めと満るに・連いのいさゝ
0170︻いさゝかなるもの︼－ちいさき文を紅葉枝につけられたるナリ
　　かなるも1のあり个り・人︵△＆り人︶々ミ多てまつるに・御
0171︻御かほ︼－薄
　　可本の1色もうつろひて・猶かゝ流心の1多1え2給ハぬ
　　こ2そ2・い登うとまし个れ・あ多ら思ひ屋り
　　ふ可うも1能し給人の・ゆく里那くかうやう
　　な2流事・おり〳〵ませ給を・人も1あやしと
　　見るらむ可しと・心徒き那くお1本されて・﹂︵36ウ・360③︶


　　かめにさゝせ2て・飛さし能者しらの1もと尓1・
　　お1しやらせ2給津・お1ほ可多の1ことゝも1・宮
　　の1御事尓1ふれ多1る事な2とをハ・うちたのめる
　　佐万に春くよ可な2る・御可へりハ可りきこえ2給へる
　　を・さも心︵△＆心︶可しこく・つきせ春もとうらめし
　　うハ見給へと・なに事もうしろミき2こえ2
　　ならひ給尓多れ者・人あやしと・見と可免
　　も1こ2そ2春れとお本して・ま可て給へき2ひま
　　いり給へり・ま徒内の1御方にまいり給つ︵つ＄へ<朱>︶連は・
0172︻内の御方にまいり︼－中宮の東宮の御方より退出し給ふへきか源氏の君内へまいり給ふナリ
　　の1とや可にお1ハしま春本と丹て2・む可しい満﹂︵37オ・360⑧︶


　　の1御物可多りきこえ2給・御か多ちも・院尓いとよう
　　尓1多てまつり給て2・い満春こしな2流︵流＄ま<朱>︶め可し
　　き2遣そ2ひて2・なつ可しうなこや可尓そお1者
　　志万す・か多ミにあハれと見多てま徒り給・
　　かむ能君の1御事も1・な2越多1え2ぬさ満尓・き2
0173︻かむの君の御事も︼－朱ー心
　　古しめし氣しき御らん春流おりもあれと・
　　な2に可ハい満ハしめ多1る事な2らハ古︵△＆古︶そあらめ・
　　佐も心可ハさむ尓・に遣な2可るましき人のあハひ
　　な1り可しとそ2おほしなしてと可めさせ
　　︵＋給<朱>︶ハさり个る・よろ徒の御物可多り・文の道の1・お1本﹂︵37ウ・360⑭︶
0174︻文の道の︼－朱の詞


　　津可な2くお1本さるゝ事ともな2とと可︵可＄ハ<朱>︶せ給て2・
　　又春起〳〵しき2・う︵△＆う︶多可多りな2ともか多見尓き2
　　こえ2可ハさせ給徒いて尓・可能斎宮能く多り給日
　　志・ひの事・か多ち能・お1可しくおハせしなと・
　　か多らせ給尓1・王れもうちとけて2・野の宮能
　　あハれな2りしあ氣本のも・みな1きこえ2いて2
　　給て2个り・廿日能月やう〳〵佐しいてゝ・お可し
　　き2本とな2るにあそひな2とも・せ2満本しき本と
　　可那と・能多1万ハ春・中宮能こよひま可て給
　　な2る・とふらひ丹もの1し侍らむ・院の1のたまハ﹂︵38オ・361⑤︶


　　せをく事者へり志可ハ・又うし路ミつ可うまつる
　　人も︵も＝△<墨>＃<朱>︶侍らさめるに・春宮能御ゆ可り・いとおしう
　　思給へられ侍て2とそ2こ︵こ＄う<朱>︶し給・春宮をハ・い満
　　の1みこにな2してな2と・の多万ハせを起し可ハ・
　　とり王起て・心佐しも能春れと・古とにさしわき
　　たるさ満丹も・な2に事を可ハとてこ2そ2・とし能
　　本とよりも・御てな2と能わさと・かしこうこ2そ2
　　ものし給へ个れ・な尓1こ2と丹も・者可〳〵しからぬ・
　　身つ︵＋可<朱>︶ら能・お1もておこしにな2むと能多まハ春れハ・
　　お1ほ可多し給わさな2と・いと佐とく・お1とな2ひ﹂︵38ウ・361⑩︶
0175︻おほかた︼－源詞


　　多1る佐まに・も1能し給へと・ま多いと閑多那
　　里になと・そ2能御ありさ満もそ2うし給て2万
　　可て給尓・大宮の1御せ2うと能藤大納言の
0176︻大宮︼－弘徽殿大后
0177︻藤大納言︼－二条太政大臣子
　　こ能・頭弁といふ可・よ尓あひ者那や可な流・
　　王可人丹て2・お1もふ事な2きな2るへし・いもう
　　と能連い遣いてん能御可多にゆくに・大将の1
0178︻れいけいてん︼－朱雀院女御
　　御さ起を・しのひや可にをへ者・志ハし多1ちと満
　　里て・白虹︵虹＄虹︶日をつらぬ个り・太子をち多りと・
0179︻白虹日をつらぬけり︼－＼<朱合点>　其志難遂タトヘニ云也
0180︻をちたり︼－恐
　　いとゆるらか尓1・うち春し多1る越・大将いとま
　　者ゆしと・き2ゝ給へと・と可むへき事可ハ・き2﹂︵39オ・362②︶


