明石（大島本）

First updated 06/14/2001︵ver.1-1︶ Last updated 10/25/2022︵ver.3-1︶渋谷栄一翻字(C) 　　

明　石

凡例 1．﹃大島本　源氏物語﹄︵1996年5月　角川書店︶及び﹃大島本源氏物語DVD-ROM版﹄︵角川学芸出版　2007年11月︶に拠って漢字仮名字母翻字した。 2．漢字は漢字のまま翻字し、他の変体仮名と区別するため太字で表示した。 3．平仮名はそのまま平仮名﹂で表示した。 4．変体仮名は字母で表示した。 5．片仮名はそのまま片仮名で表示した。 6．仮名や字母の崩し方が複数ある文字については、一般的な字形を基準にして、より元の字母の漢字に近い字形には﹁1﹂と付記し、また一般的な字形とも異なった別の崩し方には﹁2﹂と表示した。 7．本行本文は普通字体で表示し、書入注記は小字体で表示した。 8．本文中の朱点及び朱書きは朱色で表示した。 9．行頭に同字が並ぶ場合、異なる字母字形は茶色、同じ字母字形は緑色で表示した。﹁あかし﹂︵題箋︶　　な越雨風やます・神な2り志つ1まらて日　　こ2ろ尓なりぬ・いとゝ物王ひ志起事可春志ら2 　　須1きしか多行さ起可な2しき御ありさ満　　尓心徒ようしも1盈おほしな2さ春・い可尓1せ　　まし閑ゝ里とて都尓帰ら2んこ2とも・ま多よ 0001︻都に帰らんこと︼－伊周<チカ>上洛例　　にゆる佐連裳な2くてハ人王ら2ハれな2るこ2と　　こ2そ2まさら2め・猶これよ里ふ可き2山をも登　　めてやあと多1えな2ましとおほ春尓1も・浪　　可勢尓さハ可佐︵佐＄<朱>△イ<墨>、△イ＃︶連亭な2と人能いひ徒多1 　　へん事後の世まて︵＋△・︶いと可ろ〳〵志き名や﹂︵1オ・441①︶　　な2かし者てんとおほしみ多る・夢尓も1多1ゝ 0002︻夢にもたゝおなしさまなる物︼－すまの巻に見えたり　　お1な2しさ満なる物のミき徒ゝ万徒ハしき2 　　こ遊と見給・雲万な2くてあ氣く類ゝ日　　数尓そ2遍て2京の方も1いとゝおほ徒可な2 　　く・閑くな可ら身を者ふら2可し徒る尓　　やと心ほそうお1ほせ2と・かしら佐しいつ1 　　遍くもあらぬそ2らの1見多連尓・いて堂ち 0003︻そらのみたれに︼－雨風はけしきをいふ　　まいる人もな2し二条院よりそ2あな2可ち　　尓あ屋しき2す可多尓て・そ2をち万いれる・ 0004︻あやしきすかたにて︼－蓑かさきたるすかたをいふ　　みち可ひ尓て多尓1・人可・な2尓1そ2とた尓御覧し﹂︵1ウ・441⑥︶ 0005︻みちかひにて︼－[足+爰]<ミチカヒ><左>　＼<朱合点>　篁日記　玉ほこの道かひなりし君なれハ跡はかもなくなるとしらすや<右>︵篁集14、花鳥余情・紹巴抄・孟津抄・花屋抄・岷江入楚︶　　王くへくもあら須1・まつ1をひハらひ徒遍き　　志つ1の1おのむ徒ましう哀尓お佐さるゝも・　　王れな2可らか多し氣な2く・くし尓1个る心能 0006︻かたしけなく︼－辱ノ字也　身もはつかしき心なり　　ほと思日志ら類・御文尓あさましくをやミ　　なきころの1希しき尓1・いとゝ空さへとつる 0007︻空さへとつる︼－くもりふたかる心ナリ　　心ちして・な2可めやる可多な2くな無　　　　浦風やい可尓1吹らむおもひ屋る袖 0008︻浦風や︼－紫上　　うちぬらし波まな2きころ哀尓かな2しき　　事とも1可起あつ1め給へり・日起あくるより︵日起あくるより＄<朱墨>︶　　いとゝ見きハ満さりぬへく・可起くら春心ち﹂︵2オ・441⑩︶ 0009︻みきはまさりぬへく︼－＼<朱合点>　水際<ミキハ>　君こふる涙おちそひ此川のみきハまさりて思ふへらなり　貫之︵貫之集730、孟津抄・花屋抄︶　　志給・京尓もこの1雨風いと︵いと＄<朱墨>︶あやしき物の1 　　佐としな2りとて・仁王會な2とお1こな2ハるへし　　とな2むきこえ2侍し・内尓まいり給可ん多1ち　　めなとも1春遍て2みちとちて・万徒りこ2と　　も1た多1え2てなむ侍な2と・者可〳〵志うもあら　　春可多くな1しう可多りな2せ2と・京の方能　　こ2とゝおほ1せハ・いふ可しうて・御まへ尓めしいてゝ　　とハせ給・多1ゝ連いの1雨能をやミな2くふりて　　風ハ時〳〵吹いて︵＋て︶つゝ︵つゝ＄︶日こ1ろ尓な2り侍を・連い　　な2らぬこ2と尓1おとろき侍な2り・いと可く地の1そこ・﹂︵2ウ・442①︶　　とほる者可りの1飛ふりい可つち能志つ1まら2 0010︻ひふり︼－氷也　雹<アラレ> 　　ぬこ2とハ侍ら2さりきな2と・いみしきさ満尓　　お1とろきおちてをる・可本の1いと可ら起丹も・ 0011︻からき︼－辛苦　　心ほそ2さ満さり个る・かくし徒ゝ世盤つ起　　ぬへき尓やとおほさるゝ尓・そ2の又の1日能　　あ可つきより・風い見しう布き・志本多1 　　可うみちて・浪の1をとあら1き事・い者本も　　山もの1古るましき个しきな2り・神のな2り　　日ら2めくさ満佐ら尓い者む可多な2くて・お1ち　　可ゝ里ぬとお1ほゆる尓・ある可起り佐可しき﹂︵3オ・442⑦︶　　人な2し・王れハい可なる徒ミ越を可して・かく　　可な2しき2目越みるらむ・ちゝハゝ丹もあ飛　　ミす可な2しき・めこの1可本をもミて・志ぬへ　　き2こ2とゝな2氣く・君ハ御心を志つ1めてな尓　　者可りのあやまち︵＋尓︶て可この1な2起さ尓命を　　ハきハめんと徒ようおほしな2せ2といと物さ　　ハ可し个れハ・色〳〵の1ミて具ら佐ゝ氣させ2 0012︻ミてくら︼－幣　　給て・住吉の神ち可起佐可ひをし徒めまも 0013︻住吉の神︼－守往来舟　　里給・万こ2と尓1阿と越多1れ給神な2らは・堂　　春氣給へと・お1ほくの1大願を多1て給・をの﹂︵3ウ・442⑫︶　　をの身つ可らの1命をハさる物尓て・可ゝ流御　　身の1ま多な2起連い尓志津ミ給ぬへきこ2と　　能いみ志う可な2しき心をゝ古して・す古し　　物おほゆる可起りハ・身尓可盈て・こ能御身　　ひとつを・すくい多1てまつら2むと・とよみ　　て・もろこ2ゑ尓佛神を念し多1てまつる・　　帝王の1ふ可き宮尓屋しな2ハれ給て2・色　　色能多1のしミ尓お1こり給し可と・布可き　　御う徒くしミ・おほ屋志万尓あ万ね1く・志つ 0014︻御うつくしミ︼－慈 0015︻しつめる︼－沈　　めるとも1可ら2越こそ・おほくう可遍給し可・﹂︵4オ・443③︶　　い万な尓1の1むくひ尓可・古ゝ羅よこさ満な2る　　浪風尓ハお本ゝれ給ハむ・天地こ2とハり給へ・徒　　ミな2くて徒み尓あ多り・徒可さ位をとら連　　家を者な2れ・佐可ひをさりて・明くれや春　　き2そ2ら2な2くな2けき給尓・閑く可な2しき2 0016︻かくかなしき︼－これよりハ源氏の君の祈祷の趣なり上いへるハつきしたかふ人々の願をいふ　　め越さへ︵＋ミ・︶命つきな2んと春るハ・さきの1世農　　むくひ可・此世の1を可し可・神仏あ起ら可尓1 　　まし万さハ・こ能う連へや春め給へと見　　社の1可多尓むきて・さ満〳〵能願を多1て　　給・又海の1な2可能里う王う・よろつ1の神堂﹂︵4ウ・443⑧︶　　ち尓願を多1てさせ2給尓・いよ〳〵な2りとゝろ　　きて・お1ハしま春尓・徒ゝき多1る羅う尓 0017︻おはしますにつゝきたる︼－延長八年六月十八日清涼殿霹靂　　おち可ゝりぬ・本の越・も盈あ可り亭らうハ　　や遣ぬ・心多1万しゐな2くて・あ類可起り万 0018︻たましゐ︼－魂　　と婦・うしろの1可多なるおほ井とのとお本し　　き屋尓・う徒し多て万つりて2・可ミ下とな2 　　く堂ちこみて2・いと羅う可ハしくな2起　　とよむ・聲い可つち尓もをとら春・空ハ春　　み越春り多るやう尓て日も暮尓个り・やう　　やう風な越り雨の1あし志めり・星の光も﹂︵5オ・443⑬︶ 0019︻風なをり雨のあし︼－桂嶺瘴来雲似墨洞庭春尽水如天折子原　　みゆる尓・この1おまし所の1いとめつら可なる　　も1・いとか多し氣な2くて・志ん殿尓可遍し　　う津し・多1てまつら2むとする尓・屋遣の1こ　　里多る可多も・うとまし希尓・そ2こら2農　　人能ふミとゝろ可し満と編る尓・み春な2とも　　みな2ふき2ちら2し亭个り夜をあ可してこ2そ　　ハとたとりあ遍る尓・君ハ御ね1ん春し給　　て・おほしめくら2春尓いと心あ者多1ゝし・月　　佐しいてゝ志本のち可くみちき个る阿と　　もあらは尓・な2こり猶よ勢帰波あら2きを・﹂︵5ウ・444④︶　　柴の戸をしあけて2な2可めをハしま春・　　ち可起世界尓物能心越志り・きしか多行　　さ起の1こ2と・うちおほえ・とやかくやと・者可　　者可志う佐とる人もな2し・あやしき2・阿万　　とも1なとの多1可き人お者する所登　　て・あつまり満いりてきゝも1志り給者ぬ　　こ2とゝも越・さ盈徒りあ遍るも・いとめつ1 　　ら可な2れと︵＋えイ<朱>、イ＃︶をひもハゝ︵ゝ＃らイ<朱>、イ＃︶者春・この1風い　　万志ハしや万佐ら2ましかハ・志ほの本りて　　のこる所な2可ら2まし・神の1多春けをろ可﹂︵6オ・444⑨︶　　な2らさり个りと・い婦をきゝ給も・いと心本そ　　志といへハをろ可也　　　　海尓ま春神の1多すけ尓閑ゝ羅春ハ 0020︻海にます︼－源氏 0021︻神︼－底筒男中筒男表筒男　　志本の1や越あひ尓佐春ら2遍な2まし日ね1も 0022︻しほのやをあひ︼－しは︵は＄ほ︶の八百会　万葉ナリ　ふかき心ナリ日本記ニハしほの八百重とあり同心ナリ　あらしほの︵の＋シホノ︶やをあひにやくしほのからくも我ハ老にけるかな　公任卿︵和歌九品14、異本紫明抄・河海抄・孟津抄・岷江入楚︶　　春にいりもミ徒る神のさハ起尓さこ2そいへ　　い多うこうし給尓个れ盤・心尓もあら2春うち 0023︻こうし︼－劫の字なるへし　くたひれはてたる心ナリ　　まとろみ給・可多し遣な2き2おまし所な2れ　　ハ・多ゝよ里居給へる尓・故院多1ゝおハしまし 0024︻故院︼－桐　　志さ満な2可ら堂ち給て・な2とかくあやしき　　所尓物春るそ2とて・御てをとりて日き多て﹂︵6ウ・444⑭︶　　給・住吉の1神のみち日起給まゝにハ・者や布　　