幸福 中島敦

 今日は、中島敦の「南島譚 幸福」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは、パラオの、オルワンガル島という島での物語を描きだした小説で、大権力者ルバックと「極めて哀れな」主人公を描きだした物語で、結末がみごとでした。主人公の男が、徐々に幸福を見いだしてゆくさまに迫力がありました。
 

縦書き文庫の装画

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
追記  

※以下は物語の結末を含みます。クリックで表示されます。

 なんだか美しい構成の作品で、貧しい男がだんだんたくましい人間に変化してゆくところの描写がすごい創作昔話で、読み終えてから思わずもう一度、はじめから読みはじめてしまいました。寝床で充実した夢を見ることによって、現実の生きかたも充実しはじめてゆく……意識が変われば現実もいずれ変わってゆく、という男を描きだした物語でした。
 オルワンガル島というのは今は海底に没した架空の島で、このような、どんどん幸福になってゆく男というのは、現実には二度と現れなかったのだ、というように末尾に記されていました。考え方が良くなれば、だんだん現実も良くなってゆく……といった寓意のこもった昔話でした。奴隷と王様の入れ替わりを、荘子の「胡蝶の夢」のかたちで物語化した作品でした。