　　さ起の1御个しき2ハ・い登おそろ志う・王つらハ
　　志遣尓1能ミきこ2ゆ流を・かう志多しき人々
　　裳遣しき多1ちいふへ可める事ともゝ︵ゝ＝も<朱>︶ある尓・
　　王つらハしうお1ほされ个れと・徒連な2う能ミ・
　　もてな2し給へり・お1まへにさふらひて1・いまゝて・
　　婦可し侍尓1个るときこえ2給・月の1者な2や可
0181︻きこえ給︼－薄へ
　　な2流に・む可しかうやうなるおりハ・御あそひ
　　せ2させ給て2・い満め可しうもてな2させ給し
　　なと・お1本しい徒るに・お那しみ可きのうち那可ら・
　　か者れる事お本具閑那し﹂︵39ウ・362⑦︶


　　　　九重耳霧や遍多つる雲能うへの
0182︻九重に︼－中宮
　　月を者る可に思屋る可那と命婦してき2
　　古え徒多へ給ふ・本とな2个れ者御遣ハひも・本の
　　可な1れとなつ可しうきこ2ゆるに・徒ら佐も
　　わ春られて2・まつ涙そ2お1つ流
　　　　月影ハ見し夜の1秋尓1可ハらぬを遍多
0183︻月影ハ︼－源氏
　　津る霧能つら具もある可な1可すミも人の
0184︻かすミも人の︼－＼<朱合点>　山さくら見にゆく道を︵＝人ヲイ<墨>︶へたつれハかすミも人の心なるへし<朱>︵後拾遺78、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶
　　と可・む可しも1侍个る事尓やな2ときこえ
　　給・宮ハ春宮をあ可春思き古え2給て2・よ
　　ろ津の事をきこえ2させ給へと・ふ可うもお1﹂︵40オ・362⑭︶


　　本しい連たらぬを・いとうしろめ多く思日
　　き2こえ2給・連いハい登ゝ具お1本と能古もる
　　を・井て給まてハ・おき多1らむとお1本春な2流
0185︻ゐて給まて︼－源退出マテ
　　遍し・うらめしけ尓お本し多れと・さすか尓1
　　え志多ひき2古え2給者ぬを・いとあハれと見多
　　てま徒り給・大将頭弁能春し徒るこ2と越思ふ
　　に・御心の1お尓1ゝ・世中王つらハしう・おほえ2給て2・
　　かむの君丹も・をとつれき2古え2給者て・飛さしう
　　な2りに个り・者つしくれい徒し可と遣しき多1
　　津尓・い可ゝお1本し个ん可れより﹂︵40ウ・363⑤︶


　　　　木可らしの1婦くに徒氣津ゝまちし
0186︻木からしの︼－おほろ
　　満耳お1ほつ可なさ能こ2ろも遍に个り
　　︵＋と︶き2古え2給へ里・おりもあ者れ耳・あな1
　　可ちに志のひ可き2給つ︵つ＄へ<朱>︶らむ・御心者へも・
　　に具可らねハ・御つ可ひとゝめさせて・から能可ミ
　　ともいれさせ給へる・見徒しあ遣させ給いて2・
　　なへて2な2らぬを・えりいて津ゝ︵ゝ＄<朱>つ<墨>︶・婦てな2と
　　も1心古と尓ひき2徒くろひ給へる遣し
　　き2えんなるを・お1まへなる人々多1れハ可り
　　ならむと・徒きしろふ・き2こえ2させて裳・﹂︵41オ・363⑪︶


　　かひなきものこりにこ2そ2む遣尓く徒を
　　連耳个れ身能見ものうき本とに
0187︻身のみものうき︼－＼<朱合点>　かすならぬ身のミ物うくおもほえてまたるゝまても︵も＝にイ︶なりにける哉<朱>︵後撰1260、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶
　　　　あひ見春て志のふるこ2ろ能なミ多をも
0188︻あひ見すて︼－源氏
　　なへて2能そらの志くれとや見る心能かよふな2ら
　　者・い可尓1な可めの空もものわ春れし侍らむ
0189︻なかめの空も︼－雨もサワルマシ
0190︻心のかよふならは︼－＼<墨・朱合点>　君おしむ心の空にかよへはや今日とまるへき雨とふるらん貫之︵玉葉1105・貫之集744、花鳥余情・孟津抄︶
　　なと・こまや可にな2りに个り・かうやうにおと
　　ろ可しき2こゆる多1くひお1ほ可めれと・な2さ遣
　　那可らすうち可へり古ち給て2・御心尓ハ婦可うし
　　満さるへし・中宮ハ院の1御者て能こ2とに・うち
　　徒ゝき2・御八講の1いそ起を佐万〳〵に心つ可ひ﹂︵41ウ・364①︶


　　せさせ2給个り・志も月の1徒い多ち比・御こきな2るに・
0191︻御こき︼－国忌
　　雪い多1う布り多り・大将殿より・宮にき2こえ2給
　　　　別丹し个ふハくれとも見し人耳ゆきあふ
0192︻別にし︼－源氏
　　本と越い徒とたのまんい徒こ丹も个ふハも1能可な1
　　志う・お1ほさ流ゝ本と丹て2・御返あり
　　　　な2可ら婦る本とハう个れとゆき2めくり个ふハ
0193︻なからふる︼－藤つほ返し
　　そ2能世尓1あふ心ちして古と尓徒くろひても1
　　あらぬ御可き佐万な2れと・あて尓氣多可きハ
　　お1もひな2しなるへし・春ち可ハりいまめ可し
　　うハあらね1と・人尓ハこ2と尓1かゝせ給へり・氣ふハ﹂︵42オ・364⑦︶