な2てしてこ能浦を佐りね1との1給者春・いと　　うれしく亭閑しこき御影尓王可れ多て　　まつり尓1しこな2多さ満〳〵可な2しき事　　のミおほく侍連ハ・い万ハこの1な2起さ尓身　　をや春て侍な2ましと・きこ盈給へハ・　　いとあるましき2こ2とこれハ多1ゝいさゝ可な2る　　物のむくひな2り・我者位尓ありし時あや　　まつこ2とな2可りし可と・をの徒可ら2を可しあ　　里个れハ・そ2の1つミ越ゝ︵ゝ＄お︶ふる程いと万な2くて・﹂︵7オ・445⑥︶　　この1世越可へり見佐りつれと・いみしきう　　連へ尓志徒むを見る尓多へ可多くて・うミ　　尓いりな2起さ尓の本り・い多く古うし尓多れと・　　可ゝ類徒いて尓・内裏尓そ2う春遍きこ2との　　ある尓よりな2無・いそ起の本りぬると︵△＆と︶て・多　　ち佐り給ぬ・あ可す可な2しくて御とも尓万い　　里な2んとな2きいり給て・見あ氣給へ連者　　人もな2く・月の1可本能ミきら2〳〵として・夢　　の心ちもせ2す・御氣ハひと万連るこゝちし　　て・空の雲哀尓たな2ひ个り・年比夢の内﹂︵7ウ・445⑪︶　　尓1もみ多てまつらて・こひしうお1ほつ可な2き　　御さ満を・本の可な2れと佐多个尓み多てまつり　　つるのミ・面可け尓おほえ給て・我可く可な2しひ　　をきハめ・命徒きな2んとしつる越・多すけ耳　　可个り給へると・哀尓お1ほ春尓よくそ2可ゝ流　　さ者起もあり个ると・な2こりたのもしう・　　うれしうおほえ給こ2と可起りな2し・むね1つとふ多　　可りて・中〳〵なる御心まとひ尓・うつゝの1可な2し　　きこ2ともうち忘・夢尓も御い羅へを・い万春　　こしきこえ2春な2りぬるこ2とゝ・いふせ2佐尓又﹂︵8オ・446②︶　　やみえ2給ふと・こ2と佐ら2尓ね1入給へと・佐ら2尓御　　めもあ者てあ可月可多尓成尓个り・な1起さ　　尓ちいさや可なる舟よせ2て・人二三人者可り　　この1旅の御やとりを佐してまいる・な2尓1人な2 　　らむとゝへハ・明石の1浦よ里さきの可見　　志本ちの御ふ年よそ2ひて万いれる也︵△＆也︶源少 0025︻しほち︼－新発 0026︻源少納言︼－良清　　納言さふらひ給ハゝ・多1いめして1事能心と　　里申さんとい婦・よしきよおとろきて入道　　ハ・かの︵＋1國の︶とくゐにて・年ころあひ可多ら2ひ侍連︵＋1つれイ︶と・　　わ多くし尓いさゝ可あひうら2むるこ2と侍て・こ2と﹂︵8ウ・446⑦︶ 0027︻わたくしにいさゝか︼－良清か明石入道の女を心かけたるを入道ゆるさぬ事をうらむる也　　なるせ2うそ2こを多1尓かよ者さて・ひさしう　　な2り侍ぬるを浪の1まきれ尓い可な2るこ2と可あ　　らむとおほめく・君の1御夢な2とも1お本し　　あ者春るこ2ともありて・ハやあへとの給へ盤・　　舟尓いきてあひ多り・さハ可り者氣し可り　　つる波可勢尓い徒の1ま尓可ふな2て志徒ら2む　　と・心盈可多具おもへり・いぬるつい多ち農　　ひ夢尓・さ満こ2となる物の・徒遣志ら2春る　　こ2と侍し可ハ・志むし可多き2事とおもふ給　　へし可と・十三日尓あら2たな2る志類しミせ2む・﹂︵9オ・446⑬︶　　舟よそ2ひまう氣て・可な2ら2春雨風や万　　はこの1浦尓をよせ2よ登かね1て2志め春　　こ2との侍し可ハ・心み尓舟能よそ2ひをまうけ　　てまち侍し尓・い可めしき雨風・い可徒ち　　のおとろ可し侍つ連ハ・人能御可と尓1も夢︵＋を︶　　志むして・國をた春く類多1くひおほう侍　　个る越・もち井させ給ハぬまても・この1い万　　志めの日越春くさす・この1よし越徒け申　　侍ら2んとて・舟い多し侍つる尓・あや志き風　　ほそ2う吹て・この1浦尓徒き侍るこ2と・満こ2と尓﹂︵9ウ・447④︶　　神の1志るへた可者春なん・古ゝ尓1︵＋も1︶もし志ろ　　志め春こ2とや侍徒ら2んとてな2む・いとハゝ可り　　おほく侍れと・この1よしを︵を＄<墨朱>︶申給へといふ・　　よしきよ忍や可尓・徒多へ申君おほし　　まハす尓・遊めうつゝさ満〳〵志つ1可な2ら1春・　　さとしのやうなる事共を・きし可た　　行末お本しあ者せ2て・よの人の1きゝ徒　　多へん後の1そし里も・屋春可ら2さるへき　　を・者ゝ可り亭万こ2との1神の多すけ尓も　　あら無を・そむく物な2ら2は・又これより満﹂︵10オ・447⑨︶　　さりて人王ら2ハれなるめをやみむ・う徒ゝ 0028︻うつゝ︼－現　　︵＋さ満<朱>︶能人能心多1尓・猶くるし者可な2きこ2と越　　も1徒ゝミて・我よりよハひまさりもしハ位　　多1可く・時よのよせい万一きハまさ流人尓ハ・　　なひき志多可ひて・そ2能心む氣越堂　　とるへき物な2り个り・志りそ2きてと可な2し 0029︻しりそきてとかなし︼－功成名遂<トケテ>身退者天之道　老子　　とこそ昔さ个志き人もい日をき个れ・　　个ふ︵ふ＄尓︶かく命をき者め・よ尓1又な2起め︵＋の︶可き2 　　里を見つ1くし徒・さら2尓のち能あとの名を　　ハふ具とて裳・多1希起事もあら2し・夢﹂︵10ウ・447⑭︶　　能中尓1もちゝ御門の御をしへありつれ 0030︻ちゝ御門︼－桐　　ハ・又な尓1こ2と可ハ︵ハ＃︶う多可ハむとおほして2・御　　返の給志ら2ぬせ2可い尓めつら2しき2うれへの 0031︻しらぬせかいに︼－源　　可起りみつ連と・宮この1方よりとて・こ2とゝ　　ひをこ春る人もな2し・多1ゝ行ゑな2き2 　　空の1月日能光者可里越・故郷の友と　　な2可め侍尓・うれしき徒り舟をな無・かの 0032︻うれしきつり舟︼－＼<朱合点>　浪にのミぬれつる物を吹風のたよりうれしき海人の釣舟︵後撰1224・古今六帖2862・貫之集553、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　浦尓1志つ1や可尓かくろふ遍きく満侍り　　な2んやとの給・可起りな2くよろこひ可しこま　　里申とも1あれ可くもあれ夜の1明者て﹂︵11オ・448⑤︶　　ぬさき2尓・御舟尓多1てまつれとて・連い農 0033︻御舟に︼－源明石へ　　志多しき2可起り四五人者可りして・堂て　　まつりぬ連いの1風いてきて・とふやう耳 0034︻とふやうに︼－舟をはやとりといふ事あり　風土記　住吉ノ大倉<オホクラ>むき︵き＋テトヘ︶せ︵せ＃︶ハこそはや鳥といはめいつれはや鳥︵風土記18、休聞抄・紹巴抄・岷江入楚︶　　あ可し尓つき給ぬ・多1ゝ者ひ王多る程尓・可多　　時の1まといへと猶あや志きまてみゆる風　　の心な2り・者満能さまけ尓いと心こ2とな2り・人　　志氣うみゆるのミな2む・御ね1可ひ尓そ2むき　　个る・入道の1羅うしめ多る所〳〵・う見の徒ら2 0035︻入道の︼－明石 0036︻らうしめ︼－領ナリ　　尓も・山可くれ尓も1・と起〳〵尓つけて2遣ふを　　さ可春へきな起さの1とま屋・おこな2ひをし﹂︵11ウ・448⑩︶　　て・後世の1こ2と越思日春まし徒へき山ミつ　　のつら2尓1・い可めしき堂う越多1てゝ・三昧を　　おこな2ひ・此世の1まうけ尓秋の多1︵＋の<朱>︶ミ越可りを　　さめ・のこり能よ者ひつむ遍き・い年能くら 0037︻よはひつむへき︼－＼<朱合点>　拾秋ことにかりつるいねハつミつれと老にける身そ置所なき　忠見︵拾遺集1124、河海抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚︶　　まちともな2と・おり〳〵所尓つけ多るみ所　　ありて・志あつめ多り・多1可し本尓おちてこ　　の比む春めな2とは・を可への屋と尓う徒し　　て春ませ个れハ・この1者満能多ち尓心や　　すくおハします・舟より御車尓多1てまつ　　里う徒る本と・日やう〳〵︵△△＆う〳〵︶佐しあ可りて・本の1可尓﹂︵12オ・449①︶　　見多1てまつるより・老王春れ・よハひのふる　　心ち志て・ゑミさかへて︵＋まつ︶住吉の神を・かつ〳〵　　お1可ミ多1てまつる・月日の1光をて尓盈た 0038︻月日の光を︼－わかなの巻に明石の入道の夢に月日の光を手にとるとみたりその夢に思あハすへし　　てまつり多る心ちして・いとな2ミ徒可うまつ　　る事ことハりなり・所の1さ満をハ佐ら尓1も　　い者す・徒くりな2し多る心者遍・木多ち多1 　　ていし・せ2無さいな2との1ありさ満・盈もい者　　ぬ入江の1水な2と・ゑ尓可ゝは心のい多りすく　　な2可らんゑしハ・可起をよふましとみ遊・月こ　　ろの御春ま井よりハ・古よな2くあきら可尓1﹂︵12ウ・449⑥︶　　なつ可し︵＋き︶御志つ1らひな2と・盈な2ら2春して　　春まゐ个るさ満な2と・氣尓都の1やむこ2と　　な2き2所〳〵尓こ2とな2ら須1・盈む尓ま者ゆき　　さ満ハまさりさ満尓そ2みゆる・春こし御　　心志つ1まりてハ・京の御文ともきこ盈給・ま　　いれ里し使ハい万ハいみしきミち耳い　　亭多1ちて2・可な2しきめ越みるとな2き志　　徒ミて・あ︵＋の︶春万尓とまり多1る越めして・　　身尓あ万連る物とも1おほくたまひて　　つ可ハす・む徒ましき御い能りの1志とも・さる﹂︵13オ・449⑪︶　　遍き2所〳〵尓ハこの1程能御ありさ満くハ　　志くいひつ可ハすへし・入道の宮者可り尓盤 0039︻入道の宮︼－藤壺　　めつら2可尓てよミ帰さ満な2ときこ盈給・二條　　院の1あ者れな2りし本との御可遍里ハ可起　　も屋り給者春・うちをき〳〵をしのこひ　　徒ゝきこ盈給・御个しき猶こ2とな2り・返々　　い見しきめの1可起りを徒くし者てつる　　ありさ満な連ハ・い満者と世越思日者な2るゝ　　心のミまさり侍連と・閑ゝ見をみてもと 0040︻かゝみをみても︼－紫上の哥須磨の巻に見えたり　　能給し面可けのハな2類ゝよな2起を・かくお1﹂︵13ウ・450②︶　　本徒かな2く︵く＃︶く︵＋な2︶から2やと・古ゝら可な2しきさ満〳〵　　のう連ハしさハ・佐しを可れて2 　　　　者る可尓1もおもひ屋る可な2志ら2さりし 0041︻はるかにも︼－源氏返　　浦よりをち尓うら2つ多ひして夢の1内　　なる心ちのミして・さめ者てぬ本と・い可耳　　ひ可こ2とおほ可ら2無と・け尓そ2こ者可とな2く　　