坊っちゃん 夏目漱石

 今日は、夏目漱石の「坊っちゃん」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは分かりやすい小説なんですけど、きよというおばあさんが、母親のように主人公の面倒をみてくれるのが印象深いんです。漱石は子どもの頃に、血の繋がっていない父母に育てられたんですけど、その影響があるのか、他人を肉親のように扱ったり、肉親を他人のように捉えたりする、そういう個性的な人物像が繰り返し描かれるのかもしれないと思いました。当時はそれほど奇妙な家庭環境では無かったようですけど。
 作中に、登場人物たちをこのように解説しているページがありました。ここさえ読めば、どういう人たちがなにをしているのかは分かると思います。本文こうです。
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  山嵐のようにおれが居なくっちゃ日本が困るだろうと云うような面を肩の上へ載せてる奴もいる。そうかと思うと、赤シャツのようにコスメチックと色男の問屋をもって自ら任じているのもある。教育が生きてフロックコートを着ればおれになるんだと云わぬばかりの狸もいる。皆々それ相応に威張ってるんだが、このうらなり先生のように在れどもなきがごとく、人質に取られた人形のように大人しくしているのは見た事がない。顔はふくれているが、こんな結構な男を捨てて赤シャツに靡くなんて、マドンナもよっぼど気の知れないおきゃんだ。赤シャツが何ダース寄ったって、これほど立派な旦那様が出来るもんか。quomark end - 坊っちゃん 夏目漱石
 
 山嵐以上に無鉄砲なのが、主人公なんです。あと、お金のやりとりがなぜだかおもしろかったんです。竹を割ったような性格の主人公が、こういうお金は要らないとか、きよおばあさんからもらったお金のこととか、なんともこう、お金の扱いがかっこ良いんです。漱石は新聞社から給料をもらっていたのに、新聞社がやる間違った考え方について批判的に描写するところとか、そういうところも凄かったです。
 

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