　　こ能御事も思ひ个ちて・あハれな2る雪能志徒
　　具にぬ連〳〵をこな2ひ給・十二月十︵△＆十︶よひ︵ひ＄日︶ハ可り・
　　中宮の1御八可うな2りいミしう多1うとし・日々
　　にくやうせ2させ給・御経よりハしめたま能ちく・
0194︻ちく︼－軸
　　羅のへこし︵こし＃うし<朱>︶ち春能可さりも・よにな2きさ満に
0195︻へうし︼－表紙
0196︻ちす︼－軸簀
　　とゝのへさせ給へり・さらぬ事能きよらた丹
　　世能徒年な2ら春お1ハしませハ・まして古とハり
　　也・佛の1御可さり花徒くゑ能お本ひな2とまて
　　満こ2と能こくらく思やら流・者しめ能日ハ先
　　帝能御連う・つきの日ハ者ゝきさ起の1︵＋御︶ため・﹂︵42ウ・364⑬︶
0197︻帝︼－タイ


　ま多の1日ハ院の1御連う・五巻能日な2れハ可ん
　多1ちめな2ともよ能徒ゝましさを・盈志も
　ハゝ可り給者ていとあま多万いり給へり・个ふ
　の1かうしハ心こ2とにえらせ給へれハ・多1きゝ
0198︻たきゝこる︼－＼<朱合点>　行基法華経を我︵拾遺1346、異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶
　　古るほとよりうちハしめ・お1那しういふ事
0199︻おなしう︼－音曲アリ
　　のハも・い見しう多1うとし・みこ多1ちも佐万〳〵
　　能本うもち佐ゝ氣てめくり給に・大将殿能
　　御よういな2とな2越尓る︵＋もの<朱>︶那し・徒年にお1なし事
　　の1屋うな2れと・見多てま徒る多1ひ古とにめつら
　　志可らむをハい可ゝハせ2む・ハて能日わ可御事を﹂︵43オ・365⑤︶


　　結願丹て2・世をそむき給よし仏に申させ
　　給に・見那人々おとろき給ぬ・兵部卿宮・大将
　　の1御心もうこきてあさましとお1本春・みこ
0200︻みこ︼－蛍
　　ハな2可者能本とに多1ちていり給ぬ・心徒ようお1
　　本し多つさ満の給て者つる本とに・山の座主
　　めしていむ事うけたまふへきよし能給者春・
　　御をち能よ可王のそう津ち可うまいり給て・御
0201︻よかわのそうつ︼－母方准恵心
　　具し︵＋おろし<朱>︶給程尓1宮の1うち・ゆ春里てゆゝ志うな2起
0202︻ゆすりて︼－動ナリ
　　見ちたり・な2にとな2起・お1いおとろへ多1る人多尓
　　い満者とよ越そ2むく程ハ・あや志うあ者れな2流﹂︵43ウ・365⑩︶


　　わさ越・ましてか年て2能御个しき丹もい多し
　　給ハ佐り津る事な2れハ・みこもいミしうな2起
　　給・万いり給へる人々もおほ可多能事能さ満も・
　　あ者れ多1うと氣れ者・み那袖ぬらしてそ
　　可へり給个る・こ院の1見こ多1ちハ・む可し農
　　御ありさ満をお1本しいつるに・いとゝあ者れ耳
　　かな2しうお1本されて・見那とふら飛きこえ2給・
　　大将ハ多1ちと満り給て・きこえ2いて2給へき可
　　たもな2く・具れ万とひてお1ほさるれと・︵＋な2と<朱>︶可佐しもと
　　人見多て万つるへ个れ者・見こなといて給ぬる﹂︵44オ・366②︶


　　能ち尓1そ2・お1まへ尓1万いり給遍る・屋う〳〵人
　　志徒まりて女者うとも・者那うちかミ徒ゝ・所々
　　にむ連ゐ多り・月ハくまな2起尓1雪能飛可り
　　あひ多1る・尓ハの1ありさ満もむ可し能事お1もひ
　　屋ら流ゝに・いと多1遍可多うお︵＋ほ<朱>︶さるれ△︵△＃と︶・いとよう
　　お1本し志徒めてい可やうにお1ほし多1ゝせ給て・
　　かう丹ハ可尓1者とき2こえ2給・い満者しめておもひ
　　給ふるこ2と丹もあらぬを・ものさハ可しき屋う
　　な2り徒連ハ・心見多れぬへくな2と連いの1命婦
　　志て2き2こえ2給・見春の1うち能遣ハひ・そ2こら徒と﹂︵44ウ・366⑦︶


　　飛佐ふら婦人のきぬ農をとな2ひ・しめや可に
　　ふるまひな2して・うち見しろき徒ゝ可な2し氣さ
　　のなくさめか多遣尓1・もりきこ2ゆる氣しき2
　　ことハりにいミしとき2ゝ給・風者个しう吹ふゝ
　　き2てみ春能うち能丹本ひ・いとものふ可き・くろ
　　本うに志ミて・見やうかう能氣ふりも本の可な2り・
　　大将の御尓本ひさへ可本りあひめて多1く・古具
　　らく思ひ屋ら流ゝ世の1佐万な2り・春宮能
　　御徒可ひも万いれりの給ひしさ満・思日いて
0203︻御つかひ︼－大将＃
0204︻まいれり︼－薄へ
0205︻思ひいて︼－薄ノ
　　き2こえ2させ給丹そ御心つよさも多1へ可多くて・﹂︵45オ・366⑬︶


　　御返もきこえ佐せ屋らせ2給ハ年ハ大将そ2・事
　　く者へきこえ2給个る・堂れ裳〳〵ある可きり
　　心お1さまらぬ本とな2れ者・お本春事ともゝえ
　　うちいて給ハす
　　　　月の1春無雲井を可けて志多ふとも1
0206︻月のすむ︼－けんし
　　この1世能屋ミに猶やまとハむと思給ハら流ゝ
0207︻この︼－東宮
　　こ2そ2・かひな2くお1本し多1ゝせ給へる・うら免し
　　さハかきりな2う登ハ可りき古え2給て2・人〳〵
　　ち可うさふらへ者・佐万〳〵見多るゝ・心能うち
　　をた尓えき2こえ2あらハし給者春・いふせ2し﹂︵45ウ・367⑤︶