可起見多り給へる志もそ・いと見ま本しき　　そ2者めなるを・いとこよな2き2御心佐しの　　本とゝ・人〳〵見多1てまつる・をの1〳〵古郷　　尓心ほそ2氣なるこ2と徒て春へ可めり・をや﹂︵14オ・450⑧︶　　みな2可りし空の1个しき・な2こりな2く春　　ミわ多りて2あさり春るあ万とも本こら2し 0042︻あさりする︼－＼<朱合点>　あさりするよさのあま人ほこるらし浦風ぬるみ霞わたれり︵恵慶集1、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　氣な2り・春満ハいと心本そくあ万の1い者　　屋も1まれな2りしを・人志氣きいとひハ　　志給し可と・古ゝ盤又佐万こ2とにあハれな2る　　こ2とおほくて・よろつ1尓おほしな2くさまる・　　あ可しの1入道おこなひ徒とめ多るさ満　　いみしう思日春まし多1る越・多ゝこの1 　　む春め日とりを・もて王つら2ひ多る个し 0043︻むすめ︼－明石上　　きいと可多者ら2い多きまて・時〳〵もら2し﹂︵14ウ・450⑭︶　　うれへきこゆ・御心ち尓もお1可しときゝを起 0044︻おかしときゝをき︼－わかむらさきの巻にて北山にてよし清か物語せしなり　　給し人な2れ盤・かくおほ盈な2くてめくり　　おハしたるも・さるへき契あるにやと　　お1ほしな2可ら2・猶可う身を志つ1め多る程ハ・　　おこなひよりほ可の1事ハ思ハし・宮こ　　の人も多ゝなるよりハい日︵日＄ひ<朱>︶し尓1多1可ふと 0045︻いひしにたかふ︼－＼<朱合点>　ほとふるもおほつかなさもおもほえすいひしにたかふとはかりハうし︵出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　おほさむも・心者つ可しうおほさる連盤・　　个しき多1ち給こ2となし・こ2とにふ連て　　心者せありさ満な2遍てな2ら2春もあり个る　　可な2と・遊可しうおほされぬる︵る＃<墨>尓<朱>︶しもあら須1・﹂︵15オ・451⑤︶　　古ゝ尓は閑しこまりてみ徒可ら2も・をさ〳〵　　まいら2す・もの遍多1ゝり多る志ものや耳　　佐ふら2ふ・さるハあけくれミ多1てまつら2満 0046︻さふらふ︼－入道　　本しうあ可すおもひきこ盈て・おもふ心越　　可な2へ舞と・仏神をいよ〳〵ね1んし多1てま　　徒る・としは六十者可り尓な2り多れと・いとき　　よ遣尓あら2万ほしうおこなひさら2本ひ 0047︻おこなひさらほひ︼－勤行によりてやせさらほいたる心ナリ　髐ナリ　　て・人能本とのあ亭者可な2れハ尓やあら無・　　うちひ可ミ・本れ〳〵しきこ2とハあれと・い　　尓1しへのか︵か＄こ︶と越も志りて物きたな2可ら2須1・﹂︵15ウ・451⑨︶　　よし徒き2多1るこ2とも1まし連ゝハ昔物　　可多りなとせ2させてきゝ給尓春こし　　徒連〳〵の1ま起連な2り・とし比おほや遣　　わ多くし御いとまな2くて・さ志もきゝを起　　給者ぬよの婦るこ2とゝも1・具徒しいてゝ・かゝ　　類所をも人をも見さら2まし可ハ・佐う〳〵　　志くやとまて个婦ありとおほ春事も1 0048︻けふあり︼－興　　ましる・かう者な2れきこ遊連と・いと氣多　　可う・心ハつ可しき御ありさ満尓・さこ2そいひし　　可・つゝましうな2りて2・我おもふこ2とハ・心の1まゝ﹂︵16オ・452①︶　　尓1も盈うちいてきこえ2ぬを・心もとな2うく　　ちお1しと・者ゝ君といひあ者せて2な2けく・ 0049︻はゝ君︼－尼　　佐うし見ハをしな2へて2の人多1尓・めや春 0050︻さうしみ︼－明石上　　き2ハ見え2ぬせ2可ひ尓・世尓ハ可ゝ流人もおハ　　志个りと・見多1てまつり志尓徒希て・身　　の程志ら2れて2いとハる可尓1そ2・思日きこえ2个る・　　おや多ちのかくおもひあつ可ふをきく尓　　も・に氣な2き2こ2と可な2と思尓・多ゝなるよ　　里ハ物あハれな2り・四月尓な2りぬ衣可遍の1 　　御さうそく・御丁の可多ひら2な2とよしある﹂︵16ウ・452⑥︶　　さ満尓1しいて徒ゝ・よろつ1尓つ可うまつりい登　　な2むを・いとお1しう春ゝろな2りとおほ勢登・　　人さ満の1あくまて思あ可り多1るさ満の1あ　　てなさ︵さ＄る︶尓おほし遊るして見給・京よりも　　うち志きり多1る御とふら2ひとも1多1遊ミな2 　　くお1ほ可り・のとや可なる夕月夜尓うミ　　のう遍くもりな2く見盈王多れるも・春み　　な2れ給し故郷の1池水思日ま可へられ給尓・　　い者む可多な2くこひしきこ2と・い徒可多登　　な2く行ゑな2き心ちし給て・多ゝめの1まへ﹂︵17オ・452⑪︶　　尓みやらるゝハ・あ者ち志万成个り・あハと 0051︻あはと︼－＼<朱合点>　阿波渡也　渡ナリ　躬恒哥　淡路にてあわとはるかにミし月のちかき今夜ハ所からかも︵新古今1515・古今六帖332・躬恒集463、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　者類可尓︵＋な2と︶の給て2 　　　　あ者とみる阿者ちの1志万能あ者れさへ 0052︻あはとみる︼－此哥のあハと見るハ海のうへにあはのやうに淡路嶋のうかひ出たる心ナリ　日本記にも潮水のあハこりて嶋となるといふ事あり　　の1こるくまな2く春めるよ能月ひさしう・　　てふれ給者ぬきむを・布くろよりとりいて　　給て・者可な2く可起なら2し給へる御さ満を・ミ　　多てまつる人もや春可ら2須1哀尓可な2しう　　おもひあへり・かう連うといふ・てをある可起り 0053︻かうれう︼－＼<朱合点>　廣陵 0054︻てを︼－琴ノ秘曲　嵆康か花陽の亭にして神人に会テ傳たる曲也　此神人ハ昔の伶倫の変化也　　日き春まし給へる尓・かの1を可への家も1 　　松の1日ゝき波の1音尓あひて・心者せあるわ可﹂︵17ウ・453②︶　　人ハ・身尓志ミてお1もふ遍可めり・な2尓1とも1 　　︵＋○きゝ︶王くましき・このも・可のも能・志者ふる人 0055︻このもかのも︼－此おもてかの面なり 0056︻しはふる人︼－柴振人　皺古人　　ともゝ・春ゝろ者しくて・者ま風を日きあ　　里く・入道も1盈多1へて2具やう法多ゆミ 0057︻くやう法︼－三密六度供養法也　　て・いそ2きまいれり・佐ら尓そ2むき尓1し世の1 　　中もとり可遍し思日いてぬへく侍り・のち　　の世尓ね1可ひ侍とこ2ろの1ありさ満も・思日︵思日＃＝おもふ玉へ︶やら2 　　類ゝ夜の1さ満可な2と・なく〳〵めてきこゆ・我　　我︵我＃︶御心尓も・お1り〳〵能御あそ2ひ・そ2の1人可能　　人の・こ2と布え2もしハこ2ゑのいてし佐万尓﹂︵18オ・453⑧︶　　時〳〵尓つけて2よ尓1めてられ給しありさ満・　　み可とより者しめ多1てまつりて2・もて可し　　徒きあ可め多1てまつり給しを・人能う遍　　も我御身のありさ満も・おほしいてられて・　　夢の心ちし給まゝ尓・可起な2ら2し給へるこ2ゑ　　も心春こくきこ2ゆ流人ハ涙もとゝめあへ　　春・を可遍尓ひ王・生︵生＃＝笙︶の1こ2ととり尓屋りて2・ 0058︻笙︼－箏歟　　入道ひ王の法師尓な2りて2・いとお可しうめつ　　らしき・て日とつ布多徒日き多り・佐うの 0059︻ひとつふたつひきたり︼－四の緒におもふ心をしらへつゝ引あるけ共しる人もなし　兼盛集　小右記ニもあり　　御こ2とまいり多1連ハ・春こし日起給も・さ満〳〵﹂︵18ウ・453⑬︶　　いミしうのミ思日きこ盈多り・いと佐し　　も1きこ盈ぬ物のね1︵＋○た︶尓・おり可ら2こ2そハ満　　さるものな2る越・はる〳〵と物のとゝこほり　　な2き2海つら2な2る尓・中〳〵春秋の者那も　　みちのさ可りなるよりハ・多1ゝそ2こ者可と　　な2う志个れる可氣とも・な2満め可しき耳・　　くひな2のうち多1ゝき多1るハ・多1可門 0060︻たか門さして︼－＼<朱合点>　またよひにうちきてたゝく水鶏かなたか門さしていれぬなるらん︵出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　佐してと哀尓おほゆ・ね1もいと尓1な2う 0061︻ねも︼－琴　　いつるこ2とゝも越いとな2つ可しう日起な2 0062︻こと︼－琴　　らし多るも1・御心とまりて・これハ女の1な2﹂︵19オ・454④︶　　徒可しきさ満尓て・志と氣な2うひき多る　　こ2そ2お可し个れと・大方尓の給を入道は　　あひな2具うちゑミて・あそ2者すよりな2つ　　可しきさ満なるハ・いつ1この可侍ら2ん・な尓　　可し延喜の御てより日起徒多へ多ること・　　志︵＝イ三イ︶多い尓な2んな2り侍ぬるを・かうつ多な2起身　　尓て・この1世のこ2とは春てわ春れ侍ぬる　　を・物のせ2ち尓・いふせ2起・おり〳〵ハ・可起な2ら2し　　侍しを・あ屋志うま年ふものゝ侍こ2そ・志 0063︻あやしう︼－明石上事箏上手也　　ね1む尓・可の1せ2む大王の御て尓かよひて2﹂︵19ウ・454⑨︶ 0064︻せむ大王︼－延喜帝御事　　侍連・山ふしのひ可見ゝ尓・ま徒可勢をきゝ 0065︻山ふしの︼－＼<朱合点>　松風に耳なれにける山伏ハ琴をことゝもおもハさりけリ　寿玄法師<左>︵出典未詳、花鳥余情・弄花抄・一葉抄・細流抄・休聞抄・紹巴抄・花屋抄・孟津抄・岷江入楚︶ 0066︻まつかせ︼－＼<朱合点>　琴のねに峯の松風通らしいつれのをよりしらへそめけん　斎宮女御<右>︵拾遺集451・拾遺抄514・古今六帖3397・和漢朗詠集469・斎宮女御集57、異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　わ多し侍尓やあらん・い可て・これの︵の＃＝も<朱墨>︶・志のひ　　て・きこしめさせてし可な2と・きこ遊　　類まゝに・うちわな2ゝきて涙おとすへ　　可めり・君こ2と越こ2と登も1聞給まし可り 0067︻君こと越︼－＼<朱合点>　上手ニテマシマセハ　　氣るあ多り尓ね1多きわさ可な2とてをし　　やり給尓・あやしう昔よ里笙︵△＆1笙︶ハ女な2ん日 0068︻あやしう︼－入道 0069︻笙︼－女箏ヲモ引ハ入道かめ此云出ナリ　　