今日は、太宰治の「老ハイデルベルヒ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
8年前の学生のころに、急に思いたって、遠い親戚のいる三島という町に出かけて、初日は東京の友人たちと楽しんで、そのあと1人で夏の間中、若き太宰治はそこでゆっくりすごしながら、佐吉さんとその家族の朗らかな姿を見つめつつ、部屋に引きこもって「ロマネスク」という小説を書いたのでした。三島は太宰治にとって特別にかがやいていた、思い出の地なのでした。
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追記 ゲーテや文豪たちが愛した、ドイツの古都ハイデルベルクでの美しい体験のような幻想的なふるさとを三島に見いだしていた太宰治だったのですが……それから八年たったのちに、その懐かしい町に赴いてみると、なにもかもが色あせてしまっていて、無理にそれを楽しく見せかけようとして楽しげに思い出を語って、三島のさびれた食堂で高価な食べ物を取り寄せようとして、母に咎められ「私はいよいよやりきれなく、この世で一ばんしょげてしまいました。」という一文で閉じられる、不思議な構成の小説でした。