　　　　お1本ふ可多能う起尓徒氣てハいとへとも1
0208︻おほふかたの︼－藤つほ
　　い徒可この世越そむき2者つ遍き可徒尓1こり
　　津ゝなとか多へハ御徒可ひの心志らひな流
　　遍し・あ者れのミ徒きせね1ハ・む年くるしうて
0209︻むねくるしうて︼－源
　　ま可て給ぬ・との尓ても・わ可御可多に悲とりうち
　　婦し給て・御めもあハす世中いとハしうお1ほ
　　佐るゝ丹も・春宮の1御事のミそ心くるし
　　き2・者ゝ宮を多1尓お1ほや氣可多佐万尓1と
　　お本しをきし越・世の1うさ尓1多へ春かくな2り
　　給尓1多れ者・もとの1御くらゐ丹て2もえお者﹂︵46オ・367⑪︶


　　せ2し・我さへ見多てまつり春てゝハな2とお本
　　志あ可春古とかきり那しい満ハ・可ゝ流可多
　　佐万能御てうととも越こ2そ2ハとお1ほせハ年能
　　うちにといそ2可せ給・命婦の1君も御ともにな2り
0210︻御ともになりにけれは︼－尼
　　に个れハ・それも心ふ可うとふらひ給・くハしうい
0211︻くはしう︼－作ー詞
　　ひつゝ氣んに古と〳〵しき2さ満な2れハもらして
　　氣るな1めり・さるハかうやう能おりこそ1お可し
　　きう多な2といてくるやうもあれ・さう〳〵しや・
　　まいり給もい満ハ徒ゝましさう春らきて御
　　身つ可らき古え2給おりもあり遣り・思ひ志めて﹂︵46ウ・368②︶


　　志事ハ・佐らに御心尓者那連年と・満して
　　ある満しき2事な2りかし・としも可ハりぬれ
0212︻としもかハり︼－諒闇
　　ハ・うちわ多り者な2や可に・内えむ・多う可那ときゝ
0213︻内えむ︼－覧花詩作仁寿殿
0214︻たうか︼－踏哥
　　給もも1のゝ見あ者れ丹て2・御をこな2ひし免
　　屋可に志給つゝ・能ちの世の1事を能ミお1ほ春
　　に多1のもしく・む徒可しかりし事者な2れて
　　お1もほさる・徒ね1の1御ね1む春たうをハさるもの
　　丹て2・こ2とに多てられ多1る見多う能にしの多い
　　の1見な2ミ能︵能＃︶尓あ多りて・春こし者那連多る尓
　　わ多らせ2給て・とり王起多1る御をこな2ひせさ﹂︵47オ・368⑧︶


　　せ2給・大将万いり給へり・あらたまる志るしも那く
　　宮能うちのと可尓人めまれ丹て2・宮徒かさと
　　もの志多しき2ハ可り・うちうな2多れて見な2し
　　丹やあらむ・くしい多个尓1おもへり・あ越む万
　　ハ可り楚な2越飛き可へぬもの丹て・女本うな2と
　　の見个る・とこ2ろせう万いり徒とひ給し・可む
　　︵＋堂ち<朱>︶めな2と道をよ起徒ゝ・日起春起て2・む可いの1おほ
0215︻むかいのおほいとのに︼－二条大臣
　　いとの尓徒とひ給ふをかゝるへき事な2れと・あ
　　者れ尓お1本佐るゝに・千人丹も可へ徒へき御さ満2
0216︻千︼－せ
　　丹て2・ふ可う多1つ年万いり給へるを・見流耳﹂︵47ウ・368⑬︶


　　あひな2くなみ多く満る・ま羅うともいと
0217︻まらうとも︼－源氏
　　物あ者れなる氣しきに・うち見まハし給て・
　　とみ尓1・ものも1能給者す・さ満か者れる御春満
　　井に・見春能者し御き丁もあ越尓ひ丹て2
0218︻あ越にひ︼－青鈍
　　ひ万〳〵よ里ほの1見え2多1るう春尓ひくち
　　な2し能そ2てくちな2と・中〳〵な2万め可しう
　　お1くゆ可しう思日やられ給・とけ王多るい氣能
　　う春こ本り︵うすこほり＝うすらひイ<朱>︶きしの1柳の氣しきハ可りハ・と
0219︻うすこほり︼－＼<墨・朱合点>　万　棹川ニこほりわたれるうすらひのうすき心を我かおもハなくに︵古今六帖1621・万葉4502、河海抄休聞抄・孟津抄・岷江入楚︶
　　き越王す連ぬな2と・さ満〳〵な2可められ給て・
　　むへも心ある登志のひや可尓1うち春し給へる・万﹂︵48オ・369⑤︶
0220︻むへも心ある︼－＼<墨・朱合点>　をとにきく松かうらしまけふそみるむへも心あるあまハすみけり<朱>︵後撰1093・素性集46、源氏釈奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶

　　多1な2うな満め可し
　　　　な可め可るあ万能春ミ可と見る可らにまつ
0221︻なかめかる︼－けんし
　　志本多1るゝまつ可うら嶋ときこえ2給へ者・お1く
　　ふ可うもあら春・見那本と遣尓ゆつりき2こえ
　　給へる・お1ましとこ2ろなれ者・春こし遣ち可
　　き心地して
　　　　ありし世の1な2こりた尓な2きうら志満尓1
0222︻ありし世の︼－藤壺
　　たちよる浪のめつらしき可な1との給ふ裳・
　　本のき2こ2ゆ連ハ志のふれと・涙本ろ︵の＆ろ︶〳〵とこ本
　　れ給ぬ・世をお1もひ春満したるあ万君多1ち﹂︵48ウ・369⑩︶