きとる物な2り个る・佐可の御つ多へ尓て女五 0070︻女五の宮︼－嵯峨の御女五宮繁子内親王　　の宮佐る世のな2可能上す尓物し給氣る 0071︻上す︼－上手　　を・そ2の1御春ち尓てとり多てゝ・徒多ふる﹂︵20オ・454⑭︶　　人なし・春へて2多1ゝい万世尓名をとれ　　類人〳〵・かきな2ての1心屋り者可り尓1 0072︻かきなて︼－掻　撫　　のミある越・こゝ尓1可うひきこめ給へり个る・　　いと个うあり氣る事可な2・い可て可ハきく　　遍きとの1給・きこしめさむ尓ハな2尓1農 0073︻きこしめさむ︼－入道　　者ゝ可り可侍らん・おまへ尓めし亭も・あき 0074︻あき人のなかにて︼－＼<朱合点>　琵琶引ノ女ハ商人ノ成妻　　人のな2可尓て多1尓こ2そ・婦るこ2ときゝ者 0075︻ふること︼－楽天なかされて江州の司馬なれる時事似源　　や春人ハ侍个れ・ひ王な2む満こ2と能ね1を　　日起志つ1むる人・い尓1しへも可たう侍しを・　　お1さ〳〵とゝこほるこ2とな2う・なつ可しき亭﹂︵20ウ・455⑤︶　　なと・春ちこ2と尓1な2んい可てたとる尓1可 0076︻いかてたとるにか︼－たと〳〵しきにハあらすよくたつねしりたる心ナリ　　侍らん・あら2き浪のこ2ゑ尓まし類ハ・可な2し　　くもおもふ給へられな2可ら2・可起徒むる物な2 　　氣可しさ・ま起るゝお1り〳〵裳侍りなと　　春起ゐ多1れハお1可しとおほして・佐うの1こ2と 0077︻すき︼－数寄 0078︻さうのこと︼－入道はしめハひわを引たるを又箏を給てひかせきゝタマヘル也　△△︵△△＃︶　　とり可へ亭堂万者せ多り・け尓いとすく　　して可い日き多り・いまの世尓きこえ2ぬ　　春地ひきつけて2てつ1可ひいとい多うから2 　　め起・遊のね1布可う春万し多り・伊勢 0079︻ゆのね︼－由の音に上手へたのあるナリ 0080︻伊勢の海︼－催馬ー　　の海な2ら2ね1ときよ起な2き佐尓可ひや﹂︵21オ・455⑩︶ 0081︻きよきなきさに︼－＼<朱合点>　伊せの海のきよきなきさのしほかひになのりそやつまんかひやひろハん　伊せ海︵催馬楽﹁伊勢海﹂、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　日ろ者むな2と・こ2ゑよ起人尓う多者せ2て・　　王れも時〳〵拍︵△＆1拍︶しとりてこ2ゑうちそへ給 0082︻われも︼－源氏の君のとき〳〵拍子をとりてうたひ給ふ　　を・こ2と日起さし徒ゝめてきこ遊・御く多物　　な2とめつら2しき2さ満尓てまいら2せ・人〳〵尓　　さけしひそ2しな2として・を能徒可ら2物わ春 0083︻しひそし︼－殺也　つよく酒をしゐてうれへしめたる心ナリ　　連しぬへき夜のさ満な2り・い多く深行　　まゝに者万風春ゝしうて・月裳いり　　可多尓な2る満ゝ尓・すミ万さり・志つ1可な2る本と　　尓・御物語のこりな2くきこ盈て・この1浦尓　　す見ハしめし本との心徒可ひ・後の世を徒と﹂︵21ウ・456①︶　　むるさ満・可きく徒しきこえ2て・この1む春 0084︻むすめ︼－明石上事　　めの1ありさ満とハす可多り尓きこ遊・お可し 0085︻おかし︼－源心中　　きものゝさす可にあハれときゝ給・布しも1 　　阿り・いととり申か多き事な2れと王可きミ 0086︻いととり申かたき︼－入道詞 0087︻わかきミ︼－源　　かうおほえ2な2きせ可い尓・可り尓てもうつ1ろひ　　おハしまし多るハ・もしとしころお1いほうし　　のいのり申侍・神仏能あ者れひお1ハしまして・　　志ハしの1本と御心越もな2やましたてまつる　　尓やとな2んおもふたまふる・そ2の1ゆゑハ春　　みよしの可ミを・たのミ者しめ多てまつりて・﹂︵22オ・456⑥︶　　この1十八ねん尓な2り侍ぬ・めの王ら2はい登 0088︻めのわらは︼－むすめの事なり　　きな2う侍しよ里・おもふ心侍て2としこ2と　　能春秋こ2と尓可な2ら須1・可能御や︵△△＆1御や︶しろ尓まい　　類こ2とな2む侍・ひるよるの六時能徒とめ　　尓・ミつ可ら2の者ち春能うへのね1可ひをハ　　さるも1能尓て・多ゝこの1人をた可き本い可　　な2へたまへとな2ん・ね1んし侍・さ起の1よ能ちき　　里徒多な2くてこそ・かくくちお1しき山　　可つとな2り侍氣め・をや大臣のくら2井を 0089︻をや大臣︼－入道　　たもち堂まへりき・ミつ可ら2かく井な2可﹂︵22ウ・456⑪︶　　のたミとな2り尓て侍り・徒き〳〵さのミお　　とりまから︵□＃＝ら︶は・な尓1の身尓可な2り侍ら2んと　　かな2しく思侍を・これハむまれしと起　　よ里・多のむとこ2ろな2ん侍・い可尓1して宮　　この1た可き人尓多てまつら2んと思ふ心　　布可き尓よ里・本と〳〵尓徒氣てあま多 0090︻ほと〳〵につけて︼－わか紫の巻に代〳〵の国のつかさなとさる心はへみすれとさらにうけひかすとあり　あまたの人のそねミをふとハこの事なり　　のひとの・そね1ミをおひ・見の多め・可ら2き　　め越ミるをり〳〵もお本く侍連と・佐ら1尓　　くるしミとおもひ侍ら2す・命の可起りハ　　せ2者き衣尓も1者くゝみ侍な2む・閑く﹂︵23オ・457②︶ 0091︻せはき衣にも︼－＼<朱合点>　後拾遺いとけなき衣の袖ハせはくともこふのうへをハなてつくしてん　公任<右>︵後拾遺434・公任集555、花鳥余情・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚︶　同　おもひやれ△︵△＃また︶鶴の子のおさなきを千代もとなつる袖のせはき越　藤三位<左>︵後拾遺444︶　　な2可ら2見春て侍なハ・浪の1な2可尓1もまし　　里う勢ね1とな2んをきて侍な2と春へて　　まね1ふ遍くもあら2ぬこ2とゝも越うちな2 　　きうちな2きき2こ遊・君も物をさ満〳〵 0092︻君も︼－源氏　　おほし徒ゝくるおり可ら2は・うち涙くミつゝ　　きこしめす・よこさ満の徒ミ尓あ多りて　　思日可氣ぬせ可いにたゝよふも・な尓1の徒ミ　　尓可とお1ほつ可な2く思日徒る・こよひ農御　　物可多り尓・きゝあ者春れハ・け尓あさ可ら2ぬ　　さ起の世能ちきり尓こ2そハと哀尓な2む・﹂︵23ウ・457⑦︶　　な2と可ハかく佐多可尓思日志り給个るこ2と　　を・いまゝてハ徒希給者さり徒ら2む・都ハ　　な2れし時よ里・世のつ年な2起もあちき2 　　な2う・おこな2ひよりほ可の1事な2くて・月日　　をふる尓・心もみな2くつ1を連尓个り・かゝる人　　物し給とハ・本のきゝな2可ら2い多つら2人をハ・　　ゆゝ志起物尓こ2そおもひ春て給ら2めと・思日　　くしつる越・さら2ハみち日き給へき尓こ2そ　　あな2連・心本そ2き日とりね1の1な2くさめ尓　　も1な2との給を・可起りな2くうれしと思へり﹂︵24オ・457⑫︶ 0093︻かきりなく︼－入道　　　　日と里ね1ハ君も志りぬやつれ〳〵と 0094︻ひとりねハ︼－明石入道　　思日あ可しの1うら2さひしさをまして年　　月おもひ給へ王多る・いふせ2さ越をし者可　　らせ給へときこ遊類希者ひ・うち王な2ゝ　　き2多1れと・さ春可尓ゆへな2可ら2春・され1とうら2 0095︻されとうらなれ︼－＼<朱合点>　浦なれたるや浦の浦哉風ハふかねとさゝら浪立　葛城　催馬楽︵出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　な2れ給へら2む人ハとて　　　　堂ひこ2ろもうら2可な2しさ尓1あ可し可ね1 0096︻たひころも︼－けんし　　草の1枕は夢もむ春者須1とうちみ多れ　　給へる御さ満ハ・いとそ2あいきやう徒き・いふ　　よしな2起御氣者ひな2る・数志ら2ぬ事とも﹂︵24ウ・458④︶　　きこ盈徒くし堂れと・う類さしやひ可　　こ2とゝも尓1可起な2し多1連ハ・いとゝをこ尓1 　　可たくな2しき入道の1心ハへも・あら2ハれぬ　　遍可めり・おもふこ2と可つ〳〵可な2ひぬる心ち 0097︻おもふこと︼－源心入道ノ心歟　　して・春ゝ志う思日ゐ多る尓・又の日農ひる　　徒可多を可へ尓御文徒可ハす・心者つ可しき2 　　さ満な2めるも・中〳〵可ゝ類物の1くま尓1そ2 　　思日の本可なるこ2ともこもるへ可めると・心徒　　可ひし給て・古万のくる見色の可ミ尓盈 0098︻くるみ色︼－面薄青裏白　　な2ら須1・日起徒くろひて2﹂︵25オ・458⑨︶　　　　をち古ちも志らぬ雲ゐ尓な2可め王ひ 0099︻をちこちも︼－源氏　　可すめし屋との木春衛をそ2とふおもふ尓 0100︻おもふにハ︼－＼<朱合点>　古今おもふにハしのふる事そまけにける色にハいてしと思ひし物を　業平︵古今503・古今六帖2682、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　ハ・と者可りやあり个ん入道も人し連須1 　　まちきこ遊とて・かの家尓きゐ多り　　个るも志る氣れハ・御徒可ひいとま者遊き　　まてゑ者す・御返いとひ佐し・うち尓いり　　てそ2ゝの可せ2とむ春めは佐ら尓き可す・　　者つ可し希な2る御文のさ満尓・佐しいてむ　　て徒きも・者つ可し︵＋○う︶徒ゝまし人能御程・　　我身の本と思日︵日＃＝丹︶こよな2くて・心ちあしと﹂︵25ウ・458⑭︶　　てよりふしぬ・いひ王日て入道そ2かく・いと 0101︻かく︼－返事　　可しこき2ハゐな2可日て侍るたもと尓徒ゝ見 0102︻たもとにつゝみ︼－＼<朱合点>　うれしさを何につゝまんから衣たもとゆたか︵か＋ニ︶たてといはましを<右>︵古今865・新撰和歌317・古今六帖3276、河海抄・一葉抄細流抄・岷江入楚︶　うれしさ越昔ハ袖につゝみけり今夜ハ身にもあまりぬる哉<左>︵新勅撰456・和漢朗詠773、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　あ万里ぬる尓や・佐ら2尓見多まへもをよ　　ひ侍ら2ぬ可しこさ尓な2ん・さるハ　　　　な2可むら2んおな2し雲ゐをな可むるは 0103︻なかむらん︼－入道返し　　