蛇 森鴎外

 今日は、森鴎外の「蛇」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 貧しい人たちに資金を援助する活動をしていた穂積家の、その息子と結婚をした「お豊」がなぜか、おかしくなってしまった。その謎を追う物語でした。
 

縦書き文庫の装画

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
※ 本作品の一部には、今日的には不適切と考えられる表現が含まれておりますが、作品自体の歴史的な価値を尊重し、原文のまま収録しています。
 
追記  穂積家では食事のさいに、ご近所のちょっといい話しをすることが習慣になっていたのですが、これをどうしてもがまん出来ない「お豊」が嫁入りをして、どうも穂積家は困ってしまいます。

※以下は物語の結末を含みます。クリックで表示されます。

 すべての偽善が嫌いで、とにかく権力が嫌いだ、ということを述べていた「お豊」との交流がむずかしくなって「穂積家は沈黙の家になった」のですが、暗くなった家でやがて義父や義母が亡くなって……「奥さんが線香を上げに、仏壇を覗かれますと、大きな蛇のとぐろを巻いていましたのが、鎌首を上げて、じっと奥さんのお顔を見たそうでございます。きゃっと云って倒れておしまいになりましたが、それから只今のようにおなりになりました」ということで、「お豊」はずっと意味の不明なひとりごとを言いつづけてしまうようになったのでした。蛇はたんに仏壇の隙間が気に入って、居着いてしまうようになっただけなのですが、死者の怨みが蛇を呼びよせてしまったと誤認してしまった「お豊」とその周辺の男たちの物語でした。作中で話されていたように、家庭内で殴ってでも言うことを聞かせようとしたらもっともっと酷いことになったと思うのですが、なにかもっとうまい方法でものごとを進める必要があったように、思いました。
 内容がよく理解できなかった方は、以下の要約版を読み終えてから、あらためて鴎外の全文を通読すると、ほとんど全て理解できると思います。
 
「蛇」要約版  森鴎外
 
 ある夏の夜、私は旅先の家の縁側に座っていた。蚊がうるさく飛んでくる。奥の方から、女の人が早口でずっとしゃべっている声が聞こえる。相手の声は全然聞こえない。一人でしゃべっているようだ。
 そこへこの家のお爺さんが出てきた。私が「あの女の人は誰だね」と聞くと、奉公人のお爺さんは話し始めた。
 この家は昔からの豪農で、今はご主人と奥さんと、お爺さんの三人暮らしだ。先代の奥さん、つまりご主人のお母さんが、先日亡くなった。そのお母さんはとても優しい人だった。ところが、ご主人夫婦はうまくいっていない。
 奥さんは「本当の善人なんていない。善いことをする人はみんな偽善者だ」と言って、家族の話し合いのときに聞く善行の話をひどく嫌った。それ以来、家の中は静かになり、ご主人はだんだん沈んでいった。
 そして、お母さんが亡くなって七日目の夜、奥さんが仏壇をのぞくと、中に大きな蛇がとぐろを巻いていた。奥さんは悲鳴を上げて倒れ、それから気がふれてしまい、毎晩ひとりでしゃべり続けるようになった。
 お爺さんは「蛇は一度外へ捨てても、また戻ってくるのです」と言う。私は「それは不思議なことではない。動物は一度住んだ所に帰る習性があるからだ」と教えてやった。
 そこへご主人が現れて、「私には確固たる信念がない。だから妻を離別もできず、母を寂しい思いで死なせてしまった」と悲しんだ。
 私は「赤ん坊は理性が未発達だから、危ない火でもつかむ。大人と同じ扱いはできない。お豊も同じで、自分の欲望のままに行動すると自分を破滅させる。理性で抑えるべきだ」と話した。
 話が終わった後、私は仏壇に行って蛇を見た。確かに青大将がいた。
「これは私がもらっていく。米蔵から出てきたのだろう。外へ捨てても、また戻ってくる。なんの不思議もない」
 そう言って、私は素手で蛇をつかまえ、かごに入れた。翌朝、私は穂積千足さんに「病気については誰か信頼できる専門家に相談をしたほうが良い」と勧めて、その家を後にした。

(※この要約版は、AIが出力したものを人間が書き換えて、訂正しました。)