　　の1・見流らむも・者したな2け連ハ・こと春くな
　　丹て2いて給ぬ・さも多1くひな2くね1ひまさり
　　給可な1・心もと那き所な2く世に佐可へ時尓1あひ
　　給し時ハ・佐る飛とつもの丹て2・な2にゝ徒遣て2
0223︻ひとつもの︼－無類ナリ
　　可・世越おほし志ら︵え＆志ら︶むと・をし者可られ給しを・
　　いまハいとい多うお1本し志徒めて・は可な2起こ2とに
　　つ氣ても・も1能あ者れなる氣しき佐へそハ
　　せ2給へるハ・あいな2う心く流しう1もある可那な2と・
　　おい志らへる人々うちな2き徒ゝめてきこゆ・
　　宮もお本しいつる事お1本可り・徒可さ﹂︵49オ・370②︶


　　免し能こ2ろ・この1宮能人ハ・給者るへき2・
　　つ可さもえ春・おほ可多能多1う里尓ても・宮
　　の2御給ハり丹て2も・かな2ら春あるへき・可ゝい
0224︻御給ハり︼－三宮年爵
0225︻かゝい︼－加階
　　なと越た尓せ春なとして・な2けく多1くひ
　　いとおほ可り・かくても・いつし可と御くらゐを
　　さり・ミふな2とのとまるへき丹もあらぬを・こと
0226︻ミふ︼－三宮千五百
　　徒个て个ハる事おほ可り・見那可ね1て2お本し
　　春てゝ志よな2れと・宮人ともゝより所な2遣尓1
　　かな2しと・おもへる遣しきとも尓つ氣て楚・御心
　　うこくおり〳〵あれと・わ可身をな2起尓1な2しても・﹂︵49ウ・370⑦︶


　　東宮能御世越・多1ひら可におハしまさハとのミ
　　おほしつゝ・御をこな2ひ多ゆミな2く徒と免
　　させ給ふ・人志れ春あやうくゆゝ志う思ひき2こ
　　えさせ給事しあれハ・我尓1その徒ミを可ろ
　　めて・ゆるし給へと仏をね1むしき古え2給耳・
　　よろ津をな2く佐め給・大将も志可ミ多1てまつ
　　里給て・こ2とハりにおほ春・この1とのゝ人ともゝ
　　又お那しきさ満尓1からき事のミあれ者・
　　世中ハしたな2くおほされて2・こもりお1者す・
　　左のおとゝも1・おほや氣・わ多くしひき可へ﹂︵50オ・370⑫︶
0227︻左のおとゝ︼－摂政


　　たる世能ありさ満にも1のうくお本して・致仕の
0228︻致仕のへうたてまつり給︼－左大臣藤良世寛平八十二ー廿九日上表致仕七十四太政大臣実頼安和二ー三ー八ー上表致仕七十此例歟七十齢懸車先祖廟
　　遍うたてまつり給を・見可とハ故院の1屋む事
　　な2くおもき御うしろミとお1本して・な2可きよの
　　か多めとき古え2をき給し・御ゆいこんをおほし
　　め春に・春て可多起ものに思日きこえ2給へる尓・
　　可ひな2きこ2とゝ・多1ひ〳〵もち井させ給者年
　　と・せめて可へさひ申給て・こもりゐたまひぬ・い
　　満ハいとゝ・ひとそう能ミ・可へす〳〵・佐可え2給事
0229︻ひとそうのミ︼－二条一孫
　　可起り那し・よのおもし登も能し給へる・おとゝ
　　の・かく世をの可れ給へ者・おほや个も心本そう﹂︵50ウ・371④︶


　　お1ほされ・世の人も心ある可起り者な2けき个り・
　　御こともハい徒れともな1く・人可らめや春く世
　　丹もちいら連て・心地よけ尓1ものし給しを・
　　こよな2う志徒まりて・三位中将な2ともよ越思
0230︻三位中将︼－摂政子
　　志津めるさ満こよな2し・可能四能君をもな越
　　可連〳〵にうちかよひつゝめさ満しう・もてな1さ
　　れ多1連ハ・心とけ多る御むこ能うち丹もいれ給
　　者す・思日志れと丹や・この多ひ能徒可さめし
　　丹も・もれぬれと・いとしもおもひいれ春・大将殿
　　かう志徒可にてお1ハするに・世者ゝかな2きものと﹂︵51オ・371⑨︶


　　みえ2ぬるを・ましてこ2とハりとおほし那して・
　　つね1尓万いりかよひ給つゝ・かくも︵＋む<朱>︶越もあそ2ひ
　　をももろともにし給・い丹しへも・ゝ能くるおし
　　き2まて・いとミきこえ2給しを・お1本しいてゝ・
　　か多ミにいまも者可那きこ2と尓1徒氣徒ゝ・さす
　　閑尓いとミ給へり・春秋のミと経をハさるもの尓て・
0231︻春秋のみと経︼－季御読経大般若三日引茶事
　　里んし丹も佐万〳〵多1うと起事とも越せさ
　　せ2給な2として・又い多つらにいと満あり遣なる
　　者可せとも1めし阿つ1めて・ふ見徒くりゐむふ多
0232︻ゐむふたき︼－掩韻
　　きな2とやう能・春さひわ︵△＆わ︶さとも1をも・しな2と・心﹂︵51ウ・372①︶