思日もおな2し思日な2るら2無とな2ん見給る　　いと春起〳〵志やときこ盈多り・みちの　　く尓かミ尓い多うふるめ起多れと・可きさ満　　よし者ミ多り・氣尓1も春起多1る可な2と　　めさ満しうみ給・御つ可ひ尓なへ亭な2ららぬ﹂︵26オ・459④︶　　堂万もな2と可つけ多り・又の1日せ2んし可き 0104︻たまも︼－＼<朱合点>　伊勢の海に年へてすミし海人なれとかゝる見るめハかつかさりしを　いせ︵後撰1279、河海抄・孟津抄・岷江入楚︶ 0105︻せんしかき︼－宣旨かきとハ仰かきなり　さきの文を入道のかきたるをいふナリ　　ハ見志ら2須1な2んとて　　　　い婦せ2具も1古ゝろ尓もの越な2やむ可な2 0106︻いふせくも︼－源氏　　やよやい可尓とゝ婦人もな2ミい日可多ミとこ 0107︻やよやいかに︼－古今やよやまてやよ時雨　ヤマ也︵古今152・古今六帖4446・小町集7、河海抄・孟津抄・岷江入楚︶ 0108︻いひかたミ︼－＼<朱合点>　恋シトモマタ見ヌ人ハイヒカタミ心ニ物ノナケカシキ哉︵出典未詳、花鳥余情・孟津抄・岷江入楚︶　　の多1ひハいとい多1うなよひ多1るう︵△＆う︶すやう 0109︻なよひたるうすやうに︼－うつくしき紙をいふ　　尓・いとう徒くし氣尓可きたまへり・王可起　　人能めてさら2むも1いとあまりむもれい多　　可ら2無・めてたしとハみ連と・な2春ら2ひな2ら2 　　ぬ身の1程のいミしう・可ひな2个れハ中〳〵　　世尓あるものと多つ年志り給尓つけて2・﹂︵26ウ・459⑩︶　　涙くまれて2・佐ら2尓連いの1とうな2き2を・ 0110︻とうなき︼－動　　せ2めてい者れて2・あさ可ら2す志め多るむら2 0111︻せめて︼－入道ニ責ラレテ 0112︻しめたる︼－たき物にしめたる也　　さ起の1可ミ尓・春見徒きこくう春く万　　きら2ハして2 　　　　おもふら2んこゝろ︵ろ＋○の︶ほとやゝよい可耳 0113︻おもふらん︼－明石上　　ま多見ぬ人能きゝ可な2やま無ての1 0114︻また見ぬ人︼－明石上　我身事　　さ満可きたるさ満な2と・やむこ2とな2き2人尓　　い多1うをとるましう上春め起多り・京の　　こ2とおほえ2て・お可しと見給へと・うち志き　　里て徒可者さむも1人めつゝ︵ゝ＃つ1＆徒<朱墨>︶まし个れハ﹂︵27オ・460①︶　　・二三日遍多て徒ゝ・つれ〳〵なる夕くれもし　　ハ物あ者れなる明本のな2とやうに・ま起ら2 　　ハして・お1り〳〵おな2し心尓見し里ぬへ　　き程・をし者可りて可起可ハし給尓・に氣　　な2可ら2春心布可う思日あ可り多1る个しき　　も1見亭ハ・やましとおほ春物可ら2・よし　　きよか羅うしていひし遣志きも・めさ満 0115︻らうして︼－領　　志う年比心つけて2あら2むを・めの1ま遍　　尓思日た可へんも1いとおしう・おほしめくら2 　　されて・人すゝミまいら2は・さる可多尓ても﹂︵27ウ・460⑤︶　　ま起ら2ハしてんとおほせ2と・女者多中〳〵　　やむこ2とな2き2き者︵△＆者︶の人よ里も・い多1う　　思日あ可りて・ね1多け尓1もてな2しきこ盈　　多1れハ・心くら2遍尓てそ2春起个る・京の1こ2と　　をかく関遍多1ゝりてハ・いよ〳〵お本徒可な2 　　く思日きこ盈給て・い可尓せ2満したハふ 0116︻たハふれにくゝ︼－＼<朱合点>　ありぬやと心ミかてらあひミねハたわふれにくきまてそ恋しき︵古今1025、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　連尓1くゝも1ある可な2志のひてや・む可へ堂 0117︻しのひてや︼－紫上の事也　　てまつりてましとおほしよハるをり〳〵　　あれとさりとも1可くてやハとしを可さ　　ね1んと・い万佐ら2尓人王ろき事をハと﹂︵28オ・460⑩︶　　おほし志つ1め多り・そ2の1としおほや遣　　尓ものゝ佐とし志起りて2・物さハ可しき2 　　事おほ可り・三月十三日可みな2り日ら2 0118︻三月十三日︼－これハ須磨にての事也　　め起・雨風さハ可しき夜み可と能御夢　　尓・院の御門御まへの見者しの1もと耳 0119︻院の御門︼－桐　　多1ゝせ2給て・御氣しきいとあしうて・尓　　らみきこ盈させ給を・閑しこま里てお　　ハしま春・きこ盈させ給こ2とも1おほ可り　　源氏の御事な2り个ん可し・いとおそろし 0120︻いとおそろしう︼－朱　　ういとおしとおほし亭・き佐き尓きこえ2﹂︵28ウ・461①︶ 0121︻いとおし︼－源シ 0122︻きさき︼－大后　　させ給个れハ・雨なとふり空み多れ多1る　　夜ハ思な2しなるこ2とは佐そ侍る・可ろ〳〵　　志きやう尓お1ほしおとろくましきこ　　とゝきこ盈給・尓1ら2ミ給志尓め見あハ 0123︻にらミ給し︼－桐　　せ2給と見し希尓や・御め△︵△＃︶王徒らひ給 0124︻御めわつらひ︼－朱雀院の御目わつらひ給ふ事ハ三条天皇即位の後御耳目あきらかならさる事をおもひよせたり　それハ民部卿元方の霊又寛算供奉か霊ともいへり　　て・多1へ可多うな2やミ給・御徒ゝ志見内尓　　も1宮尓も可起りな2くせさ勢給・お1ほ 0125︻おほきおとゝ︼－二条太政大臣　　き2おとゝうせ2給ぬ・こ2とハりの1御よ者ひ　　な連と・徒き〳〵尓をのつ可ら2さ者可し　　きこ2とある尓・大宮も・そ2こ者可とな2う王﹂︵29オ・461⑥︶ 0126︻大宮︼－大后　　徒ら2ひ給て・程ふれハよハり給やうなる・　　内尓お1ほしな2けくこ2とさ満〳〵な2り・な2を　　此源氏の1君満こ2とにお可しな2き尓1て2・ 0127︻おかし︼－犯　　可く志徒無な2ら2は・可な2ら2春この1むくひ　　ありな2んとなむおほ盈侍・いまは猶も　　との1くら2井をも多1まひてむと・多ひ〳〵　　お本しの給を・世の1もとき可ろ〳〵志き　　やうなるへし・徒ミ尓おちて都をさりし　　人を三ね1んを多尓春くさす・遊るされむ 0128︻三ねん︼－獄令云凡流移人至配所六載以後聴仕即本犯不応流而特配流者三載以後聴仕　　こ2とハよの人も・い可ゝいひつ多へ侍ら2んな2と・き﹂︵29ウ・46１⑪︶　　さ起か多くいさめ給尓・お1ほし者ゝ可るほと　　尓月日可さな2りて・御な2やミとも1佐万〳〵尓　　をもりまさら2せ給・あ可し尓1連いの1秋・濱　　風のこ2となる尓日とりね1も満めや可尓　　物王ひしうて・入道尓もおり〳〵か多ら2ハせ　　給・と可くま起ら2ハして・こち万いら2勢よと　　の多まいて・王多り給ハむこ2と越ハある万　　志うお本し多1る越・佐うし見・ハ多・佐ら2尓 0129︻さうしみ︼－明石上事　　思多つ1遍具もあら2春・いとくちお1しきゝ　　ハの1ゐ中人こ2そ・可り尓く多り多1る人能﹂︵30オ・462②︶　　うちと遣こ2と尓1徒きて・さやう尓可ろら2可尓　　か多ら2婦者︵者＄＝王︶さをも春な2れ・人数尓もお本　　さ連さら2ん物ゆへ・王れハいみしき物思日　　をやそ2遍ん・可くをよひな2き2心越おもへ　　類おや多ちも1・よこもりて・すく春年 0130︻よこもりて︼－世にこもりゐたるをいふ又人のおさなき程をも世こもるといふ　　月こ2そ・あいな2多1のミ尓・行春ゑ心尓1くゝ　　思ら2め・中〳〵な2る心をや徒くさむと・思日　　て・多ゝこの1浦尓をハせ2ん程・可ゝる御文者　　可りをきこ盈可ハさむこそ・をろ可な2ら2 　　ね1・年比をと尓のミ聞て・いつ可ハさる人﹂︵30ウ・462⑦︶　　能御ありさ満を・ほの1可尓1も見多てまつ　　らんな2と思日可けさ里し御春まゐ尓て　　ま本な2ら2ね1と・本の可尓1も見多てまつり・　　よにな2き2物ときゝ徒多へし御こ2と能ね1 0131︻御こと︼－琴　　をも・風尓つけて2きゝ明くれの1御ありさ　　満お1ほつ可な2可ら2て・可くまてよ尓1ある物　　とお本し多つ1ぬるな2とこ2そ2・かゝ流あま　　のな可尓くちぬる身尓あまるこ2とな2 　　連な2とおもふ尓・いよ︵△＆よ︶〳〵者徒可しうて・　　露も遣ち可きこ2とは・思日よら2す・おや﹂︵31オ・462⑫︶　　多ちハ古ゝ羅の1年比の1いのり能可な2ふ 0132︻こゝら︼－多　　遍きを思日な2可ら2・遊くり可尓見せ2多て　　まつりてお本し数まへさらん時・い可な累　　なけきを可せ2んと思やる尓遊ゝし具　　亭・めて多き人ときこ遊とも徒ら2う　　い見しうもある遍き哉・め尓1もみえぬ　　仏神を多のミ多てまつりて・人の御心を　　も1すくせ2をも志ら2てな2と・うち可遍し　　思日み多れ多り・君ハこの1比能波のをと 0133︻君︼－源氏　　尓・可の1物のね1をき可者や・さら2すハ可ひな1﹂︵31ウ・463・③︶　　くこ2そ1な1とつ年ハの給・志のひてよろしき　　日ミて・者ゝ君の1と可く思日王つら2婦をき 0134︻思ひわつらふ︼－明石上　　きいれ春・てしともな2と尓多尓志ら2せ2す・ 0135︻てしとも︼－弟子入道のゆへにいふ　　心日とつ尓多1ちゐ閑ゝやく者可り志徒ら2 　　ひて2・十三日の1月の1花や可尓佐しいて多る　　尓・堂ゝあ多ら2夜能ときこ盈多り・君盤 0136︻あたら夜の︼－＼<朱合点>﹁あ多ら2夜の月と花とをゝな2しくハ／阿ハれ志れらん人尓見せハや<朱>﹂︵付箋01　後撰103・信明集99、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　万葉に新夜とも又悋夜ともかけり　　すきの1さ満やとおほせ2と御な2越し多て　　まつり日起徒くろひて・夜ふ可して2いて給・　　御くる万はになく徒くり多1連と・所せ2し　　とて御むま尓て出給・これミつ1な2と者可り﹂︵32オ・463⑦︶　　を佐ふら2者せ給・やゝと越くい流所な2り　　个り・みちの程もよもの浦〳〵見わ多し　　給て・おもふとちみ万本しき2入江の1月 0137︻おもふとち︼－＼<朱合点>　六帖　おもふとちいさ見にゆかん玉津嶋入江の底にしつむ月かけ︵出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　影尓も1・まつこひしき人の1御事を思日　　