今日は、伊藤野枝の「出奔」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
家を捨てて出奔し、貧しい環境に入り込んでしまった登志子は、友人の志保子の家に転がり込んで、そこからどう生きるか惑ってしまいます。困ってしまった登志子を助けてくれる恩師や友人に守られて喜ぶ場面がすてきでした。登志子は、いくつかの手紙を書きながら、この先をどうするか考えているのでした。
中盤から、なぜ登志子が出奔したのか、その理由がだんだん明らかになってきます……。
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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
追記
※以下は物語の結末を含みます。クリックで表示されます。
登志子のもとに、光郎という男からの手紙が届きます。登志子はこの男との結婚は出来ない、と考えて家を出たのでした。
「登志子自身の気持ちではどうしても結婚したということは考えられない」というように記載されています。
自分では結婚をしたつもりが無い、しかし強引に結婚させられてしまうという窮状が描きだされています。本文こうです。
強制された不満な結婚の約を破ることは登志子にとってはいともやさしいことに思えた。そしてなお彼女は修学中であった。共棲するまでには半年の猶予があったので、その間にどうにもなると思っていた。
「何でもいい早く上京したい。行ってみんな話してやる、本当のことをみんな話そう、N先生にしろ、光郎にしろ、自分の話はきっと解ってくれるに違いない。東京に行きさえすれば——そうだ、行きさえすればきっと…………」という文章が印象に残りました。
これは短編なので、ほぼこのまま終わってしまう作品なんですが、東京で盛んに働いて自立し、なにか新しい人間と出会うという未来が見えてくるような、登志子の熱い心情が最後に描きだされる、近代小説の魅力があふれる作品でした。