　　をや里て見や徒可へをもお1さ〳〵し給ハす・
　　御心にま可せて2うちあそひてお1者するを・
　　世中丹は王つらハしき事とも1・屋う〳〵いひ
　　い徒る人々あるへし・な2徒のあめ能と可にふりて・
　　つれ〳〵なるころ・中将さるへき志婦ともあま多
0233︻中将︼－三位
0234︻しふとも︼－詩集
　　も多せて万いり給へり・との丹も・ふとの・あ遣させ
　　給て・ま多飛ら可ぬ見徒しとも1の1・めつらしき2
　　古集能ゆへな2可らぬ・春こしえりいてさせ給て・
　　その道農人々わさ登ハあらね2とあ万ためし
　　たり・殿上人も1大可くのもいとおほう徒とひて2・﹂︵52オ・372⑦︶


　　左右に・古万とりに・可多わ可せ給へり・か氣
　　ものとも1な2といとにな2くて・いとミ阿へり・婦多
　　き2もてゆくまゝに・か多きゐんのもしとも1
　　いとおほくて・お1本え2ある者可せとも1なと能
　　まとふ所〳〵を・時〳〵うち能給さ満・いとこよ
　　な2き御さえ2の1本とな2り・い可てかこ︵こ＃う<朱>︶しも1多1らひ
　　給ひ个ん・な2越さるへき丹て2・よろ津の事人尓・
　　春くれ給へるな2り个りとめてきこ2ゆ・徒ゐ尓・右
　　まけ尓个り・二日者可りあ里て・中将まけ
　　王さ志給へり・古と〳〵志うハあらて・な2満め起多る﹂︵52ウ・372⑫︶


　　飛王りことも1・可けものなと佐万〳〵丹て2・
　　个ふも1連いの人々おほくめして・婦ミなと徒
　　くらせ2給・ハしの1もと能さうひ氣しき2ハ可り
0235︻ハしのもとのさうひ︼－＼<朱合点>　階
0236︻もと︼－底
0237︻さうひ︼－薔薇
　　さ起て2・春秋の花さ可りよりも・志めや可に
　　お可しき本とな2るに・うちとけあそひ給・中将
　　の1御この古とし者しめて・殿上する屋徒こゝ
0238︻やつこゝのつ︼－八　九
　　の徒者可り丹て・こ2ゑいとおもろしく・さう能
　　ふゑ婦きなとするを・う徒くしひ・もてあそひ
　　給・四の1君者ら能二らうな2り个り・世の人農
0239︻二らう︼－後紅梅右大臣
　　思へる・よせおも具てお1ほえ2こ2とに可し徒个り・﹂︵53オ・373④︶


　　心者へもか登〳〵志う・か多ちもお可しくて2
　　御あそひの春こしミ多れゆく程尓1・多1可さこ
0240︻たかさこ︼－＼<朱合点>
　　をい多してう多ふ・いとうつくし・大将の君御
　　そ2ぬきて可つ遣給・連いよりハうちみ多れ
0241︻れいより︼－源氏
　　給へる・御可本の1に本ひにるものな2く見ゆ・う春
　　も1のゝな2越し悲とへをき2多まへるに・春き2
　　給へる・ハ多つき・ましていミしう見ゆる越・
　　登しおい多る者可せとも1な2と・ゝを具見多て
　　まつりて・涙おとし徒ゝゐ多り・あ者まし物
0242︻あはまし物を︼－＼<墨・朱合点>　さいたる初花ニあハまし物をさゆり花の高砂詞
　　をさゆり者のと・う多ふとちめ尓1・中将御可ハら遣﹂︵53ウ・373⑨︶


　　まいり給
　　　　それも可登けさ飛ら遣多流初花にお1と
0243︻それもかと︼－頭中将
　　らぬ君可に本ひをそ見る本越ゑミてとり
　　給
　　　　と起な2らてけさ咲者那ハ夏能雨耳
0244︻ときならて︼－源氏
　　志本れ尓1氣らしに本ふ本と那くおとろへに
　　多1るも1のをと・うち佐うと起て・らう可ハし
　　く・きこしめしな2春を・と可めいて徒ゝ志井
　　き2古え2給ふ・おほ可めりし事登もゝかう
0245︻おほかめりし事ともゝ︼－作者詞
　　屋うな2流お1りの1ま本︵＋な2<朱>︶らぬ事・可す〳〵に可﹂︵54オ・374①︶
0246︻かきつくる心地なき︼－読捨哥書心無心也


　　き2徒くる心地な2起王さと可・つらゆき可いさ
　　め多1う流ゝか多丹て2・むつ可しけ氣れハ登ゝめ津・
0247︻たうるゝ︼－タハフレ
　　見な1こ能御事を本め多るすちにのミやまと
　　のも可ら能も・つ徒くり徒氣多り・わ可御心地丹も
　　い多うおほしおこりて・文王の子・武王能おとう
0248︻おとうと︼－周公模冷ー
　　登ゝ・うち春し給へる御な1能りさへそ・氣にめ
　　て多き・成王の1な尓1と可能給ハむ登春らむ・
0249︻成王︼－武王子模今上
　　それ者可りやま多心もとな1可らむ・兵部卿宮も
0250︻兵部卿宮︼－蛍
　　つね1尓わ多り給つゝ・御あそひな2とも・お可しうお者
　　春流宮な2れハ・い満め可しき御あそひともな2り・﹂︵54ウ・374⑦︶