出きこ盈給尓・や可てむ万日き春起て 0138︻むまひきすきて︼－すくに都へのほらはやとおもひ給ふナリ　　おもむきぬへくおほ春　　　　秋の1よの月氣能こ満よ王可こふる 0139︻秋のよの︼－けんし岡の道にて　久方の月毛の駒を打はやめきぬらんとのミ君を待かな︵古今六帖1430、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　雲ゐを可け連ときの1まもみんとうち　　日とりこ多1れ給・徒く連るさ満こふ可くい 0140︻ひとりこたれ給︼－都の事也　　たき所まさりて2見所ある春ま井な2り・﹂︵32ウ・463⑫︶　　うミの1徒ら2ハい可めしうお1もしろく・これハ　　心ほそ2くすミ多1るさ満・こゝ尓1ゐて思日　　のこ須こ2とはあら2しとお1ほしやら類ゝ尓1 　　物哀な2り・三昧多1うち可くて可ね1の1聲 0141︻たう︼－堂　　松可勢尓日ゝきあ日て・物可な2しうい者 0142︻いはにおひたる︼－古今　たねしあれは︵古今512・古今六帖2556、源注拾遺・源注余滴︶　　尓おひ多1る松の1根佐しも1心者へあるさ満　　な2り︵り＋○前栽とも尓虫の1こゑを徒くし多り︶古ゝ可しこのありさ満な2と御覧春・　　む春めすませ多1る方ハ心こ2と尓み可きて　　月い連多るま木の1戸くち氣しきこ2と︵こ2と＃︶ 0143︻月いれたる︼－＼<朱合点>　槙の戸をやすらひにこそさゝさらめいかに明ぬる秋の夜ならん<右>︵出典未詳、奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　月いれたる槙戸口ハ源氏第一詞と定家卿ハ申侍ると也<左> 　　尓︵尓＃者かり︶をしあけ多り・うち屋春ら2ひな2尓1可と能﹂︵33オ・464③︶　　給尓1も・かうまてハ見盈多てまつら2しと　　布可う思尓1・物な2氣可しうてうちと遣ぬ　　心さ満を・こよな2うも1人めき多る可な2・さし　　もあるましき2きハの1人多尓1可ハ可りいひ　　よりぬ連ハ・心徒ようしも1あら須1な2ら2ひた　　里しを・いと可くやつれ多る尓あな2徒ら2ハしき　　尓やと・ね1多うさ満〳〵尓お1ほしな2やめり・　　なさけな2うをし多ゝむもこ2とのさ満尓1 　　た可へり・心くら2遍尓ま个んこ2そ人王ろ氣　　連な2と見多れうら2見給さ満・遣尓物思日志﹂︵33ウ・464⑨ 　　らむ人尓こ2そ2みせ2万本し个れ・ち可起木　　丁の1ひも尓佐うのこ2との1日きな2ら2され　　多1るも1・氣者ひ志と氣な2くうちとけな2 　　可ら2・かきまさくり个る程みえ2てお可し希　　連ハ・この1きゝな2ら2し多1るこ2とをさへや 0144︻きゝならしたる︼－このほと入道の物かたりにせし事なとをかたり給ふ也　　なとよろつ1尓の多まふ　　　　む徒こ2と越可多りあ者せ2む人も可な2 0145︻むつことを︼－けんし　六帖　今更にむつことのねに引かゝりこけの山路をわすれやらなん︵古今六帖1447、河海抄・孟津抄・岷江入楚︶　　うき世の1夢もな2可ハさむやと　　　　あ氣ぬ夜尓や可てまと︵と＃と︶遍る心尓1ハ 0146︻あけぬ夜に︼－明石上　　いつれを夢とわきて可多ら2無本の可な2る﹂︵34オ・464⑭︶　　氣者ひ伊勢のミや春所尓いとようお1ほ　　え多り・な尓1心もな2くうちとけてゐ多り 0147︻なに心もなく︼－明石上　　个る越・かう物おほえ2ぬ尓いとわりな2くて・ち可　　可り个る佐うしの1うち尓入て2・い可亭可多め 0148︻さうし︼－障子　　个る尓可・いと徒よ起を・志ゐて2もをし堂 0149︻をしたち︼－源ノ　　ち給者ぬさ満な2り・されとさのミもい可て可　　あら2無・人さ満いとあて尓そ2ひ遍て心者つ　　可しき2氣ハひそ2志多1るかうあな2可ちな2り　　个る契をお1ほ春にも1・あさ可ら2須1阿者れ　　なり御心さしの1ち可満さり春るな2るへし・﹂︵34ウ・465⑥︶　　徒ね1ハいとハしき夜の1な2可さもとく明ぬ　　類心ち春れハ・人尓志ら2れしとお1ほ春も1 　　心あ者多1ゝ志うて・こま可尓1閑多ら2ひをき　　ていて給ぬ・御文いと志のひて2そ2个婦ハある 0150︻御文︼－明石上　　あひな2き2御心の1お尓1なりや・古ゝ尓1も可ゝる 0151︻あひなき御心のおに︼－京のきこえなと思給ふをいふなり　　こ2とい可てもら2佐しと徒ゝミて御つ可ひこ2と　　こと志うも・もてな2さぬをむ︵＋○ね1︶い多くおも　　へり・かくて後ハ志のひつゝ時〳〵おハ春程　　も・春こし者な2れ多る尓をのつ可ら2物いひ　　さ可な2き2あ万の古もや・多ちましらん登﹂︵35オ・465⑪︶　　お1ほし者ゝ可る程を・され者よ登思日な2け　　き多1る越・遣尓い可な2ら2むと入道も極　　楽の1ね1可ひをハ忘て・多1ゝこの1御个しき2 　　をまつこ2と尓1ハ春・い万佐ら2尓心越見多るも・　　いと〳〵おし氣な2り・二條の君の1風能つ1 0152︻二条の君︼－紫　　て尓ももりきゝ給者む事ハ多1者ふ連尓　　ても心の1・遍多てあり个ると思うと満連　　多てまつら2ん・こゝろくるしう・ハ徒可しう　　おほさるゝ裳・あな2可ちなる御心佐しの本　　とな2り可し・可ゝ類方能こ2と越を︵を＃<朱墨>︶ハ︵ハ＆ハ︶さす可尓﹂︵35ウ・466②︶　　心とゝめてうら2見給遍里しお1り〳〵な2とて・　　あやな2き春さひこ2と尓つけても・︵＋○さ︶思ハれ堂　　てまつり个むな2とゝ里可へさ満ほしう人　　能ありさ満をみ給尓つけても・こ2ひしさの1 　　なくさむ可多な2氣連︵＋○ハ・︶れ1いよりも御文　　こまや可尓1可起給て・満こ2とや王れな2可ら2心 0153︻まことや︼－文詞　　よりほ可なる猶佐りこ2と尓て・うとまれ多て　　まつりし布し〳〵を思出︵＋ル<朱>︶佐へ・むね1い多き　　尓又あやしうも能者可な2き夢をこ2そみ　　侍し可・かうきこ遊ると者春可多り尓・遍多﹂︵36オ・466⑦︶　　てなき心の1程ハお1ほしあ者せよ・ち可ひし 0154︻ちかひしことも︼－＼<朱合点>﹁忘れしとち可ひしことを︵の＆を<墨>︶あやまたは︵多春ハ＆たす<墨>︶／み可さの山能神もこ2とハれ<朱>﹂︵付箋02　出典未詳、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　こ2とも1な2と可起て・な尓こ2とにつけて2も　　　　志ほ〳〵とまつそな2可類ゝ可りそ2めの1 0155︻しほ〳〵と︼－源氏何事に付けてもにつゝけてしほ〳〵と 0156︻かりそめの︼－あかしのうへの事也　　みるめハあ万能すさひな2れともとある御　　返な尓心な2く羅う多遣尓可起て・者て尓︵者て尓＃︶　　忍日可年多1る御夢可多り尓つけて2も・思日 0157︻忍ひかねたる︼－これハ二条の君の返事の詞也　　あハせらるゝこ2とお1ほ可るを　　　　うら2な2くも思日个る可那ち起りしを 0158︻うらなくも︼－紫の上也　心に表裏なきをいふ　　松より波ハ古盈し物そ2とおひら可なる 0159︻松より波ハ︼－古今　君ををきてあたし心を︵古今1003、花鳥余情・休聞抄・孟津抄・岷江入楚︶　浦ちかくふりくる雪ハ白波ノ末ノ松山コスカトソミル︵古今326・拾遺集239・古今六帖717・興風集7・63・寛平后宮歌合143、孟津抄・岷江入楚︶　　物可ら2多1ゝな2ら2須1可春め給遍るを・いと哀尓﹂︵36ウ・466⑫︶　　うちを起閑多くみ給て・な2こりひさしう・　　志のひの1旅ね1も1志給ハす・女思しも1 0160︻しのひの旅ね︼－明石ノ上と 0161︻女思しも︼－明石上心中ありさま　　志るき尓・いまそ2満こ2と尓身もな2け徒へ 0162︻身もなけつへき︼－<合点>　拾おなしくハ君とならひの池ニこそ身もなけつとも人にきかれめ　興風︵後撰855・古今六帖1678、異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　たつねくる身をしとわすハよさの海に身もなけつへき心ちこそすれ︵出典未詳︶　　き心ち春類行春ゑ見し可けな2るお1 　　や者可りを堂のもしき物尓て・い徒の世　　尓人な2見〳〵尓なるへき身と思者さり　　志可と・多1ゝそ2こハ可とな2くて・春くし徒る　　とし月ハな2尓1こ2と越可心をもな2やまし　　个む・かうい見しう物思者しき世耳こ　　そ2あり个れと・閑ね1亭をしハ可り思日し﹂︵37オ・467④︶　　よりも1よろつ1尓可な2し个れと・な2多ら2可尓1 　　もてな2して・尓1く可ら2ぬさ満尓見え2多1て　　まつる・あ者れとハ月日尓そ2へておほしま 0163︻あはれと︼－源心中　　せ2登・やむこ2とな2き2か多の1おほつ可な2く 0164︻やむことなき︼－紫　　て・年月を春くし給ひ︵△＆1ひ︶・多1ゝな2ら2須1うち　　思日をこ勢給ら無可・いと心くるし个れハひ　　とりふし可ち尓て春くし給・ゑを佐万〳〵 0165︻ゑを︼－源　　可起あつめて思こ2とゝも越可きつけ・返こ2と　　き具へき2さ満尓志那し給へり・みむ人能　　心尓志見ぬ遍き2物の1さ満︵＋○なり・︶い可て可空尓﹂︵37ウ・467⑨︶　　かよ婦御心な2ら2無・二條の1君裳物あハれ尓 0166︻二条の君︼－紫　　なくさむ方なくお1ほ盈給おり〳〵おな2 　　志やう尓ゑを可きあつ1め給徒ゝ・や可て我　　御ありさ満尓き2の1やう尓可起給遍り・い可 0167︻にき︼－日記　　なるへき御さ満とも尓可あら2無・年可ハ 0168︻年かハりぬ︼－源氏廿七になり給ふ也　　里ぬ・内尓御く春りの1こ2とあり亭世中　　佐万〳〵尓の1ゝ志類・多1う堂いの1御こハ右 0169︻たうたい︼－朱　　大臣の1む春め・承香殿の女御の御者羅 0170︻むすめ︼－鬚妹　　尓・お1とこ見こむまれ給遍る二尓な2り給 0171︻おとこみこ︼－今上 0172︻二に︼－二歳事始具也　　へはいとい者氣那し・春宮尓こ2そハ遊つ﹂︵38オ・467⑭︶ 0173︻春宮︼－冷ー　　里き2こ盈給者め・おほや氣の1御うし　　