　　そ2能こ2ろ可む能君ま可て給へり・王らハ屋ミ
0251︻まかて︼－里へ
0252︻わらハやミに︼－朧
　　に飛佐しうな2やミ給て・ましな2ひなとも1
　　心屋春くせ2んとてな2り个り・す本うな2登者し
　　めて2をこ多1り給ぬ連ハ・堂れも〳〵うれしう
　　おほ春に・連いの1めつらしき2ひ万な2流をとき2
　　こえ2可ハし給て・王りなきさ満丹て2よな1〳〵
　　多1いめし給・いとさ可り尓1・ゝき王ゝ志起遣ハひ
0253︻たいめ︼－源
　　し給へる人の・春こしうちな2やミて屋せ2〳〵に
　　な2り給へる本とい登お可し遣な2り・きさいの1宮
　　も1・飛とゝ古ろにお1者するこ2ろな2れハ・遣ハひ﹂︵55オ・374⑫︶


　　いとおそろし氣れと・かゝ流こ2と志もま佐る御
　　くせな2れ者・いと志のひて・多1ひ可さ那りゆ遣ハ・
　　氣しき見流人々も1あるへ可めれと・王つらハし
　　うて宮にハ・さな2むと遣いせ2春・おとゝは多思
0254︻おとゝ︼－二条
　　可遣給ハぬ尓・雨に者可にお1とろ〳〵志う婦りて・
　　神い多うな2りさハく・あ可つき尓・とのゝきむ
　　多1ち・宮つ可さな2登多1ちさハきて・こ那多
　　可な2多能人め志け具・女房ともゝをちまとひ
　　て・ち可う津とひ万いるに・いと王りな2くいて給
　　者んか多な2くてあ氣者てぬ・見帳の1めくり﹂︵55ウ・375④︶


　　丹も・人々志け具な2ミゐ多れハ・い登むね1徒ふら
　　者しくおほさ流・心志り能人布多り者可り・
　　心をまとハす・神な2りやミ・雨春こしをやミ
　　ぬる本とに・おとゝ王多り給て・まつ宮能御可多
0255︻おとゝ︼－二条
　　にお1ハし遣るを・むら雨能まきれ丹て2・え志り
0256︻えしり給はぬに︼－朧
　　給者ぬに・かろら可尓1ふと者ひいり給て・見春
0257︻かろらかに︼－二条
0258︻ふとはひいり︼－朧へ
　　ひきあ遣給まゝに・い可にそ・いとう多て阿り
　　徒る夜のさ満尓1思ひ屋りき2こえ2那可ら・万いり
　　こてな無・中将・宮能春けな2と・さふらひ徒や
0259︻中将︼－三位
0260︻宮のすけ︼－東宮大夫
　　な2と・の多まふ遣ハひの・志多とに・あ者徒个起﹂︵56オ・375⑨︶
0261︻したとに︼－舌早
0262︻あはつけき︼－淡付


　　を・大将ハものゝまきれ丹も・左能おとゝの1御あり
0263︻左のおとゝ︼－摂政
　　さ満・ふとお本しくらへられて多1としへな2う楚・
　　本ゝゑまれ給希尓1いり者てゝも1・能たまへ可
　　志な2可︵△＆可︶むの1君いと王ひしうおほされて・やをら
0264︻かむの君︼－朧
　　いさりいて給に・お1もての1い多うあ可ミ多1る越・
　　猶な2やましうお1本さるゝ丹やとみ多まて・な1と・
　　御氣しき能・連いな2らぬ・ものゝ遣な2とのむつ
　　可しきを・春本うのへさすへ可り个りと能給ふ
　　に・うす婦多あひな2︵△＆な2︶るおひの・御そ2にま徒者れ
0265︻うすふたあひ︼－源氏の御帯夏の御直衣の色ナリ
　　て・ひきいてられ多1るを・みつ1遣給てあやしと﹂︵56ウ・376①︶


　　お1ほ春に・又多1ゝむ︵む＝う<朱>︶可ミ能てな2らひな2と志多流・
　　見きてう能もとにおち多り・これハい可な2る
　　も1能ともそと・御心おとろ可れて・可れハ多1れ
　　可そ个しきこ2となるも1のゝさ満可那・た万
　　へそ2れとりて・堂可そ2登ミ侍らむとの給ふ尓
　　そ・うちみ可へりて王れも見徒遣給へる・ま起ら
　　ハすへき可多もな2个れ者・いかゝハ︵△＆ゝハ︶いらへき2古え2給
　　はむ・王れ丹もあらてお1者するを・こ那可らも・者
　　つ可しとおほ春らむ可しと・さハ可り能人ハ・
　　お1本しハゝ可るへきそ可し・されといときうに﹂︵57オ・376⑥︶


　　のとめ多1るとこ2ろお1者せぬおとゝ能・お1本しも
　　まハさすな2りて・多1ゝうかミをとり給まゝに・
　　きてうよりミいれ給へるに・いとい多うな2よひて・
　　徒ゝまし可ら春・そ2ひ布し多1るをとこもあり・
　　い万そ・やおら可本ひき可くして登可うま起ら
　　ハす・あさましう・めさ満しう心やまし个れと・
　　飛多をもて尓ハ・い可て可あらハした万者む・め
　　もくるゝ心地春れ者・こ能多1ゝむ可ミをとり
　　て・志むてんに王多り給ぬ・可む能君ハ王れ可能
　　心地して志ぬへく︵く＃く<朱>︶おほさる・大将殿もいとおし﹂︵57ウ・376⑫︶


　　う・徒ゐ尓1ような2きふるまひの徒もりて・人
　　のもときを・お1者むと春る事とお1ほせ2と・
　　女君の1心く流しき・御遣しきを・と可くな2く
　　さめき2こえ2給・おとゝハお1もひのまゝに・こめ多
0266︻おとゝ︼－二条
　　流所お1者せぬ本上にいとゝ・お1いの1御ひ可ミ
　　さへそ2ひ給尓・これ者な2に事尓可ハとゝこ本り
　　給ハんゆく〳〵と・宮丹もう連へき2古え2給可う〳〵
0267︻宮︼－太
　　の事な2む侍こ能多1ゝむかミハ・右大将の見て
0268︻みて︼－御
　　な2り・む可しも心ゆるされて・ありそ2め尓1个る事
　　なれと・人可らによろ津のつミを・ゆるしてさて﹂︵58オ・377④︶