ろミをし世をまつりこ徒遍き2人を・お1 　　本しめくら2春尓1この1源氏の可く志つ1見　　給こ2と・いと阿多ら2志うあるましき2こ2と那　　連盤・徒ゐ尓后の御いさめ越・そ2むきて・遊　　類され給遍き佐多めいてきぬ・こ2そ2より　　后も御物の氣な2やミ給い・さ満〳〵の物の1 　　佐としゝきり・さハ可しき2をい見しき2 　　御徒ゝ志ミとも1をし給志類し尓や・よろ　　志うおハしまし个る・御めの1なやみさへこの﹂︵38ウ・468⑤︶ 0174︻御めのなやみ︼－朱ー　　比をもくな2ら2せ2給て・物心ほそくおほさ　　連个れ盤・七月廿よ日の程尓又可さね　　て京へ可へり給へき宣旨く多る・徒ゐ能こ 0175︻つゐの︼－遂　　とゝおもひ志可と・よのつ年な2き尓つけて2も1・　　い可尓な2り者つ1遍き︵＋○尓︶可となけき給を・可う　　尓ハ可な2れハ・うれしき尓そ遍ても・又こ能　　浦を今者と思者な2れ無こ2と越お1ほし　　なけく尓・入道佐るへき事と思日な2 　　可ら2うちきくよりむ年ふ多可りてお本　　遊連と・思日の1ことさ可へ給ハゝこ2そ2ハ・我お1﹂︵39オ・468⑩︶　　も1ひの1かな2婦尓ハあら2めな2と思日な2越春・　　そ2のころハよ可なれなくか多ら2ひ給・六月者　　可りより心く類しき个しきありてな2や 0176︻心くるしきけしき︼－みな月の比より明石の上たゝもなくなり給ふ也　　見个り・かく王可連給へき本とな2れハ・あや　　尓1くなる尓屋あり个むありしよりも哀　　尓お本して2・あやしう物思へき身尓も有　　个る可那とお本しみ多る・女ハ佐ら尓1もい者　　春おもひ志つ1ミ多りいとこ2とハりな2りや・　　思日の本可尓可那しき見ち尓い亭多ち　　給し可と・徒ゐ︵＝イ<朱>︶尓ハ行めくりきな2無と・可﹂︵39ウ・469①︶　　徒ハおほしめも︵めも＃︶な2くさめき・この1多ひハ　　うれしき方の1御いて多1ち能・又や者帰　　みるへきとお1ほ春尓あハれな2り・さふら2婦　　人〳〵ほと〳〵尓徒氣て2盤・よろこ2ひ　　おもふ京よりも1御む可遍尓人〳〵万いり・　　心地よけなる越あ類しの入道涙尓1 　　くれて・月も多ちぬ程さへ哀な2る空の 0177︻月もたちぬ︼－七月になる也 0178︻程さへ哀なる空︼－これよりハ源氏の君の御心といふ　　氣しき尓・な2そや心徒可ら2今も昔も　　春ゝろなる事尓て身をハふら2可春ら2無　　と・さ満〳〵尓お本し見多れ多る越心志れる﹂︵40オ・469⑥︶　　人〳〵ハ・あな2にく・れいの1御具勢そと見多　　てまつりむつ可るめり月ころハ露人尓　　氣しき見せ2須1時〳〵者ひまきれな2と志　　給へるつれな2さ越この1比あや尓1く尓中〳〵︵＋○の︶　　人能心徒くし尓可と徒きしろふ・少納言 0179︻少納言︼－良清か事也　　志る人してきこ盈いてしハしめ能事な︵＋○と︶　　佐ゝめ起あ遍るを多1ゝな2ら2須1おもへり・あ　　さて者可り尓成て2連いの1やう尓い多1くも・　　ふ可さてわ多り給へり・さや可尓もま多み多　　万ハぬか多ちな2と・いとよし〳〵志う・氣多﹂︵40ウ・469⑩︶　　かきさ満してめさ満しうもあり个る　　可な2と・見春て可多くゝ地をしうお1ほ　　佐る・さ流遍きさ満尓1してむ可へむとお　　本しな2りぬ・さやう尓そ可多ら2ひな2くさめ　　給・おとこの1御可多ちありさ満者多佐ら2尓　　もいハ春・としこ2ろの御おこな2ひ尓い多く　　おもやせ2給遍るしも・い婦可多な2くめて多　　き御ありさ満尓て・心くるし遣な2る个しき　　尓うち涙くミ徒ゝ・あハれふ可く契給へる者・多　　た可ハ可りをさい者ひ尓1亭も・なと可や万﹂︵41オ・470②︶　　佐ら2むとまてそ2見遊めれと・め亭多1起耳　　志も我身の程をおもふも徒きせ2春・波の1 　　聲秋の1風尓ハ猶日ゝきこ2とな2里・塩やく　　煙可す可尓多1な2ひきて・とりあつめ堂る所　　のさ満な2り　　　　この1多ひハ堂ち王可るとももし本やく 0180︻このたひハ︼－源氏　　个ふりハおな2しか多尓な2ひ可むとの多まへハ　　　　かき徒めてあ万の1堂くも能おもひ尓1も 0181︻かきつめて︼－明石上　　いまは可ひな2き2うら2見多1尓せ2し哀耳　　うちな2起てこ2と春くな2ゝ類物可ら2・佐るへき﹂︵41ウ・470⑦︶　　ふしの1御いらへな2とあさ可ら2すきこ遊・こ 0182︻このつねに︼－詞　　のつね1尓遊可し可り給物の1ね1な2と・佐ら2尓　　き可せ多1てまつら2さり徒る越・いみ志う　　うら2見給・さら2は可多見尓も・志のふ者可りの　　一こ2と越多尓との給て・京よりもてをハし　　多りしきんの御こ2とゝ里尓徒可ハして・心　　こ2となる志ら2へを・ほの可尓可起な2らし給へ　　類・ふ可き夜の春めるハたとへん可多な2し・　　入道え多へて佐うの1こ2ととりて佐しいれ　　多り・身つ可ら2もいとゝ涙さへそゝの可され﹂︵42オ・470⑬︶　　て2とゝむへきか多な2起尓佐そ2者るゝなる　　遍し・志のひや可尓志らへ多る程いと上春め　　き多り・入道の宮の御こ2とのね1を多ゝいまの 0183︻入道の宮︼－薄　　又な2き物尓思日きこ盈多るハ・いまめ可し　　うあなめてたときく人の1心ゆきて・可多　　ち佐へ思やら2るゝこ2とハ・け尓いと可起りな2起　　御こ2とのね1な2り・これハあくまて日起春万　　し心尓1くゝね1多き2ね1そまされる・こ能　　御心尓多1尓ハしめてあハれ尓なつ可しう・ま多　　みゝな2れ給ハぬてな2と・心やましきほと尓﹂︵42ウ・471④︶　　日き佐し徒ゝ・あ可春お1ほさるゝ尓1も・月　　ころな2としゐても1・聞な2ら2さ佐り徒ら2無　　と・くやしうおほさる心の可起り行さ起　　の1契をのミ志給・きんハ又可起あ者する　　まての1可多ミに登の多まふおんな2 　　　　猶さり尓多1の1めをくめるひとこ2と越 0184︻猶さりに︼－明石上 0185︻ひとことを︼－琴によせたり　　徒きせ2ぬね1尓や可けて志の者んいふとも 0186︻ねにやかけて︼－なくねによせたり　　な2きくち春さひをうら2見給亭　　　　阿ふまての1可多見尓ち起る中能をの 0187︻あふまての︼－けんし 0188︻中のを︼－六より十まての緒をいふにや調子のをなるへし　　志ら2へハこ2とに可ハら2佐ら2な2無この1ね1た可﹂︵43オ・471⑨︶ 0189︻たかはぬさき︼－早速心　　ハぬさ起尓可な2ら2春あひみむと堂のめ給　　めり・されと多1ゝ王可れむ程の1王りな2さ　　をおもひむせ2ひ︵ひ＃︶多るも1いとこ2とハりなり・　　堂ち給あ可月ハ夜ふ可くいて給て御む可 0190︻たち給︼－源京へ七月　　へ能人〳〵も1さハ可し个れハ・心も空な2れ　　と人ま越・者可ら2ひて2 　　　　うち春てゝ堂つも可な2しきうら2波の 0191︻うちすてゝ︼－けんし 0192︻たつもかなしき︼－帰京の心をよせたり　　な2こりい可尓と思日やる可な2御可へり︵可へり＄＝返<朱>︶　　　　年遍徒るとま屋もあれてう起波の 0193︻年へつる︼－明石上　この哥の心ハうらみたる心ナリ　　可へる可多尓や身を多1くへましとうち思日﹂︵43ウ・472②︶　　个るまゝなるをみ給尓志のひ給へと・本ろ〳〵　　とこほ連ぬ・心志ら2ぬ人〳〵ハ猶可ゝる御春さ︵さ＃＝万︶　　ひな連と・とし古ろといふ者可りな2れ給へる　　を・い万者とおほ春ハ佐もあるこ2とそ可し　　なとミ多て2まつる・よしきよ△︵△＃︶な2とハを　　ろ可な2ら2春・おほ春な2無めり可しと尓1くゝ　　そ2思・うれしき尓1も氣尓个ふを可起り尓・　　このな2起さ越わ可るゝこ2とな2と哀可りて　　くち〳〵志本多れい日︵△＆1日︶あへる事とも1あめ　　里・されとな2尓1可ハとてな2む・入道遣婦の1﹂︵44オ・472⑦︶　　御まうけいとい可めしう徒可うまつれり人　　人志もの志な2まて旅の1佐うそくめつら2 0194︻さうそく︼－装束　　しきさ満な2り・い徒の1ま尓可・しあ遍个無　　と見え2多り・御よそひハいふ遍くもあら2春・　　みそ2日つあま多可けた万ハす・満こ2との都　　のつと尓志徒へき御をくり物とも・遊へ徒　　きて思日よら2ぬく万な2し・氣婦多てまつる　　へき可りの1御佐うそ2く耳　　　　よ類波尓多1ち可さね多る堂ひ衣 0195︻よる波に︼－入道　　志本と个しとや人のいと者むとある越﹂︵44ウ・472⑫︶ 0196︻しほとけし︼－しほたれたる心ナリ　　御覧し徒氣て・さ者可し个れと　　　　閑多見尓そ2可ふへ可り个るあふこ2と能 0197︻かたみにそ︼－源氏　　日可す遍多てん中のこ2ろも越とて心佐し　　ある越とて多1てまつり可ふ・御身尓な2れ多る 0198︻御身になれたる︼－この用と御身になれたる御そを形見にとてとゝめおき給ふナリ　　とも越徒可者春・け尓いま日とへ志のハれ給へ　　きこ2と越そ2ふる形見な2めり・盈な2ら2ぬ御そ　　尓尓本ひの1うつり多1るを・い1可ゝ人能心尓も　　志めさら2無・入道いま者と世を者な2れ侍尓1し　　身な2れとも・个ふの1御をくり尓徒可うまつら2 　　ぬこ2とな2と申て・可ひを徒くるも・いと越し﹂︵45オ・473③︶　　な2可らわ可き人ハわ︵＋〇ら︶ひぬへし　　　　よ越う見尓古ゝ羅し本しむ身と成て 0199︻よ越うみに︼－入道　よ越いとふを海によそへたる也　　猶この1きし越盈こ2そ者な2れね1心のやミハ 0200︻このきし︼－このきしとハうき世のきしなり　　いとゝ満とひぬへく侍連ハ佐可ひまてた尓と 0201︻さかひまて︼－在所ノ　　きこ盈て・春起〳〵しきさ満な2れと・お本し　　いてさ勢給おり侍ら2ハなと・御遣しき給ハる　　・いミ志う物を哀とお本して所〳〵・うちあ可ミ 0202︻うちあかミ給へる︼－なかんとてハまつかほのあかくなるをいふなり　　給遍る御ま見の1王多りな2と・い者無可多な2 　　くみえ2給・思日春て可多起ちもあめれハ・　　い満いと・ゝく・ミな1越し給てむ・多1ゝこ能春﹂︵45ウ・473⑨︶　　見可こ2そ見春亭可多个れ・い可ゝすへきとて　　　　宮こいてし春の1な2けき尓1おとら2めや 0203︻宮こいてし︼－源氏　　