　　裳・見むといひ侍しお1り者・心もとゝめ春・
　　免さ満し遣に・もてな2され丹しかハ・屋春可ら春
　　思給へし可とさるへき2にこ2そ2ハとて・よに遣可れ
　　多1りとも1・おほし春徒ましきを多1のミ丹て2・
　　かく本いの古とく多1てま徒りな2可らな2越・その
　　者ゝ可りありて・う遣者り多流女御な2ともい者せ
　　給ら︵ら＃︶ぬを多1尓あ可春くちお1しうおもひ給ふる
　　に・又かゝ流事佐へ侍个れ者・さらにいと心う具
　　な2む思な2り侍ぬる・おとこの1連いとハいひな1可ら・
　　大将もいと个し可らぬミ心な2り个り・斎院をも﹂︵58ウ・377⑨︶


　　猶き2こえ2を可しつゝ・志のひ尓御ふミかよハしな1
　　登して氣しきあ流事那と・人のか多り侍
　　しをも世能多1め能ミにも1あら春・わ可堂めもよ
　　か流ましき事な2れハよも佐るおもひ屋りな1起
　　わさ志いてられしとな無・と起の1いう楚く
　　登・あめ能志多をな2ひ可し給へるさ満こ2とな2めれ
　　者・大将のミ心を・う多1可ひ侍らさり津るな2と
　　の給ふ尓・宮ハいとゝ志き御心な2れハ・いともの
0269︻宮︼－太
　　志き御个しき丹て2・み可とゝきこ2ゆれと・む可し
　　より見那人・おもひおとしきこえ2て・致仕の1﹂︵59オ・378①︶


　　お1とゝも1又な2く可し徒具・ひと徒む春め越・
　　この可ミ能坊丹て2・お1者するにハ・多1て万徒ら
　　て・おとう登の1源氏丹て2・いときな2起可元服
　　の・そひ布しに・とり王起・又この君をも見や徒
0270︻この君︼－朧
　　可へ丹と心さして侍しに・おこ可まし可りし
　　ありさ満な2り志を・堂れも〳〵あやしとや
　　者お1本し多1りし・見那可の1見可多尓こ2そ2
0271︻かのみかたに︼－内侍のかみの事を大宮のうしろことし給ふ也
　　御心よせ侍めりしを・そ2能本い多1可ふさ満丹て2
　　こ2そハ・可くても・さふらひ給ふめれと・いとおしさ尓・
0272︻いとおしさ︼－宮仕事
　　い可てさるか多丹ても・人尓おとらぬさ満丹・も﹂︵59ウ・378⑥︶


　　てな2しきこえんさハ可り・ね1多氣な2りし
　　人のみる所もありな2とこ2そ2ハ思日侍つれと・
　　志のひて2王可心の1い流可多に・な2ひき給尓1
　　こ2そ2ハ侍らめ・斎院の1御事ハまして佐も1
　　あらん・な2に事につ氣ても・おほや遣能御可多に
　　うしろ屋春可ら春見ゆるハ・春宮の1御よ・心よ
　　せこ2とな2る人な2れハ・こ2とハりにな2むあめる登・
　　春く〳〵しうの給ひつゝくるに・さす可にいと
0273︻さすかに︼－大とのゝこゝろこと葉ナリ
　　お1しう・な2とき2こえ2津る事そ2登おほさるれ
　　ハ・さ者れ・志ハしこの1こ2ともらし侍らし・内尓も﹂︵60オ・378⑫︶


　　そうせさせ2給な2・可く能こ2と・徒ミ侍とも・お1本し
　　春徒ましきを多1のミにて・あまえて侍な2る
　　遍し・うち〳〵にせ2いしの給ハむにきゝ侍ら春
　　ハ・そ2の徒ミに多1ゝ身つ可らあたり侍ら無な2と
　　き2こえ2な2越し給へと・こ2とに御个しきもなを
0274︻御︼－大ー
　　ら春・かくひと所尓お1ハして・ひまもな2きに・
　　徒ゝむところな2く・さていりも1のせ2ら流ら無
　　ハ・こ2と佐らに・可ろめ・ろうせ2ら流ゝにこ2そ2者と・
　　おほしな2春に・いとゝい見しうめさましく・
　　この徒いてにさるへき事ともかまへいてむ﹂︵60ウ・379③︶
0275︻このついてに︼－須磨の浦に隠居の本意ナリ


　　に・よき多1よりな2りとおほしめ具ら春へし﹂︵61オ・379⑧︶


　　源氏廿二三四歳事
　　　　以詞并哥為巻名イ本
　　　任前関白殿仰加首筆者也　　良鎮イ﹂︵61ウ︶


︻奥入01︼ち者や婦る神のい可きもこえぬへし
　　いま者わ可身能お1し氣くも那し
　　　又大宮人の見万く本しさ尓
︻奥入02︼史記　呂后本紀
　　呂后怨戚夫人其子趙王因戚夫人断
　　手足去眼煇耳飲瘖薬使居厠
　　中命曰人彘
︻奥入03︼漢書
　　昔荊軻慕燕丹之義白虹貫日而
　　太子畏之﹂︵62オ︶


︻奥入04︼甕頭竹葉経春熟階底薔薇入夏
　　開
︻奥入05︼高砂律　長生楽破
　　堂可佐この1左伊左々古乃太加左乎乃﹂︵62ウ︶