登し布る浦を王可れぬる秋とてをしの　　こひ給遍る尓・いとゝ物お1ほえ春志本多れ満　　さる・多1ち井も1あさましうよろ本ふ・佐う 0204︻よろほふ︼－父母恩重経云阿嬢懐子十月之中起座不安擎重担飲不下如長病人　　志ミの心ち堂とふへき可多な2くて・可うし　　も人尓見盈しと思日志つむ連と・身の　　う起を・もと尓て王りな2き2こ2とな2れと・うち　　春て給遍るうら2見の屋るか多な2き2尓・　　堂氣きこ2とゝハ多1ゝ涙尓志つ1めり・者ゝ君﹂︵46オ・474①︶ 0205︻はゝ君︼－明石上母　　も1なくさめ王ひてハな尓1ゝかく心徒くし　　な2るこ2と越・思日そ1め个無春遍てひ可〳〵　　志き人尓志多可ひ个る・心の1をこ多りそ2登　　いふ・あな2可まやおほし春つ1ましきこ2とも1 　　物し給めれハ・佐りとも1お本春登こ2ろあら2無　　思な2くさめて・御悠な2と越た尓まいれ・阿な2 　　遊ゝしやとてか多すミ尓より居多り・め能　　と母君な2と日可める心越いひあ者せ徒ゝ・い　　つし可い可亭おもふさ満尓て見多てまつ　　ら無と年月を多1のミ春くし・いまや﹂︵46ウ・474⑦︶　　思可な2ふとこそたのミきこ盈つれ・心くる　　志き事をも・物ハしめ尓見る可な2とな2けく　　をみる尓もいとお1し个れハ・いとゝ本けられて・ 0206︻ほけられて︼－耄<ホレタリ> 　　ひるハ日ゝとひ・いをのミね1くら2し・よる者 0207︻ひるは日ゝとひ︼－一日ハぬる事はかりする心也　明石入道のありさま也　　すくよ可尓おきゐて・すゝの1行ゑも志ら2 　　春な2り尓个りとて・て越ゝし春里亭あふ 0208︻て︼－手　　き井多り・てしとも尓あ者めら2れて月夜 0209︻てし︼－弟子　　尓いてゝ行道春るものハ・やり水尓たふ連　　入尓个り・よしあるい者の1可多そ2ハ尓古しも　　徒き2そ2こな2ひて2・やミふし多る程尓な2ん・﹂︵47オ・474⑫︶　　春古し物ま起連个る・君ハな2尓1者の1可た尓 0210︻君は︼－源氏　　わ多りて御者ら2遍志給て・住吉尓もたいら2か可　　尓て色〳〵の願者多し申へきよし・御徒可　　ひして申させ給・尓者可尓所せう︵＋〇て・︶見徒可ら　　ハこの1多1ひ盈まうて給ハす・こ2となる御せ2う 0211︻せうえう︼－逍遥　　盈うな2となくて2いそ起ま︵ま＃︶いり給ぬ・二條　　院尓おはし︵＋〇まし<朱>︶徒きて・宮この人も御との人　　も夢の心ちしてゆきあひ・よろこひな2き2 　　とも遊ゝ志きまて多1ちさ者き多1り・　　女君も可ひな2き物尓お本し春て徒る命﹂︵47ウ・475③︶ 0212︻女君︼－紫上　　うれしうお1ほさるら2無も︵も＃︶かし・いとうつくし　　氣尓・ね1ひとゝの本りて御物思日の本と尓　　所せ2可りし御くしの春こし・つ1︵つ1＃へ︶可連多る　　志もいみしうめて堂き越・いまは可く亭　　みるへきそ2可しと・御心おち井る尓つけ亭・　　ハ︵ハ＆ハ︶又可能阿可春わ可連し人能おも遍りし 0213︻かのあかすわかれし人︼－明石上事　　さ満心くるしうおほしやらる・猶よ︵よ＆よ︶とゝも　　尓かゝ類可多尓て・御心の1いとまそな2きや・そ　　能人の1こ2とゝもな2ときこ盈いて給へり・お　　ほしいて多1る御遣しきあさ可ら2すみゆる﹂︵48オ・475⑧︶　　を・多1ゝなら2春や見多1てまつり給ら2ん・わさ　　とな2ら2す身をハ思ハ春な2と・ほの1め可し 0214︻身をハ思ハす︼－＼<朱合点>　拾わすらるゝ身をハおもハすちかひてし人の命のおしくもあるかな︵拾遺集870・拾遺抄351・古今六帖2967、大和物語118、源氏釈・奥入・異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　給そ2を可しう羅う多くおもひきこえ2給・　　可つみる尓多尓・あ可ぬ御さ満をい可て可〳〵︵可〳〵＃︶　　遍多て徒る年月そ2と・あさましきまて　　おも本春尓・とり可遍し世中もいとうら2め　　志うな2ん・ほともな2くもとの1御位あら2たまり 0215︻もとの御位︼－この間のくらゐハ参議の大将なれハすなハちその官位にあらたまりてやかて権大納言にあかり給ふ也　　て・数より本可能権大納言尓な2り給・徒き〳〵 0216︻数よりほかの権大納言︼－職員令大納言二人　寛平遺誡大納言勿過正権三人　　の人もさるへき可起りハもとの徒可さ返し　　給ハり世尓ゆるさるゝ本と・可れ多りし木能春﹂︵48ウ・475⑬︶　　尓あへる心ちしていとめて堂遣な2り・めしあり　　て内尓まいり給・御前尓さふら2ひ給尓・ね1ひ　　まさりて・い可て・さる物む徒可しき春ま井　　尓・とし遍給徒ら2無と見多てまつる・女房　　な2との院の御時さふら2ひて2・老志ら2遍類　　とも1ハ・可な2しくてい万佐ら2尓な2きさハき　　めてき2こ2遊・う遍も者つ可しうさへお本し　　めされて・御よそ2ひな2とこ2と尓1日起徒くろひ　　ていておハします・御心ち連いな2ら2て日こ　　ろへさせ給个れハ・い多うおとろへさせ給へるを・﹂︵49オ・476⑤︶　　昨日个ふそ2春こしよろ志うお1ほされ个る・　　御物可多り志めや可尓ありて夜尓入ぬ・十五　　夜能月おもしろう志つ1可な2る尓・む可し能　　こ2と可き︵＋〇徒<朱>︶くつ︵つ＃<朱>︶しお1ほしいてら2れて志本多 0217︻かきつくし︼－詞　　連させ給・物心本そ2くを本さるゝな2るへし・　　あそ2ひな2ともせ2す昔きゝし物の1ね1な2と　　も1・き可て久うな2り尓个る可な2な︵な＃︶と・の多満　　ハ春る耳　　　　わ多徒海尓しな2へうら2ふれ日類の1こ農 0218︻わたつ海に︼－＼<朱合点>　源氏　古今秋萩にうらふれおれハ足引の山したとよミ鹿そ鳴なる︵古今216、河海抄・孟津抄・岷江入楚︶ 0219︻ひるのこの︼－蛭の子をよめるハ三とせといはん為也　　あし多ゝさりし年ハ遍尓个りときこえ﹂︵49ウ・476⑩︶ 0220︻あしたゝさりし︼－かそいろハいかに哀とおもふらん三とせになりぬ足たゝすして︵和漢朗詠697、異本紫明抄・紫明抄・河海抄︶　　給へりいと阿者れ尓者つ可しうおほされて2 　　　　宮ハしらめくりあひ个ると起しあれ盤 0221︻宮ハしらめくり︼－御門返し　伊弉諾伊弉冊の尊天の御柱をめくりて一面にあひ給ふ事をいへり蛭の子足たゝぬともよせ侍り　　王可連し春の1うら2見のこす那いとな1万め　　可しき2御ありさ満な2り・院の1御多め尓八講お1 0222︻院の︼－桐　　こな2者るへき2こ2と・まついそ2可せ給・春宮　　を見多1てまつり給尓・古よな2くおよ春け　　させ給て・めつら2しうお1ほしよろこひ多る　　を・可起りな2く哀と見多てまつり給御さへ　　も古よな2具満さら2せ2給て2・世越たも多せ　　給者む尓・者ゝ可りあるましく閑しこく﹂︵50オ・477①︶　　み盈させたまふ・入道の1宮尓1も・御心春こ 0223︻入道の宮︼－藤壺　　志ゝ徒めて・御多いめんの程尓も哀な2る事と　　も1あら2む可し・満こ2とやかの1あ可し尓は可へ 0224︻かへる浪に︼－打おへりの人のかへりにつけて文やり給ふ也　　類浪尓・御文徒可ハす・日起可くして・こまや可　　尓かき給めり波の1よる〳〵い可尓 0225︻波のよる〳〵︼－＼<朱合点>　伊勢集　あまを舟われも思をつけてしを浪のよる〳〵まつと思ハん︵出典未詳、異本紫明抄・花鳥余情・休聞抄・孟津抄・岷江入楚︶　　　　な2けき徒ゝあ可し能浦尓あさ霧能 0226︻なけきつゝ︼－けんし　明石の浦をたちて都へのほるかと待給ふ心ナリ　　多つ1やと人を思日屋る可那かのそ2ち農　　む春め五節あいなく人し連ぬ物おもひ 0227︻物おもひ︼－まさる心にいへり　　さめぬる心ちして・まくな2き徒くら2せて2・さ 0228︻まくなき︼－摩愚那岐別可習也　　しを可勢个り﹂︵50ウ・477⑥︶　　　　春満の1浦尓心越よせしふ那人農 0229︻すまの浦に︼－五節君　　屋可てく多せ2る袖越ミせ2者やてな2とこ　　よな2く・満さり尓个りと見おほせ給て・つ1可　　者す　　　　帰てハかこ2とやせ2ましよせ多りし 0230︻帰てハ︼－源氏 0231︻かことやせまし︼－かこちやせまし也　　な2こり尓袖の1ひ可多可りしをあ可春を可 0232︻なこり︼－浪をいへり　後いたつらに立かへりにし白浪の名残に袖のひる時もなし︵後撰884・朝忠集12、異本紫明抄・花鳥余情・一葉抄・休聞抄・紹巴抄・孟津抄・岷江入楚︶　　志登おほし志な2こりな2れハおとろ可され　　給て・いとゝお1ほしいつ連と・この1比ハさや　　うの御ふるまひ佐ら2尓つゝミ給めり・花ちる　　佐とな2と尓1も多1ゝ御せうそ2こな2とハ可り﹂︵51オ・477⑬︶　　尓て・おほつ可な2く中〳〵うら2めし希な2り　　源氏廿六歳の三月十三日須磨より明石に浦つたひして　　廿七の七月帰京まて二年の事あり以哥并詞為　　巻名﹂︵51ウ︶　　　せきふきこゆる＜行平中納言哥可尋 　　　　　　　　　　　　　　能宣朝臣哥似之＞　　三五夜中新月色　二千里外故人心
　　去年今夜侍清涼　秋憶詩篇獨断腸
　　恩賜御衣今在此　捧持毎日拝餘香
　　馬長無驚時變改　一葉一落是春秋
　　史記
　　　趙高指鹿謂馬＜秦二世時＞
　　王昭君
　　翠黛紅顔錦繍粧　泣尋沙塞出家郷﹂︵52オ︶　　邊風吹断秋心緒　瀧水流添夜涙行
　　胡角一聲霜後夢　漢宮万里月前腸
　　昭君若贈黄金賂　寔是終身奉帝王 　　堂ゝこれ西尓ゆくな2り　未勘　　うれし支尓もひとつな2ミ多そ2こ本れ个り　　　文集　香鑪峯下社卜山居草堂
　　五架之間新草堂　石階松柱竹編墻
　　十年三月卅日別徽之於澧上
　　十四年三月十一日遇徽之於峡中
　　停舟夷陵三宿之別言不然者以詩終寔﹂︵52ウ︶　　七言十七誼之中
　　一別五年方見面　語到天明竟不眠
　　生涯共寄蒼波上　郷国倶抛白日邊
　　往事渺茫都似夢　𦾔遊零落半帰泉
　　酔悲灑涙春盃裏　吟苦支顛暁燭前 　　　已上す満の万きの奥書也
　　　　　　　　　　　　　謬書之﹂︵53オ︶二校<朱>﹂︵表表紙蓋紙︶

明 石

明　石